与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年7月12日

(平成23年7月12日(火) 8:29~8:49  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございます。特段御報告することはありません。

2.質疑応答

(問)先週の8日の閣議で枝野官房長官から復興財源に関する関係閣僚会議の設置の指示があったかと思うのですが、まだ開催されていませんが、この開催の見通しを教えてください。
(答)多分1週間以内には開かれるのではないかなと思っております。そのときにやはり復興財源を国債で調達するにせよ、やはりどのように償還するかということは、はっきりさせる必要があると思っております。借金だけして返し方は後で考えようやということでは駄目で、やはりきっちりと償還期限、償還財源、これらを明確にするということが責任ある財政運営の一つだと思っております。
(問)その復興財源に関しては、与謝野大臣は、痛税感のない税目の増税も検討すべきだということを仰っていましたが、例えば痛税感のないというのは、具体的にはどういうものを想定しているのかということと、この会議において、大臣はどのようなことを発言しようとしているか、どういう点を強調しようとしているのか、青写真が現段階であれば教えてください。
(答)特に具体的な税目を考えているわけではありませんけれども、一つ二つの税に偏ったものではなくて、広く薄く色々な税から少しずつの拠出をお願いするという形がとれないのかなと思っております。それ以前に、やはり何年で返すのかと、その財源は何かと、そういう物の考え方をきちんとまずスタートラインに置くということが大事だと思っています。
(問)話し変わりまして、税と社会保障の一体改革のほうなのですが、成案がまとまりまして、ステージとしては与野党協議というまさに政治プロセスに移っているかと思うのですが、一体改革の担当大臣としてこの政治プロセスについては、この間に、一体改革の間にやるべき作業というか、次は、担当相としてはどういう取組をするつもりなのか。
(答)あの成案には、検討しますという表現が幾つかの箇所でありますが、昨日、厚労大臣からこの検討というのはこの場所でやりますと。これはもう少し綺麗な表にして、最後の成案、野党に提示するときには厚労大臣の発言も整理して添付する必要があると思っております。それが仕事と言えば仕事です。
(問)今の復興財源の関連で1点、消費税について社会保障の財源でということなのですけれども、消費税の扱い、これを基幹税に含めるかどうかについては、大臣はどのように会合では御意見を述べられるおつもりでしょうか。
(答)基幹税であることは間違いないのですが、消費税はいずれにしても2014年、15年、16年には5%水準(の引上げ)まで達するということが決まっておりますので、やはり消費税は社会保障に残しておいたほうがいいという意見もありますし、いや、復興に限っては、前倒しは出来ないかという意見も出てくるのではないかと思っています。
(問)もう一点、ちょっと話が変わるのですけれども、欧州でギリシャの債務問題が周辺国に拡大する状況になっていまして、株価等にも影響が出ているのですけれども、世界経済の見通し、あと日本経済にどのような影響があるか、どのような御所見をお持ちでしょうか。
(答)欧州のソブリン危機というのは、ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、それから国債発行額などはあまり大きくないのですけれども、スペインなども非常に経済規模が今申し上げた3つの国とほぼ同等ぐらいのものなので、非常に心配しています。ギリシャの政府もオーステリティプランを国会に通しましたから落ち着いたように見えますけれども、この種の問題というのは欧州に限局された問題ではなくて、欧州のどこかの国が実際にソブリン危機でデフォルトなどを起こすと、どこかアメリカの田舎にある会社とか、とんでもない国の会社まで波及していくと。金融というのは、色々なプロセスを通じて世界中に繋がっているというところがあって、ソブリンリスクというのは一定の地域で発生するけれども、その影響というのは一定の地域にとどまらず世界的に波及していくという特徴を持っているということは、やはり忘れてはいけないことだと思っております。
(問)先日、大臣が岩手の国際リニアコライダー計画の誘致について、誘致を支援していくという旨のお考えをテレビで述べられたというふうに聞いておりますけれども、これについてどのような趣旨でのお話だったのかちょっと改めてお伺いしたいと思います。
 あと、この計画については九州も候補に上っているわけなのですが、岩手に候補を絞ってもいいという意味も込めたお話だったのか、併せてお伺いしたいと思います。
