片山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年7月5日

(平成23年7月5日(火) 9:57~10:30  於:会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。先ほどまで閣議がありまして、閣議では補正予算について財務大臣から説明がありました。もう御案内と思いますけれども、震災のために当面緊急に必要な予算ということで、例えば、被災者生活再建支援金の不足部分、家屋が壊れて建て替える方には300万円を限度に資金が提供されますけれども、一次補正では100万円分についてしか資金手当ができておりませんでした。その残余の部分について今回計上すること。それから、原子力損害賠償に係る仕組み作りなどについての予算でありますが、併せて地方交付税交付金が5,000億円強、この補正予算には組み込まれます。それの説明がありました。
 それから閣議が終わりまして、閣僚懇談会の席で、総理から松本復興担当大臣の辞任についての経緯の説明がありました。
 併せて私の方から、昨日、福島を訪問いたしまして、原子力災害の被災者の皆さんを受け入れている市町村長さん、福島市長さんをはじめ、11人の市町村長さんと昨日お会いしたのですけれども、そのときの模様を閣僚の皆さんにお伝えをしておきました。特に、私の方から話をしましたのは、昨日、いろいろな話が出て意見交換をしたのですけれども、その中で、いろいろな問題を聞かされましたけれども、最終的には被災者の皆さんを受け入れて、安心して暮らしていけるようにしたいと。その際、自分のところの市民、住民の皆さんと同じような取扱い、行政サービスを提供するということをしたいということをおっしゃっておられました。これは、大変有り難いし、心強いことであります。ただ、その際に住民でない皆さんを受け入れて行政サービスをするわけですから、それなりの費用負担が掛かります、当然です。それについては、しかるべき措置をしてもらいたいということがありました。これは、専ら総務省の所管しております地方交付税の制度の中で、恐らく塩梅できると思いますので、それをやっていきたいということを申し上げておきました。ただ、それ以外に、いわば事実上人口が急増するわけですから、一時的にせよ。施設のキャパシティ、容量が不足するということも出てきます。例えば、保育所でありますとか、ケアハウスでありますとか、ごみ処理施設という声も昨日ありましたけれども、いろいろな公共施設について、増設なり改良なりをしなければいけないという事情もあるわけです。それについては、是非、必要な補助金なりが各省から交付されるように手はずを整えてもらいたいという、そういう要請がありました。これは当然の要請だと思います。全国枠の中から優先的にそちらに回していただくということも一つ必要になると思いますし、そもそも全国枠自体が不足するということになる可能性もありますので、その辺は各省が来るべき三次補正の段階でちゃんと措置をしていただきたいということを、今日、関係閣僚と、それから野田財務大臣の方に、私の方からお願いを申し上げておきました。
 以上です。

2.質疑応答

(問)すみません、では、まず幹事社から。まず、松本大臣の辞任の意向を伝えられたことへの受け止めと、あと、大臣の被災地での一連の御発言をどのようにお考えになるかをお願いします。
(答)松本大臣の辞任は、非常に私としては残念です。一連の発言が、御本人にしてみれば必ずしも真意がよく伝わってないということだとは思います。例えば、被災者にやはり誤解を与えてしまったということがあると思いますし、それから、そのことが延長された国会の審議に何がしかの影響を与えることは必至であります。それによって、スピード感を持って対応しなければいけない復興対策というものに障害になるということでお辞めになるということだと思います。今朝、私のところにも電話をいただきまして、総理に辞表を出してきましたので、よろしくということでありました。よろしくというのは、3月の地震の発生以来、被災者生活支援本部、後に生活支援チームになりましたけれども、そこで一緒にやってきて今日に至っておりますし、これから復興についても運営会議のようなものをやってきておりますので、それについてのことなのですけれども、よろしくお願いしますということでありまして、私の方から何と申し上げていいか分からないのですけれども、御趣旨はよく分かりましたということを、今朝ほど申し上げたような次第であります。
(問)もう1点お願いします。国の出先機関の地方への移管について始まったばかりですけれども、現状を改めてお聞かせください。
