細野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年9月30日

(平成23年9月30日(金) 9:45~10:11  於:合同庁舎4号館4階408会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 まず、環境大臣として1点御報告をさせていただきます。
 昨年10月に成立をいたしました生物多様性地域連携促進法が10月1日に施行されます。
 本日、この法律の施行に必要な省令を公布するとともに、基本方針を告示いたしました。
 本法によりまして、地域の関係者が連携し、里地里山やサンゴ礁の保全活動を行うことで、人と自然のつながり、地域への誇りと愛着を生み出し、地域が活性化することを期待しております。
 昨年開催されました生物多様性条約COP10で合意されました愛知目標の達成のため、こうした取組が重要と認識しておりまして、環境省としてもしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
 もう1点、こちらは原発事故の収束及び再発防止担当大臣としての報告でございます。
 現在、原子力安全庁の設置に向けての作業が急ピッチで進められておりますけれども、そうした事故の再発防止という観点からこの安全庁をつくるわけですが、その際の有識者の皆さんから様々な御意見をいただく場所といたしまして、原子力事故再発防止顧問会議というのを設置することといたしました。
 第1回目の会議を来週の10月4日火曜日に開催することを予定しております。
 メンバーについては、後ほど紙でお配りいたしますけれども、原子力の専門家、法律、環境の専門家、さらには自治体の首長の方など、原子力行政のこれまでのあり方に知見のある方もいらっしゃるし、逆に批判的な立場の方もいらっしゃいます。そうした多様な意見をしっかりと受け止める中で、絶対に同じ事故を起こさない、安全規制そのものをより厳しいものにしていくという、そういう方針で臨みたいというふうに思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)NHKの柴垣と申します。
 昨日、予算要求の席で大臣がおっしゃった除染に関する発言についてなんですけれども、1ミリから5ミリの間についても、面的に除染を自治体の希望で行う場合でも、国が財政支援を行うというお考えを示されたと思うんですが、これまで環境省が示した方針と若干異なると思うんですけれども、それは見直すということになるのか、それとも中身がまだ定まっていないということになるのか、教えていただけますか。
(答)面的な除染という場合に、人が住んでいないところであれば、それはまさに業者を入れて面的に一気にやるということができるんですけれども、人が生活しているところの場合は、面的にやるといっても、いろいろな方に御協力をいただいてやっていくということになるわけですね。
 ですから、面でやるか、点でやるかというのは、これはどちらかという方法ではなくて、自治体の中でいろいろなやり方を検討していただいて、出していただければそれに最大限応じるということです。
 ですから、言葉の問題で若干分かりにくいところがあるかもしれませんが、要するに1ミリから5ミリについてもやるということですから、変更ということではありません。
(問)自治体の間でも、面的にやりたいというところが大半、非常に声が高くて、それについて、財政支援が得られないと計画を立てるのが難しいと、その辺をはっきり示してほしいという声が上がっていますけれども、面的にもやるのかやらないのか、どちらでしょうか。
(答)具体的に自治体のほうでこういうふうにやりたいということがあれば最大限応じていきたいと考えております。
(問)面的な除染をやりたいという場合は支援が得られるという。
(答)同じ御質問になるので、同じようにお答えするしかないんですけれども、面と点というのは、これはどちらのやり方ということではないんですね。おわかりになりますか。人の住んでいないところであれば、そこは面でどんとやれるんですけれども、人が住んでいるところというのは、その地域の皆様の理解をいただいて、協力をいただいて、やり方を考えなきゃなりませんよね。ですから、そういうやり方について、この地域でやりたいという御要望があれば、それぞれに積極的に応じていくということです。
(問)朝日新聞の森ですけれども、先日、次官が中間貯蔵施設の規模につきまして、3キロ掛ける3キロ、10メートルというような表現をされたんですけれども、これについて、若干大きいのではないかという話も聞いておるんですけれども、その点についてはいかがなんでしょうか。
