玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年8月12日

(平成23年8月12日(金) 10:30~10:47  於:内閣府本府5階522記者会見室)

1.発言要旨

 本日は、平成24年度から26年度の中期財政フレームが閣議決定されました。
 中期財政フレームについては、10年計画の財政運営戦略の柱の一つで、3年計画を毎年ローリングさせるものです。今回、国家戦略室において、24年度から26年度を対象とした中期財政フレームを策定しました。
 ポイントは、震災復興等、喫緊の課題に最優先で対応する一方、財政健全化は着実に進めるというものです。
 震災復興につきましては、別途財源を確保して、多年度で収入と支出を完結させる仕組み、枠組みを定めておりますので、別途管理にしております。
 同様に、B型肝炎についても別途管理です。
 他方、それらを除く部分について、歳出の大枠71兆円以内、国債発行額44兆円以内の規律は維持しています。
 中期財政フレームは、今後、平成24年度予算編成へ向けた準備作業を進めていくためのベースになります。これを前提とした予算編成の中身について、今後、議論をしていきたいと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)再生可能エネルギー特別措置法案については、第三者機関の設置などにより、修正を経た上で成立の見通しになっていると思いますが、そのときにポイントになってくる買取価格を幾らにするかというところで、高くしないと再生エネルギーが普及しないし、高くすると鉄鋼業界などが困るとか、エネルギー・環境会議でも出されました発電コストの試算ともいろいろリンクしてくる話だと思うのですが、そこら辺を含めて、買取価格について、どのように考えていますでしょうか。
(答)調達価格、買取価格の問題があるのと、きめ細かく料金設定をするかどうか、価格設定をするかどうかという問題があるだろうと思います。
 今回、きめ細かく価格設定をすることになりましたので、導入量は想定を上回っていくのではないかと期待をしています。
 同時に、価格が確かに問題になるわけでありまして、中立的な委員会でご議論をいただきます。
 多消費型産業に関しては、どこを対象とするかを含めてよく調査をし、その上で別途軽減措置をとっていく内容で、昨日、合意したので、その合意内容に沿ってスタートさせていくことだと思います。
 大事なことは、それぞれ早く走らせることで、それぞれ見直しの規定が入っております。初めての試みですから、走りながら柔軟に見直しをして、そして再生可能エネルギーの導入量を増やしていくことが大切ではないかと思います。あまり硬直的に縛りをかけてしまい過ぎると、かえって導入量が想定を下回ることも考えられますので、そこは柔軟に考えた方がよいと考えています。
(問)中期財政フレームについて、復興予算などは別途管理するということですが、例えば、震災の影響で経済的な停滞とか社会的な影響もあると思いますけれども、フレームの緩和を検討されなかったのか、その中でこのフレームをまた維持されるという意義を改めてお願いします。
(答)言うまでもなく、震災復興は急務です。同時に、我が国のデフレ脱却も大切であります。我が国だけではなくて、世界中で、経済成長と財政の両立の問題が、今、投げかけられていると思います。
 我が国も同様に、財政は一方で有事であるという状況だと思います。特に財政のマーケットは、非連続的に、突然、暴落が起きる可能性は、だれにもわからないというのは否定しにくいわけで、そういう意味では、経済に対しての、また、国際マーケットに対してもしっかりとしたメッセージを打ち出すことが大切であると考えております。
 したがって、復興について、別枠にするということは経済へのメッセージであり、同時に、一方で、歳出の大枠は維持するということは国際マーケットへのメッセージであると思います。
 なお、中期財政フレームの最後のところに、震災等による経済上のリスクを懸念する声もあり、こうしたリスクが顕在化する場合には、柔軟かつ機動的な財政運営を行うよう努めるということも書かせていただいておりまして、今、ご心配いただいたようなことにも対応できるようにしたいと考えております。
(問)昨日、再生可能エネルギー特別措置法案の修正協議が合意に達しまして、菅総理の退陣に当たる3条件がほぼ整った形になると思うのですが、党内で次の代表を選ぶ代表選に向けた動きが本格化する中で、大臣ご自身は、次の代表、総理にどういう資質が求められるとお考えでしょうか。
(答)一般論で申し上げれば、特に、こういう危機における指導者は、国民の皆さんからの尊敬と信頼、自らの哲学、思想が明確であること、そして、必要とあれば、リスクを冒してでも行うべき政策をしっかりと遂行する能力が必要とされると思います。この時期の指導者は、私は本当に甘くないと考えております。
