玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年5月27日

(平成23年5月27日(金) 10:03~10:30  於:内閣府本府5階522記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日は閣議の前に総合海洋政策本部会合がございまして、国土交通大臣の所掌でございますけれども、「排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する基本計画」の平成23年度の実施事項及び同計画の変更について、22年度から一定の変更がなされたところでございます。
 また、政調会長という立場で申し上げれば、昨日、社会保障のあるべき姿について、党の提言がまとまって、発表されたところでございます。民主党の考え方として、社会保障改革に関する集中検討会議に提出させていただいて説明をさせていただくことになろうかと思います。調査会長は仙谷会長でございますので、会長を中心にそのようなことになるのではないかと思います。総会を二十数回行われたということでありますので、十分な議論が行われて出されたものと理解しております。
 一番大変なのはこれからでありまして、当然それに対応する税の話に入ってまいりますので、まさに困難な課題でありますけれども、正面から向き合っていかなければならないのではないかと考えております。
 復興基本法につきましては御存じのような状況でございます。これはもう国対レベルの話、あるいは実務者レベルの話にだんだんなってきておりますけれども、内容についてはあらかじめ大きな方向は私の方で内閣官房副長官補室と、あるいは官房長官とやりとりをしながら決めておりますので、是非、その線でまとめていただければと考えているところでございます。
 また、税法は税法で着実に進展をしているところと認識をしております。子ども手当は平場の議論を今週2回行ったところでありますが、まだ結論を得る時期ではないだろうと思います。総合的に判断をして、様々な国会の状況などを見極めながら最終的な取りまとめを行っていきたいと考えておりまして、逃げるつもりも全くございませんし、全体として着実に進んでいると認識しているところでございます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭でありました税法の改正についてですけれども、一部、野党とも合意できるものについては分離をして、今国会で成立させるという方向性でしょうか。大臣のお考えをお伺いします。
(答)ここはまだすべてを申し上げられるような状況ではございませんので、タイミングを見計らって、その点については申し上げたいと思いますが、抜本改革と抜本改革以外で分けて考えていくということは一つの有力な選択肢ではないかと考えております。
(問)福島原発事故の海水注入をめぐる問題で、政府と東京電力の発表が二転三転して国民の不信感が高まっていますけれども、大臣の受けとめと、政府、東電、双方の意思疎通、情報伝達のあり方についての見解をお願いします。
(答)東電内部、あるいは官邸との意思疎通をより強化していく必要は当然あるという認識でございます。
 ただ、同時に、あまり指摘がございませんけれども、現時点で最優先の事項は何かということを絶対に忘れてはならないと思います。それは、相変わらず危機対応を行っている、収束をしていないプラントの対応であります。特に、この議論が延々と行われることで現場の適切な判断が鈍るようなことがあっては絶対にならないのでありまして、現場のオペレーションこそ最優先に現時点では考えるべき事項であることを、特に私は被災地出身でもありますから、国会にもメディアの皆さんにもお願いをしたいという気持ちでいます。
 情報公開というのは極めて大切なことでありますし、事故対応の検証も極めて大切な問題であります。ただ、現時点でより大切なことは一刻も早い事故の収束であります。そのために現場のオペレーションがうまくいかなくなるような事態だけは絶対に避けなければなりません。そのことを考慮した上での議論を展開していかなければならないのではないかと考えております。
(問)菅総理はフランスでエネルギー政策に関して、自然エネルギーを2020年代の早い時期までには2割に増やすと表明されましたけれども、こうした考えというのは、党とすり合わせた上での表明なのでしょうか。
(答)正確に申し上げれば、すり合わせたという事実はございません。ただ、私がこれまで会見で申し上げてまいりましたように、原発を新規に14基つくるという計画はあり得ないだろうということであります。2030年に原発の発電電力量に占める割合を53%にするという目標は、既存の原発に加えて、新規の原発、更に稼働率を上げるということが大前提になっているわけです。その大前提が崩れていく中で、当然、再生可能エネルギーの割合を高めていくとか、省エネルギーの技術の革新を図っていくということは大切なことになるわけです。
