玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年2月4日

(平成23年2月4日(金) 9:55~10:26  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日の閣議については、皆様に御報告するような案件は特にございません。
 全国各地で、「開国フォーラム~平成の開国と私たちの暮らし」ということで、資料は官房長官の発表で皆さんのところに行っているかもしれませんけれども、私が中心になって、事実上の地方説明会というか、それぞれの地域の皆さんと対話をするということを、これは政調会長ということではなくて国家戦略担当大臣という立場で、関係省庁の副大臣とともに分担をしながら行うことになりました。
 キックオフは、2月26日土曜日の10時から12時に、さいたま新都心合同庁舎で行うことになっております。それぞれの地域で2時間ずつやりますが、土日になりますけれども、私も出かけてしっかりと対話をしたいと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)昨日、公明党の代表が予算本体のみならず、関連法案の大幅な修正がなければという条件つきで反対する考えを示唆しました。相当厳しくなることが予測されますが、その反応、評価についてお聞かせください。
(答)以前から、予算関連法案については厳しい見通しを持っておりました。そういう意味では、ぜひ具体的に、どこをどう直せば賛成していただけるのかということも含めて御提案をいただくと、大変ありがたいと思っております。
 昨日も申し上げましたけれども、「ねじれ」という現象は、私は、与野党でよく話し合って、よりよい結論を出してくださいというのが国民の皆さんの期待の表れであり、それが結果として「ねじれ」になっていると考えておりますので、やはりよりよい結論を導くための具体的な、前向きな提案をしていただくようにお願いをしたいと思っております。そうでないと、国民生活、そして景気に重大な影響を及ぼす可能性が極めて高いと思います。例えば、税制、そして地方交付税の問題もございます。そういった問題で大変大きな影響が出てきます。
 中小企業減税も本則に戻ってしまうのではないかと思います。私達の税法が通れば税率は15%になるわけでありますけれども、通らなければ本則の22%に戻るはずです。私は公明党という政党は非常に大人の、しかも大局的な、国民の皆様の生活に真摯に向き合っている政党だと信じておりますので、そういった前向きな提案をしてくださると期待をしております。
(問)同じ場で、マニフェストを実現できなければ、具体的には子ども手当について言っていましたけれども、修正であれば信を問うべきだというような姿勢も強めて言われていましたけれども、それについてはどうお考えですか。
(答)マニフェストと総選挙の関係についてですが、私もマニフェスト運動には最も早くからかかわってきた者の一人でございます。導入に深くかかわりました。そのときから申し上げてまいりましたし、マニフェスト運動に冒頭からかかわった方々もそうだと思いますが、基本的な理念、基本的な考え方というものが変わらなければ、それは総選挙と直結するものではないと考えます。環境が変わり、状況が変わる、そういったことに対してむしろ柔軟に対応していくことが大切だと思います。基本的な理念、考え方が180度変わるということであれば、これは別でありますが、すべての政策に、国民の皆さんが高い支持を本当に与えたのかということを素直に考えてみる必要があると思います。
 マニフェストそのものを支持された方々は当然とはいえ、同時にマニフェストのそれぞれの政策よりも、政権交代、あるいは古い自民党を倒したい、そういう一心で投票された方々も多い。また、マニフェストの主要項目についても、すべてを支持して投票したという方々は、極めて少ないのではないか。これは冷静に見つめて財源というか、いわゆる全体状況を見ながら、それぞれ一つ一つの政策が今、国民の皆さんから見てどれだけの支持があるのかということを冷静に見極めながら、やはり対応していくべきものなのではないかと考えております。
(問)名古屋のトリプル選挙についてですけれども、河村市長のやり方について、例えば民主党の岡田幹事長は、市議会を解散することに関してポピュリズムではないかと非常に批判的であります。一種、これまでの地方自治の制度に対する挑戦的なやり方だと思いますが、地域主権に長年携わってこられた大臣として、河村市長の手法についてどういうふうに評価されていらっしゃいますか。
