玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年5月2日

(平成23年5月2日(月) 17:15~17:32  於:内閣府本府5階522記者会見室)

1.発言要旨

 こんにちは。
 閣議・閣僚懇談会の内容の前に、当面の科学技術政策の運営について申し上げたいと思います。本日、当面の科学技術政策の運営についてのペーパーを私と総合科学技術会議の有識者議員で取りまとめたところでございます。これは、東日本大震災といういわば人類史的な出来事、事態を受けて、特に自然からの挑戦、そして原発事故からの挑戦という大きな事態でありますけれども、第4期の科学技術基本計画の再検討、そして平成23年度、24年度の予算編成の取り組みについて、科学技術の当面の重要課題を進めるに当たりまして、単にこれまでの政策を継続することではなくて、大震災をいかに受けとめて、いかに進めていくべきかという根本からの考えを示したものでございます。
 意見交換を行った結果、以下のような点を盛り込んでございます。
 5点申し上げたいと思いますが、1つ目はこの大震災を受けて、科学技術政策は新たな挑戦により、この国家的な危機を克服するために第4期科学技術基本計画を再検討していくこと。2つ目に、その再検討に当たりましては、特に復興・再生や大震災のような巨大リスクへの対応を重点化すること。併せてエネルギー政策の見直しを見据えつつ、グリーン・イノベーションを再検討すること。3つ目に、原子力発電所の事故に伴う放射能の問題に挑戦をし、克服をしていくことが極めて重要であるということ。4つ目に、今回の大震災を受け、科学者・技術者が正確な情報を積極的に発信していくことが重要であること。最後に、海外への頭脳流出が懸念され、研究施設の復旧・改善が重要であること。こういった事柄についてペーパーにまとめさせていただいているところでございます。
 この大きな方針に従って、第4期科学技術基本計画の再検討が8月までに行われ、平成23年度補正予算、平成24年度予算の編成に当たっても資源配分の見直しが行われていくと考えていただければと思っております。
 もう一つは、先ほどの閣議で、復興構想会議での議論であるとか、様々な意見交換があったところでございます。まず総理からは、第一次補正予算に対しての御礼がございました。そして、政調会長、汗をかいていただいて3党合意よくまとめてくれたというお話もございました。非常に意義のある内容だと認識をしているので、これに沿って進めていきたいと、こういうお話でございました。
 また、意見交換では、私から2点申し上げました。
 一つは、やはり二重ローンの問題の対策を講ずることが急務ではないかということを申し上げました。
 もう一つは、先ほどの科学技術政策の新たな挑戦に係りますけれども、やはりチェルノブイリとスリーマイルといった原発事故がそれぞれあったわけでありますが、広大な土地を有する旧ソ連、そしてアメリカはいわば後処理をして、放置をしたわけでありますけれども、日本の場合は放置をしないというメッセージがまず大事だし、放置をしないための技術革新、科学技術政策を進めていくことが極めて大切だと思います。具体的には、土壌の浄化、汚染水の処理、モニタリング技術、あるいは健康被害の問題、こういった点について世界の英知を集めつつも日本の科学技術の総力を挙げて立ち向かっていくべきであると申し上げました。そのことが何より被災者の皆さんの気持ちに応えることになります。同時に、そのことを克服してみせたら世界から改めて一目も二目も置かれる日本になるはずだということを申し上げました。
 それと、意見交換の中で総理から、復興構想会議で様々な議論が出ているけれども、いわゆる個別課題でこれはよいというものは6月末を待たずにどんどん具体化をし、調整をするべきだろうとのお話があったところでございます。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)ウサマ・ビンラディンが殺されたというニュースが流れております。テロとの戦いで非常に重要な節目かなと思うのですが、大臣の御感想をお聞かせください。
(答)正式に確認ができているという状況ではございません。それが仮に事実であれば、テロとの戦いにおける一つの節目だと思いますが、同時にこれから新たな正念場ということも含めて、我々はこの問題に向き合っていかなければならないと考えております。10年前の9・11から、一つの節目、象徴的な出来事だと思いますが、ただ、これからがまた長い道のりになるのではないかなと感じています。
(問)第一次補正予算が先ほど成立しまして、結果的には全会一致という形になりましたけれども、これまで努力されてきた政調会長、大臣としてのお立場で御感想があればお聞かせください。
(答)第一関門突破という感じがいたします。今後、3党合意した内容に沿って、復旧・復興に向けて第二次補正予算を始め、次の関門を突破できるように全力を尽くしたいと考えております。
(問)第一次補正予算が成立して、続く第二次補正予算ですけれども、これを今国会中にやるべきだという意見が野党からも出てきているのですが、大臣としてはこの第二次補正予算のタイミングをどのぐらいの時期に考えていらっしゃるのですか。
(答)これは先ほど申し上げたような3党合意の進み具合もあろうかと思います。私が今の立場で申し上げることは限界がございますけれども、いつも申し上げておりますとおり、野党の協力が得られればできるだけ早くというつもりでございます。復旧の部分と復興の部分とあるのかなと思いますが、復旧の部分の第一次補正予算の4兆円というのは、かなりの額ではあると思います。
(問)第4期科学技術基本計画の再検討に当たって、エネルギー政策の見直しがこれから行われると思うのですが、大臣としてはこれから原子力についてどのように扱っていかれるお考えでしょうか。
(答)いつも申し上げておりますけれども、2030年までに原発14基の新設はあり得ないと考えております。これからしっかりと議論をして、最終的に原子力の位置付けを明確にしていきたいと考えておりますけれども、間違いなく申し上げることができるのは、再生可能エネルギーの割合をかなりの程度高めていかなければならないと思いますし、分散型エネルギー、あるいは送配電システムの高度化、つまりはスマートグリッドとか、超伝導とか、そういったマネジメントに係る部分についての技術開発、あるいは事業化の後押しをしっかりしていくことが大切だと思います。
 2030年の目標で、確か原発の割合が24%だったのではないでしょうか。それはもうあり得ない話です。再生可能エネルギーは2030年の目標がたしか12%くらいだったのではないでしょうか。私は再生可能エネルギーの割合を倍増するくらいの気持ちで取り組みをしないといけないのではないかと考えています。
(問)個別課題について、6月末を待たずにどんどん調整すべきだというお話が総理からあったということですけれども、菅政権はTPPについて6月を目途にと言っていたわけですけれども、現在の大臣の御感想をお聞かせください。
(答)今のお話は2つあるわけです。1つは復興構想会議で6月末に結論が出るということでありますけれども、それを待たずに、例えば特区の構想などは、良いではないかということになれば、もう政府の中で具体的に検討して、物事を調整し始めるという姿勢が大事だし、具体化していくことが早目早目の復興につながっていくという意味であります。
 TPPについてでございますけれども、基本的には連休明けにこれからの方向性は出したいと考えております。日本の再生に当たっては、やはり開かれた経済再生が必要だと思います。ただ、同時に被災された農業者、漁業者への心情的な配慮も極めて大切ではないかと考えております。したがって、そのあたりのことを含めて、総合的に判断していく。覚えておられると思いますが、私がTPPを説くときに農業の強化策、特に輸出の話をまず申し上げていたわけでありますけれども、現時点では風評被害でなかなかそれがかなわない状況にあることも踏まえていかなければならないと思います。ただ、基本的な理念、考え方は、やはり日本の場合は開かれた経済再生を図っていかなければならないと思います。

(以上)