玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年2月25日

(平成23年2月25日(金) 10:05~10:24  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日の閣議については、私からは特に申し上げることはありませんが、総理から農水政務官について、吉田公一さんにお願いをしたというお話がございました。
 以上です。

2.質疑応答

(問)農水政務官ですが、まず松木前農水政務官の辞任についての受け止めと、また、辞任理由の一つに大臣も推進されているTPPの関係の話を挙げていますが、明日から国民向けのフォーラムが始まる中、政府・与党内で足並みが乱れているという現状についてどう思うか、もしくはお考えをお聞かせください。
(答)松木前農水政務官の辞任については、大変残念なことだと思います。今、大切なことは、政府・与党にとって、国民の生活を守るために一刻も早く予算案、そして予算関連法案を通すことに尽きるのではないかと思います。
 そして、TPPにつきましては、そもそも私は国民的な議論を大いにやるべきだと思っております。自民党の中でも意見が割れています。当然、民主党の中にもいろんな意見があります。情報もまだ十分でないことも事実です。現時点で、我々もまだ最終的な判断をしておりません。ただ、これまでの日本よりも、より開かれた国にしていくために、ハイレベルEPAの推進などで決意をしたということで、御存じのようにオーストラリアとのEPA交渉の促進あるいは韓国との交渉再開、あるいはEUとの交渉開始、そういうことを我々も今、推し進めているところでございます。開国フォーラムに当たっては、これは若干誤解がありますけれども、どうしてもTPPに関心が集まるのは仕方がない面もあると思いますが、日本の置かれた現状というものを、少なくとも政府として考えている認識をしっかりと説明をしていく、そして、少なくとも昨年11月に決めた包括的経済連携に関する基本方針について、正しく説明をしていくことが主眼です。もちろん、TPPについても出し得る情報はすべて出して、そして議論に付していくと。国民的な論議を大いに、むしろやるべきだと思います。それが、これからの日本のあるべき姿を考える上で、むしろ重要なことだと考えております。
(問)昨日から子ども手当法案の審議が始まりましたが、総理は、2万6,000円はびっくりしたと答弁しております。これは2万6,000円というのは最初から難しかったというようなことを認めたと受け取られていますけれども、大臣はこの発言にびっくりしたかどうか。また、大臣も2万6,000円と最初聞いたとき、これはびっくりされましたか。
(答)さまざまな受け止め方が、あの当時あったかと思いますが、その後議論をして、あの数字に決まりました。あの当時は全党的な議論というのは、あまりしなかったように思いますけれども、あの数字に決まったわけですから、それは政府・与党全体で基本的に責任を負わなければいけない話であると私自身は考えています。
 思い起こすと、今では出生率が1.37に戻ってきましたけれども、あの当時は1.26くらいの数字だったので、少子化に歯どめが全くかからないということに対する危機感が、おそらくそういった額に対しての一定の合意形成につながったのではないかなと想像いたします。
(問)昨日、自民党から予算組み替え動議が出されましたけれども、この予算組み替え動議の評価をお聞かせください。
(答)これは、まだ仔細に検討はできておりません。ただ、そのまま受け入れるわけには、なかなかいかない内容だというのが最初の印象であります。
 というのは、子ども手当や高校の実質無償化、そして戸別所得補償制度は恒久的な財源を確保して私たちとしては実施をしているわけです。それをばらまきというふうに断じてすべて止めるというのは、なかなか厳しい。同時に、我々自身が恒久的な財源を確保しているということは申し上げないといけません。まさに、財源見合いでマニフェストの主要政策を実施していると考えております。
 また、まだ十分検討していないという前提の下で、例えば基礎年金の国庫負担の2分の1の引き上げはどういう財源で行うのか、書いてあるのかいないのか、きちっと検討をしないといけないと思います。
 公務員の総人件費も、すぐに1.5兆円削減という内容だったのではないかと記憶をしております。私は自民党政権のときではできなかった公務員給与引き下げ法案を今回出すことを考えているわけでありますけれども、すぐに1.5兆円という数字が本当に現実的なのかどうなのか。多分、地方公務員も含んでいると思いますが、仮に地方公務員が含まれているとすれば、当然これは交付税の額に影響するわけですけれども、おそらく交付税の額はそのままにして計算してあるということで、よく検討してみなければいけないのですけれども、かなりラフだなという印象を受けているということは申し上げたいと思います。
(問)先ほどの子ども手当の話に戻りますが、仮にこの法案が年度内に成立しない場合には児童手当の制度に戻ることになると思います。自治体の手続等に非常に混乱を来すと思いますが、こうした事態を避けるために、現時点でどういう手立てをお考えなのか、お聞かせください。
(答)全国の自治体の皆さんから、絶対に混乱は避けてくれというお話を多数いただいております。先般も、森全国市長会会長、そして藤原全国町村会会長がいらっしゃって、何としてでも成立を、そして混乱回避をというお話でございましたので、そのようなことにならないように、ありとあらゆる手段を駆使しなければならないなと考えております。
