玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年7月15日

(平成23年7月15日(金) 10:05~10:26  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 本日の閣議について、ご報告する事項はございません。
 閣僚懇談会では、ある閣僚の方から、一昨日の総理記者会見について御説明いただければありがたいという話を受けて、総理から、自らの思い、考え方をお話したということがございました。
 先日の政策調査会でも申し上げましたけれども、「減原発」という大きな方向性の中で、エネルギー・環境会議議長という立場で、短期、中期、長期に分けてしっかり検討している最中ですから、短期の電力需給、そしてコスト増回避ということに対して、産業界の皆様を始め、我慢の節電にならないように、しっかりとした対応策を打ち出すための精査をしておりますし、中・長期の論点整理、方向性を私の下でしっかり打ち出していきたいと考えております。並行して政策調査会でも、その方向を横目でしっかりとにらみながら党の中の議論を展開してほしいということを昨日、直嶋座長に申し上げたところです。今後、どういう体制になっても、民主党としての確固たるエネルギー政策を確立できるようにしたいと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今のお話と関連すると思いますけれども、今朝の一部報道で、エネルギー・環境会議がまとめる予定の電力不足対策で、エコポイントの復活を政府が検討するという報道がありました。この検討状況について教えてください。
(答)第3次補正予算から、例えば、LED、蓄電池、スマートメーター、あるいは省エネ工場、省エネ住宅といった課題について、政策・制度誘導を経済対策も兼ねて行っていくことが極めて大切なポイントになります。その具体策の一つとして、エコポイントもあり得るだろうと思いますし、それだけではないと思っていますので、エネルギー・環境会議の幹事会で議論を展開しております。7月末に短期の電力需給対策を出しますので、そのときにしっかりとした対応策を打ち出したいと考えております。
(問)7月末のエネルギー・環境会議の取りまとめですけれども、総理が原発のない社会を実現したいとおっしゃったということで、その取りまとめにどういう影響が出るのか。特に核燃料サイクルにどう影響が出るのでしょうか。
(答)ただいまの質問は、本質的な議論の一つです。原発をゼロにするとなれば、核燃料サイクルも含めた更なる大きな議論になりますので、拙速に結論を得る話ではないと私は考えております。まさに総理の思いを述べられた一昨日の記者会見は、一つの意見だと受けとめておりますけれども、政府としての最終的な結論、あるいは民主党としての結論を出すときには、十二分に様々な観点の議論、つまりは核燃料サイクルまで広げた議論をしっかりと行い、また、関係自治体などとも調整をして結論を出すべき性格の話でありますので、これはゼロにするならばゼロにするで、別途、大議論が必要です。
 まずは国民的な議論をして、年央に中間的な整理を行うわけですから、中・長期の方向性の論点整理をし、短期の方はすぐにでも具体的な対応策を打ち出し、半年かけて確固たるものをつくり上げるのが、政権与党してあるべき姿と考えております。
(問)7月末の中間整理の段階では、基本的には「減原発」の路線でしょうか。
(答)ベースは、「減原発」で整理したいと思います。
(問)原発ゼロではなくということでしょうか。
(答)はい、そうです。一つの考え方であることは否定しませんけれども、仮にそういうことを結論として出すのであれば、相当の議論が必要だと思いますし、短兵急に出す結論ではないと思います。
(問)今日から復興財源の議論が関係閣僚級会議で始まるようですけれども、月内でどの程度まで財源についての考え方を出すのでしょうか。玄葉大臣御自身のお考えとして、現時点で具体的な増税となり得る対象の税目はあるのでしょうか。
(答)先日の記者会見でも申し上げましたが、まずはフレームをしっかりさせる必要があると思います。まず、事業量がどのくらいになるのかがおおよそ明確にならないといけないと思います。すなわち、被災県あるいは被災の市町村からの積み上げがなければなりません。そこが、最初に行うべき話であります。その前に基本方針が当然、必要になります。
 その上で、復興債を出すことにしておりますので、その復興債はどのくらいの年限によって償還されるべきものなのかという議論が当然、出てくると思います。そして、償還の道筋についての財源について、例えば、歳出の見直しでどの程度出すべき話なのか、また同時に、税はどういったボリューム感で考えるべきものなのか、期間はどのくらいなのか、時期はいつからなのか、まずはそういった論点整理から入るということだと私は理解しています。
(問)質問を二ついたします。
 一つは、今日、子ども手当の実務者協議がありますけれども、城島政策調査会長代理から論点整理が出されるようですが、現時点で玄葉大臣は、民主党側の投げ出すボールについてどのような感覚をお持ちになっているのでしょうか。
