玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年8月5日

(平成23年8月5日(金) 10:01~10:18  於:内閣府本府5階522記者会見室)

1.発言要旨

 本日は、閣議で、国家戦略の再設計・再強化について、「日本再生のための戦略に向けて」を閣議決定しました。先日の新成長戦略実現会議でまとめた内容で、1つ目は、革新的エネルギー・環境戦略、2つ目は、空洞化防止・海外市場開拓、3つ目は、国と国の絆の強化、これは経済連携のことで、4つ目は、農林漁業再生、5つ目は、成長型長寿社会・地域再生ということです。年内に最終的な取りまとめをするので、その点のご協力を関係閣僚に求めました。
 なお、本日、子ども手当の問題で民主党子ども・男女共同参画調査会と厚生労働部門合同会議にこれからお邪魔をさせていただいて、この間の合意内容について説明をさせていただきます。
 私としては、民主党政権になって、子どもに光が当たるようになったと考えております。それは、高校授業料の無償化や、子ども手当などによるものであります。
 今回は財源の見通しということがありました。そして、同時にねじれという状況もあって、震災復興のための財源捻出といった観点で見直しを迫られたわけです。今回、どうも元の児童手当に戻ると誤解されている方が多いのではないかと心配をしておりますけれども、それは全く違います。かつての児童手当は全体で1兆円でありましたけれども、今回は2.2兆円から2.3兆円ということで、支給額が決まっております。しかも、支給対象は中学生までで、子どもたちの育ちに光を当てていくという基本的な考え方は、私は何ら変わっていないと考えています。
 同時に、子ども政策を巡って政治が争っているという姿をいつまでも続けてはいけないと思っておりまして、子どもに対する手当を早急に安定的な制度にしていくことが日本の子どもたちの将来にとって非常に大切だということで、今回の合意、決断に至りました。
 幸いなことに出生率は1.26をボトムに1.39まで上がってまいりました。出生率によって成長戦略、社会保障の問題、財政の問題などがかなり変わってきます。高校の授業料無償化では、授業料を無償化したら、経済的理由による中途退学者が2.9%から1%台に減ったと聞いております。こういったところに光を当てていくことは、まさに日本の未来への投資でありますので、そういったことは今後も変えるつもりはございません。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)自民党は、なお3Kの見直しを要求していますが、見直す考えはないということでしたけれども、どのようにして自民党との合意、野党との合意を得ていくお考えでしょうか。
(答)特に高校の授業料無償化は完全に定着をしておりますし、全く見直すつもりはございません。4月29日に3党合意した際のペーパーにはどう書いてあるかといいますと、まず1点目として、子どもに対する手当の制度的なあり方、そして高速道路料金割引制度を始めとする歳出の見直し及び法人税減税等を含む平成23年度の税制改正法案の扱いについて、各党で早急に検討を進める。
 そして、2つ目として、平成23年度第一次補正予算における財源措置として活用した年金臨時財源については、第二次補正予算編成の際にその見直しを含め、検討を行うこと。第二次補正予算は小規模になりましたから、第三次補正予算にすべて読み替えていけば済む話でありまして、これらを前提として特例公債法案ということが3党合意であります。
 したがって、現実に第三次補正予算に向けて、高速料金割引制度を始めとする歳出の見直しの議論を鋭意展開中でありますので、私としてはそれらをもって特例公債法案に対する協力のお願いを申し上げたいと考えております。
(問)今日一部報道で原子力安全・保安院、原子力安全委員会ですとかを再編・統合した新組織を環境省ではなくて内閣府に設けることも検討中だという話が出ていましたけれども、どちらになるかは別にして、原子力安全・保安院を経済産業省から切り離す方向性自体は固まってきていると思うのですが、それが減原発、エネルギーコスト計算、革新的エネルギー政策などに与える影響については、どうお考えでしょうか。
(答)直接的には大きな影響を与えることはないと思います。エネルギー・環境会議で、例えば、電源ごとのコスト検証といったことは、「原子力安全規制庁(仮称)」がどうなろうと、予定どおり進めていくことになります。原子力安全規制庁のあり方については、私にも議論に入っていただいてということだったので、私も若干意見を申し上げているところです。私が直接の関係者、担当者ではありませんでしたが、今回の原発事故対応をずっと見ていて感じたのは、いかに早く総力戦の体制をつくるかということに尽きると考えておりまして、原子力安全・保安院の分離は当然のこととして、特に危機管理上総力戦の体制をあらかじめつくっておくことが大切ではないかと思います。
 どこに置くかは、環境省か内閣府かという話があります。内閣府だとすれば、大臣の数を増やさなければ、なかなか対応が難しいという感じを持っていると申し上げておきます。
(問)特例公債法案の関連ですけれども、現段階では先ほどのお話ですと、いわゆる3Kの撤回を打ち出すおつもりはないということでよろしいでしょうか。
(答)ありません。ただ、現時点で既に、例えば、高速道路無料化については、事実上の見直しが行われていると解釈いただいてよいのではないかと考えています。
(問)子ども手当ですが、あるシンクタンクの試算では、4月以降新たな制度に移行した場合、年少扶養控除の廃止などで、所得制限がかからない世帯、年収540から700万円の世帯、200万円台の世帯の収入が減少するという事例が発生するという試算がありますけれども、今後、救済措置等、検討するお考えはあるのですか。
(答)若干の増減が出る可能性はあると思います。年少扶養控除がありましたので、かつての児童手当と比べたときに、実質、手取り額があまり減少にならないように、今後の制度設計の中でどういうことができるのか。特に所得制限を超える人たちについても同じことが言えるわけですので、平成24年度の制度設計を詰めるときの課題になると思います。
(問)先ほど、大臣がおっしゃられた第一次補正予算の財源に充てた年金臨時財源2.5兆円の穴埋めについては現時点でどうお考えでしょうか。
(答)3党間では復興債で補てんすることを内々は合意しているところでありますけれども、そうなりますと復興債の償還の問題が当然出てきます。そこも踏まえながら、どのように合意するかということではないかと思っています。特に、公明党から復興債で充てたらどうかという提案があったところでございます。普通なら、その財源確保策とあわせて、ともに検討していくことが責任ある姿勢ではないかと思います。
(問)今日の民主党原発PTが、原発周辺地域について、安全性が当面確保できない場合は住民等によく話をして、土地収用などの対応も常に考えているという提言をまとめましたけれども、それに対する判断時期も踏まえて、政府の対応はいかがでしょうか。
(答)まず行うべきは、詳細なモニタリング等、土壌調査だと思います。汚染マップを詳細にわたってつくり上げることだと思います。そして、実際に大規模な除染をするときにどの程度の除染ができ得るのか。新たな技術も含めて、どの程度なら十二分に帰って生活ができるという状況になるのかというのは、実は同じ町、村でも地点地点でかなり違います。そういったことをまず詳細にわたって行った上で、様々なことが考えられるのではないかと考えています。
(問)先ほどの高校無償化とか高速道路のお話を伺うと、政策責任者の立場からすると、子ども手当見直しをもって特例公債法案が衆院を通過する環境は整ったと考えられるのでしょうか。
(答)特例公債法案と子ども手当の関係について、子ども手当見直しは前提になっていますが、必要十分条件かと問われたら、それは必要条件ではあると申し上げてきたのは事実です。更に何が必要なのかということですけれども、今まさに、その最後の詰めをしているという理解です。
 基本的には、4月29日の3党合意は先ほど申し上げたようなレベルのものでありますので、あれと同じレベルで合意させていただいて、特例公債法案を通していただくというのが国家国民のためではないかと思います。

(以上)