(答)そこは今、中間貯蔵を含めたロードマップをつくろうと思っておりますので、そこでしっかりお示ししたいと思います。環境回復検討会の中で試算されているものは、最大ケースで約3,000万立方メートルという、これ以下ということですので、次官のおっしゃったことよりはかなり小さいものになるんですけれども、現実問題としては、どういった形で除染をするのかということによってかなり変わってくるんですね。
 ですから、かなり流動的な要素がありますので、様々な要素を勘案した中でロードマップを出しますので、そのときにおおよそのめどはお示ししたいというふうに思います。
(問)3平方キロ掛ける10メートルという話とか、あるいは9,000立方というそのままでいいという意味なのか、その辺はいかがなんでしょうか。
(答)ですから、そこはロードマップをお示しする中で皆さんにしっかりと御説明したいと思っています。
(問)読売新聞の清永です。
 先ほど発表いただいた原子力事故再発防止顧問会議なんですけれども、これはどういうスケジュールで進めていって、どういう形でアウトプットするのかをお示しいただければと思います。
(答)皆さんお忙しい方ですので、それほど、例えば毎週やるとか、そういう形で頻繁に行うのは難しいと思っておりますが、年末までに作業しなければなりませんので、できるだけ皆さんの都合を合わせていただいて会議を開催して、いろいろな御意見をいただきたいというふうに思っております。
 やり方は、もちろんいろいろな御提案をまとめていただいて出していただくということもあり得ると思うんですけれども、私の今の段階での意向としては、いろいろなことを相談させていただいて、それに対して率直な御意見をいただくという、そういうキャッチボールができるような会議にできれば、私としては非常にありがたいなと思っております。
 そういったやり方も含めて、4日にお集まりをいただきますので、そこで皆さんに投げかけて、皆さんからもいろいろ御意見をいただけるでしょうから、その中で柔軟に考えていきたいと思っております。
(問)北海道新聞の須藤と申します。
 関連でお聞きしたいんですが、再発防止顧問会議の具体的な問題意識といいましょうか、基本的には安全庁の役割、機能にかかわる部分だと思うんですけれども、もう少し具体的な目的の部分をお聞きしたいのと、あと、この中で、事故の再発防止というか、これから事故を防いでいくという観点では、原発の高経年度対策といいましょうか、そういったところも課題になってくるとは思うんですが、そういった課題はこの会議では扱うのかどうか、そのあたりも含めてお願いいたします。
(答)安全庁の設置には2つ目的がありまして、一つは、推進側からしっかり独立させるという、新しい組織をつくるという、そういう側面ですね。
 もう一つは、この安全の規制そのものを高めていくという、そういう2つの問題意識があるわけです。ですから、顧問会議では、この2つの問題をいろいろな形で御議論いただいてアドバイスいただくというのが望ましいかと思います。
 高経年化も後者の中に含まれる問題ですので、そういう御提起があれば御議論いただきたいと。いろいろな要因がありますから、高経年化だけというよりは、安全規制のあり方についていろいろな御意見があれば、それはぜひ承りたいと思っております。
(問)朝日新聞の関根です。
 夕方にありますけれども、緊急時避難準備区域の解除が今日行われるということで、その関連で、今回、初めての避難区域の解除ということになるわけですけれども、被災者や国全体にとってどういう意義があるのかということをまず1点伺いたいのと、それから、除染とかインフラの整備がまだ全然進んでいない中で解除に至ったその理由について、過去の災害では、生活再建に一定のめどが立った上で避難区域を解除するというようなケースもあったんですけれども、お考えをお聞かせください。
(答)正確に言いますと、緊急時避難準備区域ですから、避難区域そのものではないんですね。ただ、これまで、それこそ皆さんにいろいろな生活の支障がある中で過ごしていただいた地域ですので、それが解除されること自体は、事故後の影響が拡大している段階から、落ちつきを取り戻して帰ってきていただくという段階に入ったという意味では、大きな転換点だというふうには思っております。
 もちろん、インフラが整っていないところであるとか、それこそ、除染も含めていろいろ御心配いただく、まだそういう状況の地域が残っていることは事実なんですけれども、基本的に緊急時避難準備区域というのは、放射線量が高くて避難をしていただいたというよりは、原子炉の状態が安定していないので、万が一に備えて準備をしておいていただくという地域ですので、それぞれの皆さんのいろいろな生活の支障を取り除くという意味では、できるだけ早く解除したいというふうには思っていたんですね。
 ただ、ここまで時期がかかったのは、やはりそれぞれの自治体の事情がありますから、それに最大限応じていこうということでこの時期になったということです。
