片山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年5月10日

(平成23年5月10日(火) 13:50~14:16  於:会見室)

1.発言要旨

 今朝は、閣議の後の閣僚懇談会が、議論がかなり活発に行われまして、予定されていた時間よりも延びた関係で、皆さん方にはせっかく国会までお越しいただいておりましたけれども、予定どおり会見が開けませんで、ここまで遅れてしまいまして、まず、そういう事情がありましたので、御容赦いただきたいと思います。
 今日、閣議では、総務省関係で3件の閣議決定をしていただきました。
 一つは、先に統一地方選挙を半年間遅らせるということで、別途その選挙期日は政令で指定するということにしておりましたけれども、その該当の延期をした自治体の中の一部について、それぞれ選挙期日を指定するという政令を、今日閣議で決めました。それから、関連しまして、統一地方選挙後に任期が来る、統一地方選挙にかからないで近々任期が来るという自治体で被災をされたところがあります。同じように、当面選挙は実施不可能という、そういう事情を抱えたところもありますので、そういう自治体について、選挙をやはり統一選を遅らす最終ぎりぎりの9月22日までの間は遅らすことができるという法案を作成いたしました。今日閣議決定をしました。
 あと、地上デジタル放送の被災3県の延期についても、今日の閣議で法案が決定されました。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)ありがとうございます。幹事社の方から質問いたします。今、お話があった電波法の地デジの延期に関する特例法案なのですけれども、今後のことについて伺いたいのですが、被災3県の中で、例えば福島県が原発の事故を抱えているなどですね、被害の状態が一様ではないということを考えますと、今後の地デジの推進の進み具合もちょっと変わってくるということも予想されると思うのですけれども、今後、その1年という最大の延期幅の中で、地域によって、地デジ完全移行の時期がですね、ばらつきが出てくるということは想定されますでしょうか。
(答)これは、今日閣議決定しましたので、これから国会に提出をして、国会でいろいろな議論が行われると思います。いろいろな問題提起もなされると思います。そういう議論にも耳を傾けながらと思っていますけれども、今の案件についてはいろいろな事情があると思いますが、できるだけ足並みがそろった方がいいというのが現時点での私の考え方であります。恐らく国会でも議論になると思いますから、よく意見交換していきたいと思います。
(問)もう一つ伺いたいのですけれども、今日、その被災3県の地元テレビ局について電波利用料の免除ということも閣議決定されたと思うのですけれども、この地元のテレビ局、いろいろ、こうアナログ放送の継続で負担が増してくると思うのですが、それについて更なる支援というのは何か考えていらっしゃいますでしょうか。
(答)これは、今日決定した法案の中に、電波利用料については免除すると、停波を延期するという、それに伴って生じるだろう電波利用料は免除するということを規定しておりますし、もう一つは、これは、財政上の支援をすることはできる、そういう一種の受権規定を盛り込んでいます。これらは、国会の審議を通じて是とされれば、電波利用料は免除になりますし、それから、あとは財政当局と、これは調整しなければいけませんけれども、関連放送界の意見も聞きながら、どれだけの支援ができるかということは、今後検討したいと思っています。
(問)北海道新聞の中村ですけれども、明日で震災の発いから2か月ということになりますけれども、この間いろいろ取り組んでこられて、2か月になることへの受け止めとですね、また、大臣御自身が早急に手を打たなければならないと考える課題について、お願いします。
(答)本当にあっという間に2か月が到来するのでありますけれども、この間、私も被災者生活支援本部で、総務省の仕事だけではなくて、各省にまたがる仕事についても、閣僚の一員としていろいろなことを手がけてまいりました。何分、非常に広範で、しかも、いろいろな条件を抱えているその被災地でありますので、なかなか東京で、机上で考えているほど結果がスムーズに出ないという面が、これ、やむを得ないのですけれども、そういう事情がありまして、いろいろなことが遅いとかですね、そういう御指摘もいただいているのですけれども、しかし、政府の中でその衝に当たっている者としてはですね、本当にこの被災者生活支援については、支援本部を作ってからは、本当に各省とも必要な協力をよくやってくれたと思っております。この体制をこれからもまだまだ、今後のステージに応じてこの体制は必要ですので、その中で私もまた取り組んでいきたいと思っております。 
