片山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年7月12日

(平成23年7月12日(火) 8:25~8:41  於:衆・第17委員室前)

1.発言要旨

 おはようございます。閣議がありまして、閣議では、補正予算の財務相演説の説明がありました。
 閣議が終わって閣僚懇談会で、私の方から、いわゆる通達行政の見直し、点検ということで発言をしました。これは、国会でも度々議論がありましたけれども、通達行政は、2000年以来終了しているわけです、法律上。国と自治体とは役割の違いはあれども、上下関係にはないわけで、したがって、自治体を法的に縛るようなこと、それから、国民の権利・義務に関するようなことは通達では発出できない。それは、法律でもって規定すべきだという、これが原則です。これにもとるような通達・通知があるのではないかというのが論点、関心でありまして、総務省でそういう通達・通知があってはいけないので、改めて、今般、点検をいたしました。そういう意味での、国民の権利・義務にわたるようなことについては、幸いなことに、原理にもとるような通知・通達はありませんでした。ただ、中にはもっと改善の余地があるのではないかと思われるようなものもありましたので、それは、省内で早速に改善をすることにしました。
この経験を踏まえまして、各省に、今日、私の方からお願いをいたしまして、都道府県や市町村と関係の深い行政をやっておられる役所は、特に、今一度点検をしてみてもらいたいと。点検の仕方等については、総務省の経験がありますので、実務的に御協力をいたしますということを申し上げておきました。
 それから、昨日、福島に出張いたしまして、福島県内の原発被災地の12の市町村長さんと県を交えて意見交換をしてきましたけれども、その様子、状況を、今日、閣僚懇談会で報告をいたしまして、現地で依頼を受けたことなどを関係閣僚の皆さんに私の方からお願いをしておきました。それはどういうことかと言いますと、一つは、できるだけ早く戻れるようにしてもらいたいということ。これが一つでありますし、それから、もう一つは、避難先で生活を送ることを余儀なくされている住民の皆さんの生活が困難にならないように、必要な支援でありますとか、手はずを整えることをしていただきたいということで、これは特に、厚生労働省とそれから文部科学省の方に私の方からお願いをしておきました。もちろん、新法を、今、避難先での住民サービスの特例法を、今、 作っておりますので、既にもう、関係省からは協力いただいておりますけれども、今後のこともありますので、念のため改めて、私の方からお願いをしたような次第であります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)すみません、幹事社の日経新聞です。昨日の意見交換を踏まえてですね、所管分野で、今後、必要だと思われる措置、課題についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)昨日はですね、税の課税免除、減免についての意見交換を主としてやったわけですけれども、それについては、おおむね合意と言いますか、納得を頂いたと思います。それについて、課税免除なり減免をした場合の自治体の減収に対する補てん措置を確実にやってほしいということでありますので、それは津波災害などの場合の減収補てんの、もう仕組みがありますので、それを基本にしながら着実にやっていきますということを申し上げました。
 それから、財政面では、例えば、避難先の、遠隔地に避難されている住民の皆さんとの間の通信とか、郵便のやり取りとか、そういうものにかなり膨大な経費が掛かる。そういうことを始めとして、いろいろな目に見えない、なかなか制度的に仕組みができていないような物入りなことが随分多いので、その点を配慮してもらいたいと。それから、住民の皆さんに対する支援でもですね、通常のときにはないような必要な支援があるので、それに十分対応できるような財政措置をしてほしいと。そういうことを考えると、例えば、基金のようなものを作ってもらいたいという要請がありまして、それについては、阪神・淡路でありますとか、島原の噴火のときの前例もありますので、それも一つ念頭に置きながら、しかし、当時と今と、金利が非常に違うという、そういう違う点も考慮しながら、何か考えてみたいと。今度の第二次補正で特別交付税などを活用しながら検討できないかということを、その場で少し私の方から話を申し上げておきました。
