与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年1月21日

(平成23年1月21日(金) 10:44~11:06  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 本日は、閣議前に政府・与党社会保障改革本部がございまして幾つかのことを決めました。
 まず本部メンバーは今回の改造等によりまして人事が若干異動をいたしました。後ほど必要であれば新しいメンバー表をお配りいたしたいと思います。
 また、社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会のメンバー交代もございましたが、これら2つは異議なく御了承いただきました。
 第三に、新たに決まりましたことは、社会保障改革に関する集中検討会議の設置を決定をいたしました。この集中検討会議は、社会保障・税一体改革を集中的に検討するとともに、国民的な議論としてオープンに進めていくために総理を議長として少数の閣僚及び与党幹部と民間有識者から成る会議を本部の下に設置するものでございます。
 本日の本部では、この集中検討会議の設置については御了承いただき、集中検討会議の具体的な人選は総理、官房長官に御一任することとされました。
 補足いたしますと、労働界、財界、アカデミズムの世界、いろいろなところから御参加をいただきたいということです。
 会議において、菅総理からは、関係閣僚に対して指示がございまして、その指示の内容いては総理指示という形で紙がございますので、後で、必要な部数をこちらで用意してございますので御参考にしていただきたいと思っております。
 次に、閣議になりまして、私から経済財政の中長期試算の関連の発言がございました。これもお手元に資料を配付しておりますので、詳しく勉強されたい方はぜひ当省の専門課に遠慮なく聞いていただきたいと思っております。
 閣議は案件どおり、閣僚懇も特に御報告することはございません。
 以上です。

