片山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年4月26日

(平成23年4月26日(火) 9:29~9:48  於:会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。今日は、閣議で、大震災に関連します財政援助助成特例法案が閣議決定されました。国会に提出することになります。関連して、地方交付税の総額の特例等に関する法律案、これも今日閣議決定されましたので、1,200億円の特別交付税の増額ということが決定されました。これも併せて国会に提出をされます。

2.質疑応答

(問)幹事社から。復興構想会議でですね、被災3県から復興に向けた特区の創設を求める声が出ていますけれども、特区を作る上でですね、大臣、課題というのは、どのようなものがあるかと思いますでしょうか。
(答)具体的にどういうねらい、何を実現したいかということによって、おのずから決まってくると思いますね。復旧という局面で必要になるのか、それとも、復興、地域の再生、経済面を含めた再生を目指す上で、特区のようなものが必要になるのかということで、おのずから決まってくると思いますね。
(問)復興関連でですね、財源として所得税というような意見が政府内から出ていますけれども、この案について、大臣は、どのように考えられますでしょうか。
(答)それよりもね、今日、私、閣議が終った後の懇談会で発言したのですけれども、復興構想会議やその周辺で、税をめぐる議論がいろいろ出ていますけれども、出るのはいいのですけれども、以前もお話をしたことがあると思いますが、税の問題というのは、すぐれて政治の根本にかかわる問題なのですね。ですから、税制の基本的な仕組みというのは、政府税制調査会で正面から議論をするということになっていますし、それから、もちろん与党にも税制を論じる組織がありますから、ですから、そもそも税をどうするかということは、正面から政治が議論すべきだと思います。ということを今日申し上げておきました。現状を言いますとね、政府税制調査会がこの問題で議論していることもありませんし、与党でも正式に取り上げているという印象はありません。一方で、そもそも税を議論する場ではないと私なんかは思いますけれども、復興構想会議の中で早速に税制について議論が戦わされているというのはね、全体として見れば、少し主客転倒しているという印象があります。それが一つ。
 それから、もう一つはね、これ、委員の中から、一部の委員から私のところにクレームというか意見があったので、それも今日、紹介しておきましたけれども、政府の方はそういうふうに政府税制調査会でも税制の議論というのは全く今はやっていない。そういう中で、お役人の人たちが復興構想会議のメンバーとか、専門委員会ですか、委員の皆さんのところに丁寧に懇切に税をこうすべきだ、こういう議論すべきだということで、根回しをしているという。それは、内々政府として正式に決めたことなのですかという問い掛けがありましてね、そんなことないですよと。そうだとすると、お役人が勝手に走り回っているというのは、政治主導に反するのではないですかという、非常にごもっともな質問というか、苦言がありましてね、そのようなことがあってはいけないので、そういう状況にもかんがみて、政治がもっときちっと税制の問題は取り上げるべきだと、政府税制調査会を中心にしてという話を今日申し上げておきました。
(問)大臣の、その提言に対して、何か出席者から反応等はありましたでしょうか。
(答)総理の方が、それは、もっともな意見でもあるので、よく整理をしたいという話で引き取られました。
(問)大臣、今のに関連して、先ほどおっしゃったお役人というのは財務省ということでしょうか。
(答)知りません。
(問)朝日新聞ですけれども、大臣は知事時代にですね、復興関連なのですけれども、国から憲法違反とまで言われながらも、住宅再建支援策を実施されましたが、今日的な意義とですね、憲法が災害復興に果たす役割というのはどのようにお考えでしょうか。
(答)私が鳥取県の知事をやっていましたときに、被災地をつぶさに見てまわったときに、そのときの災害復旧のプロセスで一番重要なことは何かと言うと、やはり住まう場所、住宅を確保することだということは、もうすぐ分かりました。それで、被災地が非常に高齢化と過疎化が進行しているところですから、多くの被災者の皆さんは高齢者であって、自力で住宅を再建する資力、それから気力に、失礼ながら乏しい地域でもありましたので、何らかの公的な支えが必要だろうということで、住宅再建支援というものをやろうと発想したわけですね。その際に、余談、余分なことかもしれませんけれども、仮設住宅ということが、もちろん当時も選択肢としてあったのですけれども、300万円、400万円ぐらいかかるわけですけれども。それをできるだけ仮設住宅に投ずる金を節約して、その間は親戚とか近隣とかに、どっかこっかに住わせてもらって、それで、その仮設住宅に投じたであろうお金を公的な支援の方に回すということで、財政上のバランスは取れるのではないかということで、そういう構想をしたのですね。