細野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年7月12日

(平成23年7月12日(火) 8:42~9:07  於:第4合同庁舎6階605会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日は閣議の中で、私に関する案件は議題にございませんでした。南相馬市からの牛肉から暫定規制値を超える放射性セシウムが検出された件について、私のほうから若干コメントをさせていただきたいと思います。
 東京都が厚生労働省に依頼して行った検査によれば、7月9日にこれが発表されておりまして、南相馬市内の緊急時避難準備区域から東京都芝浦と場に出荷された牛11頭から暫定規制値を超える放射性セシウムが検出されたということでございます。この11頭の枝肉などについては市場内に保管されているということでありますので、流通はしておりません。しかし、その一方で、本件の判明前に当該農家から出荷された牛6頭のうち、一部は流通をしておりまして、保管していた牛肉について11日に東京都及び静岡市が検査結果を公表いたしました。それによりますと、3頭から暫定規制値を超える放射性セシウムが検出され、残り3頭については依然調査中というふうに聞いております。
 食品の放射性の物質の問題につきましては、厚生労働省が個別のものについては直接の担当ということになっておりますけれども、やはり消費者行政を私自身が担当するということでございますし、また、放射性物質という原発の事故に直接関わる問題でございますので、この会見が終わりました後、福嶋消費者庁長官と話をしまして、厚生労働省が行う実態把握について、しっかりと消費者庁としてもそれを注視をしていくこと、さらには、国民に対して分かりやすく情報発信をしていくこと、そのことを私の方から申し上げたいというふうに思っております。
 若干先ほども述べましたけれども、今、原発事故の対応が第一ということでやっておりますが、特にこの消費者問題、食品安全問題というのは密接に関わる部分がございますので、全体の部分については副長官、政務官、さらには、蓮舫補佐官に大きなサポートをしていただくということになっておりますけれども、特にこの部分については、私自身が大臣として踏み込んで、それらのことについて取組をしていきたいと思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)時事通信の岡谷と申します。
 以前、原子力行政の見直しに際して一定の事務局組織というか、事務スタッフが必要だというふうにおっしゃっていましたが、その後、体制の整備状況というのはどうでしょうか。
(答)昨日、関係者の辞令が出まして、ほぼ体制が整いました。審議官をトップにチームを立ち上げて、特に対象となり得る省庁からも人を出してもらって、しっかり現状を把握した上で報告書を出していきたいと思います。ですから、実質的には昨日からスタートしたということでございます。
(問)テレビ東京の宇井です。おはようございます。
 それに関連しまして、保安院の独立に関しては、大臣が試案をまず提出したいというお考えを示されていましたけれども、その試案は既にそのチームに提示されたのかどうか。また、あるいは出されていなければ、いつ頃までにどういったスケジュール感で出すお考えなのかというのをお聞かせいただけますでしょうか。
(答)試案というのは個人的な考えという意味ではなくて、試すほうの試案ですから、私の個人の思いというよりは、新しくスタートする、そのチームの中でしっかりと議論して、それを踏まえて出したいと思っておりますね。もう既におおまかな方向性は、この記者会見でも申し上げておりますし、もちろん新しく入ってくれたメンバーの皆さんにもお伝えをしております。ただ、個人的な意見では、これは決していいことではありませんので、しっかりと関係省庁とも話をして、そしてその中で、それぞれの省庁のそれぞれの見解はあるでしょうけれども、方向性としては、私は保安院と関係部門を統合していくということについては出ているというふうに思っていますので、その方向性でしっかりとした試案を出したいというふうに思っております。
(問)共同通信の宮嶋といいますが、昨日、枝野さんのほうから統一見解のほうがストレステストの関連で出されましたけれども、今日の閣議でその件についての報告なり意見交換なりがあったのかどうか、ちょっと教えてください。
