細野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年8月2日

(平成23年8月2日(火) 8:50~9:06  於:第4合同庁舎6階605会見室)

1.発言要旨

 皆様、おはようございます。
 今日の閣議の中では、障害者基本法の一部を改正する法律の公布、施行についての決定が行われました。8月5日に公布、施行ということになりました。この法律は、参議院での質疑の中でも私のほうから皆さんに御説明を申し上げましたけれども、障害者権利条約の締結に向けた制度改正の一環として、4月22日に政府案を国会に提出をしたものであります。衆議院段階で大変活発な議論が行われ、そして各会派の意見も取り入れる形で大幅な修正が行われ、その後、衆議院、参議院とも全会一致で可決をされたというものでございます。そういった意味では、行政府が出した法律でありますけれども、国会の中で様々な意見を取り入れたという形で、非常にいい形で成立にこぎ着けたものと考えております。
 この度の法改正なんですけれども、障害者制度改革に大きな一歩を踏み出すものでありまして、これからこの基本法に基づいて、様々な政策の着実な実施に努めてまいりたいと思っております。
 閣議の中で私に関するものは以上でございます。御質問があればお答えします。

2.質疑応答

(問)朝日新聞の石塚といいます。
 昨日、福島第一原発から毎時10シーベルトを超える放射線量が検出されました。この件について、まず大臣にいつ報告が上がったかというのと、あと復旧作業への影響について考えがあればお願いします。
(答)夕方ですね。報道のちょっと前に報告がありました。ただ、ちょっと私も直接聞いたわけではなかったものですから、詳細は今日しっかり確認をしたいということで、昨日はそれにとどまりました。
 10シーベルトという、この濃度は、これまで我々が目にしてきた濃度とはかなり違う、レベルの大変濃いものですから、どういったことが考え得るのか、まだちょっと事実は、かなり関係者と昨日電話で話しましたが、よく分からないと。ベントによるものではないかとか、そういったことが言われておるようでありますけれども、要するに、炉の中がどういう状態になっていて、それがどういった形でああいう数値として外に出ているのかというところまでは解明できておりません。ですので、そこは今日の段階で、想定をし得ることはどういったことなのかということについては確認をしなきゃならんと思っております。
 作業への影響なんですけれども、今やっておりますのは安定的な冷却をしっかりと確保することであったりとか、あとは、例えば1号機の上のシートを張るとか、そういったことをやっておりまして、その作業自体に何か支障があるということではないと思います。私も2度、発電所を訪れておりますが、あの場所というのは、別に人が入って作業するという場所ではありませんので、恐らく当面の作業に支障が出てくるということではないと思います。ただ、原発自体がどういう状況になっているのかということ自体は、長期的な問題を解決する上では大変大きなことですので、どういったことになっているのかということについては、できるだけ正確に見据えていく必要があるかなと。その状況次第によっては中長期的に様々な対応をしなければならないことは有り得るというふうに考えております。
(問)共同通信の大倉といいます。
 昨日大臣は、警戒区域の除染作業について、9月から大規模に始めるという発言をされていると思うんですけれども、どういった方法で、どういった地域からやっていくかとか、あるいはいつぐらいまでにどの範囲をやるかとか、少し具体的なところで伺えるところがあれば教えていただきたいと思います。
(答)そういった除染のやり方について、今検討をしておりまして、もちろん、それは地元の自治体の皆さんともしっかり協議をしていかなければなりませんので、9月の頭ぐらいまでにおおよその考え方を整理をしていって、スタートできるようにしたいと思っております。ですので、いろいろ実は中では検討しているんですけれども、今の時点でちょっと私からあまり、実現可能性も含めてどういった方法があるのかということについて申し上げないほうがいいと思いますので、確実に皆さんにお示しをできる段階になったときにお知らせしたいと思います。
(問)日本テレビの福井と申します。
 近々、原子力に関する規制組織について試案を発表されるかと思いますが、その近々発表されるものの位置付けとしては、政府案ということではなく、大臣試案という位置付けでいいのかどうか、もう一度確認と、すると、政府案というものは、国会に法案を提出する際に初めてそれが政府案ということになるのでしょうか。そして、試案を発表するまでの過程で、例えば会議での報告、発表の内容について何らかの会議で報告しないといけないとか、総理の承認を得ないといけないとか、そういった手続上の何か必要なものがあるのでしょうか。
(答)まず試案ですけれども、試案というのは試し案ですね。これについては担当大臣としての案だということで御理解ください。
 通常、こういう行政の組織の在り方を大きく変える場合には、例えば様々な審議会的なものをつくって、そこで議論するとか、1年、2年、いろいろな調整をした上で出すというのが通例のやり方です。ただ、今回のような大きな事故が生じて、それに対する対応をするという意味では、通常のペースでやるということでは国民の理解も、それから国際的な信頼回復も得られないだろうと思っておりまして、そこでいろいろ皆さんから、多分これからも意見が出てくると思うんですけれども、大臣として試案をできるだけ早い段階でお示しをしたいと思っております。
 ただ、試案といっても、もちろん、様々な関係者の皆さんに一定の説明をする必要はありますので、それを鋭意行っていきたいと思っております。
