与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年4月8日

(平成23年4月8日(金) 10:38~10:54  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございました。特に御報告すべきことはありません。

2.質疑応答

(問)補正予算なんですけれども、4兆円規模で緊急性の高い、がれきの除去等を中心とした編成になりそうだと。この中で、財源なんですけれども、年金の国庫負担2分の1を3分の1に引き下げて、その捻出されたお金を用いて補正に充てようという意見もあるようですが、これについてどうお考えになっていらっしゃるか。特に、社会保障の一体改革との関係で、前提条件の変更にもなるかなと思うんですけれども、その点についてお願いします。
(答)国民年金法には、3分の1を2分の1に引き上げるということは書いてありますけれども、これは安定した財源を求めて上げるということが書いてあるので、自民党が2年先送りしたものを、今回は、平成23年度予算では安定した財源を求めないで3分の1を2分の1にしているということなので、そこからお金を引きはがそうか、引きはがすということをやっても引きはがさなくても、安定財源のほうが実現していないということが事実として両方のケースで残ってしまうということなので、問題は、それを震災復興に使うかどうかという問題が問題の核心ではなくて、安定財源をいまだ確保していないというところが、私は最大の問題だと思っています。
(問)そうすると、安定財源が確保されていない以上、今年度予算の成立した予算では2分の1にすることが入っていたわけですけれども、これを使うことはやむを得ないということになるんでしょうか。
(答)国会で、安定した財源なしのままに承認された予算なのですけれども、事は急を要するので、そのために用意した財源をこちらに使うと。しかし、問題は残ると。それは国民年金の国庫負担分を2分の1にするため、あと必要な2兆5,000億、これを工面しなければいけないのですけれども、年金法では、安定した財源を求めてという条件がついているので、これは政府や国会が、やはり法律に従って追い求めなければいけない大事な約束事だと、私は思っています。
(問)補正の4兆円という規模と、これは今検討中なんですけれども、この辺のところについてはどういう御感想をお持ちになっているんでしょうか。
(答)今回は、目の子でどんとお金を出すというわけではなくて、各省、各関係者から出てきた色々な要望を相当部分おさえてつくった予算ですけれども、4兆円という数字はまだ聞いていませんけれども、その程度に仮になるとしたら、それは掴み金的に渡すお金ではないと。きちんと、こういう目的、こういう目的というのが全部決まっていますということは理解していただきたいと思っています。
(問)昨日、日銀が金融政策決定会合を開いて、その中で震災地支援のために0.1%の地銀向け低利融資を新たに検討するということを明らかにしたわけですけれども、この政策についての大臣の御評価をお伺いできますか。
(答)国が被害に対して、あらゆる天災なのですけれども、直接補助をするということはない。阪神・淡路以降、300万なんていう話はあったのですけれども、原則としてそういうことはしてこなかった歴史の中で、政府や国の機関が手を差し伸べることができるとしたら、お金を用意するということ。しかも、かなりの低利で、そのお金が借りられるようにするということが、具体的な手段としては最も大事な政策手段だと思っています。したがいまして、日銀がやられたことは、時宜に適した、効果的なことだと思っています。
(問)海外の話ですけれども、財政危機に苦しんでいるポルトガルが、EU向けに金融支援を要請することを正式に大統領が表明したんですけれども、同じように財政問題を抱えている日本の経済財政担当大臣として、こういう事態が現実化したということをどう受け止めていらっしゃいますでしょうか。
(答)ポルトガルは、財政再建をやろうとして、案を出したら議会に否決をされて、結局は金利も9%近くまで上昇していって、どうにも持たないということでEU全体に助けを求めていったのですけれども、ギリシャ、ポルトガルと、ソブリンリスクが実際に出てくるということは、日本としてももって、他山の石とすべきだと私は思っています。