(答)今日の閣議では、その話は出ませんでした。昨日、既に長官が会見でも言っていますので、閣僚の中ではここで一定の方向性が出たというふうに認められたということでございます。
(問)読売新聞の高田です。
 先週末に原子力委員会の近藤委員長を中心とした勉強会において、廃炉に向けたスキームの原案と呼んでいいんでしょうか、そういったものが報道されましたが、これについての所見と、それからあと、その勉強会が一部公的な機関に格上げするという話もあるようですけれども、こういった話が実際にあるのかどうか。もしくは、そういったスキームを細野大臣の下で新しい組織をつくって考えていくようなお考えがあるのかどうか。それについて教えていただけますか。
(答)報道されたものは、7月の半ば頃から原子力委員長の下で関係者が集まりまして、考え方の様々な整理をしておりまして、その中で出てきたものだと承知をしております。私自身は、直接その会議に出たのは1回だけかもしれませんが、中身はずっとフォローしておりましたので、どういう議論が行われたのかということについては承知をしております。
 先週火曜日でしたか、私が閣僚になったその直後、近藤委員長と私が会って話をしまして、やはり燃料の取り出しについても廃炉についても、政府として非常に重要な問題としてしっかりとした体制をつくらなければならないという問題もあったものですから、それを検討する場所としては、やはり原子力委員会というのが一番ふさわしかろうということで、近藤委員長に、そういう中長期的な対応について検討する場を正式に立ち上げていただきたいと、そういうお願いはいたしました。まだ正式な立ち上げについて明確な方向性が出ている状況ではありませんでしたので、皆さんにはお知らせをしておりませんでしたが、来週、ロードマップの更新と併せて、できればその辺りについても皆さんに少し、詳しくということにはなかなかまだならないと思いますけれども、どういう形で検討していくのかという議論の場所の設定の在り方については、御説明をさせていただきたいと思っております。
(問)関連ですが、今のお話ですと、近藤委員長の下で審議会のようなものというか……。
(答)そこは今調整していまして、ちょっと待っていただけますか。
(問)分かりました。ありがとうございます。
(問)フリーランスの上出と申します。
 今やっている共同記者会見の今後の在り方についてちょっと教えていただきたいんですけれども、この後も、今、同じ体制でやるかのどうかという……。ポイントは、いろいろ聞いておりますと、特に大変有名な会社の大きな会社の重役さんたちのお話で、あの場に東京電力の広報担当の副社長が出て来ないのはおかしいのではないか、当然出てくるべきであると。いろいろな考え方があるでしょうけれども、そういうことで、かなり記者会見の在り方そのものも国民は厳しく見ておりまして、その都度に対してどのスタイルが一番いいかどうかということをよく承知しております。保安院の方が交代したり、それはスキャンダル的に話題になりましたけれども、そういうことだけではなくて、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
(答)松本本部長代理がずっと共同会見を東電の担当者としてお務めになっているんですけれども、質問にできる限り的確に答えるという意味では、私は十分に役割を果たしていただいていると思いますけども、もちろん東京電力の経営者は節目節目で出てくるべきだと思いますし、大きな方向性については様々な質問に答えるべきだということは思いますけれども、連日やっていますから、日々の会見で問われているのは、もう少し実務的な、日々の迅速な様々な情報提供だというふうに思いますので、そこについて毎日役員が出てくるべきだという話は、余りちょっと私の耳にも入ってこないんですが、ただ、固定的に考えるつもりはありませんので、私がなかなか4時半からの会見に時間的に出にくくなっているというのも事実ですので、全体の状況を見ながら、またいろいろな会見に出られている記者の皆さんとも対話をしながら、これからの共同記者会見の在り方については様々な柔軟な考え方はとっていきたいというふうに思います。
(問)朝日新聞の稲垣です。
 冒頭でお話しされたことと重なるんですけれども、改めて牛の放射能汚染の件で、まず汚染された肉が既に一部流通して消費されていたということの受け止めと、あと、今後、消費者担当、食品安全担当の大臣として、具体的にどのようなことに取り組んでいきたいかを教えてください。
