玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年4月12日

(平成23年4月12日(火) 10:15~10:32  於:内閣府本府5階522記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 閣議について、特に皆様に御報告するようなことはございません。
 第1次補正予算案でございますけれども、オープンな場で昨日、自民党そして公明党の政調会長と話し合いをさせていただきました。具体的には昨日も申し上げましたけれども、政府・民主党が考えている第1次補正予算案について説明をさせていただいて、一刻も早い国会提出、そして成立のお願いをさせていただいたということでございます。私としても、震災の危機が続く中で一刻も早い成立が図れるように、特に野党第1党、第2党などの協力も得て国会に提出できるようにしたいと考えております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)第1次補正予算案に関して、野党の方も特に大きく争う姿勢はないものの、依然財源に関して意見の隔たりがあるわけですけれども、今後、その点をどうやって埋めていくのかという見通しについてお伺いできればと思います。
(答)必ず溝は埋めたいと思っております。これからそれぞれ党内で御議論いただくでしょうから、その議論を踏まえて、どのように私たちも対応できるのか考えていかなければいけないと思っております。
 例えば、昨日、両党から、年金の国庫負担率を3分の1に引き下げることについての意見がございました。それは、恐らく自民党などは鉄運機構剰余金の1.2兆円、外為特会の先食いの3,000億円、財融特会の剰余金が1兆円を年金の国庫負担に充てるということ自体は元々賛成ではなかったので、御理解いただけると考えておりますけれども、ただ3分の1に引き下げることについて意見があるということでございます。どのような党内議論になるか、まだ分かりませんけれども、いずれにしても自民党、公明党の御意見を踏まえながら、例えば3分の1に引き下げることによって年金の支給等々が不安定にならないような工夫、知恵というものを私たちでしっかり用意をしていくということなど、考えられることは多々あるのではないかと思います。
(問)関連して、今後、年金財政が不安定にならないようにするためには、要は税制の抜本改革をやることしか多分答えはないのではないかと思うのですけれども、そこの道筋をその補正予算と併せて示すことが、おっしゃったような工夫、知恵なのか、他にもあるのか、その辺を聞かせていただけますか。
(答)様々あり得るのではないかと思います。今、おっしゃったようなこともそうだと思いますし、それと併せて、例えば自民党、公明党が指摘をされるのであれば、やはり年金法をしっかり改正することで、いずれ安定財源をきちっと確保することを示すとか、様々な知恵、工夫はあり得るだろうと思っています。
(問)その件について細川厚生労働大臣は、昨日、野田財務大臣が来るまで御説明はきちんと受けていないとおっしゃっていましたけれども、そういう意味で政府内での厚生労働省との調整というのはどの程度進んでいるのでしょうか。
(答)本日、閣議の前に細川厚生労働大臣と話をいたしましたけれども、理解をされている様子でございました。
(問)統一地方選の結果ですが、厳しい結果になりましたが、受け止めと、また、総理や幹事長の責任論もあると思いますけれども、そこはいかがでしょうか。
(答)一言で言えば、やはり結果は結果ですから、真摯に受け止めなければいけないと思います。ただ、大切なことは、危機が進行中であるということだと思います。大きな危機であります。しかも、この1カ月で震度4以上の余震が100回になっている。こういう事態をどのように政治家として受け止めるべきなのかということだろうと思います。
 今、日本のこと、そして被災者・被災地のことに専心するというのが、私は政治家のあるべき姿だと思います。
(問)昨日、福島の原発事故の関連で、政府が計画的避難区域の設定を新たに発表しましたけれども、この設定の内容について玄葉大臣の御所見を伺いたいと思います。
(答)今回の原発の問題について、いつも申し上げておりますけれども、プラントの問題と原発被災者の問題があるわけです。原発被災者の方々は、絶望の淵に立たされている。いつも申し上げておりますけれども、心の痛みがわかる内閣でなければならないと思っていますし、そのことを常々内部で私が意見として申し上げてまいりました。
 心の痛みをわかった上で、そういった避難区域の設定をする際に大切なことは3つあります。
