細野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年9月2日

(平成23年9月2日(金) 19:45~20:16  於:環境省22階第1会議室)

1.発言要旨

 本日、原発担当そして環境大臣を拝命をいたしました細野豪志でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 野田総理の方から、こうした役割を拝命するに当たりまして、日本の最大の課題である原発事故への対応、これを最優先するようにという、そういう指示を受けております。先ほどの総理会見の中でも、野田総理自身が、そのことを強調されていたというふうに思います。従いまして、環境大臣としての役割も含めて、最優先課題がそこにあることを明確に意識をしながら、これからの仕事に当たっていきたいというふうに思っております。これまでも6ヶ月、私は原発事故への対応に終始をしてまいりましたけれども、引き続いて、とにかく自分の、自らの気力を常に奮い起こして、この問題に全身全霊を込めて対応してまいりたいと思っております。環境大臣としての役割も含めて、まずこの点について3点、これから私自身が担わなければならないと思っております役割について申し上げます。
 まず第1点は、何といっても事故の収束でございます。既に事故への対応については第2ステップに入っておりますが、依然、冷温停止に向けては、いくつかのハードルを越えなければ達成することができないという状況になっております。従いまして、この問題については、省庁を越えて、政府を挙げて対応できるように、私自身がその陣頭に立ってまいりたいと思っております。これまでは特に、この問題については、海江田大臣が大変大きな役割を果たしてこられたわけでありますけれども、今回、そこも含めて私がしっかりとした役割を果たさなければならないという自覚を持ってやってまいります。また併せて、この事故の問題に関しては、賠償の問題がございます。私が機構の問題を引き続いて担当いたしますので、速やかな、そして被災者の皆さんに立ち直っていただけるような、そういう賠償の実現に向けても併せて努力をしていきたいと思っております。
 二つ目の大きな役割として、放射性物質の汚染防止、拡散防止という、こういう役割を果たさなければなりません。既に対策室を設置をしておりますけれども、そこでは多くの課題を扱うことになります。環境大臣として、しっかりと取り組んでいかなければならない除染の問題、放射性廃棄物の問題、これは、より私は直接的にやることになりますので、役所としても、更には政府としても総力を結集して取り組んでまいりたいと思っております。併せて、例えば農作物の問題であるとか、更には放射性の物質が存在をすることによって健康被害がでないのかどうか、この問題も、国民からすると非常に深刻な、今、懸念をもたらしている問題でございますから、そこは併せてしっかりとやっていきたいと思っております。これが2点目でございます。
 そして3点目といたしまして、原子力安全庁の設置。そのことに力をしっかりと入れていきたいと考えております。言うまでもありませんが、日本の原子力行政の信頼は、今、地に落ちておりますので、この原子力安全庁の設置におきましては、しっかりと安全規制そのものを高めていかなければならないという、こういう役割もございます。従いまして、組織法そのものを変えること、それと併せて、原子力の規制そのものを強化をしていくという非常に膨大な作業をこれからやっていかなければなりません。この準備室につきましては、これは内閣官房の中にできてはおりますけれども、室長は環境省から行っております。そして来年の4月からは、この環境省に原子力安全庁が設置をされることになりますので、環境大臣としても事故担当大臣としても、二重の意味で大きな役割がありますから、この所期の目的をしっかりと達成してまいりたいと思っております。また環境大臣としての役割も、この原発事故、更には災害対応ということで、非常に重要なものがあると思っております。特に、被災地の再建・復興に当たりましては、非常にこの地域で潜在能力のあります再生可能エネルギーの集中的導入、これを環境省として進めていかなければならないと思っております。また、三陸復興国立公園の創設など、地域の特性をいかした復興の在り方があると考えておりまして、環境大臣として、そういう被災地の将来の在り方についてもしっかりと関与する形で地域の復興に貢献をしていきたいと考えております。また併せて、環境省が従来から取り組んできた様々な重要なテーマがありますから、そうしたテーマについては、政務三役、3人おりますので、全員で協力をしながら推進をしてまいりたいと思っております。特に地球温暖化の問題や生物多様性の問題など、21世紀の国際的な大変な脅威であり、それを乗り越えることが我が国の国際的な責任でもある、こういう分野がございますので、そこは環境大臣として、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。またそのことが、現在厳しい状況に置かれております日本の経済の復興にも、必ず私はプラスに寄与するというふうに思っております。