 いよいよ、地域によっては、これから復興という課題に対応しなければいけないわけですけれども、一方では、復興構想会議という仕組みが作られまして、そこで、委員の皆さんが現地に行かれたりして、課題を汲み取って提言をされるということになっておりますから、それはそれで、是非、いい課題設定というものを、政策設定というものをしていただきたいと思いますが、必ずしも、それを待っていたのではなかなかスピード感に欠けるということもありますので、並行してと言いますか、連携してと言いますか、我々が、政府が必要だと思う施策については、きちんと復興構想会議の議論と結論を待つのではなくて、積極的に取り組んでいきたいと思っています。いい機会でありますので、私も昨日ちょうど時間が取れましたので、宮城県の南半分、それから、福島県の沿岸部、北部の沿岸部、それから、飯舘に行ってまいりましたけれども、また、自分の目で現地を見て、被災地の今の現状を把握して直接市町村長さんでありますとか、議会の皆さんとか、経済界の皆さんの話を伺って、現状とそれから今後の課題について、自分なりに、部分的ではありますけれども、捉えることができましたので、これをこれからの復旧と復興にいかしていきたいと思っているところであります。
(問)すみません、その課題ということについて具体的にもう少しいただけますでしょうか。
(答)それは必ずしも一律ではありませんね。いろいろな課題があります。例えば飯舘ですと、今、これから計画的避難ということで一定の期日内に基本的には避難をしていただくということで、村長さんをはじめ、中心にして大変な御苦労をされているわけですけれども、その際に、昨日伺って私も共鳴したのですけれども、いずれにしても、近隣のできるだけ近いところとおっしゃっていましたけれども、近隣の自治体に村民の皆さんが移るという、こういう計画になるわけですね。そうしますと、そこで必要な行政サービスを受けるときの受け方なのですけれども、現状でいきますと、例えば、もう住民票を全部移してしまうということになれば、これは転居でありますから、行った先の市民、住民になられるわけですね。それはそれで一つの解決方法ですけれども、やはり村の皆さん方はもう是非帰りたいということで、この気持ちはやはり大切にしていかなければいけないと思うのですね。そうしますと、住民票を完全に移してしまうというのは、いろいろな抵抗感とかですね、寂しさとかそういうものがあるわけで、では、全く元の住所地に残したままになると、新しく住むところは住所地ではなくて、居所みたいになるわけですね。そうすると、そこで、市民、住民としてのサービスがちゃんと権利として受けられるかというと、もちろん、それは、協議をして協力をしていただくということで事実上、多分問題ないようになるのだとは思いますけれども、必ずしも、きちっとした権利として行政サービスが受けられるという、そういうポジションにはないわけですね。そこが非常に悩ましいという話を村長さんが、昨日率直に言われていまして、私もそれはそのとおりだと思いました。市民の皆さんがちゃんと避難先で、正当な権利として住民サービスを受けられるようにするという課題があります。一方では、きちっと、やはりみんなでコミュニティーを守って、できるだけ早く今の村に帰りたいと、その帰るための準備をしなければいけないし、絆をその間ずっとつなぎ止めていかなければいけないし、それを両立させるにはどうすればいいのかという、こういう課題があるわけですね。これは、現行法ではいろいろな便法は講じることは可能ですけれども、なかなかそれにぴったりする解決策というのは、現行法ではなかなか見出し難いのではないかという印象を持っておりますので、これを、こういう非常に特異的な状況に対してどういう措置が望ましいか、どういう措置が可能かということを、これ検討しなければいけないと、昨日も村長さんとお話しをして、苦渋の胸の内を伺いながら、考えたところです。そういう課題もありますし、それから、原発に直接関係のないところになりますと、今、これからの課題というのは、もう就業の場をどうやって作っていくのか。特に、例えば亘理町とか山元町というと、宮城県ですけれども、いちごの大産地なのですね。非常に良質ないちごが沿岸部でできていて、かなり農家の皆さんも高収入をあげられていて、そこがもう壊滅的な被害を受けていまして、いちご畑がもう区画も分からないし、土も砂とか泥をかぶっているわけです。にわかにそれを再興、今の状態ではなかなか再興するのは難しい。しかし、農家の皆さん方というのは本当に意欲的で、昨日、私も何人もの方にお会いしたのですが、早くみんなでまた元どおりのいちごの産地を復活させて、家族の生計を、ちゃんと家族の生活というものを安定させなければいけないと皆さん思われていて、そのために、是非、町、県、それから国の支援をいただきたいということをおっしゃっておられまして、これを何とか、国は農林水産省を中心になって考えますけれどもね、こういう産業復興と言いますか、これまでの生業、個人で言うと生業、それから、全体で言うと産地をどうやって復活させていくのかというのが、今後大きな課題、そういうところもあります。
