玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年7月5日

(平成23年7月5日(火) 10:31~10:49  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 本日は、閣僚懇談会におきまして、松本復興担当大臣の辞表について、総理からお話がございました。その中身は、先日の岩手県、宮城県の訪問の際に、自分の真意をうまく伝えることができずに御迷惑をおかけしたということ、被災者の皆さんに御迷惑をおかけしたということ、さらには、このことでスピード感を持って対応しなければならない復興の問題について停滞することがあったらいけないということで、辞表を提出されたということです。総理としては慰留されましたけれども、決意が固いということで受理をされたということです。
 閣議におきましては、約2兆円規模の第2次補正予算が決定されました。製氷機等の共同利用施設もさることながら、当面の放射線低減対策、子どもたちの夏休みのサマーキャンプ、熱中症対策など、一刻も早い執行が必要なものばかりですので、政調会長という立場から、国会提出後、できるだけ早い成立を野党の皆さんに働きかけていきたいと考えております。
 もう一つは、昨日、3党幹事長会談が開かれました。その中で、予算委員会再開で合意したと聞いております。3党幹事長会談の仕切り直しを受けて、今週中にも、自民党、そして公明党に政調会長会談の申し入れをしたいということで、調整させていただいております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭の松本復興担当大臣辞任の件ですが、大臣として、1週間という大変短い期間でありましたけれども、この辞任の受け止めをまずお聞きできますでしょうか。
(答)大変残念なことだと考えております。私も松本復興担当大臣の性格は少々存じ上げておりますので、恐らく宮城県知事との会話は、3・11以来培ってきた人間関係の中で出された発言なのかなと思いました。ただ、その後ろには、被災者の皆さんがいらっしゃるわけで、その被災者の皆さんの心情に心を配りながら発言をすることが必要だということを改めて感じた次第です。
(問)これから後任の復興担当大臣を任命することになると思うのですが、どういった方がふさわしいとお考えでしょうか。
(答)これは総理の専権事項でございます。復興の問題がなかなか難しいのは、現在の復興対策本部は実施機関ではないからです。まずは、復興基本方針の企画立案、総合調整ということになろうかと思います。恐らく松本復興担当大臣のときは、被災者生活支援チーム、つまり防災担当大臣が担当されていた部分を一種統合する形で、復旧から復興を切り目なくということでおやりになられたと思います。そういう体制も含めて、今後、考えていく必要があるのではないかと思います。「スピード感を持て」と言葉では簡単ですが、被災状況は非常に多様で、復旧のスピードも多様であるということを含めて、対応するのはなかなか大変だと思います。そういう柔軟性とか、総合調整力というものが問われるのではないかと考えています。
(問)松本復興担当大臣の発言の件ですけれども、被災地出身の国会議員として、発言そのものについてどう受け止められているのかをお聞かせください。
(答)先ほど申し上げたとおり、被災者の皆さんの心情に心を配る必要があったのではないかと思います。誤解を与えてしまうようなところがあったのだろうと感じています。
(問)総理の任命責任について、野党からも厳しい声が上がっております。任命1週間ぐらいでこういう事態になってしまったことについて、どうお考えでしょうか。
(答)そういうことよりも、まずは一刻も早く新たな復興担当大臣を任命して次の展開をしっかり考えていくことが大切だと思います。
(問)大臣としては、全く新しい人を任命するよりも、今まで携わってきた人がなるべきだとお考えでしょうか。
(答)任命権者の権限でございますので、私がとやかく申し上げるのは適切ではないと思います。新しくポストが1つ空くわけですので、これまで閣僚だったなどということにこだわらずに幅広く人選されるのかなと想像しています。
(問)原子力発電のコストという観点からお伺いしたいのですけれども、原子力発電は他のエネルギー源と比較してどれだけコスト優位性があるのかという議論があると思うのですが、そうした原発のコスト優位性についての試算というのは、現在、国家戦略室の環境・エネルギー会議の方では進めていらっしゃるのでしょうか。
(答)既にコスト計算を始めている段階で、予断なく進めることにしています。立地にかかるコスト、バックエンドに関するコストといったことも含めて、コスト計算をしなければならないと認識しています。
(問)現時点で、原子力発電の他のエネルギーと比較してのコスト優位性については、どういったお考えをお持ちですか。
