細野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年9月9日

(平成23年9月9日(金) 9:51~10:12  於:合同庁舎4号館4階408会議室)

1.発言要旨

 今日の閣議では、東日本大震災復旧復興予備費の使用について決定をいたしました。
 除染ですけれども、昨日も福島県に野田総理を含めて我々行ってまいりまして、除染の重要性について改めて認識をしてまいりました。政府としても、緊急に除染を実施するという必要性にかんがみまして、生活圏における除染事業にかかわる経費について、2,179億円について対応するということにいたしました。できるだけ早くこの予算が執行できるようにということで取り組んでまいりましたので、体制と予算という意味では整いましたので、あとは具体的な事業の推進ということで努力をしてまいりたいというふうに考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)共同通信の大倉です。
 昨日の市町村との意見交換の中でも、仮置き場は国有林というような話、やりとりなんかも出ていたようですが、8月26日に土壌処理のロードマップを早急に公表するという話がありましたが、そのロードマップの公表がいつごろになりそうかというめどと、国有林とかも含めた具体的な検討状況で伺えることがあれば教えてください。
(答)まず国有林のほうにつきましては検討に入っております。具体的にどこでどういった形でできるのかという、そういうイメージがあったほうが検討もしやすいものですから、各市町村の中で国有林がどこにあるのか、さらにはそこが仮置き場になり得る場所なのかどうか、そこについてもしっかりとまず現状を踏まえて、それをしっかりと踏まえた上で政府としてできるだけ早く検討してまいりたいと思っております。
 森林の場合には人が住んでいませんので、仮置き場にしやすいという面があるんですけれども、その一方で、ある程度そういう廃棄物、恐らく除染の場合だと土壌ということになるわけですけれども、それを運び込むルートを確保しなければならないわけで、木が生えていますから、木が生えているところにそのまま置くわけに当然いきませんので、その伐採なども必要になってくるということなんです。
 ですから、実際にやるとなるとそういった問題をどのようにクリアするのかということも当然考えなければなりませんので、単なる場所の選定とか、さらには国有林を使うことの検討ということではなくて、実際にどのようにやれるのかということもあわせてパッケージで考えていきたいと思っております。
 ロードマップについてなんですけれども、仮置き場についての基本的な考え方は既に提示をいたしました。現在、中間貯蔵施設の技術的な検討についてはさまざま政府内で検討に入っております。あとはそれをどのようにそれぞれの期間ごとに区切って考えていくのかということと、非常に難しい、悩ましいのは、それをどこに設置をするのかという問題があるわけですけれども、ですから、そういったさまざまな要因を総合的に考えて、どの時点でロードマップという形でお示しをするべきなのか、もう少し時間をいただいて考えてまいりたいと思っております。
 したがって、それこそ、おおよそこういうイメージだという意味では、粗いロードマップはそんなに時間を置かずにお示しはできるかもしれないんですが、そうしたものをお示しをするよりは、もう少ししっかりと検討した上で出したほうがいいという、そういう考え方もあると思いますので、そこは何よりも福島の皆さんの理解が得られなければいけませんので、慎重にも慎重を期してロードマップづくりには当たっていきたいと思っております。
(問)フリーランスの上出です。お世話になっています。
 新しいお米が出て、クリアされているお米が多いようなんですけれども、消費者の方は大変関心が強くて、お米だけじゃないんですが、食品に対して、昨日の朝日新聞に出ていた調査によりますと、茨城大学の調査で、5割以上の人が基準以下であっても買わないといっていると。そして、不検出でも買わないといっている人が首都圏で3割で、関西では4割いるというような調査が出ております。
 ほかにも同じような似たような調査があるんですが、本当の食の安全ということを考えた場合、やはり納得して買う、ある程度応援のために量は関係なしに買うという方もいるわけですから、それをちゃんと買わないという人にも納得してもらえるためには、やはりきちんと計測できるようなシステムをつくる。例えばいろいろな売り場でヨーロッパなんか置いているところがあります、チェルノブイリの後。自分でもはかれるようになっているところもあったりして、60万円ぐらいの機械だと余り誤差率が多くない、10%以下という情報もあるんですけれども、例えばそれで100万台買ったら大体6,000億円なんですけれども、そういうことも含めて、きめ細かく消費者の安全、これが逆にパニックを引き起こすという説もあるのかもしれませんけれども、そういうきめ細かい対応というのをそろそろきちんととったほうが国民に安心してもらえるんじゃないかと。こういう数字も踏まえて、どういうようなやり方がいいのか、御見解を教えてください。
