与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年3月25日

(平成23年3月25日(金) 8:45~9:11  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございましたが、閣議前、電力需給緊急対策本部がありまして、私は二つのことを申し上げておきました。
 当面は、今の節電で致し方ないと思いますけれども、やはり大事なのは、日本の経済に対する生産拠点に連続して電力を供給することであると。そのためには、一般家庭等の節電をお願いをすると。国民は、よく節電に協力してくださっているということは感謝の念に堪えないのですが、もう一段の節電のためには、電気料金の体系を変えるべきではないのかと。今も一般家庭は料金が逓増制になっていて、多分120キロワットアワーのところまでは低い料金、それ以上使うとキロワットアワー当たりの料金が上がるということで、もう少しナショナルミニマムのところを狭めることによって、節電ということが一層みずからの問題になってくると、そういう側面も研究していただきたいということを申し上げてきました。以上です。

2.質疑応答

(問)まずその点からお伺いしたいんですけれども、今のお話でいきますと、東京電力をはじめ、それぞれの負担の部分を、国民が広く薄く負うべきだという御発想になってのお考えということですか。
(答)電力料金の逓増制というのは、これだけの水準の電気は低い料金のところで供給しますと。それ以上使われる家庭は、ややそれより高い料金を担う力を持っているだろうと。多分3段階になっていまして、そういう最初のナショナルミニマムのところを少し狭めるとか、ジャンプするときのジャンプ率を少し高くするとか。料金の専門家でないので、あまり詳しく説明できないのですけれども、呼びかけて国民の自由なる意思で協力していただける部分と、やはり料金の持つ一定の効果というものを組み合わせて、節電を実現したらどうでしょうかということを御提案申し上げたわけです。
(問)あと、もう一点、別な話になるんですけれども、一昨日あたりから財金委員会とか予算委員会あたりで、野田大臣なども補正の時期等に言及し始めているんですが、まず一点目が、補正の第1次補正の時期について、予算成立前ではありますが、いつ頃が望ましいというお考えがあるのかという点と、その中で、今地方のほうから、がれきの撤去等をはじめ国のほうでかなり負担してほしいという声が大きく出ていますけれども、まず組むべき補正予算の中で、地方負担のあり方についてどういうふうにお考えになるかお聞かせください。
(答)それは阪神・淡路のときと違いますから、国・地方の負担の割合というのは、阪神・淡路の例とは違ってくるだろうと思っています。多分、被災を受けた地方自治体の負担能力というのは非常に低いものになっているはずですから、国が直接やるか地方交付税を通じてやるかは別にして、再建がお金の面から現実的なものになるようにしなければいけないのは、半ば当然のことだと思っています。
 それから補正の時期は、何回やるか、それはわかりませんけれども、当面、予備費の使い残し1,700億円と、平成23年度の当初予算が成立しますと、計上されている1兆1,600億円とが使えるようになります。しかし、多分それでは足りないはずなので、現実に出てくる被害にどう対応するかという補正は、多分この1カ月以内には、国会にお願いしなければならないような事態が予想されるのではないかと私は思います。
(問)もう一点、補正の財源の話、これは何度も聞いて恐縮なんですけれども、法人税率の5%の引き下げに見合う分の財源を、法人税率の5%引き下げを諦めて補正の財源にしてはどうかという話も、一部経済団体などからも出ていますけれども、ただ、成長戦略の兼ね合いともあって、そこの見直しについては是非、色々あると思うんですが、大臣のお考えがあればお聞かせください。
(答)こういう時期になりますと、法人税減税というのは、いわば、あることを奨励するような税制でなければならないと思っておりまして、それは雇用と投資、それから研究開発、こういうことのために法人税減税があるとすれば、それは正しいことであるし、社会的、経済的な要請があることだと思っていますけれども、今のような事態になったときに、こういう考え方の法人税というのが社会全体のニーズになっているかどうかということは、再考を要することではあると思っています。