(答)これは、始まったばかりということでは必ずしもなくて、昨年の12月にアクション・プランを決めたわけですね。このアクション・プランによりますと、広域的にブロック機関を原則丸ごと移すという、そういうタイプの移管の仕方。これは当面、九州が一番熟度が高いと思いますけれども、それ以外に関西広域連合も、奈良が含まれてないという、現時点では変則的な状況でありますけれども、関西広域連合も移譲を受けたいということで、検討作業が進行しております。もう一つは、ブロック単位ではなくて、単体として国の事務を希望する自治体に移していこうということで、これは一級河川とか、それから直轄道路とか、その他ありますけれども、それについても、点検、それから調整作業を進めていこうとこういうことになったわけですね。それで3月に地震があったものですから、その後の検討調整作業が少し頓挫しておりましたけれども、先般来、再開をしたような状況です。先回やりましたときは、少しこう関係省が先祖返りしていた面が多少ありました。関係省というのは、これは九州広域行政機構、それから関西広域連合から、地方環境事務所と、それから地方整備局と、それから経産局のこの三つを移譲を受けたいということでオファーが来ておりまして、それについて概略的な考え方を関係省から述べてもらったのですけれども、かなり先祖返りしたような印象もありましたので、もう一回アクション・プランの原点に帰って、これを進めるためにはどうすればいいのか、どういう障害があって、それはどういうふうな克服の仕方ができるのか、これを検討する場ですよということを申し上げて、次回以降、そういう方向でやっていこうということになりました。あと、個別の移譲の問題については、これはまたチームを作っておりまして、その中で個別に物事を進めていくということにしておりますけれども、一番問題は財源の取扱いですね。事務を移譲したときに、一つは人間の問題があるのですけれども、もう一つは財源の問題がありまして、特に財源についての移譲に当たってのルールのようなものをちゃんと作っておく必要があるのではないか。もちろん、個別にいろいろな要素がありますから、個性が非常に強いのですけれども、そうは言っても規定となるような統一的なルールを一応作って、それの応用問題として個別の移譲についての検討をしていったらどうかというようなところまで、この間、話が進んだような次第であります。
(問)自治日報社の内川と申します。先ほど松本さんの発言について質問があったわけですけれども、国と地方の関係で言いますと、対等、協力の関係とされたわけですが、松本さんの知事に対する一連の発言について、そういう国と地方の関係という観点から、総務省の地域主権の担当大臣として、改めてどのようなお考えがあるかをお伺いできればと思います。
(答)私も実は、余りよく松本さんの発言は見てないのです。新聞などで拝見したので、その場の状況がどうであったのかというのはよく分かりません。受けた側として、国が上位に立って、上から目線で物を言われたという印象を受けておられるということは報道されておりましたので、そういうことはあってはいけないと思います。国と地方はあくまで対等で、今回のような震災対応であっても、それは当然、対等の立場で支援をする。市町村でできることは市町村でやっていただく。市町村でできないある程度広域的なことは県がやっていただくと。それでもできないことは、国がその役割を担うということ、これが補完性の原理でありまして、それは災害のときにも当然適用できる原則だと思います。そういう役割の違いはありますけれども、上下関係ではありませんので、あくまでも対等の立場で協力をしていくという、この原理と精神を忘れてはいけないと思います。
(問)もう1点、地方議会の政務調査費についてなのですが、自民党のプロジェクトチームが議会三団体の要望を受けて改正案をまとめました。その改正案は、政務調査費を政務活動費に改めまして、現在、調査研究に資するとされている使途を調査研究その他の活動に改めて使途を拡充すると。併せて使途の範囲を条例で定めるようにするという改正案で、政府の住民投票創設などの自治法改正案を修正する形で提案したいという意向なのですが、こうした改正案について大臣のお考えがあればお伺いできればと思います。