 同時に、一般論としてはそういうことでありますけれども、私が最近思うことは、このねじれの状況にあって、野党の皆さんとの信頼関係を少なくとも築ける人でないと物事が前に進まないと思います。
 同時に、どうしても増税か反増税かということにとらわれがちでありますけれども、実際はそれだけではないと思います。どれだけ被災地の皆さんに寄り添うことができるのか、あるいはエネルギー政策について、どう電力システムを含めて考えていくのか等、喫緊の重要課題は多々あると思いますので、あまり1つ、2つの争点に絞り込まない方が、今度の代表選挙はあるべき代表選挙に近づくのではないかと考えております。
(問)今の大臣のお話の関連で、重要課題が多々あると言われている中で、今度の代表選に関しては、一定の政策論争の時間というのを設けるべきだとお考えか、あるいは速やかに選出されることが望ましいとお考えか、いかがでしょうか。
(答)結局、政治はスケジュールで動いているようなところがあると思います。言うまでもなく、政策論争が盛んに行われるという姿が望ましいと思います。
 ただ、一方、第三次補正予算とか概算要求の基準、平成24年度の予算編成のことを考えますと、そう長く代表選挙を戦っている時間的余裕がないと思っております。
 私としては、できるだけ早く代表を選出して、その後、新代表が与野党でしっかり党首会談を開いて、協力関係を具体的に築くことがむしろ大事なことだと思います。その上で、新総理に選出された方が、私は日本にとって望ましいのではないかと考えております。
(問)話は変わりますが、15日は終戦記念日です。玄葉大臣は15日に靖国神社を参拝するお考えはおありでしょうか。
(答)昨年もこの場で申し上げましたけれども、菅内閣の閣僚として公式に参拝をするということはございません。戦没者追悼式に参りたいと考えております。
(問)しない理由が特段おありであるならば、お願いします。
(答)一言で言えば、総合的判断です。
(問)代表選をできるだけ早くということですけれども、与野党協議の時間を考えると、その後の首班指名は今国会でやるべきだとお考えでしょうか。
(答)最も望ましいのは今国会だと思いますけれども、そこまでに整うのかどうか。仮に今国会中に新代表が選ばれた場合、与野党協議が会期末までに整うかどうかに尽きるのではないかと思っています。
(問)大臣の先ほどのお話で、増税か反増税か、絞るべきではないというお話がありましたけれども、他方、党内には増税をすべきでないと、増税を殊更クローズアップするような勢力もあると思います。中期財政フレームや復興債の償還財源の話もあったわけですが、増税はある程度やむを得ないということで路線を敷いてきたと思います。その立場からして、そういう争点に殊更にしようとする動きはどう映るでしょうか。
(答)率直に申し上げて、これからの社会保障の財源を消費税以外に求める議論は、私はナンセンスだと思います。責任ある態度で政治家は臨んでいかなければならないと思います。これからの財政のみならず、経済全体のことを考えても、そういったことは正面からしっかりと申し上げるべきだと思います。
(問)中期財政フレームですが、内閣府の試算によりますと、このフレームを守っても2020年度にプライマリーバランスの黒字化は達成できないという試算結果になっていますけれども、この点についてはいかがですか。
(答)かねてより、そういう試算結果だったと思います。2015年のプライマリーバランス半減目標は、今回、社会保障と税の一体改革がしっかりなされれば達成される見込みであります。
 2020年段階になれば、当然、歳出削減も含めた更なる努力が黒字化のためには必要になると思いますし、財政運営戦略も中期財政フレームも慎重シナリオで経済成長を見ているわけでありますけれども、そのときの経済状況などによっても数値は変わってきます。一刻も早く、成長戦略シナリオに載せることが大切だと思います。
(問)今回、復興関連予算、復興債は別枠にしているわけですけれども、復興基本方針では、増税の規模、復興債の償還期間などを明記できなかったですが、そういう状況の中で、復興関連を別枠にすることの是非についてはどうお考えですか。
(答)先ほども申し上げたと思いますが、別途財源を確保するのがむしろ前提であると思っていまして、当然のことながら、復興債を発行したらその償還の道筋をしっかりつけることを前提として、別枠であるということになります。そうでなければ、多年度間で収入と支出をバランスさせると申し上げてきたことが実現できませんので、しっかりと、どういう形かでバランスさせていくことが必要だと考えております。

(以上)