(答)昨日も被災地に行ってまいりまして、やはり一番気になるのは米ですね。そろそろ収穫期に入ってきますから、米は規制値を超えるものを出回らせないようにする、これは非常に重要だと思います。
 2段階でやることにしておりますので、これまで以上に米についてはしっかりとした体制ができているというふうに思うんですが、そこは再確認をしっかりしてまいりたいと思っております。あとは、できるだけ幅広く可能性があるものについては徹底的にはかっていくということに私は尽きると思っています。
 ですから、抜けがないかどうか、消費者担当大臣をやっていたときには、農水省、厚労省のほうに抜けがないようにしっかり調べるように強く何度も要請をしておりました。私も実際にリストを見て、私なりの意見を申し上げてまいりました。
 今度は消費者担当大臣は私外れておりますけれども、放射性物質の汚染対策室の担当大臣というのは、これは内閣官房のほうで継続しておりますので、その観点からもう一度しっかりとチェックするように、既に今週担当者に指示をしているところでございます。
 今おっしゃった消費者段階ではかるということは早い時期に検討したんですけれども、表面線量ははかれるんですけれども、中でどういう、それこそ例えば何ベクレルなのかというようなことをはかるのは、例えばサーベイメーターみたいなものでははかれないんですね。そういうきっちりはかれるものというのは、これは実はそんなに簡単にあるものではないんです。ですから、それこそ市場で線量調査をするとか、消費者が店頭で調査するとか、いろいろ多種な御意見があるのは承知しているんですが、それは現実的にはなかなか難しいんです。
 そこで、もう一つの考え方として、できるだけ消費者に近いところで、それこそあちこちではかれたほうがいいだろうというふうには私も考えましたので、消費者庁のほうの予算を使って、自治体がそういう検査機器を借りられたり、購入できたりする枠組みは導入いたしました。幾つかの自治体でそういう手が挙がってきていて、具体的なそういう作業にも入っているというふうに承知をしています。
 ですから、国が調べるだけではなくて、自治体という住民に近いところでいろいろな検査をしていただくことで安全を確保する、また安心をしっかりと取り戻していくということは非常に重要だというふうに考えています。
(問)さらにそれを拡大していくという新しい考え方は。
(答)ですから、それをしっかり拡大して、それぞれの地域でできるだけはかれるようにするというのは重要だと思っています。
(問)朝日新聞の関根です。
 2点ありまして、今日閣議決定された除染の内容、内訳というのがもしあれば、後でも、事務方でも結構なんですけれども、教えていただきたいということ。
 それからもう一点、中間貯蔵施設についてですけれども、一昨日、福島県議会の全員協議会のほうで、東電のほうで責任を持って処理してほしいというような意見が出たというふうに聞いているんですけれども、そういった意見が出てくることについてはどういうふうに思われますでしょうか。お願いいたします。
(答)まず内訳なんですけれども、実は、どこまでお示しできるかどうか、内々検討した経緯はあるんですけれども、そこはちょっと調整した上で、お示しできる範囲で内訳についてはお示ししたいと思います。ちょっと待ってください。
 中間貯蔵施設なんですけれども、東京電力の福島第一原発の中に非常に放射能のレベルの高いがれきが存在していることは事実ですから、それは簡単に持ち出すことができませんので、発電所の中でどうそれを当面扱っていくのかということは考えていかなければなりません。
 あと、それを、今、福島県議会のところで出てきたのは、中に外から持ってくるという、そういう話なのかもしれませんけれども、それが物理的にどこまで可能なのか、どういう形が可能なのかということについては、そこは私は余り安直に言わないほうが、むしろ中でも相当なものがありますから、その処理が当面ある中で、外からどこまで持っていけるのかということについては慎重に考えなければならないと思っているんです。
 これは東京電力を私がかばっているということではなくて、発電所自体を長い目でしっかり収束していく上で、そこの部分でのしっかりとしたスペースを確保しなければならないという意味で申し上げています。
 さらには、東京電力の敷地ではもちろんありますけれども、当然所在する町があるわけですね。具体的には大熊町であるとか双葉町ということになるわけですが、そこの町の意向も当然しっかりと踏まえなければなりませんので、いろいろな意見があることは承知していますけれども、東京電力の福島第一原発にすぐにこれをどうするということについても、それほど簡単ではないし、それこそ政府が簡単に方針を打ち出せるような状況ではないというふうに考えております。
(問)NHKの相澤です。
 昨日、総理が福島第一原発に行かれましたけれども、もしわかれば総理の被ばく線量はどのくらいだったのかということと、あと、大臣がぶら下がりで2カ月前に比べて作業環境がよくなったとおっしゃっていましたけれども、具体的にどんなところがよくなったとお感じになったか教えてください。
