細野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年11月4日

(平成23年11月4日(金) 9:55~10:19  於:合同庁舎4号館4階408会議室)

1.発言要旨

 皆さん、おはようございます。
 私からは今日は2点、まず冒頭御報告いたします。
 1つは災害廃棄物の広域処理でございます。
 一昨日から昨日にかけまして、岩手県宮古市のほうから東京都のほうに着きまして災害廃棄物が運搬をされました。受け入れをしていただいた東京都には心より感謝を申し上げたいと思います。そして再度、特に岩手県と宮城県の復興・復旧には、この災害廃棄物の広域処理が非常に重要な課題となっているということを国民の皆さんにも知っていただきたいというふうに思っております。
 今、資料をお配りをしておりますけれども、環境省としては、災害廃棄物の処理について各自治体の中で、その余力があったり意欲をお持ちのところに対して、さらに依頼をしたいというふうに思っておりまして、できるだけわかりやすい紙をということでつくりましたので、皆さんに御紹介をさせていただきます。書いてあることは極めて中身としてはシンプルな話でございますけれども、安全性については国がしっかりと担保していくということが大きなポイントであります。そして、そういう安全性が確保できている中で、この広域処理がなされなければ、被災地の復興というのは非常に難しいんだということを、ぜひ全国の皆さんに知っていただきたいというふうに思っておりまして、皆さんに資料もお配りをして、再度お知らせをさせていただきました。
 もう一点、週末の私の予定でございますけれども、11月6日に近畿地方環境事務所及び吉野熊野国立公園の吉野地域を視察をいたします。国立公園というのは、環境省がずっと継続をして取り組んできたテーマでございますので、それを見るという、そういう意味合い、加えまして地方環境事務所のあり方が様々な議論になっておりまして、特に近畿地方というのは広域連合のほうから分権についての要望も出ておりますので、それについての環境省としての考え方をしっかりと整理をする上でも、できるだけ早く訪れたいというふうに思っていたところでございますので行ってまいります。出張の予定について皆さんにお知らせをさせていただきました。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)フリーランス記者の上出と申します。
 1点教えてください。これは本来、枝野大臣のほうの御担当かと思いますが、御所見があれば。原発問題で各地でいろいろな問題、九州電力のやらせ、それから北海道電力でも泊原発のやらせが起きています。この会見は我々フリーのような記者でも入れるんですけれども、北海道電力の記者会見は、日本新聞協会で仕切っている、いわゆる北海道の経済クラブに入っている加盟者でなければ入れないということで、こちらで入っている、雑誌協会に入っているような加盟者も入れないんですね。一企業の本当は問題だと思うんですけれども、やはり公益事業であるということと、それから情報の公開ということで、この原発問題に関して幅広く国民に情報開示するというのは当然のことかと思うんですが、今、いろいろな働きかけをしていても、なかなかそれが開かないという状態なんですが、これについて、政府として指導できる範囲もあるでしょうけれども、メディアの問題について、その辺の御所見をいただければと思います。
(答)そうですね。できるだけ情報公開をしていくべきだというのは御指摘のとおりだと思いますし、特に電力会社は公益性が高く、また国民的な今、注目も非常に高まっていますので、できるだけ応えていただきたいというふうには思いますね。
 あと、個別の記者会見にどういった形で皆さんに入っていただくかというのは、これは、そこまでなかなか立ち入り難い面もやはりありますね、率直に申し上げると。スペースの問題もありますし、そこはそれぞれがしっかりとマスコミの皆さん、さらにはフリーの皆さん、メディアの皆さんとコミュニケーションする中で御判断いただくということになると思います。
(問)すみません。時間がなくてちょっと補足だけですが、これは記者クラブが運営している問題でしたら完璧にメディアの問題になるかと思うんですが、この会見は北海道電力が主催しているんですね。ですから、企業としての責任という点では何らかの指導があっても可能なのかなということで質問いたしました。
(答)頭に入れておきます。
(問)朝日新聞の関根です。