 最後に、環境省について一言申し上げたいと思います。先ほど幹部の皆さんとも話をしてまいりました中でも申し上げましたが、環境省というのは、非常に高い理想を掲げ、そして非常に優秀な職員が集まっているという意味で、私は素晴らしい省庁だと、環境省というのはそういう役所だということを感じております。しかしその一方で、原子力安全庁を環境省にもってくるという、私が試案を提示をした中で、環境省に危機管理ができるのだろうか、更には、環境省というのは非常に穏やかだけれども、一方でそういう原子力のようなものを扱えるのだろうか、そういう意見があちらこちらから私の耳に入ってまいりました。私は、そこは十分環境省が担いうるというふうに考えておりますし、また仮にそういう評価が一部にあるのであれば、それを払拭する強さを、是非環境省に持ってもらいたいと思っております。具体的に申し上げるのならば、放射性物質の取扱い、原子力安全に関する責任省庁としての役割、その中で危機管理も担っていかなければならない、そのためには、これまでの優しい環境省から、強くて優しい環境省へ変えていく、そして私自身がその先頭に立って、この環境省自体の将来を切り開いていく、そういう覚悟で環境大臣としての仕事をしてまいりたいと思っております。まだまだ環境省が抱えている課題はたくさんございますので、今日はそのすべてを皆さんに御説明をする時間はありませんし、私自身もしっかりと環境官僚の皆さんと協力をしながら取り組んでいかなければならないと思っておりますが、今日、大臣を受けるに当たりましての所信としては、以上私の思いということで申し上げました。
 あとは皆さんからの御質問にお答えしたいというふうに思います。

2.質疑応答

(問)ニコニコ動画の七尾です。引き続きよろしくお願いします。2点ございまして、27日、福島県知事にお伝えした件で二つございます。
 まずは中間貯蔵施設について、整備計画等はいつごろ明らかにされるのか、具体的には、どこに施設をつくるかなどでございます。
 2点目は、除染を講じてもなお長期間にわたり、住民の帰還・居住が困難となる具体的な区域というのは、いつごろ明かにされるおつもりでしょうか。
(答)まず第1点目の中間貯蔵施設でありますけれども、この在り方については、二つの側面を是非ちょっと区別をして考えていただければ幸いです。
 まず一つは、中間貯蔵施設の在り方です。どういう施設にしていくべきなのか、技術的な検討。これは既に原子力委員会の方で精力的に行っておりまして、いくつかの方法について、それほど遅くない時期に、具体的に国民の皆さんにお示しをできると考えております。一方で、どこに置くのかというこの問題、これは全く別の側面がありますので簡単に結論が出るものではありませんし、何よりも、地元の自治体の皆さん、住民の皆さんの理解がなければ全く前に進めることができません。従いまして、そこには慎重にも慎重を期した判断が求められると思っております。これから、福島県はもちろんですけれども、それぞれの市町村の皆様とも様々な対話を積み重ねてまいりますし、復旧や復興の在り方についても、国として、しっかりと寄り添って対応していきたいと思っておりまして、その中で、理解が得られるということであれば、皆さんにそれを御説明するという、そういう対応をしていきたいと思っております。
 一方で除染でございますけれども、既にいくつかの市町村ではモデル事業が始まっております。もう9月に入っておりますので、できましたら、特に、浜通りで、今、避難区域に設定をされているような市町村については、すべての市町村で、できるだけ早い段階でモデル事業の実施に入りたいと思っております。9月中には、少なくとも、それぞれの市町村におけるモデル事業の実施地域を特定をするところまではもっていくことができるのではないかと考えております。そして、モデル事業がある程度実施ができれば、それをどのような形で面的に展開できるのか、どの方法がそれぞれの地域で適しているのか、そのことも見えてまいりますので、それが見えてきた段階で、おおよその除染のめどのようなものが国民の皆さんにお示しできるのではないかと考えております。
(問)日本テレビの福井と申します。2点あります。まず、特措法で、一部の放射性物質を含むがれきの処理について、国が責任を持つというふうに決まったかと思うのですけれども、それまで、災害によるがれきは広域処理が基本というふうにされてきたかと思います。放射性物質を含むがれきについても同じ考え方を適用するのかどうかということと、含まないものに関しても、既に、受け入れを拒否されるようなケースが見えてきているかと思うので、その対応をどうされるのかということです。