(問)ガソリンが150円台に上昇しています。2年5カ月ぶりの水準だそうですが、これは、海外の要因が物凄く強いと思うんですけれども、これの見通しと、それから経済に与える影響。
 もう一つは、これは前回のガソリン国会のときに、一定水準を超える水準が3カ月続くと税金の税収がなくなる、国にとっては減るという仕組みになっています。これの可能性も無きにしも非ずかなと思うんですが、その辺の仕組みに見直しが必要ないのかどうかということを教えてください。
(答)あれは、外さなければいけない、やめなければいけない制度だと思っています。
(問)要するに、160円を3カ月超えると税が安くなるという仕組みはやめなくちゃいけないという、そういう趣旨ですか。
(答)スイッチは取り除くべきだと思っています。
(問)ガソリンの値上がりの、これは持続的に長続きするようなものなのかどうかというところについての見通しについてはどうお考えですか。
(答)私の知識では答えられないような複雑な要素で原油価格が上がっていまして、これは日本一人が心配しているのではなくて、アメリカの経済も、中国、アジア経済も、皆、今思っているのは、せっかく世界経済が良くなったのに、何故石油が上がるのかよというのが各国の現時点での反応で、石油の価格の将来について、私は占うだけの知識と見識がないということでお許しいただきたいと思います。
(問)最初に大臣が仰った電力の節電、節減の話ですけれども、オイルショックのときは、総量規制をやったり、企業にもそれなりの負担を求めて、皆で電力を確保したという記憶があるんですけれども、今回に限って家庭だけを対象にして、そこだけを強調して節電を促すという考え方は、僕はちょっとバランスを欠いているんじゃないかと思うんですが、それはいかがですか。
(答)石油ショックのときは、例えばネオンの規制とかテレビの深夜放送の取りやめとか、ありとあらゆることをやりましたし、個人にも節電をお願いしました。
 今回も、企業並びに企業に連なる事業所は、やはり節電をやっていただかなければならないのですが、最近の、例えば東電の需要の内訳を見ますと、これは夕方の6時から7時、ちょうど皆が電気をつける時間なのですけれども、個人の需要というのが約5割になっているという、昔では考えられない消費構造になっています。
 したがいまして、一番大きい消費部分のところで御協力をいただかないと、節電の実効は上がらないと思いますけれども、これは会社等、企業等の節電努力を放置するというものではありません。
(問)もう一つ、先日、内閣府が地震の被害額、あるいは経済に与える影響の試算をしましたけれども、ああいうものを見ると、やっぱり相当大きな補正予算が必要になるような気もするんですけれども、その中で改めて財源をどうやって確保するのかというのが大きなテーマになってくると思うんですが、その点について、大臣の基本的な考え方をお聞かせ願いたいと。
 特に、増税、減税、減税をやめるとか、税の問題と赤字国債と、あと年金の国庫負担の問題、一部やめたらいいんじゃないかというような問題と、幾つかのやっぱり組み合わせが必要だと思うんですね。そういう問題も含めて、ちょっと大局的な考えをお聞かせいただけますか。
(答)六つぐらい財源の話が出ているのですが、否定する部分から申し上げますと、今の年金基金の取り崩し。国民年金の国庫負担を2分の1に上げるという、こういうことはやめてはいけないことだと思っています。それからもう一つは、論者によっては国債の日銀直接引き受けというのがありますけれども、これについては否定的です。
 ですから、定性的なことだけ言えば、既定経費の節減と、それから税法に見直すところはないのかと、特に減税部分。それからもう一つは、他の党が言っておられる新しい考え方による税制。それから公債発行なのですが、一般的に財源は何かと問われると非常に難しいのですけれども、なるべく公債依存度は低くしたいという考え方はありますけれども、一方では、公債をきちんと発行して、それの償還財源も同時に決めておくという考え方もあると思います。いずれにしても、一つの財源だけには頼れない、これらの組み合わせになると思っています。
