蓮舫内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年5月10日

(平成23年5月10日(火) 10:01~10:20  於:第4合同庁舎6階605会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 私から3点御報告をさせていただきます。
 まずは、富山、福井、神奈川県等で発生した集団食中毒事件に関してですが、消費者担当の私から厚生労働大臣に再三要請を申し上げておりましたが、今回の案件を受け、厚生労働省は、大臣の指示を受けまして、食品安全委員会への評価依頼を行い、強制力のある法律に基づく規則とする作業を秋までに終えたいとする方針をまとめられました。
 それまでの間の対応としては2点。1点は、生食用食肉を提供する飲食店において、どの施設において適正な生食用の加工を行ったのかを店内等に掲示をすること。2点目、営業者間の取引の際に、衛生基準に基づく生食用の加工を行っているか否かを文書で確認することにすると、この2点を厚生労働省は都道府県に指導を依頼をすると報告を受けています。秋まで、規制を強化するまでの間は、店の中でしっかりと、どこで加工をしたかというのを表示、掲載をすること。あるいは、しっかりとそうした取引が行われたという取引関係を残すということを行っていただく。そして、秋からは罰則対象にしていただけるという内容を細川厚労大臣から指示が出されたと報告を受けています。
 この規制の設定に当たりましては、食品衛生法第65条の2の規定によりまして消費者庁にも協議いただくことになっておりますが、消費者の安全確保の観点から、これからも適切かつ迅速に対応していきたいと思っております。
 また、厚労省が行う規格基準の策定と併せまして、食品衛生法に基づく表示の基準も必要になると考えられますので、消費者庁においてこの手続は進めていくことになりますが、同じく迅速に対応していきたいと考えております。
 次に、千葉県の香取市産のホウレンソウが出荷制限がかけられていたものが市場に流出した事案がございました。消費者庁としては、厚生労働省、農林水産省に協力の要請をすると同時に独自に調査を進めてまいりました。
 中間報告を今日午後、福嶋消費者庁長官から会見をさせていただきますが、簡単に御報告を申し上げますと、これまでには行政機関として千葉県の農林水産部安全農業推進課、香取市の経済部農政課に聞き取りを行っています。卸売市場、小売店等にも独自にヒアリングを行いました。
 その中で分かったことは、県の行ったヒアリングによりますと、出荷をした生産農家、あるいは市場、あるいは多くの小売店でも出荷制限がかかっている事実を認識していました。ただ、認識はしていたんですが、それがなぜ流通したかと言いますと、例えば市場においては従前より屋号のみで取引をしておりまして、その生産地域の住所、あるいは生産者の名前というチェックが行われていなかった。従前の慣習によって取引が行われていたこと。あるいは、農家に対しては農業実行組合長を通じて、農家への出荷制限の徹底の指導というのが行われておりましたが、これが文書のみでやりとりをされていて、口頭による丁寧な説明、あるいは様々な質問に対する受け答えといった作業が欠落をしていたかと思われております。
 この調査の過程で、また当該ホウレンソウの産地表示にJAS法上の不備があったことも判明をしました。これについては、既に千葉県が市場を通じて表示の改善を求めたことにより、産地表示の適正は図られておりますが、いろいろと消費者庁の調査で分かったことがありますので、とりあえずは中間報告、福嶋長官から報告をさせていただきますが、いま一つ、もう少し調査を進めて、まとめたものに関しましては、二度とこうした問題が生じないよう、食の安心と安全が損なわれないように、関係省庁に私からもしっかりと要請をしてまいりたいと考えております。
 最後に、今日の閣議において発言をしましたが、「春の全国交通安全運動」が始まります。明日の5月11日から20日まで春の全国交通安全運動を実施するとともに、この期間中、ゼロのつく5月20日を交通事故死ゼロを目指す日としまして、交通事故で亡くなる方がゼロとなることを目指しております。
 交通事故の死者数は10年連続減少してきておりますが、依然として年間約90万人の方々が交通事故による死傷をされておりまして、交通事故の防止というのは正に国を挙げて取り組むべき課題だと認識をしております。今回の運動は、子供と御高齢者の交通事故防止を基本に、交通安全意識の高揚に取り組みます。また、現在国民の皆様に節電のお願いをしておりますが、街路灯が普段より暗くなっているところもございますので、歩行者、自転車利用者の反射材用品等の着用、あるいは自動車運転者の安全確認の徹底も推進をしていきたいと考えております。