(問)予算関連法案について、一部を除いて法案の成立がかなり絶望視されているというのが一致した見方だと思うんですが、大臣はこの前テレビでそれに類する発言をされていました。昨日、民主党は野党側に対して分離採決を提案したようですが、そういった選択はやむを得ないのでしょうか。
(答)私の立場としては、一刻も早く予算関連法案も年度内に成立を図れるように引き続き接点を見つける努力をしていきたいと考えております。
(問)政府・与党の一部には、統一地方選後、公明党が態度を変えるのではないかという楽観論ともとれる意見があるようですが、これについてはいかがでしょうか。
(答)必ずしも甘い見通しを持っているわけではありません。あくまで粘り強く、忍耐強く努力をしなければならないと思います。
(問)与謝野大臣が、先週、年金の一元化、それからその先の最低保障年金について、かなり否定的な発言をされました。今朝の会見でも、一元化についてはスピード感が玄葉大臣の認識と違うのかなというような発言がありました。
 必ずしも今年度のうちに、あるいは来年度に一元化がすぐできるようなものではないと、制度を決めてもすぐには変えられるものではないという趣旨の発言だったわけですけれども、スピード感の違いというものは、大臣は御認識されているのか、あるいは横を見たときに与謝野大臣の考え方について、ちょっと違うなというところがあるのかないのかというのはいかがでしょうか。
(答)皆年金、皆保険ができて50年、人口の構造、社会の構造が大きく変わりました。特に社会の構造でいえば、今、非正規雇用が、全体の3分の1いらっしゃるということでありまして、雇用が流動化をして働き方が多様化している中で、すべての人が同じ制度に入ることが一番公平である、というのが一元化の理念だと思います。このことは、私は大切な理念として必要ですし、民主党として持っていかなければならない大事な考え方だと考えております。
 ただ、時間がかかるのも事実でありまして、この移行期間をどのくらいに置くのか、そういった問題をどう対応するのかということが、一つの大事なところでありまして、そういう意味で、私は一元化の大切さ、あるいは最低保障年金の大切さを、与謝野大臣も実はよく理解をされているのではないかと考えております。私としては、党の政調会長を兼ねる立場で申し上げれば、やはり民主党の考え方というのを中心に置きながら、しかし同時に、時間がかかる、また超えるべきハードルもあるということに対してどう対応するのかを、これからしっかり党の中で、調査会の中で議論をしていくことが大切だと考えております。
(問)先ほど、自民党の組み替え動議の件に関して、公務員の総人件費をすぐに1.5兆円削るという内容が、現実的ではないという認識を示されたかと思うのですが、今国会に菅政権として出すことにされている給与引き下げ法案で、どの程度の財源を捻出できるのでしょうか。先ほど人事院勧告の完全実施では3,000億円弱だったと思うのですが、その程度は捻出できるとお考えでしょうか。
(答)それはまだこれから、片山大臣のところで検討しておりますので、今、私がここでコメントするのは適切ではないだろうと思います。
(問)民主党の中から、東京維新の会という政策集団をつくったり、原口前総務大臣も日本維新の会という政策集団をつくったりという動きがあります。その方々は、大阪の橋下知事や名古屋の河村市長と連携を目指してやっていこうという動きをしていますが、それについてどのように見ていらっしゃいますか。政策で連携は可能だとお考えですか。
(答)その動き自体、私はあまりウオッチしておらず、あまり関心がありません。
(問)地域政党と民主党の連携というのは、政策的に合っていると感じられますか。
(答)それは、その地域政党によると思いますし、地域政党というのは、基本的には、首長とか、地方議員とか、いわゆる地域の中での話で、国会ということになれば、また国会の中での話です。地域主権のあり方について議論を交わしていくということについては当然あっていいし、それは必要なことだと思います。地域主権に限らず、もちろん議論のテーマになり得ることはあるかもしれませんけれども、そういった程度かなと思います。
 私は地域政党については、5年とか10年とか、そういうスパンでもう少し冷静に見ていかないと評価しにくいと思っています。
(問)原油価格の高騰ですけれども、リビア情勢の影響もあって、原油価格がかなり上がってきております。経済や国民の政策に対する影響について、国家戦略担当大臣としての御所見をお願いいたします。
(答)懸念を持っています。資源価格、特にサウジアラビアの場合は、日本からすれば石油の最大の供給元になっているわけであります。ただ、サウジアラビアに限らず、あるいは石油に限らず、資源高、そして食料高というのが経済に与える影響というものを、我々はやはり注視をしていかないといけないと短期的には思います。
 ただ、中長期的に考えたときにどうなのかというと、また別の角度で議論も必要だと思います。それはすなわち、日本の農業をそういった中でどう考えていくのか、世界の人口がどんどん増えていく中で、日本の食料供給、農業というものをどうするのか、あるいは資源がどうなるのかという懸念が常につきまとう中で、日本の世界一とも言えるべき省エネ、環境ビジネス、こういったものをどう活かす道があるのか。そういったことも含めて、ピンチをチャンスに、マイナスをプラスに変え得るような戦略を、中長期的には組み込んでいくことが大切であると思います。

(以上)