それに対して、国の方は、当時、絶対にやってはいけない。資産形成、個人の財産形成に公金を投入することは、国費であろうと、地方費であろうと、まかり成らんと、憲法違反だというようなことがありまして、私は、直接、地震発生から1週間目ぐらいだったでしょうか、東京に出てきましてね、それを説得しました。憲法第何条に違反しているのですかと、憲法違反だと言われるのだけれども。そう言ったら、答えがありませんでした。そもそも無いです、そんなものは。憲法で住宅再建支援をしてはいけないなんてことは、どこにも書いていないですから。それが一つ。それから、そうしたら、いや、憲法の規定はともかくとして、個人の資産形成に公的資金を投入すべきではないというのは、これは財政運営上のもう基本的なルールだとこう言われるものだから、それはそうかもしれないけれども、では、農地なんかの被害を復旧する、農地の災害を復旧するわけですけれども、それは、かなり高率の補助金を出すわけですよね。それとの関係はどうなのですかと聞いたら、そこで口ごもってしまって、農地は生産手段だからいいのでしょうかねとか、何かわけの分からんことを言っていましたけれどもね。それで、論破をして、やったわけです。だから、当時、そんなに私は大それたことをしたつもりはなくて、災害復旧で現場に必要とされる最優先のことを法律の範囲内でやった、財政上許される範囲内でやったということでありますけれども。国の、それまでの、阪神・淡路以来の、こだわっていた経緯からいうとですね、ある意味では画期的だったのかなと思いますけれどもね。それが、だんだんだんだん、その後、この住宅再建支援というものが定着をして、とうとう数年前に法律を改正して、国の制度として、都道府県と協力をして、最高300万円まで支援するということになりましたので、今回の震災に際しても、それが発動されるということでありますから、結果として非常によかったなと思います。もちろん、課題もありまして、当時、想定しなかったような大規模な災害ですから、今まで積み上げてきた準備金というものが五百数十億円しか知事会側に無いのですよね。ですから、到底それでは足りませんので、これを二次補正で、国の方で、相当、予算で頑張ってもらって、これ内閣府の予算になりますけれども、賄えるようにしなければいけないという大きな課題がありますけれどもね。少なくとも、阪神・淡路のときに議論になったようなことは、今は、もう、議論ではなくて制度になっていますから、その点はよかったなと思っています。
(問)憲法については、その災害復興という話で。
(答)憲法はですね、基本的には国民の人権を守る、こう、いろいろな意味でね。権利を守るということで、それは、生存権を守るということでもありますから、よく言われますのは、住むことというのは生存の一番の根幹ですから、その住むところを確保するというのは、憲法が具体的にどうしろこうしろと規定しているわけではありませんけれども、憲法の理念として、住むところを確保するというのは、広い意味で、政府や自治体に対して命ずるところと言いますか、期待するところだと思いますから、住宅再建支援をするというのは、憲法の理念と思想に合致していると思います。もちろん、その具体的な手法というのは住宅再建支援だけではなくて、公営住宅をあっせんするとかですね、災害復興住宅を造るとか、当面だったら二次避難の落ち着き先場所を確保するとか、広い意味で、住まう場所を確保するということが、一つの国策として憲法は想定していると言えるのではないかなと思いますけれどもね。
(問)被災地から300万円の増額を求める声も強いですけれども、国の支援の在り方というのはどのようにお考えですか。
(答)これは長い間の積み重ねで、やっと300万円まできているわけです。さっき言ったように、それすらも今、金額的には、現状では賄えないので、何らかの特例的な、大幅な増額が必要とされる、そういう状況ですからね、これを直ちにその300万円を引き上げるということは、現実的ではないと思います。
(問)大臣、総務省の被災地対応について伺いたいのですけれども、基本的には、市町村からの要請に基づいて、県がまず事務的には対応して、それに対して、国としては県をカバーするような、バックアップするような、そういうのが基本だと思うのですけれども、今回、そういう要請主義でいいのかどうか。もっと前乗りになってですね、国の方が、大臣は実際にやられたと思うのですけれども、乗り込んで行ってですね、要請をこう自ら聞いてくるような、そういった姿勢が必要だという意見もあると思うのですけれども。
(答)それは具体的にはどういう局面でしょうか。
(問)例えば、人を派遣してもらいたいとか。