(問)1次補正で、国債を使わないという方向に行きそうな雰囲気なんですけれども、ただ2次補正とか3次補正とかになると、恐らく財源が足りなくなって国債を発行せざるを得なくなるんではないかと思うんですけれども、ただ、そうなりますと財政再建の面でまた厳しくなるということで、検討会議の中で消費税を上げることについても、国会内とか与党内で賛成の意見がもしかしたら増えるんではなかろうかと思うんですが、そういった国債発行と消費税増税について、今後どう考えるかお聞かせください。
(答)どう考えるというよりは、やらなければいけないということだけです。
 それから今日、閣僚懇で、ある大臣から、自粛というのをもうそろそろやめたほうがいいのではないかと。他の方からも意見が出たのですけれども、私も自粛というのは、経済学で言えば合成の誤謬で、みんなが不景気運動をしているような話になるので、それと、あるところで、そのことをはっきり国民に申し上げたほうがいいのではないかという発言をしておきましたので、いずれ、あまりどこに行ってもがらがら、イベントは全て中止というような、やはりそろそろ国民も普段の活動に戻るべき時期が、私は近づいているのではないかなと、そういうふうに思って発言したのですけれども。
(問)今、大臣は消費税について仰いましたけれども、趣旨としては、今後予定される復興のために、財源として消費税を引き上げるべきだということでよろしいですか。
(答)私はそこまで言っていないので、附則104条に書いてあるとおり、消費税を含めた法人所得、その他の税制に関して抜本改革を行うと。その法的整備は平成23年度中に行うということが書いてありますので、それに対して忠実に行動しようと思っています。
(問)先ほど、閣僚懇で自粛についてのお話があったということですけれども、自粛をもう少し続けたほうがいいというような意見は、基本的にはなかったということですか。
(答)それは被災地に関係ある方々は自粛なのですけれども、被災地の経済活動や人々の暮らしから随分離れている方、こういう方々は、もとの生活に戻っていただいたほうがいいのではないかなと思っています。
(問)税と社会保障の関係で、共通番号制度の要綱や大綱を出すスケジュールというのも4月と6月というふうになっていますけれども、この番号制度については予定どおり、やはり4月に要綱、6月に大綱というスケジュールは守られますでしょうか。
(答)みんなやります。
(問)ただ、その本体の議論のほうが、若干遅らせたほうがいいというような意見も民主党内にはありますけれども、本体の議論が遅れたとしても、番号制度というのは4月、6月並びに臨時国会にできれば法案を出したいというところは進めるべきなんでしょうか。
(答)それは社会保障制度改革を本気でやろうと思ったら、番号制度はどうしても必要だと。これは事務処理能力を早める正確さを期するということの他に、社会保障を受けるほうも漏れがないように、きちんとやるという意味では、番号制度は人のプライバシーを侵しているわけでもないし、個人情報に対してマイナスの影響を与えるわけでもない。やはりやったほうが公正、平等な透明性の高い社会保障制度が構築できますし、いずれその番号を使って医療行為の重複なども排除することができると、そう思っています。
(問)日銀の件で関連なんですが、昨日の決定会合では、金融政策自体は据え置きということで、全員一致で決定されたそうですけれども、先日、大臣の御発言の中で、震災復興という問題が出てくると、金融政策がどうあるかは、もう一度俎上に載ってくる問題だと仰っていましたが、その意味合いといいますか、どういったところがその俎上に載るべき問題だとお考えになられているのかを、金融政策の評価を含めてお願いできますか。
(答)国債の日銀引き受けという問題は禁じ手であるということを、やはり戦後すぐ出来た財政法にそう書いてある。それと同時に、やはり日本銀行というのは国から独立した機関なのであって、そこの自主性とか独立性が尊重されているが故に、日本銀行は世界の中央銀行と対等なつき合いが出来るという面があります。
 お金を刷ってそれを使うというのは、最も財政ではやってはいけないことなので、やはり市場で消化出来るかどうかということが、まさに国債の価値であろうと思っています。

(以上)