 もう一つは、民主党の代表選について、一部党の執行部の方から、8月ではなくて9月までずれ込むのではないかという声も出てきていますけれども、どう考えられていますか。
(答)最初の質問の子ども手当につきましては、私自身が一任を受けていますので、自ら泥をかぶってでもしっかりまとめ上げたいと思っております。実務者協議は今週を目標にと言っていましたけれども、何とか来週いっぱいくらいでまとめていただくように、私から要請をしているところであります。本日、坂口試案を参考にしながら、箇条書きで考え方を出すことになりましたので、確実に進展しているというのが私の率直な印象です。
 後者の代表選挙の話ですが、いわゆる三つの条件である、電力固定価格買い取り制度の法案と特例公債法案と第2次補正予算、特にクリアするのに一番ハードルが高いのは特例公債法案になりますけれども、これをきちっとクリアできれば、私は8月末を待たずに代表を自らお辞めになるのではないかと考えております。9月になってしまうことは、第3次補正予算編成の観点から言えば、良くないと考えております。
(問)エコポイントの話に戻って恐縮ですけれども、月内に玄葉大臣の下で正式に決定するということだったのですが、時期は今年冬ぐらいに復活するのかということと、必要な経費規模などはどのように考えているのでしょうか。
(答)基本的には第3次補正予算での制度設計を考えておりますので、エコポイントに確実になるかどうかもこれからで、幹事会で議論されている段階でありますので、私自身が正式に判断を現時点でしているわけではありません。
 大事なことは、原点は何かということだと思います。それは電力需給とコスト増の回避ですので、そのためにどのくらいの事業規模が必要なのかということで考えていくべきですし、併せて、経済対策という意味合いを兼ねますので、そういう意味でどのくらいの規模感で行ったら、どのくらいの経済対策効果があって、新産業が育成され、かつコスト増の回避に結びつくのか検討する必要があります。つまりは、火力だけで電力供給を賄うことになりますと、どうしてもコスト増の直接的な誘因になるわけであります。当面、火力に頼らざるを得ない側面、あるいは自家発電になりますけれども、それでもでき得る限り、エネルギー構造改革の先行実施を行うことで、国内で資金を循環させることが、新成長戦略の観点から必要だと思います。火力の場合は外国からの調達になりますので、資金が外に逃げていくことになります。しかし、エネルギー構造改革の先行実施で、先ほど、私が例示した幾つかの具体策が実行されれば、国内の資金循環につながり、国内の雇用につながっていきます。一石二鳥、一石三鳥、一石四鳥の効果を持つような政策を実行していくべきだと考えております。
(問)今の話に関連しますが、今、証券会社で次世代電力網ファンドとか、エネルギーファンドといった商品開発が盛んになっています。それで、例えば、スマートグリッドの統一規格とか、太陽光パネルの規格化とか、いろいろな業界の話があると思いますけれども、そういったところへの支援はいかがお考えでしょうか。それから、今、東北でも太陽光発電とか、バイオマスとか、いろいろなプランが出ていますけれども、それを実現しても、結局どう考えてもネックになるのが送電網を使うときの使用料です。そこのところを解決しないと、小水力発電とか太陽光とかをつくってもネックになるような気がするのですが、いかがでしょうか。
(答)発送電分離の話も当然、議論の対象になることは以前から申し上げているところです。大きく分けて、集権型から分散型に変えていく。分散型になったときに、送電網というのはどういう意味合いを持つのかを考えると、発送電分離は、時間軸を気にしつつも、議論をしっかりしていく必要があると考えております。
 例えば、インターネットとか携帯電話が普及して何が起きたかというと、固定電話の回線というものの意味合いががらっと変わりました。分散型エネルギーは、蓄電技術を考えて、あるいは連想させていくものになるだろうと思います。これもしっかりとした精査が必要で、詳細にわたって議論していく必要があります。1秒たりとも電力供給は止められないという特殊性をしっかり念頭に置きつつ、電力システムの議論をやっていくことが大切だと考えております。
 その中で、どういうタイミングで、どういうことを打ち出すかということも含めて考えているところだと御理解いただければと思います。節電分を買い取るという話もこれから出てくると思います。そうすると、電力の卸しのマーケットも大事になってくるでしょう。これは短期的にも大事になってくるだろうと思いますから、そういった論点整理も、政権与党としてきちんと責任を持った対応ができるように、産業界に不安を与えないようにしなければいけません。産業界に不安を与えずにというのは、電力供給について1秒たりとも止めないということであり、コスト増の回避をしながら、かつ中・長期で間違いのない方向性を出し、更には国民の皆さんの負荷を減らし、企業などがより自由に伸び伸びと活動しやすいような環境を整え、新しい産業にも踏み出していくことをやらなければならなりません。これはまさに国家戦略そのものではないかと私は思っています。

(以上)