 もう1点は、これまで、安全庁のことであるとか除染で、道筋までは絶対につけたいということで、この一区切りを迎えられたかと思うのですけれども、これからは青写真を描いた部分を具現化していくという作業に当たられるに当たって、これまで見えていなかったような何か課題や取組方を考えていらっしゃるか。
(答)まず、一つ目の廃棄物なのですけれども、今回の特措法においては、廃棄物をどこで処理するのかということについて、明確にそこで示されているものではないわけです。従いましてそこは、実際に放射性廃棄物というこの現実を直視をして対応していかざるを得ないというふうに思っています。何が申し上げたいかというと、廃棄物の場合には広域処理が望ましいというのは、一つの考え方としてはあるのですけれども、こと放射性廃棄物に関しては、市町村をまたいで移動して、ある特定の地域で、例えば、処理をしていくということは非常に難しいという、こういう問題があるのです。ですからまずは、それぞれの市町村で廃棄物処理についてはまず取り組んでいくというのが、当面、我々がとるべき方法ではないかと思っています。残念ながら、まだ十分、廃棄物の処理について、それぞれ市町村で理解が得られていないところがあって進んでおりませんので、それは政府の責任として、しっかりと我々も反省をしていかなければならないと思っているのですが、それぞれの市町村で廃棄物の処理がしっかりと進むようなサポートを、特に、環境省は責任省庁としてやっていかなければならないと思っています。
 2点目の安全庁なのですけれども、この問題に限らないのですが、菅政権の下で、特に大臣を受けました時に、もうこれは短距離走なので、その場その場で全力疾走するしかないなというふうに感じておりました。特に最後の1か月は、ほぼ8月末ごろに一つの区切りを迎えるであろうということも見えてまいりましたので、そこまでに少なくとも道筋をつけなければならないということで、必死に走ってきたということでありました。もちろんこれからもスピード感は非常に重要ですので、やるべきことを、しっかりと自分なりに目標を設けてやっていきたいと思っているのですが、一方で、少し長い目でいろいろなものを見れる立場にはなったのではないかと思っているのですね。従って、例えば原子力安全庁でいうならば、来年の4月に目指すわけですから、それまでの時間的な、余裕というほどではないですけれども、1か月だったことを思えば若干時間があるわけです。その中で、より高いレベルの安全基準をつくる方法が何なのか。中身はどうあるべきなのか。そこは長期的な視野に立って、私自身が関与していくことができれば望ましいのではないかと思っています。
 こういった考え方は、決して安全庁の問題だけではなくて、事故の収束や賠償の問題、廃棄物の問題、すべてについて言えることです。ですから、少し視野を広げ、そして先を見ながら、今、正に何をなすべきかということを考えていきたいと思っております。
(問)テレビ東京の平井です。よろしくお願いします。冒頭の発言の中で、厳しい状況にある経済の復興にも、環境省の施策がプラスになってくるということについて、少し掘り下げてお伺いしたいのですけれども、野田新総理も経済の立て直しを非常に強調されてます。成長戦略についてお伺いしたいのですが、日本の成長のために、大臣の所管の中で、具体的に何をやるべきか、何ができるとお考えでしょうか。また2点目としまして、大臣がそういった施策を打つときに、財源としてはどういったことをお考えになっているか、お聞かせ下さい。
(答)まず、当面の課題として言えることは、成長の前提としては、エネルギーの安定供給というのがあるわけですね。そういったことを考えると、再生可能エネルギーをできるだけ早い段階で、しっかりと育てていくというのは、環境省がやらなければならない非常に重要な課題の一つだというふうに思います。特に環境省の場合には、地域に根ざしたいろいろなエネルギー源をこれまで支援をしてきたということがありますので、それは真っ先にやれることではないかというふうに思いますね。また、私が申し上げた、例えば地球温暖化の問題や、生物多様性の問題も含めて、環境省のやることが経済の再生になるという思いは持っております。これまでも環境規制というのは、ともすれば経済成長を妨げるということが言われてきたわけですが、その中で歴史的な一つの伝統として、環境省が、やはり、しっかりと規制をすべきだと、公害とも戦ってきたし、様々な環境規制についても導入を目指してきたという面があるわけですね。日本の経済、産業は、これまでそういう規制が出てくるたびに、それを乗り越えて成長してきました。ですから、そこは、環境省がそういう役割を果たすことによって、日本の経済の成長そのものが、より国内だけではなくて、グローバルに、より認められる存在になり得るというふうに思っておりますので、そのことを先ほどの冒頭の発言では申し上げたつもりでございます。また、最後に被災地に関して言うと、特に福島県を含めた被災3県、非常に潜在的には再生可能エネルギーのポテンシャルは高いですし、また、国立公園としても非常に素晴らしい魅力をもった地域でありますから、そこは地域の良さを引き出していく、その引き出した良さによって経済が良くなるというサポートは環境省としてできるのではないかというふうに思っています。