(答)この牛については、暫定基準値として決めております500ベクレル/kgをかなり上回っているという意味では、問題はやはりあると思います。
 ただ一方で、私もこの食の問題については、かなり国民の皆さんの大きな関心事だということを感じておったものですから、いろいろな専門家の意見を聞いていますけれども、例えばこういうものを毎日食べ続けるということは問題だと思うんですけれども、一部、例えば本当にわずかに口にしたということをもって健康に大きな影響が出てくるとか、非常にそれこそ禍根を残すとかということではないと思うんです。ですから、そこはそういう、どんどん不安が増殖するような形ではない、しっかりとした政府としての情報発信、情報公開はもちろん大前提ですけれども、その一方で評価もしていかなければならないと思います。
 問題は、やはり再発の防止でございまして、現在、福島県のほうでも、どういう形で調査をしていくのか、そのことについての検討が行われているというふうに聞いておりますし、当然関係省庁である厚生労働省が、またそちらも国としての様々な調整に当たっているというふうに思います。ですから、これから福嶋長官を大臣室にお呼びをしますので、福嶋長官の方に、厚生労働省の今取り組もうとしていること、福島県がやろうとしていることについてしっかりと消費者庁としての聞き取りをしていただいて、場合によってはいろいろな、私もそれを確認した上で私なりの見解を出していかなければならないということもあるかもしれませんので、そこは必要に応じて対応していきたいと思っております。
(問)河北新報の石川と申します。
 廃炉の問題に絡みますけれども、ちょっと気が早いのかもしれないんですけれども、メルトスルーした燃料を福島県内にとどめておく可能性というのはあるのかないのかということをお聞きしたいんですけれども。処理の段階です。最終的な処理の段階です。
(答)そのはるかに前に、恐らくプールの燃料をどうするのかという問題もあるんですね。共用プールも含めると燃料がそれこそ1万本を超える形でありますが、廃炉の場合は、廃炉して、炉の中の燃料のことをおっしゃっていますよね。炉の中の燃料というのは溶融の程度が非常に大きいですから、それはどこに保管をするか、保存をするかという前に、どうやって取り出すかということが最大の関心事、テーマなんですね。ですから、そこは世界の英知を結集して、日本としてしっかりやらなければならないと思っています。
 どういう形にしても、使用済み燃料が大量にあの場所にあるということは間違いありませんので、私は、福島県を最終処分場にすることについては、これは本当に慎重にしなければならないし、そうではない方向を模索をしなければいけないと思っています。ただ、その期間ということになってくると、廃炉自体にやはり10年以上かかるということになってしまいますので、非常に長い時間にわたって福島県にそういう燃料そのものが存在をすることにはどうしてもなってしまいますので、そこは福島の皆さんに本当に申し訳ないというふうに思うんですけれども、その安全性を最大限確保するということに全力を尽くしていきたいと、こういうふうに思っています。
(問)日本消費経済新聞の相川と申します。
 国民生活センターの問題について質問させてください。消費者団体、事業者団体、ほとんどの人たちが反対意見、懸念を表明していて、消費者委員会が様々な提言を出している中で、政策提言しようとしたものが、消費者庁が関わって外に出ていないということが明らかになってきました。これについて大臣はどのようにお考えになっているか。消費者委員会は、調整すること自体がおかしいという見解を出していて、それについて大臣はどうお考えかということと、消費者団体も消費者委員会も専門家を含めて、そういうことを含めて、やはり当事者間の検討ではおかしいのではないかと。専門家とかを含めて新たな検討の場をつくってくれということをずっと求めていまして、金曜日まで18団体の連名で意見書が出ております。これについて大臣はどのようにお考えか、お教えください。
(答)国民生活センターの在り方については、長くこれまで様々な検討が行われてきたというふうに思っています。閣議決定をされた一元化の方針については、その議論を踏まえて出されたものですので、担当大臣としては、その閣議決定の方針を基本的には尊重していきたいというふうに思っています。この夏に結論を出すということになっておりますので、できる限り関係者の皆さんにしっかりと、理解をしていただける方向がどういった形で有り得るのか、そこはもちろん消費者庁もそうですし、党のほうでもそういう様々な検討が行われていますので、そういう場も含めて、できる限り御理解をいただけるように努力をしていただいているところです。