 今日夕方報告しますけれども、それぞれの自治体によっていろいろな機能を回復する時期というのは、それぞれ時期が異なります、ずれます。それはそれで、それぞれの自治体の状況も違いますし、自治体のそれぞれの御意向もありますから、それはずれるのは当然のことだというふうに思っていますので、そういうふうに受け止めております。
 それでもなぜ一括で解除するのかという、そういうことかと思うんですけれども、どの自治体にも既に生活をされている方がいらっしゃるんですね。町自体としての考え方はいろいろあっても、そういう方々が日常を取り戻したいというふうに思われている方はたくさんいらっしゃいます。そういう方々に、例えば、個人で通常の状態に戻りたいというふうに思っていらっしゃる方には、そういう日常生活を取り戻していただけるようにするためには、やはり一括の解除が望ましいのではないかというふうに考えたわけです。
 最終的に町の機能をいつ取り戻すのかということについては、それぞれのお考えがありますから、それを最大限尊重していきたいというふうに思っております。
(問)共同通信の太田です。
 中間貯蔵施設の話なんですが、環境次官は8都県に設置の必要があるというふうにも話されていますが、その点についての大臣の認識と、今後、設置を要請するというような話もあるようなんですが、それはロードマップを示した上で各自治体に要請するということになるんでしょうか。
(答)福島県の場合は、放射性物質の除染の土壌も含めて、量が非常に膨大なものになりますし、大変申し訳ないことですが、濃度も相当高いものが含まれますので、そういった意味で、かなり規模の大きい中間貯蔵施設が必要であるというふうに考えております。そのことは、本当に国の責任としてしっかりやらなければならない。しかし、大変申し訳ないことなんですけれども、何度も福島の皆さんにはこれまでも御説明してきたし、これからもしていかなければならないと思っております。
 一方で、福島以外については、これは都道府県によってもそれぞれ若干違いますけれども、福島とは全くレベルが違うんですね。量の面でもそうだし、放射線量という意味でも違いますので、ですから、福島でイメージをされる中間貯蔵とは随分趣の違うものになるというふうに思います。
 できるだけ放射性物質の移動を少なくして、地域で最終的に処理していくという方法を模索するという趣旨で南川次官は言ったのではないかというふうに思います。
 ですから、中間貯蔵施設というのを固定的に考えて、福島で想定されているものがほかの地域に必要であるというようなことは考えておりません。
(問)時事通信の吉本です。
 地球温暖化のことでお伺いしたいんですが、南アフリカの外務大臣が京都議定書の延長を軸に今後交渉を進めたいという発言をしたようですけれども、日本の京都議定書の延長に対する立場を改めて教えていただきたいのと、ダーバンに向けての交渉をどう進めていくか、改めて考えをお聞かせください。
(答)我が国の立場は基本的に変わりません。すなわち、気候変動問題という地球規模のこの問題に対応していくためには、すべての主要国が参加する公平かつ実効性のある国際的な枠組みが必要でありまして、京都議定書の第二約束期間の設定そのものについては賛同できないという、そういう立場であります。
 むしろ、日本も様々こうした気候変動の問題については貢献もしてきたし、また、様々な政策の手段も持ち合わせておりますので、そういったことを最大限各国と協力関係を築く中で、実質的な枠組みを、実質的な削減というものを達成することに力を注いでいくべきではないかというふうに考えています。
 新しい枠組みをつくること自体については、私どもは積極的に考えていきたいというふうに思っておりますけれども、京都議定書の第二約束期間の設定そのものについては反対という立場に変わりはありません。
(問)新潟日報の前田と申します。
 顧問会議のことについてお伺いしたいんですが、原子力安全庁を設置するとか、そういったことを前提としてこれは話し合うということなんでしょうか。
 例えば、3条委員会がいいとか、そういった意見も出てくるんじゃないかなと思うんですが、そういった議論はしないでということで、まずは安全庁の中でどういった規制がいいかという話し合いをするということなのか、その辺を教えてください。
(答)いろいろな御意見の方がいらっしゃると思いますので、まずは幅広に聞きたいと思います。
 基本的な考え方としては、今政府で検討しておるのは、閣議決定をされたとおり、原子力安全庁という形で環境省の下に置くという、これ自体は閣議決定という重い判断がなされていますので、方針は守っていきたいというふうに思っています。