(答)まず、リニアコライダーを建設するには30キロ以上のトンネルを掘らなければいけないわけですから、日本の国内で安定した岩盤のあるところで掘らなければならないという制約があります。そういう意味では、岩手県は強い岩盤を持っているという意味では、候補地としては非常に資格を持っております。あと一部、佐賀県と福岡県をまたいだところに一つあるようでございます。
 これは御存知のように、電子と陽電子を光の速度に限りない速度でぶつけて新しい粒子を見つけると、そういう試みですが、恐らくこれをつくりますと、岩手県が世界の研究拠点となって、世界中の素粒子物理学者あるいは素粒子の実験物理学者が集まるというところになります。そういう意味では、達増知事は岩手県の将来の発展として、そういう物理学の世界的な基礎研究の拠点にしたいと、そう思っておられると思います。
 私は前からこの計画を応援していまして、リニアコライダー推進議員連盟の会長は私、副会長は鳩山由紀夫さん、事務局長は河村建夫さんということでやってきました。そういう意味では、岩手県の知事が率先しておやりになりたいと、日本はホスト国になるべきだと、そういうお考えを持っておられることについては応援をいたしたいなと思っております。
(問)すみません重ねて、建設費の負担が8,000億円と言われているわけなのですけれども、この費用負担についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)これは8,000億円全部を日本が出すわけではなくて、日本が候補地とホスト国としての出捐金を決めますと、各国から半分集まるという説もありますし、3分の2はホスト国、3分の1は参加国ということで、まだ決まっておりませんけれども、相当財政窮迫の折、大きな支出であることは間違いないのですけれども、やはり岩手県を新しい県にしようという達増さんの意気込みは、財政当局を動かすことを私は期待をしているわけです。
(問)昨日で震災から4カ月になりましたけれども、改めてこの4カ月を振り返りまして、日本経済の動きというのをどのように評価されているのでしょうか。
(答)3月、4月というのは実際に生産力が落ちたと。車の輸出を中心にして貿易は大変不振に陥った。しかし、数字の上から見れば生産力も予想より早いスピードで回復していますし、消費者マインドも随分改善され始めました。しかし、不安といえば不安なのは、やはり一つは電力の供給の問題。これは今年だけでなく来年、再来年、それから後にずっと続く日本の経済のあり方に関することです。こういうときに大事なのは、ばたばたと物を決めるのではなくて、きちんと物事を色々、右から左、縦横斜めから見て物を決めていくことだと思っております。
 やはりそれからもう一つの不安は、欧州のソブリン危機がきちんとおさまってくれるのかと。それから、アメリカ経済。失業率が相変わらず改善しない、住宅価格もまだまだ落ち着きを取り戻したとは言えないと。それから、中国のインフレ率を見ると、びっくりするようなインフレ率。そういう厳しい世界の中で我々は生きていく。また、国民から見れば、今手にしている豊かさというものは何とか維持して後の世代に繋いでいこうと、そういう気持ちを持っておられますから、内閣としての政策選択というのは非常に慎重で、やはりある物の考え方をベースにしてやらないといけないと思っています。率直に言えば、我々の生活を江戸時代に戻せというようなことは、なかなか現代に生きる日本人としては難しいのではないかなと私は思っています。
 阪神・淡路のときもそうですけれども、最初、復興というのはなかなかスピード感がないのですけれども、ある時期を過ぎますと猛烈なスピードで復興が進んでいくと、そういうふうに私は信じております。
(問)今仰った内閣としての選択は非常に慎重であるべきだというお話しありましたけれども、原発のストレステストとそれをめぐって昨日、統一見解が出されましたが、それはそういう慎重なものの考え方をもとにした判断だったのでしょうか。
(答)ストレステスト自体がどんなものかというのはよく分かっていないですし、これからその内容を決めるというのですから、それが決まってからコメントしたいと思いますけれども、決めた以上はきちんとやらなければいけないと思っています。
(問)あともう一点なのですが、例の復興財源の問題で3次補正の規模というのは10兆円を超えるのではないかとも言われていましたけれども、その規模感というのは今、大臣御覧になって変わっていないでしょうか。
(答)規模判定というのは非常に難しい。阪神・淡路の場合は、いわゆるストック、官民のストックで10兆円の損害、間接的な経済損失も10兆円という中で、政府の予算は、阪神・淡路が発生してから5年間で実は5兆円であったわけです。しかし、今回は非常に場所が広い上に都市部ではないですし、漁港も300以上つぶれていると。阪神・淡路の例が右から左に適用出来ないというのがありますので、内閣府が言っている16兆とかそういうストックの被害は想定して物を考えていかなければいけないと、そう思っています。

(以上)