 それから、相馬市に行きましたら、市長さんがお医者さんなのですけれども、非常に気にされているのが、被災された皆さんが仮設住宅に入られて、神戸の仮設住宅のことなんかを思い起こすと、そこで非常に孤独な生活をしていることに不安になって、孤独死とか、自ら命を絶つなんていうことがありましたけれども、そういうことは絶対無いようにしたいということで、そのことに心を砕かれていました。仮設住宅に入った後、入ればいいというものではなくて、その後どうやってケアしていくのか、連帯感を保ちながらケアしていくにはどうすればいいのかということで、具体的に伺ったら、例えば、できれば1日に1食ぐらいは、みんなで食べられるような、そういう機会を設けたいとかですね。そのために、配食サービスみたいなことを考えなければいけないのだろうかとかですね、そんなことをおっしゃっていまして、いろいろなことを考えておられるなと感服したのですけれどもね。そこではそういうことが一つの課題で、住民の皆さん一人一人がどうやって経済面と、それから精神面の安定を取り戻していくのかということを中心に、復興、再興ということを考えておられる市長さんもおられました。
 ですから、そういう地域、地域における、個性と言いますか、個別の事情に十分配慮した支援が必要だろうと思うのですね。もちろん共通する面も当然ありますけれども、それぞれ力を入れるところが違う、実情に応じて、また、首長さんなりのリーダーのアクセントの置き方も違いますから、そういうものがうまく汲み取れるような、そういう支援策が復興の過程においては必要だろうと思いました。
(問)朝日新聞の金子です。閣議前に、官房長官、玄葉大臣と公務員総人件費の問題について協議されたと伺ったのですが、何らかの今後の方向性についてですね、一致ないし確認をされたのでしょうか。議論の一端をちょっと御紹介いただければと思います。
(答)関係の閣僚が今日は集まりまして、これまでの検討状況などを私の方から説明をして共通の認識にしたり、今後のスケジュール感などについて打ち合わせをしたところであります。
(問)すみません、読売新聞の寺田です。先ほどもちょっと大臣のお話でありましたが、昨日視察先の飯舘村で、ほかの自治体への避難住民の、避難先への住民登録を特別立法なりで可能にし、被災者の受入先の自治体に対する地方交付税増額の方針を示されたということですが、この趣旨と今後のスケジュール感、特別立法が必要ならどういうスケジュールで進めていくのかということをお聞かせください。また、こうした特別な算定基準を設けることで地方交付税の二重配分になることはないのでしょうか。
(答)記事が必ずしも私と村長さんが議論したことが正確に反映されていないと読んで思いましたけれども、先ほど申し上げましたとおり、一時的な避難をすることになりますが、その一時的というのは、いつまでかというのは今の段階では分からないわけですね。そうしますと、想定しておくべきはある程度の期間、村民、住民の皆さんが近隣の市町村で暮らしをするということになりますと、そこの自治体において必要な行政サービスを受けるということになります。それをきちっと受けられるようにするには、どういう条件を設定することが必要かということが課題になってくるわけですね。現在の現住所に住所地を置いたままですと、受入先の方では人口にカウントされませんから、必要な財政措置というのが、交付税措置を通じてはなされないということになりますから、そこをどういうふうに実情に合った形で解決するのかということを考えなければいけない。それには、転居してしまうのが一番ですけれども、そうなると今度は、絆とか、帰ろうという気持ちに対して、必ずしもそれに添ったことになりませんので、それだけでは済まないだろうと。そうすると、何らかの両方の要件、要請が満たされるような措置が必要なのではないか、ということを昨日申し上げたわけであります。両方を満たすとなればね、新しい避難した先でも、例えば住民の人口としてカウントされるような仕組みというのがあればそれで満たされるわけですけれども、そのためには、現行法ではできませんから、何らかの法的措置が必要なのではないかとかですね、そういうことが課題になってきますねということを申し上げたわけで、別に、今、何をするかにをするということを具体的に描いているわけではありません。昨日課題を伺って、私もなるほどなということがありましたので、これ、是非、その課題を解決するためには何らかの施策が必要だろうなということを、自分でも考えて、そういうことを村長さんにもお話しを、ちょっと検討させてくださいということを申し上げたわけです。
(問)自治日報社の内川と申します。2点お伺いします。1点は復興構想会議についてですが、復興構想会議の委員には3県の知事が入っていますが、市町村の代表は入っていません。ただ、その下の検討部会には長岡市の全国市長会会長の森市長は入っていますが、町村の代表は入っていません。地域主権の観点からは、復興構想を描く段階からも当然に基礎自治体の考えが反映されるのがふさわしいという意見もありますが、こうした委員構成について、大臣のお考えがあればお聞かせください。