(問)毎日新聞の江口と申します。原発がこのような状況になって、地球温暖化対策という意味では、原発に頼れない状況だと思うのですけれども、一方で民主党は温室効果ガスの25%削減というのを掲げていますが、今年の末にはCOP17で大変厳しい交渉も予想されるのですが、今後、温暖化交渉という意味では細野大臣はどのように望まれていくのか、お考えをお聞かせください。
(答)まず、2020年に25%削減という非常に高い目標を鳩山政権の時に掲げました。私はこの目標は、依然としてしっかりと掲げて、その目標達成に向けてなにができるのかというのを考えていくべきだと思っております。その一方で、原発の問題は安全にも最大限配慮するというのが取るべき姿勢ですので、総理もおっしゃっているとおり、本当にそれが安全確保できれば、再稼働は、私はでき得ると思っていますが、そのときも、それこそ、まかり間違っても安全を犠牲にすることがあってはならないと。その姿勢で臨む必要があるというふうに思っております。あとは、残念ながら、まだ成立をしておりません、温暖化対策基本法案、これについては、やはり国際的にも日本がそういう姿勢でいるんだということを示すうえで、非常に重要な法案ですので、自民党案、公明党案、それぞれをしっかり見ながら、政府としてはベストな案を出しているつもりではありますけれども、様々な国会の議論を通じて、そういった点があるのであれば、そこは柔軟に受け入れる姿勢で望んでいく必要があるのではないかというふうに思っています。
(問)日経新聞の平野と申します。原発再稼働に関連してなのですけれども、電力不足もあり、来春に環境省に原子力安全庁が移ってからでは遅いという趣旨のことを、先ほど就任会見で野田総理もおっしゃっていたのですけれども、一方で、今の経産省の保安院への不信感というのも根強いと思うのですね。総理は担当大臣と議論して決めるとおっしゃっていたのですけれども、細野大臣は、この移行期にストレステストをどう判断され、再稼働させていくお考えでしょうか。
(答)ストレステストというのは、これまで我が国では積極的には採用されてきませんでしたので、それを導入をしてること自体が、これまでの安全基準で単に済ますのではなくて、実際に国民の懸念にどう答えるのかというチャレンジとして前向きなものであると私は思っています。この問題、菅政権の下では、菅総理と海江田大臣、枝野官房長官と私で、判断をしてまいりましたので、そうやって顔ぶれを思い浮かべると残っているのは私だけということでございまして、その経緯も含めて非常に責任は重いなということを感じております。そこで私が今考えておりますのは、ストレステストは、方法は一応決めておりますし、各社がそのテストに入っておりますから、そこはしっかりとやりきった上で、保安院が判断をするという、この枠組みを維持をすべきだというふうに思っています。ただ、その一方で、保安院の判断だけではなかなか安心ができないという国民世論があるのも紛れもない事実でありますから、例えば私の下で第三者的な意見を言っていただけるような、そういう専門家の皆さんから、私がしっかりといろいろな声を聞くであるとか、また、9月にはIAEAの総会がありますが、天野事務局長はストレステストの在り方について強い関心を持っておられる。前向きな意味での関心も持っておられて、IAEAとしても取組をすることも視野に入れておられます。ですから、IAEAの皆さんの意見もお聞かせをいただくというようなことは、私は考えてもいいのではないかと思っております。ここは、野田総理の意向というのも、当然、しっかりと私の方で承った上でやらなければなりませんので、できるだけ早い段階で、総理としっかりと議論した上で、どういう方法が良いのかということについて方向性を出していきたいと思っております。
(問)フリーランス記者の上出と申します。今の原発の再稼働の件ですが、一般の国民の意識としては、ちょっと民主党の今の新しい政権の意思とは、ずれているのではないか。やはり国民が願っているのは、なるべくなら原発は段々やめていって、ドイツやイタリアで示したように、特に日本は地震の多い国ですから、こういう方向をというのをはっきりと示してほしいなという国民が多いと思います。今の、再稼働についてはある程度容認せざるをえないという細野大臣の言葉は、ちょっとその辺とは違うのではないかと。明確に、原発ゼロを目指していくのかそうではないのかということをきちんと説明していただきたいなと思います。