 2030年に再生可能エネルギーの割合を20%にするというのがこれまでの計画です。それを2020年代に前倒しをするというのは、大きな方向性からいけば妥当な判断と考えております。大切なことは、これから国家戦略室の特に革新的エネルギーの分野は人員を増強したいと考えておりますし、様々な角度からバランスのとれた人選をして、しっかりとした検討をし、その上で基本的な方針を出す、さらに、その上でエネルギー基本計画をつくっていただくというのが私の意思でありまして、総理が帰ってきたら、そのことをしっかりとお伝えをして、このエネルギーの問題は政府全体で意思決定するようにしたいと考えているところであります。先ほども申し上げましたけれども、そのときに大切なことは、リアルな工程表をつくることだと思っています。夢はとても大事だけれども、それに現実という翼を付けていかなければならないことでありますし、経済リスクなどに対する対応もしっかりとしていかなければなりませんので、御質問について、結論を申し上げれば、2020年代に20%にする、つまりは今までの計画を前倒しするとおっしゃっていることは当然妥当な線だろうと考えています。
(問)今おっしゃいましたリアルな工程表の絡みでお伺いしたいのですが、全量固定価格買取制度の中で、例えば太陽光や風力発電の買取価格を今回の総理の発言によって改めて見直す考えはないのでしょうか。それから、もう一つは、現実的な工程表の中で、例えば太陽光発電を普及させていくとなると、現実には今、中国製の方がかなり安くなっている中、中国製とかアメリカ製とか台湾製が増えていくという事態も考えられますし、他方で日本メーカーの技術開発を優先するか、財政負担を考えて現実的に普及することを優先するか、その辺が非常に難しい立場になると思うのですが、どのように現時点ではお考えでしょうか。
(答)私自身の考えは一定程度あるのですが、まさにリアルな工程表でありますから、現時点で具体的なことを申し上げるのはよくよく検討してからにしたほうがいいと思っています。
 ただ、最初の質問、全量固定価格買取制度につきましては、今出している法案を是非、国会で通していただきたいと思っております。それは一つの有力な手段であります。ただ、更に幾つかの手段を用意しなければならないだろうと思います。そして、技術革新を進めるに当たっては、いつも申し上げておりますけれども、短期と中期と長期に分けることが極めて大切なことであります。そのときに、成長戦略全体の中で捉えるという視点も大切で、当然、我が国のメーカーの状況も併せながら考えていくというのが、現時点で適切だろうと考えております。いつも申し上げておりますが、様々な手段がございます。そういう意味では地球温暖化対策税を是非、通していただきたいという思いがあって、それを財源として、まさにR&Dの前倒しという議論がより現実味を帯びてきます。そういった様々な手段の組み合わせも含めて、これから検討していきたいと思います。
 基本的に現時点で考えているのは、やはり大きな方向性とか、基本的な方針を細かな点までしっかり踏まえた上で国家戦略室が出す。一方で、一回大きな方針を出したならば、各省も、環境省、経済産業省、原子力安全委員会あるいは、原子力委員会等、それぞれにおいて、その方針の下で検討してもらうことも私は必要だと思います。ですから、細かなところまですべてを決めることよりも、司令塔的な役割をしっかりこの分野で果たしていくことが私に求められていることではないかと考えております。
(問)子ども手当ですけれども、まだ結論を出す時期ではないというお考えのようですが、どういう理由でしょうか。
(答)総合的な判断と受けとめていただければと思います。党内がまとまるとか、まとまらないとかというよりも、なぜこの議論が出てきているかを考えていただければと思います。三党合意の中に、特例公債法案に関する記述があって、特例公債法案を通すのが政府・与党の責任であります。その前提として、子ども手当の問題、高速道路料金の割引制度の問題、そして税法といった問題をパッケージで扱っていこうではないかということを書かせていただいて、合意をしたわけであります。子ども手当で必要十分な条件をすべて満たすのかといえば、そうではないかもしれませんけれども、少なくとも必要条件であることは間違いない状況であります。現時点で結論を出して、すべてをパッケージで解決できる政局の状況か、国会の状況かどうかということを、当然、冷静に判断をしていかなければならないことだと思いますので、むしろここは性急に結論を出さない方がいいという判断をしているところでございます。
(問)国会状況を見定めながら、ということですか。
(答)一言で言えば、そういうことです。