 ちょっと話題が違うんですけれども、消費税についてですね。総理が外遊先の記者団への話の中で、消費税を10%に上げる法案を通した後に信を問うというやり方にしたいというふうな発言をしたんですが、この発言というのは、これまでの民主党のマニフェストとの整合性という意味では、大臣、どうお考えでしょうか。2010年の参議院選挙のマニフェスト作成にも携わっておられたので、ちょっとあえて質問しました。
(答)その発言は承知をしておりませんので、確認をしたいというふうに思います。
 そうですね、私も何度かマニフェストづくりに関わりましたので、消費税を上げる前には信を問うというのは、これまでも民主党の基本的な考え方であったというふうに思います。その消費税を上げる前というのが、恐らくいろいろな考え方があると思うんですね、どういうものを指すのか。法案を通す前に解散をするということの、そういう考え方もあるでしょうし、法案を出して方針を明確にした後に信を問うという考え方もあるでしょうし、そこはそれぞれの時の総理なり、さらには財政状況というのによっていろいろな考え方があり得るのかなというふうに思います。ですから、野田総理が直接どういうことをおっしゃったのか確認をする必要がありますけれども、今、関根さんが言われたような趣旨の発言であれば、それ自体はマニフェストに違反をしているというふうには私は思いません。
(問)TBSの「報道特集」の金平と申します。
 福島の原発事故で出た、その除染の経過で出た廃棄物の中間処理施設についてちょっとお伺いしますが、既に大臣のほうから工程表等で示されて、30年以内に県外で最終処分をする。その前に仮置き場ですとか、あるいは県内の中間保存施設というのを今探っている段階だというふうに承知しておりますけれども、30年以内に県外で最終処分という場合の「県外」というニュアンスですね。これはどういうことをまず想定されているのかということをまずお聞きしたいのと、その県外という場合に、これまでの経験とか、あるいはノウハウの面で、例えばですが、青森県の六ヶ所村の再処理工場ですとか、そういうところに対して政府として、もし事態がこれ以上進まないようであれば受け入れを打診するとか、そういうようなお考えというのはあるんでしょうか。
(答)福島県内にというイメージですか、まずは。
(問)県外というふうなものをどう想定されているんでしょうか。
(答)かなり一定の期間を福島県内で中間貯蔵をお願いをしなければならないというふうに考えておりますので、その中で減容化であるとか、放射性物質を取り除く技術ですとか、そういったものを開発をしなければならないというふうに思っております。ですから、まずはそういう技術開発がなされるということが大前提ですね。その技術開発がなされた上で、安全に運搬、さらには貯蔵できるという状況をつくった上で最終処分ということになってまいります。
 場所については、まだ方向性を持って私が申し上げているということではありません。ですから、どこでということについて現段階でまだ申し上げられるという状況ではないです。
(問)私が質問したのは、これは除染の工程で出てきた廃棄物ですね。汚染廃棄物の話ですが、一番本当は問題なのは、今壊れている、事故が起きている原発内で出ている放射性廃棄物等々の問題がまずありますね。これについてはまだ全く言及がなされていないですね。とりあえずは原発内のものは福島原発内というようなお考えというのはあると思うんですが、長期的に見ると、あるいは長期的ではなくても、もっと近い将来、これは問題になってくると。ずっと出続けているわけですから。水については海洋投棄等のことがもうなされていますけれども、この限界点というんですかね、県内で処理すると、原発内で処理するということについても、恐らく限界というのは近々見えてくると思うんですね。これについて大臣のほうとして、何らかの見通しなり何なりを任期中に─30年先になりますと大臣は70歳ですね。まだ御存命だと思いますし、政治家でもあられるというふうに思いますので、責任を持って言える年齢だというふうに思うので、今私は申し上げているんですけれども、自分の任期中に、こういうことについて何らかの見通しをめどを示されるというふうなお考えというのはありますか。
(答)一つ一つ、一歩一歩解決に向かって進んでいかなければならないと思っております。したがって、今私がロードマップを提示をし、できる限り方向性を出していきたいと思っておりますのは、サイトの外の放射性廃棄物についてです。ですから、除染による特に土壌などの廃棄物もありますし、そのほかにも例えば焼却をした後の灰、これなども何らかの形でしっかりと処分をしていかなければならない。そういったことについては、まずは一定の方向性をできるだけ私が直接担当している中で出したいという、そういう思いがございまして、そこについてはとにかく踏み込んでいろいろな調整をしていこうという、そういう思いでおります。