2.質疑応答

(問)今、大臣からも御発言がありました集中検討会議に関してなんですけれども、最初の会議のスケジュール感と、あとは2008年の社会保障国民会議のときのように、医療、年金、少子化といったように分野ごとの分科会を設けたりというようなお考えがあるかどうかという点をお聞かせいただけますでしょうか。
(答)私は重ねて申し上げてきましたように、例えば年金に関して言えば、日経新聞の案、読売新聞の案、朝日新聞の案、それから連合、経団連、同友会、また自民、民主、有志の方の案とか、それから自民党の女性の議員だけの案とか、また日本各地における研究者、学者グループの案等も多分存在すると思います。そういうものにきちんと全部目を通していくということが第一段階であると思っております。
 当然、各党が今まで言われてきたことは、民主党のみならず、自民党、公明党等、社会保障のいろいろなお考え方を提示されているわけですから、そういうものをきちんと勉強したいと思っております。
(問)2点目なんですが、また社会保障の件で、今、番号制度の会議をまた再開させるということだと思うんですが、関連しまして、低所得者対策としての給付付き税額控除に関しては、今回、一連の会議の中で議論したり、6月末までにまとめる中で議論は必要とお考えでしょうか。
(答)これは、いずれ問題になることは幾つかあります。税制改正の中でも消費税導入と経済との関係、それから逆進性を主張されている方がありますので、負担と給付を合わせたときの水準というのは逆進性を解消する方向にあるという議論もあります。それから、税を段階的に上げていくのか、複数税率はどうなのだという議論も世間では広く行われているわけです。これらの議論はもうすべて最終段階に必要な議論でございまして、そのための準備をいたしますけれども、まだ細かいところまではいっていないというのが現状です。
(問)3点目なんですが、今また御指摘のありました経済財政の中期試算に関してなんですが、2020年度に基礎的財政収支の黒字化をするという政府目標に比べると、いずれのシナリオでも大きな赤字幅が残るという結果になっていると思います。
 仮に消費税分を社会保障にしか使わないとした場合には、その他の税目での増税ですとか、厳しい歳出削減が必要というふうに見られるかなと思うんですけれども、政府財政再建目標の道のりというものを今どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、教えていただけますでしょうか。
(答)これは言うまでもないことなのですけれども、無駄、行政改革を通じた、やはりスリム化、これも一つどうしても避けて通れない。それから、成長戦略で経済を大きくするというその考え方も避けて通れない。また、歳出削減だけではなく、歳入をどう増やしていくのかというのは、まさに税の一体改革、法人税、所得税、相続税、消費税含めた全体の姿を描かなければいけないということでございまして、2015年、プライマリーバランス半分のところまで到達すると、2020年には何とかプライマリーバランスを到達するというような歳出改革と歳入改革、両方をやらなければ到達できない目標だと思います。
(問)2点お願いしたいんですが、1点目、総理指示にもありますが、国民的な合意を得るというのは、与謝野さん御自身のお考えとして、どういう状況になったら国民的な合意を得たというふうになるのかというのをもう少し具体的にまず教えていただけないでしょうか。
(答)税に関する国民的合意を得る、特に負担が増えるときの合意を得るというのは、恐らく政治家がやる仕事の中で最も難しい仕事だろうと思いますし、誰しもが避けたいと思う仕事であろうと思います。
 ただ、やはり社会保障制度を維持していくため、持続可能性を国民に訴える必要がありますし、先日も御質問があった中でお答えしましたけれども、自分の払った税はいずれ時を経て自分のところに返ってくるという確信があって初めて国民は負担増ということに心を開いてくださるのではないかと、私はそう思っております。
 そういう意味では、国民的なコンセンサスというのは、言葉では易しいことですが、それを達成するための努力というのは政治がやらなければいけない仕事ですけれども、相当大変なことであろうと思っております。
(問)恐らく基本的には減税ということは考えられなくて、所得税やほかの税も含めて増税という方向だと思うんですけれども、その中で、おっしゃったように、例えば議員定数の削減とか、公務員人件費の削減とか、そういった身を切るところとやはりセットでないとなかなか負担増の理解というのは得られないかと思うんですが、その点どうお考えでしょうか。
(答)議員や公務員たちだけぬくぬくという印象は絶対与えてはいけないと思っております。
(問)今日の試算では、2020年度に、単純計算すると、消費税の分で計算すると、計算の仕方にもよるんですけれども、約8%から9%分の増税がないとプライマリーバランスが黒字化しないといっていると。もう一つ、消費増税をした場合の使い道という問題があって、社会保障の機能強化に使うということと、赤字を埋めるということと、まだいずれも結論は出ていないと思うんですけれども、かなり両立が厳しい数字ではないかと。もしこの両方を達成するとなると、さらにもっと高い税率が必要になる可能性もあるかもしれないんですけれども、そこのところをどう整理されているのかということと、もう一つは、子ども手当とかマニフェスト施策について、この数日間で総理とかほかの閣僚と、この改革の中に含むのか、含まないのかということについて議論されたのか、この2点について教えていただけますか。
(答)まず第1点は、いろいろな数字が頭をよぎりますけれども、まずはいろいろな制度の各方面の御提案を地道に勉強するところから始めなければならないと。そういう勉強を通じて、国民も年金や医療に対する御理解を深めていただける機会が提供できると思います。
 総理とは、2番目に言及された点については話をしておりません。
(問)集中検討会議の件で、もう少しより具体的なイメージを知りたいのですが、かつて経済財政諮問会議と、例えば安心実現会議があって、前者のほうは、政策を決定していくためにかなり総理中心に詰めた議論をやる場であり、後者のほうは、大臣が今おっしゃるような国民の理解を深める場になっていたと私は印象を受けているんですが、新しい今度の会議体というのはどちらの役割を果たすのか、あるいはその両方の役割を果たすのか、もう少しより具体的な会議のイメージを聞かせてください。
(答)物事の決定をいたしますのは政府・与党の会議であり、最終的には閣議であろうと思っております。
 この検討会議では、広く日本の社会で今まで発言されてきた、今まで発表されてきたいろいろな考え方、アイデア、そういうものをきちんと把握し、整理し、それに基づいて素案をつくっていくという作業をやらなければならないと思っております。
 やはりこの案をつくるということは、案をつくりながら少しずつ国民の御理解を深めていくという、そういう側面がないといけないと思っていますので、私としては、なるべくそういう議論が行われる場にライブのテレビで皆様方も間接的に御参加いただけるようにしたいと思っております。
(問)大臣に1点だけお伺いしたいんですけれども、地方自治体の中で子ども手当の地方負担を拒否するというような動きが最近出ていますけれども、これについての御所見、1点だけお願いできますでしょうか。
(答)これは総務大臣の所管なので、私が直接お答えすることは不適当なのですけれども、地方もなかなか財政が苦しいと、これは私は率直に認めます。地方が今まで持っていた分を国で持ってほしいという願望はあらゆる税目についてあるわけでして、恐らく賢明なる総務省、総務大臣がこの問題をうまく解決してくださるものと思っております。
(問)2点お願いします。
 与謝野大臣は、この税と社会保障の一体改革のスポークスマンだと藤井副長官がおっしゃられまして、今、テレビ出演を何度も重ねられて理解を訴えていらっしゃいますが、それによって理解は深まってきたというふうにお感じでしょうか。
 また、総理がおっしゃっているこの「国民的な合意を得た上で」という表現ですけれども、国民的な合意を得たというのは、超党派で議論がなされて、それで解決すれば国民的な合意なのか、あるいはその先に総選挙といったような改めて合意が得られたかを判断する場が必要なのか、どのようにお考えでしょうか。
(答)私の数回のテレビ出演で、国民の理解が深まったなというふうには私は考えておりません。
 国民的理解が深まったというのは、政治家が自分で判断しなければならない最も難しい判断の一つではないかと思います。
(問)幼稚園と保育所の一体化に関してなんですが、幼保一体化でこども園の導入とともに、幼稚園と保育所を併存させる方向で政府が最終調整に入ったとの一部報道がありましたが、事実関係と、この幼保一体化に関する大臣のお考えを伺えますでしょうか。
(答)私が前回この席に座っているときに、麻生太郎総理大臣と河村建夫官房長官が、「幼保一元というのはいいのではないか、与謝野ちょっと勉強しろ」と言われたことがあるのですけれども、勉強する間もなく、幼稚園を支持するグループから、また保育園を支持するグループからすごくしかられまして断念したことがあるくらい、これは政治的にも難しい問題が含まれています。
 というのは、両方とも、自分たちは幼稚園をやってきた、自分たちは保育園をやってきたというそれぞれ独立した自負心がありますから、二つ一緒になってくださいと言っても、「はい」とはなかなか言いづらい心境があるのだろうと思います。
 ただし、お金の話でネックを言えば、お金をもう少しスムーズに流せばこの幼保一元化というのは可能であるし、幼保一元にしたほうが子どもを預ける親御さんの気持ちや手間も随分変わってくるのだろうと思っています。
(問)民主党がマニフェストの見直しを検討するということにしていますが、与謝野大臣は見直しの必要性があると感じていらっしゃいますか。もしも必要性があるとすれば、どこのあたりを見直したほうがいいと思っていらっしゃいますか。
(答)私が申し上げるまでもなく、民主党の党大会では見直しをするということを言っておられますので、そうかなと思っております。

(以上)