与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年3月22日

(平成23年3月22日(火) 8:43~8:57  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございました。

2.質疑応答

(問)地震から10日余り過ぎまして、復興の話もぼちぼち出てくるのかという時期になるのですが、その復興資金の財源をめぐりまして、いわゆる4K予算の流用ですとか、あるいは、今日、一部報道で年金国庫負担財源の2分の1引き上げの2.5兆円の流用などの案が、色々取り沙汰されていますけれども、恐らくかなりの規模の資金、財源を必要とするかと思うのですが、この財源の手当てについて、現段階について大臣のお考えをお伺いできますか。
(答)財源というのは、考えられるのは既定経費の節減。それから、一部で新しい税の考え方。それから公債発行。それで、年金特会にはお金がありますけれども、年金特会のお金を災害復旧に使うということは、年金に対する基本的な考え方を崩しますので、好ましくないと思っております。
(問)政治的な枠組みの話なのですけれども、自民党の谷垣総裁が、菅首相の大連立の申し出を即座に断りましたが、大臣はかねてから何らかの与野党協調の枠組みが必要だとお考えになっているようですが、こうした野党側の対応をどう思っていらっしゃるか。それから、今後政府としてはどういうふうな姿勢でこの件に臨まなければいけないか、お考えを教えてください。
(答)もともとねじれが発生して以降は、物事の決まり方が社会のスピードについていけないという現象が起きています。大震災が起きてみますと、なおさら国としての意思決定の迅速性や的確性が求められていると思っております。このねじれというのは、何回選挙をやってもこれが解消できる保証はどこにもないということをよく考えると、やはり今の日本の政治は、政権は確かに民主党がとっているけれども、国会の構成を考えると、野党の皆様方にも半分の発言権と半分の責任があるのだろうと私は思っています。
 そういう意味では、特にこういうときですから、やはり意思決定の速度を早めるような仕組みをつくる。それは、ベストなのは、やはり連立を組むということだろうと私は思っております。どうやったら組めるか、それは政治家同士の話し合いになると思いますけれども、菅総理の電話の後の谷垣総裁の記者会見をよく読むと、必ずしも今後とも一切そういう可能性はないというふうに断定的に拒絶をしたわけではなくて、電話でのお話で、やや猪突であったということでありますし、石破政調会長のぶら下がりを聞いても、もう少し下準備が必要なのではないかというお話なので、願わくはそういうことが実現できれば、震災対策を始め、国民に必要な事柄が迅速かつ的確に決まっていくのではないかと思っています。私はそのことを願っています。
(問)先日もお伺いしたのですけれども、みずほ銀行のシステムトラブルの件で、大臣に先日伺ったところ、顧客に迷惑はかかるかもしれないけれども、マクロな経済で見ると大したことはないというような御発言だったのですが、連休明けの今日も、午前中も依然としてシステムトラブルが続いているということで、かなり大きな影響が出ているのですけれども、改めて大臣の御所見を頂戴できればと思います。
(答)受払いというのは銀行の基本的な仕事なので、それがきちんと出来ないというのは、やはり銀行として落ち度があることだろうと思っています。しかし、やがては復旧するだろうと思っておりまして、やはりコンピューターシステムというものを安定的に運営するというのはかなり難しい技ですけれども、そういうものに対してもきちんとやっていただきたいというのが私の気持ちです。
(問)市場動向についての御意見をお伺いしたいと思います。介入以降、為替は81円付近でもみ合いになっておりまして、株も世界的に少し上がったようですけれども、これがある程度、介入の効果によるものなのかというところと、仮にそうであるとするならば、ある意味、人為的に無理やりお金を使って修正をしたわけですけれども、市場のほうではその持続性、この安定した状態が続くのであろうかという声も早くも上がっているようなので、その辺についての御見解をお願いします。
(答)恐らく、それが予測できれば何も言うことはないのですが、為替も株も、市場動向というのは市場に参加している人達の心理的な動きの総和ですから、私一人でとても予測がつくものではありません。
(問)福島原発の事故ですけれども、相当時間は経っているけれども全く収束するという見通しが立たないという状態になっていますけれども、福島だけではなくて、日本には、極めて地震のリスクがあって、その地震が発生する場所に幾つも原発が建っていると思うのですね。大臣、前回は見直す必要はないというお考えでしたけれども、本当に中長期的に見たときに、原発をこのまま抱えてこの国はまともな経済運営、社会運営をやっていけるのかという疑問を、私は非常に強めているのですけれども、大臣のお考えはいかがなのでしょうか。
(答)我々の暮らしというか、日本の経済というのは、エネルギーの消費の上に成り立っているわけです。これは、経済成長率のカーブとエネルギー消費のカーブを重ねて見ますと、ほぼ同一の線上に並んでいます。日本では、既に3,000万kW以上の原子力発電所を持っていまして、石油が段々希少資源になってきていること、それから環境問題も、CO2の排出についてはかなり高めのことを言ってしまっていること等々を考えると、やはり将来とも原子力というのは、日本の社会や経済を支える最も重要なエネルギー源であるということは間違いないと私は思っております。
 私も若い時分、原子炉をつくる、原子力発電所をつくる会社にいましたけれども、地震対策というのは、それは物凄くやっておりましたが、あれほどの津波というのは、色々な設計思想には入っていなかったと思っております。日本中どこの地域を探しても、環太平洋火山帯、環太平洋地震帯の上に乗っかっている国ですから、その運命は避けようがないと私は思っています。
(問)大臣、その最後の、運命は避けようがないというのはどういう意味ですか。
(答)この国で地震とか火山噴火ということが起きる、そのことは避けようがないことだということです。
(問)だから、原発はやめたほうがよいということになるのではないですか。
(答)それは、そういう御意見があれば、それを代替するものは一体何かという問題になってきます。
(問)一部の地域が、あるいは被災するという、その犠牲の上、そういう犠牲を覚悟であるということなら一つの考え方だと思うのですけれども、代替エネルギーを示すということを示さなければ出来ないなどということではなくて、代替エネルギーを考えるのが政府の仕事なのではないですか。
(答)随分考えてきましたけれども、代替エネルギーがもたらすエネルギーの量と日本人が必要としているエネルギーの量との間には大きなアンバランスがあって、数字にして1桁以上、2桁ぐらい違う数字が出てまいりますので、全く生活水準を落とす、経済活動水準を落とすということであれば、そういうことも勿論可能であります。

(以上)