与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年8月30日

(平成23年8月30日(火) 10:27~10:41  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 今朝10時からの閣議で菅内閣は総辞職をいたしました。閣僚全員が閣議書に署名をし、菅総理から全閣僚に対して御礼の言葉がございました。
 菅内閣の閣僚として1月から務めてまいりましたけれども、菅総理が、社会保障と税一体改革をやらなければならないと考えたのが、昨年の12月閣議決定をし、それを私にやれということで閣僚に任命されたわけでございますが、一応、政府と党の間で社会保障一体改革の成案が出来ましたことは、私自身としては達成感があり、また菅総理からそういう仕事をするチャンスをいただいたことに感謝をしております。
 菅総理の印象は、やはり真面目で仕事熱心であるということであって、世間で言われている人間像とはおよそ違うものがあると私はいつも思っておりました。菅総理の昨年6月からの政治家としての努力に、私は深く感謝を申し上げたいと思っております。
 昨日の代表選挙も、政策の連続性が担保出来たということで、私としてはほっとしているところでございます。以上です。

2.質疑応答

(問)大臣、お疲れさまでした。
 先ほど、社会保障と税の一体改革について、達成感があったと仰られていましたけれども、一体改革、それから他の政策テーマを含めて、何かやり残したこと、今お感じになっていることはございますでしょうか。
(答)与えられた仕事はやったつもりですけれども、やはり日本の将来、また日本の経済の将来について、もう少し警鐘乱打をすべきだったと思っておりまして、日本の経済というのは幾つかの脆弱性の上に成り立っているということを広く国民が認識をして、個人、個人の人間力を結集して日本の経済を支えなければならないと思っております。
 こういうときにたびたび出てまいりますのが、高い成長率が達成出来るとか、金利を安く押さえ込めるとか、色々な、いわゆる俗論でございまして、昨日の代表選挙を見ていましても、やはり最終的には民主党はその俗論に惑わされることなく代表を選んだと思いますけれども、やはり社会経済の危うさ、日本の経済の危うさ、電力供給の危うさ、こういうものをやはり正面から理解をして、国民の努力でこれらの困難を克服していく、そういうことをもう少し警鐘乱打すべきだったかなと思っておりますが、この点については、閣僚を去りましても政治家として発言してまいりたいと思っております。
(問)それから、新首相になる野田さんについてですけれども、政策の継続性、連続性が担保されるということでほっとしているというコメントがありましたけれども、そのほかに何か新首相へのメッセージというのがあればお聞かせいただけますか。
(答)総理大臣というのは、慎重かつ大胆に物をやらなければならないわけですが、野田さんは多分その期待には十分応えられると私は思っております。代表選挙の間の各候補者の主張、政策を聞いておりまして、野田さんは普段主張されていることを一つも曲げずに真正面から主張されていた。やはりこれが政治家の本当の姿ではないかと、私はそのように思っておりました。
(問)代表選挙の間の話なのですけれども、同じ経済閣僚として、野田大臣のことを何かアドバイスしたりとかということというのはあったのでしょうか。
(答)社会保障・税一体改革は、いわば野田財務大臣との十分な連携の上でやっておりましたけれども、そういうべたべたした付き合いではなくて、仕事一本やりの付き合いでしたから、代表選挙は御自分の考えでまっしぐらにやられたのだと思っています。
(問)確認ですが、昨日、野田さんが代表に決まった後、昨日、今日、野田さんとは何かお話しをされているのでしょうか。
(答)今朝、閣議前に応接室に皆集まるときに、野田さんから、昨日は色々御配慮ありがとうございましたと。昨日の会議を9時から15分で終えたので、その御礼はありましたけれども、それ以外はありません。
(問)与謝野さんから何かお言葉はかけられたのですか。野田さんに対して。
(答)何も。
(問)あともう一点なのですけれども、特に復興増税について、今回の代表選挙については、野田さん以外の候補者の方も慎重でいらして、かなり党内もまだそういった意見が強いと思いますけれども、これからこれを実現していくに当たって、民主党、今後の新政権というのはどういうものを乗り越えなければいけないとお考えでしょうか。
(答)ですから、財務省は基幹税を中心にと言っております。復興構想会議、復興本部の決定等でもやはり復興債を出すということが一つ決まっている。それから、償還については、復興債を発行するときにやはりその道筋を明らかにするということが決まっていまして、復興債を出す見合いの財源というものは、復興債を出す際に決めておかなければならないと思っております。
 ただし、昨日の代表選挙の最後の挨拶の中であったように、幾つかのオプションをつくって、どういう税目を入れるのか、あるいは償還期限は何年にすることが適当かというのは、政府税調で今後議論をしていくということですが、復興税制、復興債の償還財源そのものを否定するという議論は通用しない議論だろうと思っています。
(問)マクロ経済運営についてお伺いします。
 大臣が就任された頃は、日本経済は持ち直し局面に入りつつあったかと思いますが、東日本大震災によって急激に落ち込んでいると。非常にマクロ経済の面からいうと激動のこの半年間という印象があるのですけれども、その間において、経済運営について、特に気を付けて見ていらっしゃった点といったところを改めてお伺いできますでしょうか。
(答)日本経済は、離陸しようと思ったら3.11が来たと。そういうことで、非常に深く沈んでいくということを心配した、底抜けするのではないかということを心配したのですけれども、やはりサプライチェーン等の復活に企業等が全力を挙げて、今や実態を調査すると殆どの企業で非常に将来に対して明るい展望を持っているというところまで来ました。
 しかしながら、彼らは、この間も申し上げましたけれども、計画が立てられない。それは、たった一つの理由でして、それは、来年以降の電力供給がどうなるかということです。
 震災以降、私がいわば経済財政担当大臣として、経産省の事務方と大喧嘩した話。これはやはり民生用の電力も大事なのだけれども、日本の経済を支えるためには生産拠点に電力が供給されるということが一番大事なので、経産省の原案は、生産現場の電力をカットする案になっていると。こういうことは絶対にやってはいけないことなのだと。やはり生産現場というのは、日本の経済の原動力なのであって、民生用は幾らでも節約出来る。生産現場はそれはやってはいけないというので、当初の30%削減から15%削減まで押し戻したことがありますけれども、そういう意味で政策的に一番大きく戦ったのはこのときだと思っております。

(以上)