玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年6月21日

(平成23年6月21日(火) 10:28~10:45  於:内閣府本府5階522記者会見室)

1.発言要旨

 本日は閣議に先立ちまして、「FTAAP・EPAのための閣僚会合」が開催され、「経済連携協定(EPA)に基づく看護師・介護福祉士候補者の受け入れ等についての基本的な方針」が了承されたところでございます。
 この方針は、昨年11月に閣議決定されました「包括的経済連携に関する基本方針」に基づいて、私の下に設置された副大臣級の会合である「人の移動に関する検討グループ」において策定作業が行われたものでございます。
 検討グループの設置後、二国間経済連携協定に基づき、我が国滞在中のインドネシア人、フィリピン人の看護師・介護福祉士候補者の扱いについて検討し、3月11日に、受け入れ開始初年度及び次年度に訪日した候補者につき、一定の条件を満たす者につきまして、1年間に限って滞在期間延長を認めることを閣議決定しました。
 震災がございましたので、議論が一時中断しておりましたけれども、5月17日に閣議決定した「政策推進指針」に基づき、この策定作業を再開して、本日、先ほど申し上げたように「基本的な方針」が了承されたところでございます。
 今回の「基本的な方針」は、現在の看護師・介護福祉士候補者受け入れの枠組み改善のための取組、ベトナム等との交渉の方向性などを示すものでございまして、今後、同方針に基づいて関係各省が協力しつつ受け入れを進めていくことになります。引き続き実施状況の確認、更なる取組の検討を行っていきたいと考えております。
 また、閣議では、私から日本学術会議が共同主催する国際会議についての発言をさせていただきました。
 閣僚懇談会では、総理から、社会保障と税の一体改革についてよろしくお願いをしたいと、これも極めて大切な改革であるというお話があったところでございます。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)社会保障と税の一体改革の関係ですけれども、総理がかなり力を込めておっしゃっていた6月20日という期限が守れなかったことについて、もう少し発言はなかったのですか。
(答)総理からは特にございませんでした。ただ、政策調査会を預かっている立場として、震災がございましたので、社会保障というよりは税の議論について、やや時間的な制約があったのではないかという思いがございます。有意義な議論をしていただいていると思っておりますが、そういった党の調査会の議論を柔軟に吸収していくプロセスが現在行われていると考えております。社会保障と税の抜本改革調査会の仙谷会長を始め、幹部の皆さんに大変な御苦労と御辛労をいただいていることに感謝を申し上げたいと思います。
 社会保障と税の一体改革は避けて通れない改革だと私も考えております。今回の議論を通じて論点が絞られてきたと、実は感じているところでございますので、最終的にしっかりと逃げずに決めるべきときは決めていくという姿勢が大切だろうと思いますし、先ほども申し上げましたけれども、党の議論をしっかりと吸収していきます。国民の皆さんを背負って議論しているところも当然あるわけでありますから、そういった姿勢も必要だろうと考えているところでございます。
 この社会保障の話は、1961年に国民年金制度ができて50年経ったわけであります。当時は9.5人で1人の高齢者を支えるという時代でしたが、今や3人で1人、将来的には1人で1人、野球チームが騎馬戦型になって、肩車型に変わっていくという状況に加えて、働き方や家族形態も変わっています。共働き世帯が今や片働き世帯を上回るという状況にあるわけです。
 非正規雇用率が3分の1という状況であり、併せて少子化という状況の変化の中で制度をどうやって持続可能にしていくのかということが当然あると思いますし、持続可能だけではなくて、地域包括ケアであるとか、あるいは救急医療の強化であるとか、そういったことを考え合わせたときに、この消費税の問題から政治家は逃げるわけにはいかないと思っております。だんだん論点が絞られてきて、経済との関係などに限定されてきたかという感じがしてきているところでございます。
(問)昨日も党の調査会が開かれてかなり紛糾したように私たちには見えたのですけれども、大臣御自身として、党の取りまとめに関して何かお動きになる考えはございますか。
(答)役員会のメンバーの方々とその都度相談をさせていただいて、要請があれば私も出席させていただきたいと考えております。子ども手当については一任をいただいておりますが、簡単にそのような状況にならないことは承知をしているところであります。