 ただ、実際にどういう組織をつくることが本当の意味での国民の安全や安心を守っていく上で重要なのかというのは、幅広い御意見をいただいた上であり方を検討したほうがいいと思いますから、初めから議論を制約するようなことは全く考えておりません。
(問)東京新聞の関口です。
 浜岡の関係になると思うんですけれども、顧問会議に静岡県知事の川勝さんを入れられたねらいというのはどんなところにあるのかということと、ちょっとずれるんですけれども、牧之原市長が浜岡再稼動の場合は住民投票で市民に是非を問いたいということを言っているんですが、これの受け止めなり、結果が再稼動にどういう影響を与えるかということをお聞かせいただきたいんですが。
(答)川勝知事は、原発の立地、都道府県のそういった皆さんの声を聞くという意味で、私の選挙区でもありますから、率直な御意見をいただきやすいのではないかということで入っていただいたということです。
 この会議そのものは、再稼動について議論するところではありませんので、再稼動の前提となるいろいろな安全基準については御議論いただきますけれども、浜岡に限定した議論ということにはならないだろうというふうに思います。 牧之原のことは何度かお答えしているんですけれども、それぞれの地元の自治体というのは非常に判断としては重いものがありますから、それはしっかりと受け止めなければならないというふうに思いますね。それに尽きます。
(問)河北新報の石川と申します。
 緊急時避難準備区域の解除に伴って、今までどおり賠償なり補償なりというのができるのかというのを住民の方は物すごく不安に思っているんですけれども、これがどうなるのかというのを、ちょっと大臣の考え方をお伺いしたいんですけれども。
(答)賠償については、私が余り踏み込んで言わないほうがよろしいかとは思うんですね、審査会で考え方が示されますから。
 ただ、市町村の復旧計画が出ますので、その中で、どういった時期に町の機能を回復するのかというのはそれぞれの自治体によって状況はかなり違うという、そういう現実があるわけです。
 ですから、そういった状況の中で、まだ帰ることができないというふうに判断される方が非常に多いのは当然のことですから、それに対しては、これは私自身が判断することではないんですけれども、賠償と今回の解除というのは分けて考えられるべきものではないかというふうに思います。
(問)朝日新聞の関根です。
 エネルギー政策の今後の議論なんですけれども、政府内にエネ環等々3つの会議体がありますけれども、どういうふうに役割分担をして、どういう結論を出していくのか、お考えがあればお聞かせください。
(答)私の直接の所管は、原子力委員会の新大綱の策定ですので、その場で申し上げたことは、まずはコストの問題について、しっかりと厳しく吟味をして出してもらいたいということを申し上げました。
 したがって、個別の議論の方向性を出すよりは、まず全体の考え方を示さないと詰めた議論になりにくいという面があるんですね。そういう意味では、官邸に設置される、どういう名前になるかまだ決まっていませんけれども、その会議と、総合エネ調という、これは資源エネルギー庁に設置されますが、その会議の様子をしっかりと見ながら、場合によっては、私は官邸の会議のメンバーということになるでしょうから、そこでの議論をしながら原子力政策については方針を出していくということだろうと思います。
 あともう一つ、原子力について、原発周辺の問題を含めて議論が少し先行してできるのではないかと思うのはバックエンドの問題ですね。プルサーマル、六ヶ所の再処理と、あとはもんじゅの問題というのは、これは原子力に特化した問題でもありますので、さまざまなエネルギー安全保障の観点なども踏まえて議論は早目にスタートできるのではないかというふうに思います。
 いずれにしても、そういう全体が示されるということが大事だという観点からすると、古川大臣の下でということになると思いますが、官邸のほうでも様々な会議が、エネ環会議ももうやっていますが、エネ環会議から新しい会議をどのように考えていくのかというあたりがどうなるのかというのを待ちたいというふうには思っています。
(問)共同通信の太田です。
 先ほどのちょっと確認なんですけれども、中間貯蔵施設は、規模や扱うもののレベルは違うけれども、やはり福島以外の7都県でも設置は必要だということでしょうか。
 それと、その設置要請の進め方についてもお願いします。
(答)同じ答えになりますが、中間貯蔵施設というのは、一つのあり方として、福島に関して申し上げていることです。
 そのほかの地域では、いわゆる中間貯蔵施設というものとはおよそイメージの違う形での保管になりますので、それはそれぞれに応じての保管方法を考えていただくと。それについて、国としてはいろいろな、それこそどういうやり方がいいのかということについての協議もしていかなければならないというふうには思っています。

(以上)