 1つは、科学的な根拠、明確な根拠、これが1つであります。2つ目は、補償。3つ目は、コミュニケーションです。この3つを丁寧さを持って、しっかりと向き合っていくということが極めて大切で、この間、私は、官邸はよく頑張っていると思いますし、この問題に責任ある立場の方々も頑張っていただいている、御奮闘いただいていると思っています。特に、コミュニケーションも今回は以前よりは大分改善されてきていると思いますが、もう一段の丁寧さ、もう一段のコミュニケーションが私はあった方がいいと思っています。これは今後も言い続けたいと思います。
 1カ月あったわけですから、もう少し内々のコミュニケーションをとったほうがいいと、ずっとこの間、私も申し上げてきました。今回はとりましたけれども、もっと丁寧に行ってしかるべきだと思っています。
(問)今、おっしゃったコミュニケーションというのは、政府と地元の自治体間とのコミュニケーションという意味で理解していいでしょうか。
(答)そういうことです。
(問)話が1次補正に戻るのですが、年金の財源以外の財源全体と、使い道について、どういうことが決まっているのか再度説明してください。
(答)歳出は、報道にも一部ございますけれども、救助・復旧が中心に当然なります。
 より具体的に申し上げれば、仮設住宅設置、瓦れきの処理、災害復旧のための公共事業、あるいは生活の糧となる雇用です。例えば、いわゆる今までの基金を積み増して見回り隊とか、パトロールなどで被災者の方々を雇うような基金に積み増すといった雇用の問題です。あるいは、道路、港湾、下水道のみならず、学校とか社会福祉施設の復旧もありますし、自衛隊、警察、消防、それぞれの関係の活動費、手当、そういった様々なものを具体的に積み上げて4兆円になっています。かなり詳細にわたって昨日、自民党、公明党に説明をさせていただきました。しかも、それは紙にきちんと書いて、具体的にこういうことで幾らと積算根拠までお示しをして説明をさせていただいたということでございます。
 財源は、子ども手当の上積みの見直しの2,000億円、そして高速道路の無料化の社会実験の一時凍結で1,000億円、高速道路の料金割引の見直しで2,500億円。高速料金の見直しについて、具体的に申し上げれば2つありまして、1つは平日上限2,000円と決めていた国土交通省の案を止めるということが1つ。それと休日上限1,000円、これは自公政権時代に決めて実施されていることでありますけれども、それらを止めるということで、合わせて2,500億円。また、年金国庫負担率の引き下げで2.5兆円。そして、エネルギー対策特会の活用で500億円。これは具体的には新規原発の周辺整備資金でございますけれども、当然、エネルギー政策は大幅に見直されることになります。したがって、新規原発がこれまで予定していたとおりのスピードで進むことは考えられないわけでありますから、積み立てていた1,000億円のうちの半分を使わせていただくことになります。さらには、ODA関連で1,000億円程度を今、見積もりつつ、経済予備費を最大限使って約4兆円というものが我々の考え方で、今、説明させていただいている案でございます。
(問)補正予算の関係で、野党の方では公共事業に関しては建設国債でという意見もあるようですが、建設国債に対してはどういうお考えでしょうか。
(答)元々、民主党の中にも、また政調幹部の中にもそういった考え方はございました。自民党が指摘されていましたので、これから正式に考え方をしっかり伺おうと思っていますが、今回は率直に申し上げれば、総理の強い意思で国債を発行しないということでございましたので、私たちの案はそのようになっているということで御理解をいただきたいと思います。
 これからどう対応するかは、まだ自民党が正式におっしゃっているわけではありませんので、これからの問題だと思っています。
 ただ、国債を発行するということになると、やはりマーケットの問題がどうしても無視できないということでありまして、そうなったときに、2次補正に向けた復興財源をどうするかということについて、やはり与野党でしっかりと胸襟を開いて話し合っていく姿勢が極めて大切になってくると私は思っておりますし、今回、自民党、公明党にも特例公債法案、そして10月以降の子ども手当の問題、そして復興財源についても併せて協議をしたいと申し上げているところでございます。
(問)補正予算関連ですが、公明党がお話しになっていた高速道路無料化、被災地関連のことなのですが、受け止めを教えてください。
(答)東北地方の高速料金の無料化というのは、私は一つの考え方だと実は考えております。ただ、財源に1,500億円かかるのですが、その財源よりも今、必要なことは何なのかということだと思います。
 今、必要なことは応急措置と復旧措置です。恐らく高速料金の無料化が威力を発揮するのは復興段階ではないかという気がしております。今、残念ながら、物見遊山で東北地方の被災地に行く人たちがいるという話がありますし、あるいは、様々な事態が進行中の中で渋滞になったらどうするかとか、これは様々なことを総合的に勘案して決めていかなければいけないし、タイミングも含めてよく考えなければいけないのではないかと考えております。

(以上)