 ただ、紛糾と見えるかもしれませんけれども、400人の国会議員がそれぞれ有権者の方を背負って発言されるということでありますから、様々な議論があるのは、むしろ自然だと思います。15年来の課題でありますから、ここはしっかりと議論することは、むしろよいことだと考えております。大切なことは、決めるべきときに決める、逃げない、日和らない、たじろがない、こういう姿勢が最終的に必要になるのではないかと考えております。
(問)総理の退任時期を巡っての攻防ですが、総理御自身としては、再生可能エネルギー固定価格買取法案についても、自らの手で成立させたい思いがあるようですけれども、それについては執行部としては受け入れることができるということなのでしょうか。
(答)昨晩の会談の中身は一切申し上げないということで統一をしているので、この場で申し上げることは差し控えたいと思います。ただ、党の役員会では、会期の問題を含めて、岡田幹事長と輿石参議院会長に一任をしているところでございます。この間、岡田幹事長は自らの保身を一切顧みず、菅総理の盾になって誠実に支えてこられたと思います。その岡田幹事長のぎりぎりの交渉に、私は委ねていきたいと考えております。
(問)科学技術について伺いたいのですが、昨日、日本の次世代スパコンの「京」が世界のスパコンランキングで首位になったといいますが、改めて大臣の感想などをお聞かせいただけますか。
(答)研究開発基盤、そしてシミュレーションの次元が変わるということで、非常に喜ばしいと思います。どうしてもニュースで取り上げられるのは、事業仕分けのシーンになりますけれども、結果として、民主党政権としても予算を復活させて支援をしてきたことでございます。科学技術政策担当大臣としては大変喜ばしいことであります。併せて申し上げると、今回の被災地である宮城県、福島県に下請工場があり、そこの技術もある意味認められたという意味では、二重の喜びだと考えております。
(問)総理の退任時期について、大臣は「総理は地位に恋々とする人じゃない」と何度もおっしゃっていますが、客観的に見て地位に恋々としているのではないかと、だれもが思っている昨今のような気もいたします。それでも総理は地位に恋々とする人ではないと大臣は思われていますでしょうか。
(答)そう思っていますし、そう信じています。
(問)関連ですけれども、先ほど大臣は、幹事長にこの対応を委ねるとおっしゃいましたけれども、実際、子ども手当、国債等まで含めた3党合意が進んでいない状況で、大臣も今の政治状況が妨げになっているという趣旨の御発言をされています。この事態を打開するためには、どういうシナリオが望ましいのか、大臣御自身はどのようにお考えでしょうか。
(答)これは相手があることなので、ここでいろいろと申し上げると、支障が生じると思います。私としては、被災地第一主義を言ってきましたし、被災地のみならず、力強く震災後の日本を再生させるためにどうすればよいのかということで基本的に考え、行動しているところでございます。その行動については、政治の世界では、表で行動するときもあれば、そうでないときもあるのは当然のことだと思います。そのことについて、今、申し上げるのは適切ではないと思っております。
 いずれにしても、与野党が建設的に歩み寄って協力して、日本の再生に取り組む体制をつくるための山場に今、来ているかなと考えております。
(問)昨日、復興基本法が成立しました。復興担当相を数日以内に設置すると官房長官が言っておりますけれども、内閣法改正の成立の目途が立たず、閣僚の人数が増やせないわけです。そういった中、玄葉大臣を、被災地出身ということで復興相にという声もあるとお聞きいたしますが、その辺のお考えはいかがですか。
(答)率直に申し上げると、私は私の立場で復興・復旧に全力を注いできたつもりでございます。現在、政調会長という立場もあり、そして国家戦略、科学技術政策、「新しい公共」、宇宙開発と、大臣としてそれぞれ担当して、更にプラスするということはとても考えられないというのが、率直な私の思いでございます。
(問)先ほどの退陣に絡む話ですけれども、総理が、いわゆる再生エネルギー法案が非常に大事だという意欲を持たれているようですが、閣僚として総理の横で見て、本当に総理は再生エネルギー法案に取り組む考えは強いという印象を受けていらっしゃいますでしょうか。
(答)再生可能エネルギー固定価格買取法案につきましては、従来から民主党政権が非常に大切にしてきたテーマではあると思いますし、今後のエネルギー政策を考える上でも大事なテーマ、あるいは具体的な法案であると考えております。それに対して菅総理が非常に熱心であることは承知しております。

(以上)