 一方で、サイトの中の廃棄物ということに関しては、率直に言うと、もう少し見きわめないと、どういったものが存在をし、そしてどういった段階でいろいろな判断をしていかなければならないのかというものの見きわめが難しいと思っております。恐らく中期的な課題を整理する中で言うならば、当面問題になってくるのは使用済み燃料プールの上のがれきの処理、またサイトの中の作業効率を上げるという意味で、さらなるこのがれきの処理というのが大きな課題になってまいりますので、それをやっていくことになると思うんですね。そうすると、サイトの外とはまた違うレベルでの廃棄物が出るということになってまいります。ただ、これとてレベルで言うならば、いわゆるこの原発の世界で言うならば低レベル放射性廃棄物というところに分類をされます。最大の問題はいわゆる高レベル廃棄物でございまして、これは使用済み燃料であり、廃炉に伴ってでる原子炉の様々な、本当に中にある様々な物質といいますか廃棄物ですね。そういったものであるわけですね。ですから、そこは最も深刻で、問題解決に向けて難しい課題であるというふうには思っています。
 決してそこからも逃げるつもりはありませんし、逃げられるとも思っておらないんですけれども、もう一つやはり申し上げたいのは、そうした高レベル廃棄物については、今回の福島の問題に関わらず、元々は国が抱えていた問題であり、出口が見つからなかったわけですね、高レベルについては最終処分場がありませんから。世界でも解決をしているのはフィンランドだけですが、そのほかの国は解決の道筋が見えていません。ですから、元々我が国が抱えていた問題であるということを申し上げたいと思います。その上で今回の福島の問題が出てきていますから、より高レベル廃棄物の問題の切迫性が増してきたというふうに理解をしております。
 ですから、もちろん私が今、この大臣という役割をやっている中で方向性を出したいというふうに思っておりますが、まずはサイトの外の廃棄物について、さらに具体的な方向性を出すべく努力をしていると。次に、サイトの中の低レベル廃棄物についてどういう扱いができるのかということについては、もう少し時間はかかりますけれども、ステップ2が終了したら、そういったことについても一つ一つ考え方を整理をしていかなければならないというふうに思っております。
 さらに一番深刻な高レベル廃棄物、燃料の処理については、これは正直申し上げますと、例えばこの1年とか2年とかで、ちょっとやそっとで方向性を出せるものでは、これはないのかなというふうにも思っておりまして、そこは、そういう時期が来たときにさらに踏み込んで判断をしていくということになるのかなと思っております。
 最後に申し上げたいのは、私、今、収束の担当大臣をやっておりますので、もちろんこの問題に逃げずにしっかりやらなければならないと思っておりますが、この時期にこの問題に関わったということは、大臣でなくなった後も含めてしっかり見ていかなければならないと思っておるんです。ですから、先日福島でロードマップを発表したときにも、30年後ということについても自分がしっかり見届けなければならないと申し上げました。これは大臣であろうがなかろうが、私の政治家としてのこれは宿命だというふうに思っております。
(問)ありがとうございました。その言葉を信じたいと思いますけれども、先送りの歴史というのが、実はこの問題についてずっとあったというふうな認識がありますので申し上げたということなんです。
 もう一点だけ、ちょっと聞きますが、12日の日ですか、大臣が福島第一原発のサイトを視察されるということに伴って、同行取材を認めるというような発表があったというふうに聞いておりますが、先日、外国からのメディアの人と懇談する機会がありまして、そこで実は言われたことを申し上げるんですが、外国のメディアに対して極めて枠が少ないと。もっとたくさん海外─これだけの事故があったんだから、何が起きているかというのを世界に発信するような措置がとられるべきなのに、外国のメディアに対して不当に枠が小さいんじゃないかというようなことを指摘しておったんですね。今回は同行取材というような形なので、これは例外的だというふうに解釈をするべきなのかどうかわかりませんが、今後、そういう要望も含めて、メディアに対して敷地内の取材を定期的に、継続的に行うというようなお考えというのはございますか。
(答)外国のメディアのほうからもそういう御意見が出ているということは、私も承知をしておりますし、フリーの皆さんには、今回、どうしても人数の制約がありまして入っていただくことが難しいものですから、そうしたフリーの皆さんからも、何で入れないのかということについて御意見をいただいているというふうに承知をしております。