(答)原発に対する依存度をより下げていくというのは、これは菅政権の方針でもありましたけれども、野田政権においても基本的には方向性は変わらないというふうに思います。そしてその具体的な議論は、既に始まっております原子力政策大綱の議論の中でも当然行われることになりますし、更には、経産省の中ではエネルギー基本計画をつくりますから、そこでもしっかりと総合エネルギー調査会で議論していくということになります。そしてそれと並行して、いわゆるエネ環会議ですね、官邸で行われています。これについても、どのようにこれからしていくのかということはしっかりと総理と相談をして、更には、古川大臣が国家戦略担当大臣になられていますので、相談をしながら考えていかなければなりません。それらのいくつかの場所で、原発に対する依存度をどうするのか、どういう、それこそエネルギーのベストミックスを考えていくのかという議論はするわけです。その中で、原発に対する依存度をどの程度までどの時期に下げていくのかという議論が行われるというふうに思います。
 一方で、当面の再稼働の問題とは、それとはやはり一定の区分けをして、切り分けをした上で議論しなければいけないと思うのですよ。と言いますのは、再稼働をしないということになると、来年の4月にゼロになりますから。ですからそこは、何年くらいでどうするのかというのは、エネルギー政策全般の議論とはまた別に、再稼働の問題というのは検討すべきものだと思っています。誤解なきように申し上げますが、私は、これまでの原子力行政の在り方については、非常に強い懸念を、特に3.11以降は、強い懸念ということでは言葉がもしかしたらソフト過ぎるかもしれません。まあ、強い危機感を持っています。ですからそんな簡単に唯唯諾諾と、これまでの方針どおり原発をどんどん動かそうという気はありません。私は、そこはしっかりブレーキ役を果たします。そういうブレーキ役は果たしながらも、それでもこれならば安全だというコンセンサスが取れた段階では、それは必要なものについては再稼働を認めていくという、ここは長期的なエネルギーの問題とは若干離れたところで判断をしていかなければならないところがあるということを、是非御理解をいただきたいと思います。
(問)朝日新聞の関根です。今回の組閣の印象について伺いたいのですけれども。2点、二つの意味から。
 まず1点目が、挙党態勢というのかですね、人事のバランスについてどうお感じになっているか。2点目が、初入閣、若くてフレッシュな方が多いという事で、政治主導というものが、果たして官僚をどう使いこなしながら、可能であるのかどうかという点について、大臣の見解をお願いします。
(答)まず挙党態勢ですが、恐らく多くの党内の声を聞けば、野田総理の判断というのは、非常に妥当なものであるというのは分かっていただけるのではないかと思います。もちろん人事権は総理ですから、私が個別に、この人事が良かったとか悪かったとか言うつもりは全く無いのですけれども、やはり全員が協力して何かをやっていこうという雰囲気を作れるかどうかというのが、これが挙党態勢の意味なわけですよね。そういった意味では、野田総理は非常に良い雰囲気を、政府の中はもちろんですけれども、民主党内でも、国民に対しても、もたらしていただいたのではないかというふうに思います。ですから、決して派手なスタートではないかもしれないけれども、静かに良いスタートを切ったのではないかというのが私の率直な印象です。
 一方で、政治主導なのですけれども、私は、これからの野田政権としての政治主導の在り方を、しっかりとした形で確立できるのではないかと思っています。ともすれば政治主導というのは、官僚と対立することというふうに見られがちですが、私はそれは必ずしも正しい姿ではないと思っています。私は補佐官になってからまだ半年ちょっとと限られていますけれども、この間随分、官僚の皆さんと激しい議論をしてきたし、考え方が異なって、私自身がそうした皆さんの考え方を抑えて判断したことは何回もありました。ただ一方で、何一つとして、官僚の皆さんを動かさずに政策を進めることはできないのですよね。例えば補佐官や大臣がどこかへ行って、全部政策を決定をした上で実行するなんてことはできませんから。ですからそこは、そういう官僚の皆さんと協力できる体制というのは作っておかないと行政というのは動きません。しかもこういう危機管理、災害対応などというのは、本当にそこが非常に重要であるということを痛感してまいりました。ですから重要な判断について、政治家は責任を持ってするべきところはすると、それについて、それこそ流されるようなことがあってはならないので、そういう意味で、政治主導は私ももちろん心がけますし、野田政権としてやっていくことになると思います。ただ、国民の皆さんは結果を求めていますから。特に災害対応、原発対応については、結果を出さないと、我々大臣をやっている意味が全くありませんから。そういった意味で、官僚の皆さんとしっかり連携をするところは連携をして、そして、そういう皆さんに、是非いきいきと、力を最大限にいかして頑張ってもらえるような環境を整えることが、私も合わせて本当の意味での政治主導を確立することにつながると、そう考えています。

(以上)