 あとは、先ほど言いました、避難先で住民の皆さんの生活に支障がないような、しかるべき措置を採っていただきたいということで、それは先ほど申しましたように、閣議後の懇談会で私の方から今日、関係閣僚に申し上げました、というようなことですね。
(問)すみません、もう1問。その基金については、二次補正であくまで積んだ、これから積む予定の交付税で作るというようなお考え、それとも、三次補正でこれから新しくまた手当していくという、どちらのお考えなのでしょうか。
(答)私もですね、何らかの基金的なものが必要だろうと思っています。それがですね、最終的にどれほどの金額になるのかというのは今のところまだつかめません。というのは、これから復旧・復興のこうステージが変わってきますけれども、全貌がまだ明らかになりませんので。ただ、とりあえずですね、できるだけ早く自治体の方で細々とした、いろいろな目に見えない経費などに充てる財源が必要だろうと。そのための基金ないし基金的なものが必要なのではないかと思いますので、差し当たって、二次補正で特別交付税という財源がありますので、これが内輪になるのかどうか分かりませんけれども、何らかの基金的な手当ができないのかなということで、早速、昨日来検討を始めたところです。
(問)すみません、通達行政の関係なのですけれども、先ほどおっしゃっていた、これから改善していくべきところというのは、具体的にはどういった点。
(答)例えばですね、つまらない話なのですけれども、技術的助言という専門用語があるのですね。というのは、国民の権利・義務に関するようなこととか、自治体を法的、法的と言うか、自治体に拘束力を及ぼすようなことを通知・通達で規定してはいけないという、これが原則なのですね。ただ、技術的助言ということは許されるわけです、これは。技術的助言というのは、外国の事例を紹介するとか、こちらの考え方を御紹介するとかということはいいわけですね。それで、技術的助言ですよということを添えた通知にほとんどなっているわけです。技術的助言と言いながら拘束力を持たせるようなものがないかという点検をするのが今回の眼目であって、それは幸いなことになかったということなのですが、逆に、単に決まったことを連絡するときに、例えば、今度、法律がこうなりましたよという、これにもね、技術的助言ですと書いてあるので、どういう意味かよく分からない。要するに、それは、単に国会が決めたことを連絡するだけなのに、それをしも技術的助言と称して通知を出しているというのは、何とかの一つ覚えとまでは言いませんけれどもね、余りにも硬直的な考え方ではないかというようなことも一つの例です。ですから、特段、問題のあるものは見いだせませんでしたけれども、より常識的な処理をするという面で改善をしたいと。あとはですね、例えばですね、もうこれだけ電子化されたわけですから、ホームページに掲載すれば済むような問題もあるわけですよね。自治体の方が、ホームページに、総務省のホームページにアクセスしていただければ、それで直ちに分かるというようなケースもあるわけですけれども、それをいちいちですね、都道府県に通知をして、都道府県から市町村にそれを増し刷りしてもらって、また印刷した上でまた配ってもらうと、こういうことをやっているケースが随分あるのです。そういうのは改善の余地があるだろうと。どうしてもですね、本当にもれなく、絶対に全部見てもらわなければいけない、現状は、すべてで千七百数十の自治体が、毎日毎日、総務省のホームページを見ているかどうかというのは、必ずしも確証が得られないものですから、絶対に早く知ってもらわなければいけないというのはあると思います、通知をするというのは。だけれども、必ずしもそうでないような、多少時間をおいて見てもらってもいいようなものはホームページに掲載すればそれで足りるというようなこともあるのではないか。その方が金銭面でも、労力面でも省力化、それから節約できますのでね。そんなことも工夫ができるのではないかというのも、今回の見直し、点検をしたときの一つの教訓でした。
(問)すみません。総務省にはなかったということなのですけれども、例えば、国土交通省とか、あるいは厚生労働省といった官庁などに対して、これからもやはり見直しを進めていってほしいということで要請をされたと。
