与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年7月29日

(平成23年7月29日(金) 9:02~9:14  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございまして、特に御報告することはございません。
 経済関係では、雇用、あるいは消費者物価指数について、それぞれの大臣から御報告がありました。鉱工業生産については8時50分に発表されておりますので、皆様方は御存知だと思います。我々としては、これらの指標を総合して、雇用情勢においては厳しい状況にあるものの、引き続き日本経済は復調傾向にあることを示していると考えております。以上です。

2.質疑応答

(問)今日決定される予定の復興の基本方針についてなのですけれども、昨日も民主党内から増税に対する異論というのが相次いで、修正の要求というのも出されているわけですけれども、増税の規模ですとか償還の期間について、修正の余地というのがあるのかどうか、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)復興には、「頑張ろう」というスローガンだけでは復興は出来ないので、復興を具体的なものにするためには相当大きな財源が必要だということは、もう誰が考えても明らかなわけです。ただ、この際、復興債を出して、何の手当てもしないで、後の世代にその費用を先送りする。それは世代間の問題としても、市場での日本の財政規律に対する信認の問題から言っても好ましくないということで、やはり復興債を出すについては、やはりその財源の問題をきちんとやろうということは、これは政府の中心的な物の考え方であると同時に、国会の中の民主、自民、公明が話し合いをしたときの基本的な考え方でもありますので、そういうこともよく考慮の上、党内論議が進むことを期待しております。
 ただ、党内論議はやはり大いにやられたほうがいいので、賛否両論、色々あると思いますけれども、やはり議論を通じて、民主党の中、やむを得ないというところまではやはり議論を煮詰めていただきたいと思っております。
(問)そうしますと、状況によっては、必ずしも本日中にこだわるということでもないというお考えなのでしょうか。
(答)それは民主党の幹部のほうで御判断になる話だと思っています。
(問)もう一点、別の話題なのですけれども、アメリカの債務上限の引き上げ問題が難航して、2日の期限がいよいよ迫ってきていますけれども、日本経済に与える影響、あと政府として考えられる対応について、現時点でのお考えをお聞かせください。
(答)アメリカ政府の中、アメリカの国会の中で起きている話ですから、我々の手の届くような話ではないということは明らかですけれども、世界中が固唾を飲んで、この問題の行方を見ているということだけは、アメリカ政府の関係者、国会の関係者に理解をしていただきたいと思っています。
(問)昨日、ソフトバンクの孫社長が決算発表の会見の場で、復興財源に携帯の電波利用料を値上げするという考えを与謝野大臣は言われたと思うのですけれども、携帯を対象にするのであれば、同じように電波利用料の対象であるテレビ局とか、いわゆる放送にかかっている電波利用料、これも同じように値上げして取るというのが公平ではないかという意見を言われていたのですが、そういったお考えというのはどういうふうに思われているか、教えていただけますでしょうか。
(答)それは半ば当然のことだと思います。
(問)昨日の愛知県知事との会談で、大臣が為替介入の要請を受けた際に、介入については、額が1兆円、2兆円するような話はなかなか難しいと仰ったと伝わっておるのですけれども、この事実関係と、その真意と言いますか、介入に対するお考えをお聞かせいただけますか。
(答)大村さんは円高対策ということで来られたのですけれども、従来円高対策というのは、やはり円高で苦しむ下請等々に金融の側面や何かで手当てをするということが中心で、為替水準自体に介入していくというのは、我々、あまり考えたことがないというので、今の起きている現象というのは、国内の要因で起きている現象ではなくて、世界的なお金の流れが、方向が変わって流れていると。例えば金の現物に投資すると。あるいはブラジルの通貨にお金が行くとか日本に来るとか、その他、比較的安定したところに通貨を持ち帰るという、8月2日までの、恐らく話として、そういうことが行われているので、一時的な私は現象にとどまるということを期待しているわけです。
(問)先ほどの復興債の関連でお尋ねしたいのですが、民主党の平場の議論では、償還の期間は5年、10年ではなくて60年償還という、通常の国債と同じような扱いでもいいのではないかという意見も出ておるのですが、こういった復興債の償還期間が長くなった場合に、日本経済に与える影響ですとか、一体改革での消費増税の影響をどういうふうに見ておられるかを教えてください。
(答)経済には影響が出るとは思いませんけれども、やはり日本の国債を出すについて、日本が財政規律を非常に重んじながらやっているという市場に対する発信というものも大事ですし、また、60年もの長い期間にするよりは、今起きた話なので、今の世代のうちに片付けて、後の世代に重荷を残さないというのが正しいのではないかというので、5年とか10年というのが議論されている。60年というのは理論的にはあるのですけれども、あまり、以上2つの考え方からは出てこない考え方であると思っています。
(問)もう一点だけお願いします。関連して、復興債を発行する際に、基礎年金の国庫負担を2分の1に引き上げる分の2.5兆円穴があいている分を、これを発行に、全体の額が膨らんでも含めるべきだという声もあるのですが、この点については、大臣どのようにお考えになられますでしょうか。
(答)(答)これは復興債で面倒を見るというよりも、元々国民年金に、国庫負担3分の1から2分の1にするときは安定財源を求めてそのようにするということが法律に書いてありますので、借金して年金基金にお金を入れるということ自体が、そう意味のあることではないと思っていまして、安定財源を求める替わりに借金をするという話なので、それは年金基金にとってはお金が来たということで安心かもしれませんけれども、その財源はまた借金によるということであれば、何のことはない、何もしなかったのと殆ど同じことだと私は思っています。

(以上)