(問)朝日新聞の山田です。
 報道で、和牛商法で知られる「安愚楽牧場」が経営危機に陥っているということが出ていますが、オーナーが全国に3万人いるということですけれども、消費者庁として何か対応を考えていれば教えてください。あと、牧場側は東電への賠償請求も考えたいというふうに話しているという報道がありますが、それについての大臣の受け止めを教えてください。
(答)「安愚楽牧場」が経営危機に陥っているという報道は、昨日私も承知しておりまして、消費者庁として何がやれるのかということについても、これはかなりの投資をされている方もいらっしゃるようですので、考えなきゃならんと思っています。まだどういった状況が想定をされるのかということについて十分な情報がありませんが、消費者庁の大きな仕事は、消費者に対する適切な必要な情報がしっかり提供されるというところをまずしっかりと確保するというのが最大の仕事ということになりますので、それをしっかり実現できるように、私としても消費者庁長官と努めてまいりたいと思います。
 賠償の問題は、もちろん「安愚楽牧場」の場所からいっても、また牛に関するこういった問題ということからいっても、賠償支給の対象スキームに乗っかってくる可能性は十分あるというふうに思います。あとは個別の問題ですので、審査会の考え方であるとか、そことの因果関係であるとか、それは専門家でしっかりと確認してもらった上で、そういうスキームに乗っかってくるようであれば、できるだけ早い賠償が行われるように望みたいなと思います。
(問)ブルームバーグニュース、小笹といいます。
 先程ちょっと試案の、まだ話せないと思いますけれども、イメージとして独立性を担保するという、もう一回そのポイントを確認させていただきたいのと、時期的な目安があればお願いいたします。
(答)ポイントとしては幾つか考えているんですけれども、主なものとしては、まずは利用と規制の独立の問題。これはもう絶対の条件だろうというふうに思っています。
 二つ目に私が認識しておりますのは、規制のこれまで業務に関わってきた皆さん、さらには原子力の安全の問題に様々関わってきた、そういう専門家、その力を結集しなければならないんではないかと思っています。ともすれば、これだけ原発に対する国民の厳しい目がありますから、これから専門家、人材が集まりにくくなる可能性があるわけですね。そういうことは当面の東京電力の原発の廃炉の問題、さらには当面の稼働する原発の安全の問題、それを確保する上では極めて深刻な問題になり得ると思います。ですから、しっかり人材がそろって、そこで安全がチェックできなければ、幾ら独立をさせて見栄えのいい組織をつくっても何の意味もないんですね。ですから、そこはしっかりと一元化をして、専門家がそこでしっかりと安全性を確認できるような、そういう組織をつくらなければならないと思っています。
 あと、幾つか私として柱として考えていることがあるんですけれども、それはまた、もう少し機が熟してから申し上げようと思います。
(問)時期的なイメージはどうでしょうか。
(答)私が当初目標として立てておりました8月の前半、上旬、いろいろな言い方をしましたけれども、それは変えておりません。その中でできるだけ早目にできれば望ましいなと思っております。
(問)TBSの峠田です。
 今月、もう8月に入りまして、解除も検討されていた緊急時避難準備区域の今の検討状況を教えていただけますでしょうか。
(答)まず初めにやらなければならないのは、原子炉、さらには発電所の安全性の問題についての再確認ということですね。保安院のほうで今、20キロから30キロの安全性を特に集中的に精査をしておりますが、それをできるだけ早くまずは確認をすること。それが避難準備区域の解除の大前提となりますので、その作業を今急いでおります。これはそれほど時間がかからないのではないかと思っています。その後は、解除までには自治体の理解が不可欠ですし、様々なやらなければならないこともありますので、そこからはもう自治体との協議の中で慎重に、しっかりいろいろなことを確認した上で、準備区域については徐々に方向性を明確にして、戻れる方にはお戻りいただきたい。もう戻っておられる方も避難準備区域の方はおられますので、そういった地域の機能を回復をしていくということに、そこは慎重に取り組んでいきたいと思っております。
 繰り返しになりますが、自治体の理解というのは、こういう区域の問題について判断するときに最も重要です。ですから、安全性は国の責任でしっかりと確認をいたしますが、その後の様々な手順については、地元自治体の理解を最大限得るべく慎重に運んでまいりたいと思います。
(問)すみません。馬淵前補佐官が代表選に出て出馬の意欲を示していますが、今まで原発を一緒にやってきた中で、それについて、まず大臣としてどのように受け止められていますか。
(答)そうですね。馬淵補佐官は、昨日ちょうど発表にこぎ着けましたけれども、遮水壁の問題に非常に大きな力を発揮していただきましたし、その前は国交大臣、さらに遡れば、私も何年かずっと予算委員会で机を並べて毎年仕事をしてきましたので、大変力のある政治家だと。私との関係で言うならば、当選回数は私のほうが多いんですけれども、初当選は同じ時期ですし、人生経験で言えば、私よりはるかにいろいろなキャリアを積んだ上でこの世界に入っておられるので、そういった意味では、本当にこれまで政治家としても非常に尊敬をしてきたし、実力のある方だというふうに感じております。
 代表選挙に関してということで言うと、何度かこの場所でも申し上げたと思いますけれども、これは馬淵さんということに限らず、私は今、目の前にある仕事をしっかりやること、これが政治家としての使命だと思っていますので、それを全うするということに尽きるということですね。

(以上)