 もう1点は地方公務員の労働基本権の在り方についてです。現在、ヒアリング中ですが、ヒアリング後の検討体制と、国家公務員の方は今国会に提出予定ですが、取りまとめの時期など、スケジュール感をお伺いできればと思います。
(答)復興構想会議の人選について、私は、最終的にタッチしておりませんので、その人選について説明する立場にありません。必要であれば、その人選の衝に当たった方に聞いていただければと思います。ただ、一般論で言いますと、やはり復興のプロセスにおいてはいろいろな課題があって、その課題を解決する中心になるのは、自治体、市町村でありますので、もちろん市町村だけではありませんけれども、市町村が大きな役割を果たしますので、市町村長さんの知見でありますとか、意見でありますとか、考え方でありますとか、経験でありますとか、そういうことが反映されるのが望ましいと思います。恐らくそういうことの一環で、検討委員会の方に全国市長会長というよりは、むしろ長岡市長で御自身も大きな地震に見舞われて、災害復興に当たられたという、そういう経験を持っておられる森さんが選任されたのだろうと思います。
 それから労働基本権の問題は、今、国家公務員について、正面から改革本部で取り上げておりまして、これは中野担当大臣を中心にして検討が行われておりまして、先般、先月、改革の全体像というものが示されましたけれども、それに従って最終的な詰めが行われているという、そういう段階であります。今日まで正面から取り上げておりますのは、国家公務員の労働基本権でありますけれども、もともと国家公務員と地方公務員というのは労働基本権を制約されているということでは、似たような存在でありますので、国家公務員の労働基本権の位置付けが決まりましたら、それに準じた取扱いがなされるべきものだと思っております。同時かどうかはともかく、同時でなくても、多少の時間差はあっても、同じような制度改革がなされるのが筋だと思っています。もちろん国家公務員と地方公務員とで職種も違うとか、いろいろな差異がありますから、そういう差異はきめ細かく点検をして、それぞれの仕組みの中に反映させるという必要がありますけれども、基本的なものの考え方と整理は、ひょうそくを合わせなければいけないと思っております。
(問)すみません。NHK、太田です。幹事社の1問目の質問にも関連するのですけれども、電波法の特例法案のことについてお伺いします。法案ではですね、延長を最長1年延期できるというふうになっておりますけれども、具体的にいつまで延期するかというのは、いつ、どういう形で決められるのでしょうか。また、仮に、3県でもいずれ地デジ化に踏み切らなければいけないと思うのですけれども、それを踏み切る際にはですね、どういった環境が整うことが必要だというふうにお考えになっていますでしょうか。
(答)これは、3県の実情をよく見聞きして、法案が通りましたら、それから決めることになると思います。この法案を提出するに至った前段階として、至る前の段階として、3県の知事さんから、主として総務省の平岡副大臣が中心になって実情を伺っておりまして、知事さんだけではなくて、実務に当たっている担当者からも伺っておりますけれども、その上で、3県については延期が必要だろうという判断をしたわけですね。幾つかの要素はありますけれども、例えば、今まで地デジのために、共聴施設を造ったり、難視聴のところに施設を造ったりしていたのが、地震で壊れてしまったから、また造り直さなければいけないという、そういう事情があったり、それから、必ずしも大きな被害を受けていないところ、3県の中で大きな被害を受けていなくても、まだ現時点で、と言うか被災時点で地デジ化が完了していない世帯というのが幾つかあるわけですね。そういうところに、これから最後の追込みと言いますか、そういうキャンペーンをする、支援をしていくという、そういう時期にあったわけです、3月以降というのは。ところが、大きな被災を受けて、県の職員の皆さんの仕事というものも震災対応に専念することになりますし、それから、民間の皆さんの協力を得ながら各世帯に働き掛けるということも、これもなかなか協力を必ずしもしてもらえないという状況があると、こういうことを伺っておりまして、それならば延期をやはりせざるを得ないだろう、選択せざるを得ないだろうということになったわけですね。したがって、これから法案が通って、それで、その後の状況を見ながら、今、申し上げたような幾つかのあい路、条件というものがクリアできるのかどうか、できているかどうかというのを見ていきたいということであります。
(問)ほかは、よろしいでしょうか。無いようですので、どうもありがとうございました。
(答)はい。

(以上)