与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年6月10日

(平成23年6月10日(金) 8:45~9:02  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございました。特に御報告することはございません。

2.質疑応答

(問)明日11日で、東日本大震災の発生から3カ月がたちます。その節目ということで伺うのですけれども、ここまでの復興に向けた政策の進み具合、あるいは経済の立ち直りペースなどを見ての今の見方を伺えればと思います。原発もまだ、事故の収束とは未だ言えない状況、2次補正の進み具合なども懸念されますけれども、見方を伺わせてください。
(答)やはり、2つの大きな心配は、1つは未だ10万になんなんとする避難生活を送っておられる方がおられます。こういう方々に仮設住宅なり、あるいは定住出来る住居をどのように用意出来るか、これは目標を立てておりますので、その目標に向かって進むことであります。原発は、現場をとにかくきちんと抑え込むということが大事で、専門家は今暫くかかるということですが、これが静止する中で冷温停止に至ることが、まず第1段階として一番大事だと思っております。
 国・地方も、やはり私は、初動体制は阪神・淡路と同じぐらい敏速だったと思いますけれども、被害を受けられた方にとっては、もっと迅速にというお気持ちがありますので、そういうお気持ちに応えるべく、政府としては全力を挙げるということが大事だと思っております。
(問)経済の面では、震災後の立ち直りのペースというのはどのように見ていらっしゃいますか。消費者マインドの持ち直しというのが鈍いという見方も、エコノミストの間にはありますけれども。
(答)一部の自粛は、大体、消費者のマインドは変わりつつあると思っております。ただ、企業投資や何かも、電力の事情等もあって慎重になっておられる向きもあるわけですけれども、来年の経済の予想、これはIMF、OECD、あるいは国内の民間エコノミストが、それぞれ2.2%とか、それ以上のものを予想されておりますので、今年の暮れから来年にかけては、景気は上昇していくものと確信をしております。
(問)社会保障改革について伺います。昨日、民主党の調査会に出席、大臣はされまして、議員の方々から様々な意見がありました。批判的な意見が相次ぎましたけれども、その議論の進め方として、政局がこういった状況の中で議論するべきではないというような意見もあったと思いますが、そういった意見をどのように受け止められていますでしょうか。
(答)昔から、よく伺っている議論でございます。1つの議論は、日銀が金融を緩めると。現時、金融は緩めているわけですけれども、それを超えて日銀が国債を引き受けろという議論でございますけれども、この話は禁断の実であると私は思っていまして、日本政府が決してとってはいけない施策だと思います。
 第2の議論は、概ね経済成長の果実で、財政再建も出来るし社会福祉も出来るという議論ですけれども、政治家が演説すると経済が成長するという因果関係にはなっていないということはよく注意しておく必要がある。
 第3は、埋蔵金の議論ですけれども、これはやや今、下火になっています。
 この時期にやるのはどうかというのは、やはり民主党の党首は菅党首であり、内閣総理大臣は菅直人であり、そういう現実を踏まえた上で、現に存在する内閣が政策を遂行するということについて、そういう観点から疑義を挟むということは、やや異例なことだと私は思っています。
(問)マクロ経済のことで、昨日、合同総会で与謝野大臣が仰ったのは、日本の景気は今年は、これは歴年のことで仰ったのだと思うのですけれども、ゼロないしはマイナス成長になると思っていると仰いましたけれども、もうちょっとこの足元の景気、最近は景気ウォッチャー調査とか消費動向調査を見ても、明るい数字が出てきていて、歴年で見ても、結構成長のペースは早いのかなと、サプライチェーンの回復なんかも非常に進んでいるようですから。歴年の成長と、あと、年度を見通した成長の見通しを改めてお伺い出来ますでしょうか。
(答)昨日はちょっと、IMFではという注を入れなかったのですけれども、私が引用したのはIMFの数字でございますが、仰るとおり景気ウォッチャーその他からは、改善のメッセージが出ていることは間違いないですから、内閣府としても、秋から来年にかけては、景気は上昇のカーブを辿るというのが専門家の意見を総合したものでございます。
(問)今後、年度の成長率の見通しを立てていく作業で、年央改定をやられるかと思うのですが、それの時期、どういう運びで、どういうふうなタイミングで出していきたいというふうに、今お考えでしょうか。