(答)対話が大切だと、議論を尽くすことが大切だとまず思います。それができなかったから解散だというのは、ある意味、責任放棄であると思います。
 同時に、今、政治に本当に求められていることは一体何なのかといえば、やはり耳ざわりなことも国民の皆さんに正面から申し上げる、説明をする、そういう政治こそ実は今求められている政治であって、そういうことのない政治というのは、私は間違いなく将来世代に大きなツケを回すことになると思います。
(問)関連して、もう1点。一方で、現状の選挙情勢を見ますと、非常に二大政党が地域政党に苦戦している状況ですけれども、その二大政党の幹部として、この状況をどう分析されていらっしゃいますか。
(答)これまでの歴史の中でもそういうケースは時々見受けられたわけでございます。
 まず大切なことは、なかなか大切なテーマで物事が決まらないということに対するもどかしさというもの、いらだちというものを多くの国民が感じているのではないかと思いますので、やはりそのことに正面から向き合って答えを出していくということに尽きるのではないかと思います。
(問)マニフェストに戻りますけれども、マニフェストの修正及び変更ということになると、党内で反発も予想されます。政調会長も兼ねていらっしゃる大臣として、党内をどう説得されていくのか、そこはどう考えていらっしゃいますか。
(答)いつも申し上げますけれども、丁寧で透明性の高い議論をしっかりとしていくと、できるだけ多くの皆さんが参加をして物事を決めていくということが、まず大切だと思います。これも困難な課題です。ですけれども、逃げてはだめだということだと思います。やはり逃げずに正面から向き合って、必要な検証を行って必要な見直しも行うということこそ、私は求められていると思います。
 ただ、それがすなわち総選挙かといえば、私はそうではないと思います。基本的な考え方、基本的な理念が変わらなければ、それは私は許容されるべきものだと思います。そうした勇気こそ、むしろ求められていると私は考えています。
(問)明日から社会保障改革に関する集中検討会議が始まります。大臣もメンバーの一員ですが、改めてこの会議に期待するところと、一方で党の政調には、「社会保障と税の抜本改革調査会」いわゆる仙谷調査会がありますが、これとの役割分担についてはどう考えるかお尋ねします。
(答)これまでも政府の検討と党の検討と、常に並行して行っていくのが、私が政策調査会長になってからの大体の慣わしであったわけであります。お互いに深い議論をしていくと同時に、役割分担も一定程度必要だと思います。党内調整あるいは党内の議論を収れんする、あるいは集約するという意味では、党の仙谷調査会の持つ役割は極めて大きいと思います。
 この大テーマは国民の皆さんが参加をしていただく、多くの人に理解をしていただく性質のものであり、インナーで議論する話ではありません。だから、そういった運動も含めた役割分担が、党と政府・与党の検討会議で必要だと思っておりまして、そういった交通整理も私の下でしたいと思っております。
(問)先ほどの予算関連法案の関係のところの関連ですが、税法が通らなければ15%になるものが22%に戻るとかいろいろな影響があるということですが、公明党などに、賛成できるものと賛成できないものに切り分けて、賛成を求めるというようなお考えはおありでしょうか。また、そういうこともニーズ的に可能かどうかというのはどのように考えていらっしゃいますか。
(答)いつも申し上げていますが、現時点で与えられた条件の下ではベストな予算とベストな税制だと自信を持っています。
 ただ、現実を見れば、関連法案は通さなければいけないということもございます。通し方は様々あると思いますけれども、厳しい情勢であることも一方で承知しています。ですから、ぜひそれぞれの政党の皆さん、野党の皆さんには、具体的な、前向きな提言をしていただいて、ベストな予算、ベストな税制が、我々から考えてどこまで柔軟に対応できるのかどうなのかということを考える必要はあるでしょうから、そういう意味では、私はこのままが望ましいと常に思っておりますけれども、とにかく今は前向きな提案、建設的かつ具体的な提案を期待したいという思いでございます。