 先ほどおっしゃった、消費者委員会のほうで出されたもの、私も報道でそれは見ましたので、そこは確認をしてみたいと思います。
(問)すみません。本当に恐縮なのですが、実はこれだけこの問題が消費者団体から不信感を買っているのは二つあります。消費者行政が強化されないのではないかという懸念の他に二つ問題があります。それは、国会の合意を全く無視しているということと、一つは、この閣議決定されたときの経緯が十分説明されていないということです。4月28日の枝野大臣が大臣になったときの、その場で検討されたときの決定なんですけれども、廃止したほうがいいとおっしゃった人は一人もいません。相談と広報機能を廃止したらいいという委員が1人で、あとの人は皆さん、存続という人が10人います。これについて、根底の不信感が関係団体とかにあります。それについて、大臣が替わったということは私は大変有り難いと思っています。行政刷新会議でも、この決定について皆さん説明を求めています。この辺について再度御検討をいただくわけにはいかないでしょうか。
(答)行政刷新という視点と消費者問題をしっかりやっていくという視点というのは、両立をしていかなければならないとは思いますね。ですから、いろいろな声が消費者問題について取り組んでこられた方からあるのは、私もかなり直接的にも間接的にも聞いておりますので、そういった皆さんの理解をどうやったら得ることができるのか、そこは更なる工夫をしていきたいというふうに思います。
 今おっしゃったいろいろな御意見も、これは一応記者会見ですので、なかなかディスカッションということにはどうしてもなりにくいんですけれども、そういったことが政府として様々なところで必要だというふうには思っております。
(問)読売新聞の浅子と申します。お願いいたします。
 原発の再稼働が見通しがつかない状況なんですけれども、節電担当の大臣として、東北、関東以外に国として節電の要請等を行っていく予定というか、検討というのは行われているんでしょうか。
(答)現在、電力各社の供給力の比重については、どこまでできるのかという、そういう様々な検討が経済産業省を中心に行われていると考えています。私も、その検討状況というのは、できる限り詳細にしっかり把握をしようと思っておりまして見ておりますが、今の段階で今年の夏ということを見通すとですね、今東京、関東と東北地方で行っているものを全体にすぐ広げなければならないという状況ではないと思います。やはり基本的には、できるだけ強制するのではなくて、自主的な取組というものに任せる中で、この電力の状況が解決するというのが本当は望ましいわけですが、それは国民生活にとってもそうだし、いろいろな産業のこれからの拡大ということに関しても経済的にもそうですから、できればその方針を貫くことができるようにやっていきたいというのが私の今の時点での見解でございます。
(問)時事通信の神田です。1点だけ。
 先日、畑村先生の事故調の委員会のほうで、9月末までに集中的にヒアリングを行うということで、いろいろな方、多分細野大臣にもお声がかかるのではないかと思うんですが、その中で、公的な立場になる人に関しては、なるべく公開の場でのヒアリングを求めたいというような意見がありました。今のところ、細野大臣の方に、具体的にそういうヒアリングのお伺いが来ているのかどうかということと、仮に来た場合、来る可能性が高いとは思うんですけれども、公開でのヒアリングというものに対してお受けするという意向というのはありますでしょうか。
(答)まだお話はないですね。検証委員会というのは、これは客観的に検証委員会の意向に沿った形で行われるべきものだというふうに思っておりますので、御要請にはしっかり従って、私の知っている事実をしっかり述べたいと思っています。
(問)例えば公の場での公開というような形でのヒアリングというものについては、どういうふうにお考えでしょうか。
(答)だから、形式も含めて、そういう要請があれば、これは要請というよりは、実質的にはもう検証委員会としての実質的な指示だというふうに受け止めますので、その方向に基づいてやりたいと思います。

(以上)