 外国人報道協会の皆さんとは、事前も含めて実はいろいろコミュニケーションをとってきたんですけれども、若干そういう意思疎通の、我々のほうからはきちんとお知らせをしていたんですけれども、そういう中でのいろいろな情報の流通の問題もあったように報告を受けております。
 ただ、それは細かい話でございまして、全体として言うならば、今、金平さんがおっしゃったとおり、今回は私が現場に行くということの同行という形をとって、まず第一歩を踏み出したいという、そういう位置づけです。ですから、一般的な皆さんがサイトの中の取材をしていただけるという状況には、まだなっていないということなんですね。ですから、今回一度やらせていただいて、果たしてどの程度取材を受けていただけるのか、現場にどれぐらい余裕があるのかというのを見きわめたいと思っております。それを見きわめた上で、当然徐々に皆さんに取材をしていただける環境をつくっていかなければならないというふうに思っておりますので、その次の段階で、どうしたような形でさらに取材をしていただけるかというのを考えたいと思います。その際には、当然外国の方にも情報をできるだけオープンにしていくべきだというふうに思いますので、その方向性でやってまいりたいというふうに思っております。
(問)すみません、時事通信の神田です。
 先日、福島第一の2号機の格納容器内のガスから短半減期の核種のキセノンが検出されて、再臨界の可能性が取りざたされました。結果的に自発的な核分裂だということなんですが、現状、その格納容器内のガスを直接採取する方法というのは2号機のみになっていまして、1、3号機は臨界検知の仕組みが温度と圧力を見るしかないということになっています。そこで、冷温停止状態の実現であるとか、ステップ2の達成という判断条件の中に、臨界の検知であるとか防止といったものが余り明確な達成条件として入っていないんですけれども、こういった仕組みをつくること、もしくは、あとキセノン等が検出されたときに、その評価の方法を確定しておくことというのを何か条件として加えるということについては、何かお考えはありますでしょうか。
(答)2号機のキセノンにつきましては、新たな事象が生じたというよりは、これまで検出限界未満で測れていなかったものが正確に測れるようになって顕在化をしたものというふうに考えております。したがって、きのう東京電力も発表しておりますし、保安院もこれからしっかり評価をしていくということになりますけれども、部分的な核分裂があったということだというふうに私も考えております。
 もともとステップ2の終了というものの一つの大きな前提は、事故はこれ以上エスカレートしないということがしっかりと確認をできるという、こういうことがあったわけです。その中には当然再臨界というものも含まれております。したがって、新しい事象が生じたということではありませんけれども、今回のキセノンのこの存在というのがより明確になったということですから、それを契機に、さらに再臨界が起こらないということをどうやって確認をしていくかということについては、方法を少し検討する必要があるというふうには思いますね。ですから、今回は2号機についてこういう事実が明らかになりましたが、1号機、3号機についても、どういったことで確認ができるのかどうか見きわめた上で、安全性についてはより慎重な検討が必要であるというふうには思います。
(問)工学的には再臨界の可能性も少ないということもあるので、そのあたりは御認識はそのとおりだと思うんですけれども、安心の観点から、例えば格納容器の管理システム、これは本来は臨界を検知する機能が主目的ではないと思うんですけれども、今のところ、ステップ2の終了までに間に合わせるというものではないと思うんですね。そのあたりの例えばスケジュールを前倒しにするとか、そういった何か条件化するようなことまではお考えにはなっていないということでよろしいでしょうか。
(答)安全の確認の方法をどういったことで考えるのかということですね。ですから、ステップ2の終了というのは、これまでも年内ということを繰り返し言ってまいりましたけれども、その中でしっかりと政府として、これで冷温停止状態だと、すなわち再び事故そのものがエスカレートすることはないということが確認をできたという、その時点で皆さんにお知らせをするということになります。ですから、新しい条件とするかどうかということについて、どういう確認の方法があるのかというのをしっかりチェックをした上で、最終的に皆さんにお知らせをするということになろうかと思います。ですから、11月に入っていますから、11月17日にはロードマップの更新をしなければなりませんので、そのときに皆さんに、そういったことについても御説明をできるようにしてまいりたいというふうには思っております。

(以上)