(問)そうした提案を聞くべく、大臣御自身として現時点で具体的に行動といいましょうか、何かお考えはありますか。
(答)適時適切に努力をしたいと考えております。
(問)昨日、新日鉄と住友金属が合併の検討を開始しました。国家戦略担当大臣として所見をお願いいたします。
(答)グローバル化の下での戦略としては、私は正しい選択をされたのではないかと思っています。そもそも、日本の自動車メーカーにしても家電メーカーにしても、一言で申し上げれば多過ぎると思います。
 わかりやすい例を挙げれば、韓国では、業界再編し、そして世界を席巻するということが起きております。政府がどうこう申し上げるべきことかという問題はありますけれども、やはりグローバル化の中で国際競争に勝ち抜くという観点、あるいは国家戦略という観点からすれば、そういった再編がなされていくということは、私は望ましいと思っています。
(問)4月に政府として社会保障の改革案を出されるということですけれども、これは統一地方選の前になるのか後になるか、その辺はいかがなのですか。
(答)まだはっきりと申し上げられないと思いますけれども、統一地方選の際には、社会保障のあるべき姿について、当然のことでありますけれども、もう表にほぼ出ているのではないかと思います。かちっとした結論が出ているかどうかはともかくとして、こういったところに収れんされそうだというくらいは、やはり出すべきだと思います。
 ただ、時間がありませんから。統一地方選は2回あるので、基本的には4月中と考えていただきたいと思います。年金、医療、介護、子育てまで入れてくると、やはり大議論になりますので、この議論は急がなければいけませんが、一方で拙速に結論を出すわけにもいかない大テーマでありますので、少しアローワンスをいただきたいと。ここは4月中とお考えいただければありがたいと思います。
(問)政府が案を出す前に、党としても案をおそらく出してくるのでしょうが、党としては政府よりも先立って出すべきだとお考えですか。
(答)そこは私と仙谷調査会長で2月中に判断したいと思います。並行して議論を進めております。今までは、例えば概算要求の組替え基準から始まって、子ども手当にしろ、大テーマは、TPPもそうですけれども、ほとんど党が提言をし、その提言の大層、9割以上を政府が受け入れる形で物事が決まってきたというのが、この間の民主党の一元化の下での政策決定システムと言っても過言ではないと思います。
 ただ、先ほどの質問にもございましたけれども、党と今回の政府・与党の会議の役割分担について、私も今、考えているところがございまして、党が先に提言を出すのか、それともむしろ並行して進めるけれども、もう同時決着にするのか、そこは調査会の幹部と私で考えたいと、2月中に判断したいと、そう考えております。
(問)先ほど大臣から、野党側から具体的な政策の提言をしていただきたいというお話がありましたが、おそらく公明党などが求めているのは、マニフェストは間違っていましたと、はっきりそういうけじめを与党としてつければ、野党としても具体的な提言をしましょうという立場だと思います。そうすると、それがないとずっとお互いが牽制し合っているだけで時間が経っていくだけだと思うのですが、与党としてそういうマニフェストが、破綻という言葉は使わないにしても、間違っていたというふうに言うお考えはあるのでしょうか。
(答)マニフェストに正面から向き合って勇気を持って検証し、見直すべきは見直すという姿勢は私は一貫して変わりません。むしろ、民主党の中でも最初に言い出したと申し上げても過言ではありません。
 ただ、問題なのは、自民党も、あるいは先ほどの質問にあった公明党も、それがすなわち解散・総選挙であるというのは違うということです。見直したから解散・総選挙ということになれば、結局は物事が進みません。本当にそれを国民の皆さんは求めているのか。今、日本の課題を考え、深刻な状況を考え、将来世代を考えたときに、こんなに頻繁に選挙をし、くるくる総理を替えて、どうやって物事が決まるんだということを、やはり深刻に真剣に考えていかないと、それこそ、将来世代のための責任を私は果たせないと考えています。
 ですから、見直すべきは勇気を持って見直します。ただそれが、すなわち解散・総選挙ではない。そういうことであれば、私は堂々と謝るべきは謝りたいと思います。