(答)正確な試算を出してから、しっかりお答えをしたいと思います。ただ、原発を徐々に減少させていく減原発の方向が、私は正しいと考えております。原発の依存率を下げるということよりも、発電電力量をどう考えていくのかということの方が正確なのかもしれません。なぜならば、エネルギー基本計画の2030年の目標は、2007年の発電電力量と同程度の発電電力量を想定していますけれども、これからのエネルギー戦略を考える上では省エネ技術が最大のポイントになると考えております。これまでのように多消費型の産業構造をどのように変えていくのか、同時に、送電ロスをなくしていくイノベーション、蓄電池も含めた電力を貯めることの革命などを通じて、今と同じ発電電力量がなくとも十分な経済活動、国民生活が営まれるという社会をつくり上げることが大切ではないかと考えています。
(問)先ほどの松本復興担当大臣辞任の関係ですが、今回の辞任について、総理の任命責任を問う声もある中で、総理の退任時期は影響を受けますか。
(答)わかりませんが、基本的には今までどおりの考え方で臨みたいと考えています。
(問)2次補正予算案、再生可能エネルギー特別措置法案、特例公債法案の3条件を通して、退陣するという考え方でしょうか。
(答)基本的にはそういうことだと思います。
(問)先ほど、3党の政調会長会談を今週中にもというお話がありましたけれども、特例公債法案の成立に向けた与野党協議のスケジュール感について、大臣は当初、2次補正予算の国会審議を先行させることもあり得るというおっしゃり方をされていましたけれども、その順序についてどのようにお考えでしょうか。
(答)これからいろいろと相談を始めますけれども、2次補正予算成立までに、子ども手当の見直しについて同意を得たいと、現時点では考えています。それによって、特例公債法案成立に向けての必要条件は整うものと考えています。
(問)原子力発電のコストに絡むのですけれども、太陽光発電、風力発電あるいは地熱発電について、民間調査機関も改めて計算し直し、太陽光発電では前よりもコストが上がっているケースもありますが、原発の今のコスト見直しと絡めて、再生可能エネルギーを同じ理屈で試算することについてお伺いいたします。
(答)そういうことも併せて検証、計算をするということが当然必要だと思います。スケールがどのくらいになるのかによってコストは変わりますので、どのくらいのスピードで、何を進めるのかによってコストが変わってきます。当然、そういうことを前提に様々なコスト計算をすることが必要だと思います。
 さらに申し上げれば、短期の二、三年については、LNGや化石燃料も含めて、当然、対応していかなければいけないわけですから、すべてを含めたトータルな検証を今、行っている最中です。中間的な報告の際には、一定程度の方向が出るようにしたいと考えています。
(問)経済産業省の総合資源エネルギー調査会の基本問題小委員会で、同じようなエネルギー戦略関連の話として、7月中旬に報告を出すようですが、それとの整合性などは図られるのでしょうか。
(答)エネルギー・環境会議が基本的な司令塔に位置づけられていると考えておりますので、その指示の範囲で議論していただくことになろうかと思います。
(問)特例公債法案と子ども手当の今後の協議ですが、以前、大臣はハードルが高くなったということをおっしゃっていましたが、現時点で今後の協議の見通しについてお考えはいかがでしょうか。
(答)残念ながら、国会がしばらく動かなかったのは、人事の問題、政治状況の問題でハードルが高くなったためだと思います。あのときから、3党幹事長会談を開いて仕切り直しをしなければならないということを申し上げてきました。昨日3党幹事長会談が行われて、私はこれをもって仕切り直しがなされたと考えております。
 したがって、3党幹事長会談を受けて、子ども手当の問題、それとかつての3党合意は今も生きておりますから、年金臨時財源の問題、そして第2次補正予算が当初は大型のものになるという想定のもとで3党合意ができておりましたので、そういった部分の整理が必要になると考えております。これらの点について、3党政調会長会談でしっかり確認をしながら合意を得ていく努力をして、何とか結実化させたいと思っております。
(問)もう一点、中期財政フレームの見直しですが、年央に改定するということだったと思うのですが、7月に入りまして、社会保障と税の一体改革は一応決着を見ましたが、復興財源に関する増税の議論などはこれからですし、今後の中期財政フレームと財政運営戦略の見直しについてのお考えをお願いします。
(答)年央はどこまでかということはあろうかと思います。おっしゃるとおり、社会保障と税の一体改革の決着がなければ、なかなか中期財政フレームについて結論を得ることができなかったという側面があります。
 これから、復興財源の問題について議論を内々に始めていかなければなりません。それが絶対的に決着しなければ中期財政フレームがつくれないかといえば、その点は工夫の仕方はございますので、並行しながら、中期財政フレームの改定問題について検討していきたいと考えております。

(以上)