玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年6月28日

(平成23年6月28日(火) 10:28~10:47  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 本日の閣議では、新しい人事の御紹介がありました。また、閣僚懇談会では、総理より、社会保障と税の一体改革についての話がありました。
 閣僚懇談会後、私から細野新大臣に、これからの原発の安全対策は当然だけれども、優先順位は現在の事故の収束なので、よろしく頼みたいと、被災地の立場で申し上げたところでございます。
 また、現在は2次補正予算の編成に努力をしているところですが、何とか今週中に最終的な係数まで確定をしなければいけないということで、今、民主党内のプロセスを踏んでいるところです。これから、自民党や公明党の意見もお聞きしたいと思っておりますが、昨今の政治状況を踏まえてどうなるかについては不透明と思っています。これはスピードが必要でありますので、いずれにしても今週中に、2次補正予算の係数の確定まで持ち込みたいと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)社会保障と税の一体改革の話があったので2点お聞きしますけれども、2015年度までに10%まで消費税を引き上げるという改革の原案に対して、民主党からは2015年という部分と10%という部分の両方に幅を持たせる表現を求めていると思うのですが、政府側として飲めるのでしょうか。与謝野経済財政担当大臣も野田財務大臣も今日の会見で、そういう数字については「堅持する」とか、「明示するのが筋」とおっしゃっていましたけれども、お二人が意見を変える余地はあるのでしょうか。
(答)それはわかりませんが、私は、社会保障と税の抜本改革調査会に2回ほど仙谷調査会長の要請で出席をいたしました。傾聴すべき意見が多々あり、出てよかったと思っております。
 一つは、「2010年代半ば」、そして、「おおむね10%」と一定の幅を持たせる表現の方がよいのではないかと思っています。この間、党内の意見をしっかり吸収していくプロセスが必要だと申し上げてきました。党内のかなりの方々がそういう意見を述べることによって、一体改革が大きく後退するとは思いません。大事なことは大きな方向が決まることであって、吸収していくプロセスを経て、決めるべきは決めていくことこそが大切だと思っています。
 もう一つ、民主党が考える社会保障像というものをもう少し前面に押し出すべきだというのは、私はもっともなことだと思っていまして、中規模で高機能な社会保障、あるいは先進諸国並みの制度設計をしっかり考えていった上で消費税の話をしていかないと、国民の皆さんから納得感が得にくいのではないかと考えています。
 社会保障と税の一体改革の関連では、野球型から騎馬戦型、肩車型へと社会構造が変わり、さらに、家族形態、そして働き方も変わってくるといつも申し上げております。2046年には人口が1億人を切り、少子高齢化がますます進んでいくという状況の中で、何より大切なのは社会保障の持続可能性です。けれども、それだけで国民の皆さんの納得感を得られるかというと、必ずしも十分ではありません。機能強化について、効率化も必要な一方、例えば、医療から介護の方へといった部分は必要ですけれども、もう少しわかりやすい表現をする工夫、あるいは知恵を出すということが大切だと考えています。その上で、与野党協議に臨んでいくことが必要ではないかと思います。私としてはそういう主張を野田財務大臣にも与謝野経済財政担当大臣にもしたいと思います。
(問)今、おっしゃったプロセスの仕方でいくと、与野党協議の順番というのは、どこになるのでしょうか。閣議決定までに目指していらっしゃるのでしょうか。閣議決定が行われない場合、与野党協議はどういう順番で入ってくるのか、そこはどうイメージされているのでしょうか。
(答)閣議決定をすると法制化作業にすぐ入ることになってしまいます。残念ながら、まだ野党の理解を得ているわけではないですから、まず大切なことは政府、民主党で成案を得ることです。同時に、国民新党を含めた与党全体で成案を得ることが大切であります。それをもって、野党に与野党協議を呼びかけていく必要があります。
 今回、決めるということは大変大きなことですが、次のステップは与野党協議、更に法制化、そして実際に引き上げるわけで、その前提となるのは景気の好転になりますが、幾つものステップがこれからあるのは事実だと思います。それでもしっかりと、だれが代表になっても乗り越えなければならない課題でありますから、私は決めるべきときは決めていくことが大切だと思います。
(問)政局の話ですが、週末から昨日までいろいろありましたけれども、昨日、自民党の参議院議員を引き抜いて、結果的に総務政務官に就けました。野党のみならず、与党からも良く思われておらず、大臣は与野党協議の最前線に立っているわけですけれども、内閣人事全体の評価と与野党協議に対する影響は出てくるとお考えでしょうか。