(問)その中で一つだけ、年金の2分の1の引き上げですけれども、これは麻生内閣のときに、3分の1から2分の1に引き上げると。条件として、その前提として、安定財源を確保するということが前提としてあったわけですけれども、それが出来ていないという中で、半ば政治判断として強行したと思うんですね。
 これは年金が、2分の1に国庫負担を引き上げなくても、当面、支払いが滞るとか年金財政が破綻するような話ではないと思うんですね。しかも、これが安定財源がない中で借金をして年金の財政だけ良くしても、国民経済的に全体として見て、それはプラスなのかという問題を考えると、やっぱり被災地で、今本当に必要なお金にそれを回すというのも、僕は十分考えられる選択ではないかと思うんですが、その辺はいかがですか。
(答)もともと、2年前に国民年金の国の負担分は2分の1にすると。その条文をよく読むと、御指摘のとおり、安定財源を確保した上でということが書いてあるのですが、それが出来ていないまま暫定的に、また安定財源を求めつつ、当面はこれでやるというようなことになっていまして、今御指摘になったような点も、多分これの対象に十分なり得る案件だと思います。
(問)社会保障と税の改革の点について、2点お願いします。
 大臣は国会の答弁などで、スケジュールどおり進めるというふうに仰っていらっしゃいますけれども、まず税と社会保障改革の作業スケジュールについての影響ですけれども、勿論野党などは早く政府案を出せという部分もありますが、集中検討会議に閣僚などもなかなか出席できない状況であるということも考えられますし、もう既に2週間遅れているスケジュールの中で、拙速した議論はどうかという話も出てくるかもしれません。今回の震災で作業スケジュールに与える影響がまず1点と、もう一つは、改革の中身についてですけれども、税と社会保障の改革ですから、勿論財源の話が出てくるんですが、今回、復興の予算にもかなり財源が必要だと思います。税と社会保障改革は進めなければならない課題ですが、これが財源問題で与える影響について、その2点についてお願いします。
(答)作業は抜かりなく進めてまいりますけれども、残念ながら、総理、官房長官、関係閣僚は震災対策で追われていますので、その方々を除いた部分で静かに作業をやっていかなければいけないと思っています。
 総理補佐官の藤井先生にお目にかかりましたら、補佐官就任に当たって、自分の辞令には税と社会保障をやれということが書いてあったので、君と一緒にやろうよということでありましたので、藤井さんにも御参加いただいて、各省の意見、各地方の意見等々、今まで意見を伺うというお約束をしている方々の意見は、きっちりお伺いをしてまとめたいと思っておりますし、かてて加えて、一応我々の中では、案をどうするかという議論も煮詰める方向で作業を進めたいと思っています。
 ただ、4月の末のことまで、なかなか現時点でお約束しがたい部分もありますので、特に今御指摘された、この震災対策と税・社会保障一体改革との繋ぎ目というのですか、連続性というのですか、そういうものをどうやって確保するかというのを、かなり今頭を悩ませているところです。
(問)先ほど暫定税率の絡みで、スイッチを取り除くべきだということを、暫定税率の160円が3カ月続いた場合の。これをもう少し詳しく理由を、財源のほうを御懸念されているのか、その辺をちょっと詳しくお聞かせいただけますか。
(答)160円を超えて、それが一定期間を経過すると暫定税率のほうが税収がなくなってしまうという状況ですけれども、もともと、原油の価格、ガソリンの価格というのは、政府が決めているわけではなくて、市場が決めている話。こういう中で、そういうスイッチが入ってしまうと、国の税収がまたまた落ち込んでいくということですから、それも経産省でちゃんと検討しなければいけないことであると思っています。
(問)最初の、電気の節電の会議で大臣が御発言された後、どなたかがそのことについて閣僚の間で意見を交わされたのか。賛同の意見が多かったのか、それとも検討課題であるというような反応だったのか。他の方の反応はどういうことだったのか、他の人の意見はどうだったのか。
(答)蓮舫大臣が私の隣に座っているので、メモを1枚書いてお渡ししておきましたら、会議の最中は海江田さんと蓮舫さんが、これは良いアイデアなので持ち帰って検討しますと言って、蓮舫さんとは閣議後、ソファーに座ってお話をして、幾つか気がついた点を申し上げました。蓮舫さんも、こういう考え方は良いのではないかという印象を持たれたと思います。

(以上)