(問)昨日の衆議院の予算委員会で、大臣は、政府・与党の社会保障と税の複数の案を提示するという可能性もあり得るという話をされていましたけれども、先ほど話がありました4月の時点で、党が提言するなり、政府のほうでまとめるなりという段階で複数の案が出てくるという認識でいいのでしょうか。
(答)4月というのは社会保障の姿、6月は社会保障と一体となった税の抜本改革の姿と、そういう意味でありますけれども、特に社会保障の姿をお示しするときは、何が何でも1つに絞るということが本当にいいのかどうかというのは、よくよく考えないといけないと思います。それぞれがそれぞれの案に固執して、逆に物事が進まなくなるということも考えないといけないと思っていまして、私としては、やはり民主党の考え方をベースにしながら、やはり1つの案があって、また同時にさまざまな有識者あるいは国民の皆さんの声をもう一回聞いた上で、違う場面でのことも含めて、やはり幾つか用意しておく必要があるのではないか、そのことのほうが、与野党協議あるいは国民的な合意をしていくのには、むしろ必要なのではないかと考えております。
(問)科学技術政策についてのお尋ねです。民主党肝いりで創設されました若手・女性研究者支援に特化した「最先端・次世代研究開発支援プログラム」が採択されましたが、一方で、秋にピュアレビューが終わりまして、それからここまで決定が延びてしまいました。その間、延びている理由の明確な説明もなく、1月の下旬に再度、研究概要を提出してくださいというような話を各応募者にしたそうですけれども、結果的に、ただでさえ雇用が不安定な若手の不安をあおり、結果的に各学術団体の代表が、今回の決定遅延をさせたのは政治主導のためであるという非難をするような提言書を総合科学技術会議事務局に出されたそうです。
 今回のプロジェクトは、非常に今後の科学技術政策を進めていく重要なものだと思うのです。一方で、このプロセスにおいて研究者コミュニティーの不信感を招いてしまったことにもつながったと思うのですけれども、今後の研究開発、研究課題を決定するプロセスを、研究者コミュニティーとある程度コンセンサスをつくるような必要が出てくると思うのですが、今回の事態を外部と検証するような場を設けるお考えはありますでしょうか。
(答)私のほうからは早く決めるようにという話をして、昨日、最終的な案を取りまとめたという話をいただきました。
 どのようなことがあったのかは、一部、私も報告を受けておりますけれども、そこは一定の検証はしたいと思います。しかしながら、御存じのように、我々はポスドクを支援するための予算や科研費を増やしました。財政状況が厳しい中、ある意味で破格の予算にしている部分があると考えています。
 ですから、決して軽視をしているわけではありません。仮に不信感を招いてしまっているのであれば、そこは解消の努力をしなければいけないと思います。したがって、一定の検証はやらなければいけないかもしれません。ただ、やはり若手研究者、女性研究者は、日本にとっては大変大切な方々でございます。
 我々がこのような方々を重要視しているということは、むしろお伝えをいただきたいと思います。また、これまでなかなか決着しなかったと言われている総合科学技術会議の体制の問題や研究開発独法のあり方の問題についても、一定の方向性をどこかの段階で出したいと考えております。
(問)先ほど二大政党が苦戦し地域政党が伸びているという質問に対する大臣のお答えの中で、大切なテーマで物事が決まらないことへのもどかしさがあると先ほど発言されましたが、その一つに、小沢元代表に対する処遇がなかなか決まっていないという、そういう問題も一つにあるのではないかと私は思ったのですが、大臣はそれについてはいかがでしょうか。
(答)そのことも全くないとは言えないかもしれませんけれども、そのことよりも、やはり日本の将来を考える上での本質的かつ根本的な課題に対して、先が見えるようにしてほしいということではないかと思います。
 実は、新成長戦略や財政運営戦略もそうでありますし、この少子高齢化、人口減少社会にあって打ち出すべき政策について、改めての検討はしておりますが、実は一つ一つは間違いのない政策を推進している確信はあります。ただ、社会保障と税の抜本改革を始め、そういった問題について、だれが見ても、実は必要だというテーマなのに、何か話し合いが進んでいないのではないか、何か解がないのではないか、何か決まっていないのではないか、そういうふうに見られているところもあるのではないかと思っています。

(以上)