与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年2月14日

(平成23年2月14日(月) 9:17~9:31  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 本日、公表いたしました2010年10-12月期GDP速報1次QEでは、実質成長率が前期比0.3%のマイナス、年率に換算しますとマイナス1.1%。名目成長率が前期比マイナス0.6%、年率にしますとマイナス2.5%となりました。
 10-12月期の実質GDP成長率がマイナスとなった背景としては、7-9月期における自動車やたばこの一時的なかけ込み需要の反動減等による民間消費の減少が挙げられます。また、アジアにおける生産の減速等を背景とした輸出の減少、これも指摘されているところでございます。
 なお、2010年暦年で見ますと、実質プラス3.9%、名目プラス1.8%であって、3暦年ぶりのプラスでございます。
 10-12月期における景気の足踏み状態を確認する内容でございますが、このところ自動車の販売や生産に底打ち感が出てきているなど、一部に持ち直しに向けた動きも見られるところであります。先行きについては、当面は弱さが残ると見られるものの、海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待されます。ただし、海外経済や為替市場の動向等のリスクには注意が必要であります。また、予算関連法案の動向などにより、政治の問題解決能力への市場の信頼がどうなるかという点もリスクの1つとなり得ます。
 政府は、3段構えの経済対策に基づき、まずは現在実施中のステップ1、ステップ2を着実に推進する。さらに、成長と雇用を重視した23年度予算や税制等からなるステップ3に切れ目なくつなぎ、雇用を基点とした経済成長の実現を確かなものとしてまいりたいと考えております。
 なお、先ほどの中でマイナス0.3ですけれども、このうち内需の寄与度がマイナス0.2、外需の寄与度がマイナス0.1でございます。実質成長率は、御承知のとおり、5四半期ぶりのマイナスとなっております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)2010年の暦年で中国に抜かれたことが確定したわけですけれども、その点について御所見をお願いします。
(答)我々は順位を争って経済をやっているわけではなくて、国民生活をより豊かに充実するためにやっているわけです。そういう点では、中国の経済が躍進しているということは、隣国としては喜ばしいことでありまして、東アジア、東南アジアを含めたこの地域経済が一体的に発展していく、その礎の1つになっていると私は思っております。経済関係に関しては、日本と中国のさらなる友好関係を、また良好な関係を深めてまいりたいと思っております。
(問)先ほど大臣が政治の問題解決の能力が試されているという趣旨のことをおっしゃいましたが、もう少し読み解いてお話しいただけますでしょうか。
(答)これはS&Pとかムーディーズのコメントなんかにも若干出てまいりましたけれども、やはり現在の国会状況等を見ますと、果たして予算、予算関連法案、税法、こういうものがスケジュールに合わせてきれいに通るだろうかということも市場としては心配しているでしょうし、社会保障・税一体改革、財政再建、これら日本が直面する問題も、菅総理が言われたスケジュールにきちんと乗るかどうか、国会情勢、各政党の物の考え方、こういうものは現時点では確たることが言えないわけでして、それが市場関係者にとっては若干不確定要因として認識されているということです。
(問)今回、5四半期ぶりにマイナスということで、足踏み状態を確認されたということなんですけれども、この状態を脱するために、大臣としては何が今後一番のかぎになるとお考えでしょうか。
(答)御説明の中にありましたように、自動車、たばこ等、たばこは値上げ、自動車はエコカー補助金の終了、こういうものでかけ込み需要があったものが、そういうものがなくなったということで、いわゆる特別な状況での特別な事柄で、特にこれに対して対策をとるという状況ではないと思っております。
(問)2点お伺いしたいので、1点ずつお願いいたします。
 1点目は足元の状況なんですけれども、先週企業の四半期決算が相次いで発表されて、このQEとは逆にそこそこにいい数字が出そろっているんですけれども、その状況を踏まえて、足元及び先行きへの評価をまずお伺いできますでしょうか。
(答)最後のところは……。
(問)足元及び先行きへの評価を現時点でお願いできますか。
(答)アメリカの経済も、失業率等に苦しみながらも、非常に力強さが見えてきたということもあります。中国、アジア等はむしろ過熱気味で、金利を上げるという状況で、日本の経済活動の環境は必ずしも悪くないと思っておりますので、10-12月の数字がマイナスに出たということは特殊な要因で起きたことで、いわゆる日銀、政府も同じ考え方で、一見足踏みをしているけれども、経済は上向いていくという認識でございます。
(問)もう1点は、暦年で見たときに、リーマンショック以降、3年ぶりにプラスになりました。今回のマイナスの要因になっているのは国家補助金の反動減ということですけれども、リーマンショック時に経済財政担当大臣をされていて、あらゆる経済対策を打たれたと思うんですが、ある意味この2年間のマイナスを経て、ようやくプラスに戻ったということについてどうお考えになるのか。この時点でようやく巡航速度に戻ったかなというふうな見方もあると思うんですが、この2年間の傷の深さ、あるいは戻り方というのをどう評価されますか。
(答)御存じのように、日本の経済は内需主導型の経済であります。85%は内需であり、15%は外需、それはリーマンショックのときの状況ですけれども、その肝心な外需の部分が半分になったという大変な状況になりました。これはその後、G7、G20を通じて各国が政策協調をやって、財政出動も行って、ようやくここまで来たと。また、各主要国の中央銀行も十分な資金供給、流動性の供給をやったと。財政面からも、金融政策面からも、世界の主要国が最大限の努力を払った結果が今少しずつあらわれているというふうに思っております。したがいまして、そういうものに支えられてきた過去でございますから、将来手放しで喜べる状況とは、とても私は考えておりません。

(以上)