玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年5月13日

(平成23年5月13日(金) 10:15~10:30  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日は、閣議の後の閣僚懇談会で、原発事故に係る原子力損害の賠償に関する政府の支援の枠組みについての議論が行われました。事実上、経済被害対応チーム関係閣僚会合が行われたと理解していただいてよいかと思います。
 その中で、海江田経済産業大臣からもお話があろうかと思いますけれども、一つは、昨日の党の議論を踏まえて修文がございました。つまり、政府の支援の枠組みについて、「財政負担の極小化」という言葉を、「国民負担の極小化」ということに変更になったということであります。財政負担というと、いわば政府の財政ということでありますけれども、いわゆる電気料金も含めた国民全体の御負担によく配慮することを意図しているのでございます。
 さらに、このスキームを民主党として共に決定いたしましたけれども、併せて、本日、私の方から党側の意見、申し入れということで一言申し上げました。原発事故の被災者支援の更なる充実に向けて、原発事故の被災者、生活者、農林漁業者、商工業者等を一刻も早く救済するため、今般の政府の支援の枠組みに加え、損害賠償金の政府による立替払いを可能とする制度等の創設を検討していただきたいということを申し入れたということでございます。その上で、正式に関係閣僚会合で決定の運びになったところでございます。
 ただ今の申し入れは、特に党側で、国がもっと前面に出るべきだという意見がかなりございましたので、そういった意見を踏まえて、行ったところでございます。
 昨日、政府の方で決定する予定があったわけでございますけれども、特に私の方から、浜岡原発のこともございますので、党側の丁寧な議論を尊重してほしいということで、今朝に決定がずれ込みましたが、私としては政調会長という立場で、そのような運びを行ったことは良かったと考えております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)立替払い創設の検討を要請して、他の閣僚の方々とか首相の反応はどうだったのでしょうか。
(答)特にございませんでした。
(問)その立替払いですけれども、その実現に向けて、大臣御本人は、やるべきか、やるべきでないか、その辺のお考えはいかがでしょうか。
(答)結局、今回のスキームの一番のポイントは、やはり被害者の一刻も早い救済だと思います。そして、2つ目に、プラントで汗を流している作業員の皆さんに対して、しっかりと支払いがなされるということも必要だと思います。同時に、電力の安定供給が必要だということで、今回の機構案、スキームになったということだと思います。このスキームが決定されたことによって、東京電力は被害者に対して本格的に支払いを開始することになっていくと思いますけれども、これで大丈夫だと思うのですが、何らかの事情で、支払いが滞るというようなことも、全く考えられないわけではございませんので、そういったことに対して備えをしておくことはやはり大切なことではないかと考えております。
(問)仮に立替払いが出た場合のお金の出所は、予備費などを活用するのでしょうか。
(答)そのようになるのではないかと思います。ただ、これからまさに検討する段階でございますので、確定的なことは申し上げにくいです。
(問)別件ですけれども、今日、いわゆる復興基本法案が閣議決定されたかと思うのですが、自民党も対案を提出することにしているようですけれども、今後の修正も含めて、与野党協議の調整はどのように行われるのでしょうか。
(答)今回は御存じのように、政府の案が決定する過程におきまして、党側の意見を組み入れて、附則に、本部で立ち上げて、仮称ですけれども、復興庁について、企画立案・総合調整まででありますけれども、創設を検討するとしております。いわば再検討条項を組み入れたというのが、一つの特色だと思っております。これから法案が通らなければなりませんので、成立を図らなければなりませんので、もしどうしてもこれで野党側がだめだということであれば、それは話し合いをしていかなければならないと考えています。
(問)政策推進のための指針について、今日決定と思っていたのですけれども、これが来週にずれ込んだ理由を伺えますか。
(答)政策推進のための指針については来週火曜日の閣議決定に向けて、最終調整をしている段階でございます。特に大きな異論があるわけではございません。
(問)今の質問に関連してなんですけれども、与謝野経済財政担当大臣がTPPの結論を出す時期を数カ月先送りするとおっしゃっているのですけれども、これについてはいかがですか。
(答)来週火曜日に閣議決定するということで御理解いただければと思います。
(問)復興庁の話で、企画立案と調整ということですけれども、対策本部と機能があまり変わらないような気もするのですが、対策本部と新しくできる復興庁の違いはどういうものがありますか。
(答)先ほど申し上げましたが、本部で立ち上げて、その本部の下に置かれる事務局、復興担当大臣が置かれるわけでありますけれども、その下で基本的な方針、あるいは基本的な計画がつくられると思います。その上で、その状況を見極めながら、まさに再検討していく。つまり、より強力に計画を進めることができ得るような体制というものを、まさに再検討していくということを書いているということでございます。ですから、企画立案・総合調整という意味では、確かに形式上は本部と変わりませんけれども、企画立案・総合調整をする上でも、独立の機関であった方が強力にその計画を進めることが可能になるかもしれないということで、そこはまさにそういった状況を踏まえながら検討していこうではないかということです。必要があれば復興庁をつくるという内容が附則になっているということでございます。
(問)閣僚を3人増やす体制ですけれども、野党側から、3人は多すぎるとか、いろいろな異論が出始めているのですけれども、3人増やすという必要性について、大臣はどのようにお考えですか。
(答)閣僚の数の議論というのは、元々、総理が非常に思い入れのある話だと考えております。特に内閣府関係につきましては、非常に負担が重い大臣がかなり見受けられるように思います。閣僚の数について、やはりできるだけ増やしたいという思いは、私にもございます。増やしたいというより、ある程度、総理の裁量性を持たせるということも、本来はあっていいのではないかと思います。
(問)それに関連して、いわゆる政治主導確立法案が、昨日、衆議院の本会議で取り下げという形になりましたけれども、これで国家戦略室の局への格上げも先送りという形になりますけれども、担当大臣として受けとめはいかがでしょうか。
(答)なかなか現状の案では、野党の協力が得られないということでございますので、野党の皆さんと相談して、より強力な政治手法が実現するためのよりよい案を考えていかなくければならないのではないかと考えております。法案の撤回そのものは、今回提出した内閣法等の改正案と一部重複をしているものですから、国会対策上、そのようにさせていただいたということだと考えております。現在、国家戦略室は、私が担当してからメンバーも30人から50人になって、ほぼフル稼働していると認識をしております。別に人数が問題なわけではありませんけれども、現在、与えられた役割の中で、精一杯政治主導を実現していきたいと考えております。
(問)震災復興の関係で、よく東京に首都機能が集中していることの問題点などを指摘されていますけれども、首都機能は集中した方がいいのか、それともある程度危機管理を考えて分散を検討した方がいいのか、その点について大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)私は、政治活動を始めてから一貫して、危機管理上、一極集中はよくないという持論を展開してきた一人でございます。やはり巨大リスクに対して我が国がどう対応するのかということを考えたときに、首都機能が1つに集中をしているという状況は好ましくないと考えておりますので、副首都の構想とか、バックアップの体制といったことを考えていかなければならないのではないかと考えております。

(以上)