(答)人の派遣ですね。これはね、かなり、今、おっしゃったようなことはやっているのです。当初から、総務省の職員を直接、壊滅的な被害、打撃を受けた、役場機能を喪失したようなところに派遣をしまして、そこで、つぶさに事情を伺ったり、それに基づいて支援システムを構築したり。ただ、その後も、もちろん、基本的には県を通じてということになりますけれども、もう折りに触れて、直接連絡を取って、例えば、人的な支援のシステムを作っていますけれども、遠慮していることはないですかと、遠慮しなくていいですよというようなことを投げ掛けたりしていまして、直接乗り込んでですね、直轄的にやるということは、これは、私はやるべきではないと思いますから、やってはいませんけれども、単なる県経由の情報収集ではなくて、直接のバイパスも作ってニーズの把握、それを具体的に、施策に反映するようなことはしていますし、これからもやっていこうと思っています。
(問)それは、今までの対応とは少し変わってきたという感じはありますか。
(答)いや、もう、最初からやっていますからね、それはね。だから、途中からやりはじめて急に変わったということではないですよね。よくね、人が足らないのでもっと出してあげなさいという、国会議員の皆さんからも言われることがあって、実際に行ってみると、本当に人が足らないという面はあるのです。それは、直接、総務省から行った職員からも聞いているのですけれども、では、今、役場機能の中によそから来た人をどっと受け入れて、仕事ができるかというと、実は、庁舎自体がもう手狭で、これ以上マンパワーがいても仕事にならないとかですね、だから、連休の前後に仮プレハブ庁舎ができるので、その段階で来てくださいとかですね。実は、かなりきめ細かくやっているのです。だから、人が足らないというのは、事実としては事実の面があるのですけれども、とりあえずは、応援を頼んで、その人たちの居場所から作るとかですね、そんなこともあるものですから、こちらから押し掛けるのではなくて、先方の段取りとか準備の整いに応じて出していくという、そういうような手はずにしているところです。
(問)大臣、読売の川嶋です。被災地の復興について、それを束ねる組織としてですね、まず復興対策本部を作って、その後、復興庁を作るという二段構えの考えが今、浮上しているわけですけれども、これについて、検討の具合と、大臣の考えをお聞かせください。
(答)ちょっと、私は、復興の体制作りついて、その検討のチームに入っておりませんのでね、検討の状況というのを申し上げる立場にはありません。私の個人的な見解を申し上げますと、今次の災害の復興は、広範囲に、非常に広範囲に及ぶのですけれども、一つのエリアとしてとらえて、それを一体的に復興、整備をするというようなことではないのですね。一つ一つの地域、端的に言うと、津波で洗われたようなところは、一つ一つの、入り江、入り江ごとに復興というのは、課題が出てくるわけですよね。もちろん、連携をするということも、もちろん、ありますけれども、地域的に見ると、一つ一つの、入り江、入り江の対応になるわけですね。そうしますと、基本的には、市町村、地元の市町村が中心になって復興のプランというものを作る。それは、当然、県が後押し以上の間に入って、県も大きな役割を果たしていただかなければいけないし、それを国が全面的にバックアップ、支援するということに、こういう構造になるのだろうと思うのです。そうしますとね、面的、一体的にとらえて、どこかの新しい役所が復興するのだというような、そういう仕組みではなくて、地元で考えて、構想してくるプランというものを、政府全体で後押しをするという、そういう対応の方が私は望ましいと思いますから、具体的に言うと、復興本部方式で、各省の役割というものをフル稼働させる。それを束ねて縦割りの弊に陥ったりしないように、総合調整ができるようにするという、そういう意味での復興本部の方が、うまくいくのではないかなと、私は思いますけれどもね。先般、岩手県の知事さんと、それから、釜石の市長さんとか、大槌の副町長さんとか、あの地域の非常にダメージを受けた市町村の、市町村長さんが来られましてね、ざっくばらんに、かなり時間を取って意見交換をしたのですけれどもね。大体、今、私が申し上げたような意見でしたね。大変だけれども、自分たちでやはり復興のプランというものは作りたいと。もちろん、それには、専門家の知識とか、アイデアとかも必要だから、県には、もう是非、それは加わってもらいたいと。それで、知事さんもそれはもう全面的に協力しますと。それに対して国が、そういう基本的な仕事の仕組みに、国が全面的に支援をしてもらいたいということで、私も、むしろね、気遣ってね、もう皆さん方のところは本当に大変だから、復興プラン作りなどもなかなか手が回らないというふうな意見もあるのですかということを伺ったのですけれども、それはもう自分たちで歯を食いしばってでもやりますと、自分たちのまちのことですからと。ただし、技術面とか、それから知識面とか、それから特に財政面の支援をお願いしたいということでしたのでね。私もそれで意を強くしたというか、自分の考え方がそんなに間違っていないなという確信を得たのですけれどもね。
(問)よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
(答)はい。

(以上)