(答)これも、今、伺ったようなことなので、直感的な反応を申し上げることは、やろうと思えばできますけれども、少し私なりにどう受け止めるかというのは考えてみたいと思います。思いますが、これは議員立法であれば国会で議論されて、それで国会議員の皆さんが了とされれば、それは成案になるわけでありますので、政府の方でそれに対して差し止めるとか、反対するとかという、そういう立場にありませんので、国会の方でよく議論をしていただければいいのだろうと思います。その過程で、私を含めて政府の方で、意見とか参考になるような考え方があれば申し上げたいと思います。ただ、この問題で一番基本的な、基本的に重要なことは透明化をするということだと思います。使途についてはいろいろな考え方もあると思います。政治活動というのは非常に幅が広くて奥行きの深いものですから、余り個別の幾つかのリストアップされたものに限定しない方がいいというのは私もそのとおりだと思います。ただ、それが不透明な中でどんどんどんどん外縁が広がって、気が付いてみたら、とても、本来の政治活動から逸脱していて眉をひそめざるを得ないようなものになっているというのがこれまで現状として多分あったのだろうと思いますけれども、そうならないためにはちゃんと透明化すると。みんなが点検チェックできると。しかもそれが単に紙切れに書いたものだけではなくて、領収書なら領収書とかですね、そういうものによって、ちゃんとそれが説明責任を果たせるという、こういうことになっているかどうかが一番問題だろうと思います。それさえ押さえておけばですね、使途でありますとか、そういう問題については余り大きな問題ではないと思います。ですから、むしろ今回の改正案というものが透明性と説明責任をちゃんと担保したものになっているかどうかというのが私にとっては非常に関心のあるところであります。
(問)NHKの松谷ですけれども、松本大臣の辞任についてですね、閣僚懇で総理からどのような御説明があったのか、紹介していただけますでしょうか。
(答)総理からはですね、松本大臣から、一連の発言をめぐって御迷惑をお掛けしているので辞任をしたいというお話があったと。自分としては、それはそれとしてきちんと説明した上で、ちゃんとその職務を継続してもらいたいということを申し上げ、話をしたけれども、本人の強い意思があったので、それを止めることはできないという判断に至ったと。残念だが辞任はやむを得ないということだったと思います。
(問)朝日新聞の今村ですが、被災者生活再建支援法の関係で伺います。先般、東日本大震災についてはですね、国の負担割合を8割にしますということが決まりました。今後、首都直下型地震も含めてですね、大きな災害が起きることは十分想定されるわけなのですけれども、この8割負担の枠組みというのは、今後の、そういった今後起こり得る大災害に対しても適用するべきだとお考えなのかということと、あと、その他、国が1対1の割合で従来どおり災害が起きたときに負担してていいのかという、全体的なことも含めてですね、今後、国としてできることはどういうことなのかというのを聞かせてください。
(答)将来のことをですね、確定的に申し上げることは、少しはばかりたいと思いますけれども、今回の、国が結果的に8割負担をするということは、やはり、これは特例だと思います。原則は、国とそれから都道府県とが協力をして、1対1の割合で、片や基金を造成する、都道府県側が基金を造成する。支出が必要になったときには、それに見合って、国が1対1の割合で予算措置をするという、これがやはり基本的なルールですから、それは今後も、私は維持されるべきだと思います。今回のは、本当に制度を作ったときに想定していなかったような規模の大きい災害でしたので、緊急避難的に国の方が高い割合で負担をするということになった特例措置であります。私は、率直に申し上げて、今回、財政当局は非常に英断を下していただいたと思って、それは高く評価しております。とかく、よく財政当局に批判を、私、しますけれども、今回の措置は非常に実態に即した英断だったと思います。今後のことですけれども、とりあえずは3月11日の震災が起きる前の状態に復するということが一つの復元目標になると思います。600億円を基金として蓄えておく。現実には少し目減りをして538億円になっておりましたけれども、その程度の規模を回復しておくというのが一つの復元目標だと思いますけれども、率直に申し上げて、それでは足らないと私は思います。足らないと言いますか、さっきおっしゃった首都圏直下型地震だとか、こんなことは起きてほしくない、まっぴらごめんですけれどもね、今回の東日本大震災が起きたということにかんがみれば、何が起きるか分かりませんので、ある程度の、やはり準備はしておかなければいけないという前提に立てば、六百億円ないし五百数十億円という金額では足らないと思いますから、よくこれは知事会の方で協議していただいて、もっと基金の額というものを増やすということを考えていただければなと思っております。