(答)総理の最終的な被ばく線量は私、すみません、ちょっと手元にないんですけれども、私の数字は大体把握しておりまして、80マイクロシーベルトぐらい、ちょっとそれを上回っていたかもしれません。それぐらいです。
 できるだけ私もたびたびは行かないようにはしているんですけれども、それでもどうしても昨日のように担当大臣として入らなければならないことがあって、3回入っています。過去と比較すると、この80マイクロという数字は決して高くない数字だと思います。ですから、現場も少しずつ下がってきているということもあるでしょうし、特に総理ですから、それは被ばく線量は低いにこしたことはありませんので、そういう意味で慎重な対応も現地でされたものというふうに考えております。
 あと、状況がどうよくなったかですね。状況がよくなったということですが、スペースが、徐々にではありますけれども、広くなっていますので、端的に言うと人口密度が低くなるんですよね。私が初めに行ったのが5月でしたけれども、そのときは本当に密集していまして、密集していると、当然衛生的にもいろいろな問題が生じかねませんし、精神的にも非常に圧迫感がありますので、非常に厳しい環境だったわけですね。そこからだんだんスペースが広くなりましたので、そういった意味でよくなったということ。
 さらには、医療環境が格段によくなってきましたし、非常に厳しい、7月、8月というのは私、実は一番心配していたのは熱中症で、重篤な人が出たら、現場の皆さんの気持ちを考えると相当深刻なことになりかねないので、そのことを一番心配していたんですが、それを乗り越えることができました。
 したがいまして、トータルに言って、現場の皆さんの、例えば表情であるとか、いろいろな醸し出してくる雰囲気であるとか、そういったものも含めて格段に職場環境としてはよくなったというふうに感じました。そのことを申し上げました。
 ただ、これも誤解なきように申し上げますが、全面マスクで外でそれこそ長時間にわたって作業するというのは、作業としては並大抵の苦労ではありません。ですから、重要免震棟というのは、中に入って、それはいろいろな意味でまた大切な仕事をしているわけですけれども、現場の作業そのものに私どもが直接立ち会っているわけではありませんので、それはバスから見ているだけですから、そこは我々がうかがい知れないぐらい厳しい環境があるということは忘れてはならないというふうに思います。ですから、そこを全面的にサポートするのが政府の役割だというふうに考えております。
(問)読売新聞の清永です。
 確認ですけれども、最初に出た仮置き場の話で、国有林を検討されているということなんですけれども、決定までのプロセスのことでお伺いしたいんですけれども、当該の市町村と、国有林ということで国が一義的には管理をしていると思うんですが、その辺の話し合いとか、どういうステップで最終的に合意に結びつけるのか、当該市町村との検討状況、協議状況を教えていただければと思います。
(答)前例のある施設ではありませんので、プロセスがすべて決まっているわけではありません。ただ、絶対に守らなければならないのは、市町村の意向は最優先にするということですね。ですから、国有林とはいえ、市町村の了解なく勝手にそこに仮置き場をつくるということは絶対にいたしません。
 ですから、まずはそれぞれの市町村で仮置き場についての考え方を聞いて、国有林というのを希望される市町村があれば、それに国が最大限対応するということです。設置に向けての、例えば近隣の皆さんへの説明会であるとか、予算であるとか、技術的な検討であるとか、そういったことについては国が責任を持って対応してまいります。
(問)もう一点、今の現時点で市町村側から国有林を希望しているというような声はあるんでしょうか。
(答)昨日の市町村長さんとの話し合いの中で国有林のことが出てまいりました。その中で、具体的にどこの市町村でどういった地域を希望されるのか、それが国有林としてそれこそ確認できるのかどうかということについては、まだ具体化しているということではありません。
(問)日経新聞の藤田と申します。
 原発の新規建設についてお尋ねしたいんですが、総理が就任の記者会見で新規に原発をつくるのは難しいとおっしゃいました。その後、官房長官が、新規の定義といいますか、新たに土地を取得するようなことだという説明をされて、今まさに建設中の原発、できかかっているものというのはあると思いますが、その辺のどういった原発を対象にするかとか、閣僚間で意見交換をするようなことというのはあるんでしょうか。
(答)なかなか難しい問題ですよね。まだ閣僚間でのそういう話し合いの機会というのは持っておりません。そこは今の政府の体制としては、経済産業大臣が所掌するところですので、まだ閣僚間での協議が行われていない中で、私が何かこれについて意見を言うということになると、いろいろ支障を来す可能性もありますので、今日は私のほうからのコメントは差し控えたいと思います。

(以上)