(答)ええ、さっき言いました自治体の行政と関連の深い仕事をしている省というのは、例えば、厚生労働省でありますとか、国土交通省でありますとか、農林水産省でありますとか、経済産業省でありますとか、ありますので、そういう役所が発出する文書の中に、地方分権と言いますか、地域主権改革の原理原則にもとるような、反するようなものがありはしないかという、そういう点検をしてもらいたいということですね。国会で議論になりましたのはですね、厚生労働省の発出した文書で、国民年金に関するものが、一度総務委員会だったでしょうか、取り上げられたことがあります。それは、具体的に私もそれを拝見をして、直感的にやはりこれはのりをこえている文書だという印象を持ちました。ですから、そういうものがある可能性は高いと思いますので、この際、まず自主点検をお願いをしたということであります。
(問)秋田市で全国知事会議が行われていますけれども、各知事がですね、脱原発ではなく、卒原発なんてことを提言しようとしているとかですね。あと、そのほかいろいろな地域主権の問題、それから東北3県の地デジの問題等々いろいろあるようですが、所管大臣としてお考えの点があれば、その辺をお願いします。
(答)それは具体的には何ですか。知事会についてですか。
(問)はい。
(答)私もですね、今日、できればお伺いしたいと思っていたのです。今、おっしゃったようなことの中で、特に総務省に関係するようなこと、地方行政全般に及ぶようなことについては、意見交換をしたいと思っていたのですけれども、国会で、今日これから衆議院の総務委員会もありますし、それから復興特別委員会も午後ありまして、それぞれ出席をしなければいけませんので、残念ながら知事会議には出席できないことになりまして、非常に残念であります。是非、当面する重要な課題がありますから、熱心に御議論を頂いて、必要なことを政府にお届けいただければと思います。
(問)大臣、復興財源についてなのですけれども、復興構想会議では、基幹税を中心とした臨時増税も提言されていますが、地方税で何か検討することっていうのはあるのでしょうか。
(答)それはこれからですね。ただね、これ、私、関係の皆さんに申し上げているのですけれども、これから三次補正で本格的な復興を目指さなければいけないのですけれどもね。その際に、財源の手当、これ、税、増税ということが一つ選択肢であるわけですけれども、これが決まらなければ三次補正は組まないというようなね、そういう増税を人質に取るようなね、逆ですか、補正を人質に取って増税をしなければいけないというような、そういう発想はやめるべきだと思うのですね。復興というのは、本当に、急ぐところは早く予算措置をして、自治体の指針となるような制度を作らなければいけませんのでね、それはそれで早くやらなければいけない。ただし、それは、今までよりも上回るお金が掛かるわけですから、当面、復興国債で手当をするにしても、それをどうやって償還するのかということは、これは真剣に政治が考えなければいけない話なので、別途考えなければいけない。その際に、国税としてどういう税目ががい然性と言いますか、可能性として有り得るかということ、それをこれから考えるわけですね。その際に、地方税として何か復興財源に協力できるものが捻出できるかどうかということ、これは検討してみたいと思いますけれども、今の段階で何か具体的な考え方を持っているわけではありません。繰り返し言いますけれども、増税が決まらなければ三次補正を組まないなんていうばかげた考え方はやめるべきだというのが私の主張です。それは、分かりやすく言うとですね、架空の話ですけれども、どこかの国が我が国を攻めてきたときに、当然、軍事費が掛かるわけですけれどもね、戦費調達をしなければいけないですけれどもね。その戦費調達のために増税を決めなければ、我が国は一切応戦しないと言えば、皆さん、笑うでしょう。実は、それと同じようなことが、今、復興のプロセスであるのではないかとにらんでいるものですから、強調するのですけれどもね。すぐにね、税、税、税、税と言ってね、復興構想会議のときから、最初からもう税、税、税、税と言っている。もうそんな税、税、税、税と言ったら、ぜんそくになりますから。復興の方は早くきちっとやって、税の方は政治がきちっと、税と言いますか、財源調達の方は政治が責任を持って決めると。これが基本的な考え方であるべきだと私は思います。
(問)ほか、よろしいでしょうか。それでは、ありがとうございました。
(答)はい。

(以上)