(答)先週、総理と二人きりで四、五十分話をさせていただきました。そのときに私は、民自公幹事長クラスでつくり上げた合意ペーパーは満点だったのではないかということを改めて進言いたしました。そういう意味で、昨日の記者会見で総理が3つの法案等が整えば、つまり成立をすれば、一定の目途であると、つまりは身を引くということをおっしゃったというのは、一歩前進だと考えております。
 そもそも、退陣表明を6月2日にしてしまった以上は、後片づけの術を考える必要があると考えております。被災地、国民の皆さんのために、最も効果的かつ効率的な課題処理の方法を考えて実践するのが総理を始めとする政府・与党の責任であると考えております。この間、そのための行動を私自身もとってきました。
 そういう意味で、少なくとも会見で自ら3つの条件をおっしゃったということは一歩前進です。ただ、自民党議員一人の引き抜きというのは、これからの与野党交渉のハードルを高くしたということは間違いないと思います。
(問)前進は前進なのでしょうが、民主党執行部は再生エネルギー法案については成立ではなくて採決までと言っていたと記憶しています。菅直人総理大臣はハードルを上げたということになりましょうが、そういった中、引き抜きやら会期延長問題ということがあり、与野党間の合意形成は非常に困難な中での3条件、加えて昨日の会見では退陣時期というのは一切明言しておりませんが、この辺はどうとらえていらっしゃいますか。
(答)3つの法案等が成立したら退陣すると明言されたと申し上げてもよいのではないでしょうか。8月末を待たずに3つの法案等が成立すれば、代表を退くとおっしゃったと私は理解しています。
 そういう意味では、確かに民自公の幹事長の合意ペーパーは、いわば2.5条件だったと言う方もいらっしゃって、再生可能エネルギー法案については、成立というよりは審議、促進、採決という話だったのではないかと思います。是非、野党の皆さんにもこの3つの法案等について御協力をいただくということが、被災地、国民の立場に立って最もよい選択ではないかと考えております。
 執行部の一人として、ここで投げやりな気持ちになっていては致し方ないというか、それは避けるべきだと思いますので、野党にも誠意を持って私からも協力をお願いしたいと考えております。
(問)昨日の人事を巡っては、今の浜田総務政務官のお話もあって、菅総理大臣がどういう狙いで何をやりたかったのかよくわからないという指摘が党内からもあるのですけれども、大臣は今回の人事全体をご覧になって、どういう感想を率直にお持ちになりましたでしょうか。
(答)復興担当大臣と原発事故担当大臣という部分でお二人を置かれたということは、まさに震災対策に一定の目途を付けるようにされたのだと思っています。原発については、一定の目途に直接関係はないにしろ、大事なことでありますが、先ほど申し上げたように一人の引き抜きなど意図がわからない点というのは、率直に申し上げてございます。恐らく様々な事情がおありだったのではないかと推測します。
(問)子ども手当の見直しなど、自民党、公明党との政調会長会談の再開の目途はどんな感じでしょうか。
(答)昨日のことがなければ、少なくとも2次補正予算で政調会長会談は近いうちにできたのではないかと思いますが、改めてどういうふうにしていくのか考えていく必要があります。以前も申し上げましたけれども、2次補正予算を先行させつつ、子ども手当の見直しを行っていこうと考えておりました。いずれにしても、2次補正予算の編成を先行させ、今週中に確定をさせる必要がございます。それを行いながら、私自身個人的にも改めてこれまで築いてきた自公との信頼関係を大切にしながら、何とか誠意を持って事に当たります。子ども手当に関しての交渉にはタイミングというのがございますので、そこを見計らって見直し交渉に入りたいと考えております。
(問)総理の退陣時期に関して、3つの法案等が成立すれば退陣するとのことですが、今国会でその3つの法案等に決着がつけられない場合、どうなるのでしょうか。
(答)私が答える立場にあるのかどうかということはあるかもしれませんけれども、現在の総理のお立場からすれば、何としても成立させたいということを言わざるを得ないのではないかと思います。最後の再生可能エネルギーは、なかなか微妙な問題だという認識も併せて持っているということだけは申し上げたいと思います。
(問)会期内には総理は退陣、あるいはバトンタッチされるというのは間違いないということでしょうか。
(答)是非、野党の皆さんにも御協力いただいて、特例公債法案を次の首相に課題として残すというのは、あるべき姿ではないと思います。日本のことを考えれば、特例公債法案は、この会期内にできるだけ早く処理をしなければならないわけであります。その前提、必要十分条件とまではいきませんけれども、必要条件として子ども手当の見直しがあるわけです。7月中にでも、子ども手当、特例公債法案を処理できるようにしなければならないと思います。
 先ほども申し上げましたけれども、後片づけの術というか、最も効果的・効率的な課題処理の方法、併せて、原発事故収束について、短期間にきちんとやることを常に意識しなければいけないと、私自身はそう考えております。

(以上)