(問)その国会状況がいろいろあるかと思うのですが、どの辺を注視されるのですか。
(答)昨日も政調役員会で申し上げましたけれども、被災者第一、あるいは国民第一で考えている私からすれば、今、行われている政局は後ろ向きの政局であると思います。こういった後ろ向きの政局をしている暇はないと考えておりますが、こういった後ろ向きの政局に一定の目途がつかないと、なかなか最終的に結論は出にくいと思っているところであります。その目途というのは、必ずしも大きな区切りということよりも、見通しが一定程度つかないと、なかなか判断しにくいし、判断しない方が適切だろうと考えているところでございます。
(問)今、後ろ向きの政局とおっしゃいましたが、どの部分が後ろ向きな政局でしょうか。
(答)今、大切なことは被災者第一に考えることであって、党内や、あるいは与野党でごたごたしている場合ではないと私自身は考えておりまして、それをもって後ろ向きの政局と申し上げております。
(問)自民党などは、被災者第一に考えて、今の総理が続くことは国民のためにならないという主義主張をして不信任を出す構えでありますが、いかがでしょうか。
(答)その後どうするのか、私には全く見通しがつきませんので、認識が違うと申し上げなければならないと思います。本当に被災地第一、被災者第一で考えていただいているのか、福島県の人などは疑問に思っているのではないかと思います。
(問)昨日、国土交通省の津川政務官が被災者の高速道路の無料化ということを言っていたのですけれども、東北方面無料化のことでもし進んでいるところがあればお願いします。
(答)これは最終調整中でございます。これは本来、国土交通大臣がおっしゃることだろうと思いますので、あまり多くを申し上げるのはどうかということもありますが、政調会長という立場で申し上げれば、大きく分けると3つあるわけです。1つは、被災者の皆様に対して高速料金を無料化する。2つ目は、いわゆるバス、トラックなどについて、被災地、東北地方について無料化するかどうかという問題。3つ目は、乗用車も含めて被災地、東北地方において無料化するかどうか。こういった問題を、時系列もそれぞれあるのですけれども、最終的に党内で調整をしているということでございます。
(問)選挙制度改革ですけれども、自民党の方は5県で1ずつ定数を減らすという案を検討しているようですが、民主党としては、各県の定数配分、基数配分を止めるという原則を確認しているところですが、そういった観点から見て、この5県1減案についてはどういう評価をお持ちでしょうか。
(答)政治改革本部の役員会で議論がなされていると聞いておりますが、実は私は入ってございません。ですから、自民党の考え方も十分まだ承知しておりませんし、民主党の考え方もまだ平場で一度も議論をされたことがないと認識しております。ですから、これはもう少し時間がかかるのではないかなというのが私の認識でございます。
(問)再生可能エネルギーの関係で、より伸ばしていくために国家戦略室としても人員を増やすということをおっしゃられておりましたけれども、スケジュール感と、どういう人たちをどれぐらいの規模でというお考えですか。
(答)これはもう少し時間をいただいて、さっき申し上げたように多角的に検討できるような体制をとりたいと思っております。国家戦略室に入ってくる方々に私が一言だけいつも申し上げることがあります。それは、省益を捨ててくれと、国益と国民益だけ考えてほしいということです。ですから、その観点で今回、革新的エネルギー戦略を議論することになりますが、人間というのは100%、省益を捨てられるかといったら、それは100%とはならないところだってあるかもしれません。さらに、一人の人間には、私も含めて限界がございますから、より多角的な広範な議論、新鮮な議論を含めてしっかりと展開できるような人員の増強をしなければいけないのではないかと考えておりまして、現在、人選中と申し上げておきます。
(問)例えば経済産業省の方であるとか、元々、官僚の中にも専門家がいらっしゃるわけで、その一方で、新エネ関係ですと詳しい方が外部にたくさんいらっしゃいますが。
(答)おっしゃるように、外部の方も役所の方も、つまり経済産業省以外のそういった方々も十分あり得ると思っていると、これは正直なところでございます。
(問)今日の閣議の中で、二次補正に関して、内容や提出時期についての意見などはあったでしょうか。
(答)ある閣僚から、二次補正について議論すべきだという話があったことは事実でございますが、官房長官の方から、これは総理が帰ってきてから、党の方ともよく相談をして判断していかなければならないというお話でございましたし、当然、私も被災者第一にとにかくすべてを考えていくということが必要ではないか、必要な、また緊急な財政需要があれば、新たな補正を組むというのは当たり前のことではないかと考えております。

(以上)