 この運動に当たりまして、私からのメッセージを本日中に共生社会政策担当ホームページにおいて公開をする予定になっております。メディアの皆様方にも、ぜひ啓発に向けて行動していただきたいということは、改めて私からも、この機会を借りてお願いをさせていただきます。
 私からは以上です。何かありますか。

2.質疑応答

(問)読売新聞の金杉です。
 ホウレンソウのところで、JAS法上の不備について、午後の長官会見でも聞きますけれども、もし今、どういうことだったのかとかあれば。
(答)産地表示に関するJAS法上の不備という報告だけが上がっておりましたので、詳細は福嶋長官に聞いていただけますか。
(問)フリーランスの上出と申します。
 消費者問題とかじゃなくて、ちょっと閣僚としてどうお考えかということをお聞きしたいんですが、日米関係で。この度オバマ大統領の陣頭指揮でビンラディン容疑者─容疑者と言っていいのか分かりませんけれども、容疑者が殺害されたということですが、これはもう明らかに、確かに3,000人が亡くなったテロは許せませんけれども、裁判にかけられる状態であった。無抵抗で、しかも家族も殺している。家族の目の前で殺しているということを、ある程度アメリカは認めたんですよね。そういった、パキスタンの主権を侵している、そういうことから考えましても、どう見てもこれは国際法、国連憲章上問題があるかと思うんですが、マスメディアも含めて、全くその辺については真正面から批判をしておりません。これは人道的な問題も含めて、いろいろなことが論議されなければならないのに、さっぱりそういうものがなされてきておりません。その辺、日米関係を重視するのは分かりますけれども、あまりにもアメリカの言いなりじゃないかと思うんです。それについて、蓮舫大臣としてはどうお考えでしょうか。
(答)まず、今回のオサマ・ビンラディンの、最終的には命が殺害という形になったんですけれども、そこに至るまでの経緯を詳細に私は存じていません。一連のビデオ、あるいは報道等では見させていただいておりますが、実際はどういう形で、どういう作戦で、どういう取組が実行されたのかが分かっていませんので、一閣僚として今コメントを発する立場にはないことは御理解をいただきたいと思います。
 ただ、御指摘のように、人道上の観点、あるいは他方でテロの連鎖を防ぐという大きな至上命題もあります。その部分でアメリカがどのように考えて主導権を発揮したのかというのは、それは一義的にはアメリカの判断ですが、そのアメリカの判断に、日米関係を重視するがために、それをうのみにするということは、これは外交上は望ましくないことですし、我が国の外交上もそうした考え方に立ってとられているとは思っていません。
(問)朝日新聞の稲垣です。
 焼肉チェーン店の食中毒問題ですけれども、表示基準について消費者庁で迅速に見直しているということですが、これはいつまでに、具体的にどのような点を見直していくお考えなのかということをお尋ねしたいんですけれども。
(答)現段階では、生食用の肉というのは法律で定められた基準ではなくて、あくまでも安全基準として目標として守られることになっていますので、結果として責任体制の明確さに欠けているところがあります。ですから、しっかりと今回は食品安全委員会にも評価依頼をいただきますし、厚労省の中でも審議会にかけていただいて、そしてしっかりと基準の中に取り込んでいただけるように要請をしていたところ、細川厚労大臣が法律の基準の中に取り込むという判断をしたものです。その結果は、私としては当然の措置だと思っております。
 秋までと伺っておりますが、恐らく10月ぐらいではないかと考えております。
(問)フジテレビの古山です。
 浜岡原発、機能停止ということになりましたが、それに対するまず閣僚としての受け止めと、それから、節電担当大臣として、今後中電から東電への電力融通もなくなるということで、関東、東北プラス中部地方も含めて全国的に節電が更に必要になるとは思うんですが、そのことについて具体的に何かアクションというか、国民に対するアクションをお持ちであれば伺いたいと思います。
(答)まず浜岡原発についてですが、大前提となるのは、今回の東日本大震災が発災をしまして、正に福島第一原子力発電所の事故によって、私たちが想像を超える非常に辛い状況に置かれている。特に被災者の方たちにおかれましては、更なる精神的にも肉体的にも大変おつらい気持ちになっておられる。ここを乗り越えるために復旧、復興に政府としては力を注いでいます。