先般も、知事会でこの問題の責任に当たっておられる上田埼玉県知事と少し話をする機会があったものですから、私なりの率直な考え方を、これは総務大臣としてというよりは、元知事会のメンバーであった私として申し上げておきました。と言いますのは、この制度というのは、いつだったでしょうか、何年か前にできたわけですけれども、住宅再建支援制度というのは。2000年に私が鳥取県の知事をしていたときに鳥取県西部地震というのがあって、そのときはこの制度はなかったわけです。被災者生活再建支援制度というのは100万円の生活再建支援だったのですね。住宅再建支援はなかったものですから、鳥取県独自の施策として300万円というものを支給するということにしたわけです。そのときは1銭も国からお金をもらわないで、鳥取県の虎の子の基金、貯金を崩してやったのですけれども、そのときに、今はたまたま貯金があったからできたと。だけれども、今後また鳥取県が大きな災害に見舞われたときに、そのときに貯金がなかったらできないということになってしまう。そうすると、歴史軸で、時間軸で見た場合に、非常に不公平感が生じるので、やはり今からこつこつと貯めておこうということにしまして、25年計画で50億円貯めるという、そういう計画を当時作って、今まだ貯めているはずなのです。鳥取県で50億円あれば、ある程度の規模の災害があっても、当時と同じ、2000年10月に起きた地震対応と同じ対応ができるのではないかという、そういう計算をしたのですね、推計をしたわけです。鳥取県というのは、大体人口で言うと200分の1近く、日本全体で。財政規模その他で言うと、大体経験上で言うと100分の1前後なのです。そうすると、それから類推するとですね、50億円、鳥取県で必要だとふんだことを全国規模で類推すると、5,000億円ないしそれ以上と、こういうことになるわけですね。5,000億円とするとですね、国の制度は、都道府県が半分、国が半分ということになっていますから、2,000億円から2,500億円ぐらいの地方側として準備をしておくということが、私の経験からすると類推されますのでね、そんな話を申し上げておきましたけれども。今回、仮にそれぐらいの規模がもしあったとすればですね、国がそれに見合いのものを補正予算で措置すれば大体対応できたのではないかなと思いますから、鳥取県で当時計算をして基金造成計画を作ったときの推計というのは、まんざら荒唐無稽でもなかったのかなと思っているものですから、こんな助言を、この間、上田知事にしておいたところです。よく知事会の中で議論をしていただければと思っています。
(問)もう一ついいですか、すみません。冒頭、御発言がありました5,000億円強の地方交付税交付金については、これの配分方法など、どの程度固まったものなのかということを、もし、ある程度概略が分かっていれば教えてください。
(答)これはルールによってですね、今回のような補正予算で交付税の財源が出てくるときは、通常、特別交付税に回ることになります。ですから、特別交付税として、どういう交付にするかということになるわけですけれども、一つルール上ありますのは、普通交付税を今年度に入って算定をしておりまして、そのときに、非常にこれ技術的な話になるのですけれども、多少、こう、普通交付税が足らないで圧縮している面があるのですね。それを回復しなければいけないというのがあるものですから、数百億円は、多分、普通交付税の不足した部分についての回復に回ると思います。これがルールであります。したがって、あと四千数百億円が今回の補正予算における特別交付税として、被災地対策と言いますか、災害対策に、復旧・復興に使われると、こういうことになります。今、想定されますのは、先ほど言いました被災者生活再建支援で、国が住宅再建支援部分を今回予算措置しますので、それに見合いの、さっき言った8割と2割の関係ですけれどもね、地方負担の方、経費というのも当然地方財政措置しなければいけませんから、やはり、そういうものが入ってくるだろうと思います。あと、今、被災地を中心にした自治体の要請とか、実態を見ながら詰めをしているところであります。緊急消防援助隊などで、これ全国から協力をしていただきましたけれども、それに対する特別交付税で措置するのがふさわしい経費がどんなものがあるかとかですね、それから、被災地でいろいろな細々とした経費が掛かりますから、そういうものが何か自由に使えるようなお金として交付できないかとかですね、いろいろ想定しながら検討を、今、しているところであります。
