与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年1月21日

(平成23年1月21日(金) 15:05~15:20  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 ただいま、官邸で月例経済報告等に関する関係閣僚会議が開催されました。
 私からは、お手元に配付してある資料の前段を御紹介し、齋藤統括官が細部にわたって報告書の内容を御説明されました。その後、日本銀行総裁から経済状況についてのお話があり、質疑なく、そのまま終了いたしました。
 以上です。

2.質疑応答

(問)先月に比べまして、「足踏み」という表現は残しつつも、「一部に持ち直し」という部分で、判断を上方修正された背景というのを教えていただけますでしょうか。
(答)若干、上方修正していますのは、自動車を中心としたところで、やや明るい兆しが見え始めたというところによります。
(問)そうしますと、今回の景気認識では、足踏み又は踊り場明け後に景気が後退するほうの局面に入るリスクというのは、先月までに比べて軽減されたというふうに考えてよろしいのでしょうか。
(答)経済は生き物ですから、そう簡単にはまいりませんけれども、次の月例経済報告のところまで大きな変化はないと思っております。
(問)この踊り場、もしくは足踏みの脱却の時期をどういうふうに考えていらっしゃるかという点と、また、その持ち直しや回復に至るために必要なポイント、注意しなければいけないポイントというのはどういうところにあるのか教えていただけますでしょうか。
(答)齋藤統括官が来ましたので、ちゃんとした人の話を聞かれたほうがよいと思います。
 持ち直しの時期は考えているか、ちょっと話してください。
(齋藤統括官)持ち直しの時期というのを具体的に申し上げるということは非常に難しいのですけれども、今まで足踏み状態をもたらした要因というのは、自動車の減少と、それから輸出の減少というのがありました。それぞれについては、一応、今、下げどまりの動きを示しているところにありますので、これが確かに定着するということになると、足踏みから持ち直しというふうに動くということだと思います。
(問)この後、景気の先行きをどう御覧になられているか。特にリスク要因など、どのあたりにあるとお考えかということを教えていただきたいのが1点と、雇用の部分は失業率が高水準のままとどまっていますけれども、政府としては雇用対策に力を入れてこられているかと思いますが、依然この水準が続いているということをどう受けとめていらっしゃるかということをお答えいただけますでしょうか。
(答)失業率の5%というのは、確かに欧米諸国と比べれば随分よい数字のように見えるのですが、伝統的な日本の雇用環境から見るとまだ高いと私は認識しておりまして、総理が「1に雇用、2に雇用、3に雇用」と言われているように、やはり雇用問題は国民に安心を与える最大の問題ですから、菅内閣としては、既に失業されている方、あるいはこれから学校を出て就職されようとしている方、こういう方には政府が持っているあらゆる政策ツールを動員して、この問題には全力で取り組まなければならないと思います。特に、新卒者の就職内定率が7割を切ったというのは深刻な問題でございまして、いわばロストジェネレーションをつくりかねないような深刻な問題だということは、政府も認識しなければなりませんし、雇用する企業側も、いずれ自分たちに跳ね返ってくる問題だという認識を持って事に当たらなければならないと思っております。
(問)今回の上方修正の大きな要因が、やはり自動車というところがあると思うのですが、大臣は、前回、経済財政担当大臣をされていたときに、自動車に関する優遇策という大幅な景気対策を打たれたわけですが、今回、その反動があって、さらにそれが持ち直してきたという局面を御覧になって、当時思っていたのと比べて、政策の反動減ないし持ち直しというのがどの程度のインパクトだったか、当時の予想を上回るかどうかという評価について伺いたいのですけれども。
(答)リーマンショック以降、私は経済財政、金融担当、財務大臣と3つやっておりまして、エコカー減税というのをやったわけでございます。これは、確かに効いたのですけれども、この薬が切れたときには大幅な反動減があるだろうということは当初から予想しておりましたが、にもかかわらず、自動車に明るい兆しが見えるということが、やはり景気見通しを上方に修正したということの根拠となっているわけです。これは、テレビの出荷とか売上とかを見ていただくとわかるのですが、政策が切れたときに一挙に落っこちるというのは、それは政策を導入したときに当然知っていたわけなのですが、やはり2008年以降の不況に対して、こういう政策を導入せざるを得なかったという当時の苦衷も御理解いただきたいと思っております。
(問)この先、今、一部に持ち直しに向けた動きが出てきているということなのですけれども、これがどんどん広がっていくためには、あるいは景気が持ち直して、さらに回復に向かっていくためには、どういったことが必要だとお考えでしょうか。
(答)短期的には、新興国経済、あるいはヨーロッパ、アメリカの経済が順調であるということが必須の条件であると思っております。それから、国内に関していえば、需要の喚起、特に今までとは違う医療とか介護とか、その他の分野の需要喚起が政策的に成功するかどうかということにもかかっておりますし、中長期的にはどこの国にも負けないイノベーション、商品、イノベーティブなサービスを日本人がつくり出せるかということにもかかっているのだろうと私は思っております。
(問)リスク要因が幾つかありますけれども、やはりその中でも一番深刻といいますか、大きな問題というのは、大臣御指摘のヨーロッパの問題ということになるのでしょうか。
(答)ヨーロッパはヨーロッパで、EU並びに欧州中央銀行が中心になってやっておりますけれども、やはり当面のことはきちんとやってくださいましたけれども、まず、まだソブリンリスクというのは奥の深いものもありますので、そういうことは一応、考え得るリスクなのですけれども、人類の経済史上の中で幾つもの危機に立ち向かった経験が、そういうものに対する対策の確立に非常に貢献しておりますので、リスクは存在しますけれども、それに対する対策がないかといえば、それに対する対策は、ヨーロッパ内にも、また国際的にもあると私は考えております。
(問)日本銀行総裁とのお付き合いの仕方というか、日本銀行との関係でお聞きしたいのですが、今日、月例経済報告で、日銀との関係では、従前とここは変わらず、同じ席に座られると。それで、今日、新成長戦略実現会議があって、恐らくそこでも同席されると。今、日銀決定会合には、政務官や副大臣が出ています。ここは、若干、自民党時代とは違うところだったりもするのですけれども、総じて見て、以前とお付き合いの仕方とか距離感とか、そういう部分で何か不都合があったりしないのか。経済財政諮問会議がないのですけれども、そのこととも絡めてどう御感想を持っていらっしゃるか。政策の意思疎通は十分できる体制になっているとお考えになりますでしょうか。
(答)日本銀行は、十数年前にできた日本銀行法によって運営されている国の機関ではあるけれども、独立性が極めて高い。日本銀行の目的は、物価の安定である、それから金融システムの健全性の維持であるということが書いてありますけれども、一方では、政府の経済政策との協調ということも日本銀行法には書いてございますから、制度上、何の問題もない。白川総裁、山口副総裁とは旧知の間柄でございます。多分、コミュニケーションは、今までと同じようにうまくいくと思っております。
(問)今回の景気の基調判断の上方修正の要因になりました自動車の生産の回復というか底打ちなのですけれども、エコカー補助金の反動減からの底打ちが、大臣は早い、意外と早かったというふうにお考えでしょうか。
(答)それは、何ともコメントできない難しい問題なのですけれども、エコカーのときにはプリウスとか、いろいろな品種に偏った生産増があったわけですけれども、国民のニーズはある程度、幅広いものがありますので、これは自動車の専門家に聞かなければわからない話なのですけれども、早くとも遅くとも、私の知識ではコメントできないということです。

(以上)