 他方で、地震がいつどこでどのように起きるのか分からないということも、今回私たちは非常に学習をいたしました。そのときに、今、原子力発電所がある場所においてリスクの高い場所として、浜岡原子力発電所はやはり位置付けられていると考えています。これから30年以内で、この地域で地震が起きる可能性が87%という非常に高いということもありますので、総理の要請に対して中部電力が前向きに捉えてくださったことに対しては、私はそれは歓迎させていただいております。
 他方で、東京電力、東北電力管内で今、電力供給量が例年より落ち込んでおりますので、節電というのをお願いしています。基本的には計画停電を行わないで、それぞれ家庭、小口需要者、大口需要者の御努力によって大規模停電にならないように、今、電力需給対策本部の中で様々なメニューを考えているところです。恐らく中部から東京電力管内に電力が渡らない、あるいは九州からも含めて、ある種玉突きという形で電力のお互いの譲り合いができないというリスクを考えたときには、もう少し厳しめに啓発というのはしなければいけないとは思っています。これは電力需給対策本部の中での議論もしなければいけませんが、他方で、これまでの東京電力管内、東北電力管内のみならず、中部電力管内においても節電というのはお願いをしていくことになります。特に経済への影響を最小限に抑えなければ、これだけ多岐にわたる電力供給の問題になってまいりますので、できれば夏場においては、電力需要の3割、4割を占めている一般家庭における細やかな節電を心がけていただくことを私の下で中心に啓発をしていくことになると考えています。
(問)テレビ朝日の辻井ですけれども、おはようございます。
 ちょっと、今の浜岡原発の関連なんですけれども、今回停止するのはあくまで浜岡のみで、原子力政策基本そのものは変わらないのか。それとも、今回の浜岡の停止を機にエネルギー政策そのものを見直すべきというふうにお考えでしょうか。
(答)基本的には、官房長官も何度も申し上げているように、原子力政策は堅持をする。ただ、今後のエネルギー政策の在り方、並びにこれまでの原子力を推進してきた政策、それに合わせて地震立国である我が国の問題も含めて、ゼロベースでの見直しというのは当然政府としてやっていかなければいけないと考えています。
(問)共同通信の岡です。
 浜岡の停止要請についてなんですが、昨日日本経団連の米倉会長が、民主党時代になって、結論だけがぼろっと出てくると。思考の過程が全くブラックボックスになっているというふうに批判したんですが、それについての受け止めをお願いできますでしょうか。
(答)やはり電力に関係をしますと、財界の方たち、あるいは事業者の方たち、あるいは一般家庭にも当然これは影響が出てくるものですから、丁寧に丁寧に途中経過を説明しながら進めていくという在り方もあるんだと思います。ただ、そうすると、やはり様々な声が上がってくることによって、本来の政治判断で行おうとしてきたものがなかなか前に進まないということも想定されたんだと思います。
 今回の場合は、途中経過というよりも、まずは総理の判断、そしてこの国の安心・安全、並びに経済活動への影響を最小限にどうやって抑えていくのか、あるいはその地域に対する不安をどうやって取り除いていくのかという、極めてマクロ的な見方があっての決定だと思っています。その部分で、ある種突然の発表に思えたという米倉会長の受け止め方は、それは自然ではないかと思います。ただ、その部分において御懸念がある部分は、政府として取り除いていくための努力はしていきたいと思っています。
(問)テレビ朝日の辻井ですけれども、東電の賠償スキームの策定がまだ難航している状況なんですけれども、大臣は、今、東電が示しています役員報酬のリストラ案などというのは、国民にとって納得できるような案になっているというふうにお考えでしょうか。
(答)まだ全体像が出ているところではないので、役員報酬、何人いて何億だから高いという議論はやや乱暴だと思っています。
 東京電力のいわゆる資産、負債の部分も見させていただきましたけれども、あるいは社員が3万人おられて、グループ・系列も含めたら5万人という本当に大きな企業ですから、そこにリストラのみを押しつけることが我が国の雇用を含めて、にとって本当にいいのかどうなのか、やはりこれも広い視点で見なければいけない。役員の給料、あるいは職員の給料、あるいは過大な広告費等も明らかになっておりますが経費の見直し、その上で、持っておられる研修所、保養所、施設の売買、並びに保有をしておる株は、株式市場への影響も考えて慎重にどのような対応をしていくのか、あるいはグループ・系列の企業をどのように対応していくのか、この一つ一つをトータルで東京電力がまずは見直していただいて、そしてその部分で賠償に充てていただくのがまずは第一。その次にあるのがおそらく、じゃ、それで賠償に足りない部分を政府として東電とどのような協力をして支援をしていけるのか。それは次の話になってくると思います。

(以上)