(答)6月末から7月にかけての作業ですけれども、多分、7月になってしまうのではないかと思います。
(問)海外の景気なのですが、昨日、アメリカのFRBのベージュブックで、日本の東日本大震災の影響で、サプライチェーンの混乱がアメリカでも影響が及んでいるという内容が報告されまして、非常に、最近アメリカの雇用統計を見ても、失業率が高まったりとか、人口増を吸収するほどの雇用増が生まれていないという、ちょっと雇用統計を見ても、アメリカの景気の戻りは鈍いかなという印象があるのですけれども、今、現状でQE2が終わった後のアメリカの経済については、どのような見方をされていますでしょうか。
(答)結局、まだ住宅バブルの後始末がついていないと。結局、アメリカ経済が本格的に回復するためには、家計のバランスシートがきちんと回復するということが大事であって、それがまだまだ相当の期間がかかる。まだ4~5年はかかるという説さえあるくらいです。
 したがいまして、住宅を持っている資産効果というものがあまり発揮されませんし、むしろ各家庭ではローンの返済に追われていると、新しい消費が中々出てこない。これが、多分、FRBの悩みであると同時に、CDS等の決済等々のまだ仕組みがきちんと出来ていないというのも一つの問題であろうと思います。したがって、FRBでは従来の緩和政策を続けるという決定をされたわけですけれども。
(問)政局についてなのですが、菅総理の後継として、今、野田財務大臣であるとか鹿野農水大臣の名前が挙がっていて、民主党内では次期党首選びについて、様々な思惑があるようなのですが、野田さんと鹿野さんの名前が挙がっていますけれども、このお2人について大臣はどのように評価されていますでしょうか。
(答)お2人とも優秀な方だと思っております。
(問)税と社会保障の関係で、今日の夕方に地方団体から、与謝野大臣をはじめ主要閣僚の皆さんがヒアリングをされますけれども、与謝野大臣としては、主にどういう観点からお話を聞きたいと、今思っていらっしゃるのですか。
(答)国と地方の財政が共に良くならなければならないというのが、まず第1の私の考え方です。基礎的財政収支を見ると、もう5年も前から地方の基礎的財政収支は黒字になっています。国の基礎的財政収支は相変わらず赤字でございまして、やはり共に財政が健全であるということが望ましいと。そういう意味では、むしろ地方が国に対して同情を禁じ得ぬという気持ちを持っていただきたいと思っています。
 今回の消費税の上げについては、税法附則第104条で社会保障目的に使うということが書いてありますから、仮に上げるということが国民の皆様方の御承認を得られるとしても、一般財源として地方に行くということはあり得ない。社会保障の交付金等々で地方に使っていただくことになりますけれども、一般財源がそれで増えるというわけではないと思っています。そういう点は、やはり国のPBの赤字に対して、地方団体の深い御理解をお願い申し上げたいと思っています。
(問)その際に、片山総務大臣は先般から、地方の単独事業についての考慮がないということを仰っておられますけれども、こういった点を考慮して、例えば必要な消費税率とか必要な資産額ということが変わることは、基本的にないということでよろしいでしょうか。
(答)地方の単独事業は、元々、例えば市長さんなら市長さん、市議会が始めた話で、それが、隣の市でやっているので、こっちの市で何故やらないのだというような広がり方を始めて、広がってしまったものもあります。美濃部東京都知事が生まれたときに、老人医療費無料ということを言われたために、これを修復するまでの長い期間を考えると、単独事業だからといって内容を精査せずに、それにお金をつけるということはあり得ないことでして、その点の資料は総務大臣が御提出くださるので、社会保障の目的税たる消費税をそれに充当してよいかどうかというのは、もう1つの判断のハードルがあると思っています。
(問)2011年度の税制改正の中で、所得税や相続税の増税を含んだ部分というのは、今回、税法の修正によって切り離されて先送りされることになりましたけれども、これはやはり消費税率を引き上げる前に必要な改革だと思いますか。また、今、与野党が対立している中で、2次補正あたりで実現する目途というのはあるのでしょうか。
(答)抜本改革の殆ど先取りという形で、所得税、法人税、相続税については税法が提示されておりますけれども、これは与野党協議で後に回すということになっておりますので、税制抜本改革の中で、そういうものを全部引き継いでいくということです。

(以上)