(問)日経新聞の海野と申します。先ほどの話でもあった出先機関改革の話で、お尋ねしたいと思います。先ほど、各省庁の大臣政務官の方々、多少先祖返りしているというような話がありましたけれども、実際に会議を見ていても、大分、地方側と国側では、省側では見解のそごがあったように思うのですが、そこのそごは今後どうやって埋めていくことになりますか。
(答)例えばですね、この間ありました、大臣政務官からあった話の中で、今次の災害などにかんがみると、やはり整備局などの国の機関というのは、そういうときのために、ちゃんとリザーブしておくべきではないかと、国の側に。危機管理上の施策としてもリザーブしておくべきではないかという論点がありましたよね。確かに、大きな災害のときの国の役割というのは非常に重要ですから、そうした論理も出てくる背景というのは理解できなくもないのですけれどもね。さればとてね、何百年に1回のために、ずっと平時においても、国にそういう装備とか人員とかをリザーブしておくのが妥当かどうかというのは、これはよく考えなければいけない。むしろ、非常時のときには、国、地方の権限の平時の配分を変えて、国の方にある程度強い指揮権というようなものを付与するというような、非常時立法のようなものを作って対応すれば足りるのではないでしょうか、というようなことを私の方で先般申し上げて、特段反論もありませんでしたし、それなりの理解が得られたのではないかと思うのですけれども、そんなふうにしてですね、一つ一つ話し合いをしながら、理解と納得を深めていくということだろうと思います。道州制がなければ、ブロック機関の移譲はできないのではないか、受け皿として不十分ではないかという、こういう議論がありましたよね。だけれども、道州制にするということと、それから、九州広域行政機構をぴしっとしたものに仕立て上げるのと、結果的に何が違うのでしょうか。もし、九州広域行政機構の現在の構想で、受け皿として不十分だという点があったら、具体的にどことどことどこが不十分だと、だからそれを克服するためには道州制と、こういう話なのでしょうから、道州制にしなくても、どことどことどこは個別、具体的に解決すればいい話ですから、立法的に解決すればいいという話を申し上げたわけですよね。そうやって、一つ一つ理屈でもって、理解と納得を得ていくということをやればいいのではないかと思います。
(問)東京新聞の上田ですけれども、玄海原発なのですけれども、玄海町が再開に同意をしました。ただ、安全がきちんと担保されているかどうか分からないというようなところもあって、周辺は非常に不安に思って、慎重になっています。地方を担当される大臣としてどのようにお考えでしょうか、御意見をお伺いします。
(答)直接の、この任にありませんのでね、余り無責任なことを申し上げることは控えたいと思いますが、私の経験から言いますとね、私が鳥取県で知事をやっておりまして、お隣の島根県に島根原発があるわけです。それで、当時、今もまだそうだと思いますけれども、10キロ圏についての安全対策、避難計画などを作れば事足りるということだったのです。したがって、いわゆる同意とかですね、そういうものは原発立地の島根県だけだったのです、対象となるのは。そのときに、10キロちょっと超えれば、もう鳥取県の方に来るわけで、鳥取県としては、いささか腑に落ちない部分がありましたね。それで、独自に20キロだったでしょうか、島根原発から20キロ圏内、これ鳥取県の米子とか境港の辺がぐっと入るのですけれども、そこを対象にして、いざというときに、どういうことが必要になるのか、どういう資機材を持っておく必要があるのかというようなことを、検討をして、計画を練った経験があるのですね。それは余談ですけれども、そのときに配備をした装置が、今日、福島県で活躍をしているという話も聞きましたけれども、たまたま。そういうことをやったのですけれどもね。そういうことからすると、本当に原発が立地しているごくごく地元だけの問題ではないので、やはり周辺の皆さんの不安というものも、ちゃんとした説明とか納得のいくエビデンスでもって不安を解消するという、そういうことが必要なのではないかと、元原発立地隣県知事の経験者としてはそう思いますけれどもね。今回の事故を見ましてもね、双葉郡の福島第一原子力発電所が立地している町だけに限りませんよね、これ。もう相当広範に被害が及んでいるわけですから、ですから、周辺自治体の皆さんの不安というものについても、やはり配慮されてしかるべきだろうと、これは国務大臣としてではなくて、元隣県の知事を務めた者として、そう思います。
(問)ほか、よろしいでしょうか。では、ありがとうございました。
(答)はい。

(以上)