片山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年2月10日

(平成23年2月10日(木) 16:51~17:15  於:会見室)

1.発言要旨

 ただいま閣議が繰上げで行われて、今、帰ってきました。幾つかの案件がありましたけれども、ここで御報告申し上げるようなことはございません。

2.質疑応答

(問)共同通信の藤田です。よろしくお願いします。税と社会保障の一体改革の議論が始まりましたけれども、仮に消費税を上げた場合にですね、消費税の増収分についてですね、特に地方消費税についてですけれども、この扱いをどうするかという問題が出てこようかと思うのですけれども、地方側からは早くも、この増収分はこれ地方にちゃんと渡せというような議論も出ておりましてですね、これについて大臣のお考えをお願いします。
(答)これは、ここで申し上げたことがあるかどうか、ちょっと記憶が定かではありませんが、国会でも出まして、今日も実は、柿澤未途さんの質問で、今のような趣旨の質問がありまして、私も指名されたので答弁をしてきましたけれども、政府の社会保障と税を一体的に考える検討の場というところで、まずは我が国の社会保障の在り方、保険、医療、年金、介護、その他の社会保障の在り方を考えるということ。これが一つのミッションですね。で、それについて、当然、地方団体も、この社会保障については、年金はともかくとして、医療や介護保険というのは専ら地方団体が扱っているわけで、当然地方の役割というものも整理されてくると思います。そうしますと、地方にかかわる分野において、どれほどの財源が必要なのかということが、また導かれてきますから、では、それをどういうふうに措置するのか、手当てするのかということになって、そのときに、地方消費税という項目も非常に重要な要素になってくるだろうと思います。これが、これからの道行き、シナリオ、シナリオと言っても、今有るわけではありませんけれども、想定される道行きだと思っています。まずは4月を目掛けて、社会保障の在り方について精力的に検討していこうという、こういうことだと思います。したがって、さっき言いましたように、地方団体、今でも相当この社会保障についてはコミットしていますけれども、責任を負っていますけれども、新しい整理の結果、それがどうなるのか、更に拡大をするのか、そうでもないのか、ということになりまして、それに応じて地方財政に対する配慮、措置というものが決まってくると思います。それに対して地方税をどうするのか。そのときに、税制の検討の一環として地方消費税というものが議論されるということになると思います。
 私が今日答弁しましたのは、そのことを申し上げましたのと、もう一つは、それと直接かかわるかどうか分かりませんが、社会保障と税との一体的検討ということとはちょっとずれるかもしれませんけれども、そもそも消費税の生い立ちのときに、実は地方税の消費課税を整理したわけです。最初に電気ガス税、これはかなりの税収がありましたけれども、それから、木材引取税、これはそんなに多くありませんけれども、そういう地方消費課税というもの、地方の個別消費課税というものを整理したわけですね。それを消費税の方に、消費課税の一本化ということで一元化したわけです。遅れて、料理飲食等消費税というのも、これも廃止をしまして、これも消費税の方に合流したわけですね。ですから、地方から見れば、当然、消費税というものは確かに国税として税務署が徴収するわけですけれども、経緯から言うと、従来の地方の個別消費課税の化体したものと言いますか、姿を変えたものが入り込んでいるわけだから、表現は悪いですけれども、当然消費税の中には地方の取り分というか、株のようなものが当然有るわけで、そのことを関係者は忘れてはいけないということを、今日一つ申し上げました。
 もう一つは、昭和20年代の初頭に我が国の税体系の礎ができたわけですけれども、そのときに、シャウプ税制というものから、それを基本に始まったのですけれども、それに基づいて、当初は、都道府県の基幹税目は事業税なのですけれども、これは付加価値税として構成されたわけです。今は事業税というのは、基本的には所得課税になっています、法人税と同じように。一部外形標準課税というのができておりますけれども、当初は付加価値税だったのですね。付加価値税というのは消費税とはいささか違いますけれども、底流は一緒なのですね。似たようなところがあるわけです。ですから、我が国の近代税制と言いますか、昭和 20年代から始まった我が国の新しい税制の中では、都道府県が消費税の前身のような付加価値税の課税主体として構成されていたという歴史的な経緯も、無視してはいけませんよということを今日も、るる申し上げておきました。
 地方団体の方から早くも声が上がっているという、さっき御指摘がありましたけれども、上がっていますか。
(問)8日の衆院予算委員会、それから、今日も与謝野さんが答弁されましたけれども、消費税率を上げた場合の地方の増収分については、これ必ずしも地方にすべて行くというふうに思っている人はいないというような趣旨の御答弁をされていまして、これに対してはもう既に麻生全国知事会長が極めて心外だとかですね、あるいは、昨日大臣はいらっしゃっていなかったですけれども、中核市の市長さんとの話でも、そういう意見は、趣旨の意見は出ていましたね。
(答)私はですね、この間、私も含めた総務省と、それから地方六団体の代表の皆さんとの間の協議がありまして、そのときにも申し上げたのですが、従来のように消費税について、上げる場合には地方消費税をよこせよこせという、これさっき言ったように理屈が無いわけではもちろんありませんけれどもね、単に従来型の要請とか陳情にとどまることなくて、自らも社会保障というものを担っているわけですから、自治体は。だから、我が国の社会保障の在り方というのはどうあるべきかというのは、国は国で今考えようとしていますから、自治体としても主体的に考えるということがあっていいのではないか。年金は、これは専ら国の仕事ですけれども、医療、これは保険制度も含めた医療、それから介護、それから子育てなどについては、これ自治体の役割は非常に大きいわけですから、そうすると、現行の、それらの社会保障制度というのはどうあるべきか、かくあるべしというような整理、将来ビジョンというものをやはり持つことが必要ではないかということを申し上げました。そうしますと、当然それに財源というものが伴わなければいけないわけで、そうすると、地方の側からすれば、社会保障の多くを担っている地方の側からすれば、租税の体系とか、地方財政の在り方というのはこうあるべきだという提言が出てくるはずですね。それは、私は重みがあるものだと思うのですね。そのことを六団体の皆さんにお話をしておきました。一部の知事さん方も、今日も来られた方もおられるし、その方々に、もっと真剣に、もっとと言うか、一層真剣に考えるべきではないかということを申し上げておきましたが、心は、今まではですね、大体地方団体というのはいっぱい社会保障をやっているのだから、消費税が上がったときにはよこせよという、そういう漠とした一般論なのですけれどもね。もう国の方は、そういう一般論ではなくて、具体的に社会保障制度をどうするのか、それに対応して税制をどうするのかということを片や真剣に考え出すわけです。自ら汗をかこうとしているわけですね。それは、国民の皆さんに対する理解を浸透させるという意味でも。そのときに、やっほやっほと言うだけでは駄目ですよ、やはり自らも本当に主体性をもって考えなければいけませんよということを、あえてこの間申し上げたのですけれども、自治体の皆さんも、それを真剣に受け止めていただきたいと思っています。
(問)すみません、もう1点だけ。これは地方の意見を積極的に聞く体制になっているのかという疑問も出ているのですけれども、どういう、地方の声を聞くというのはどういう形を考えられていますか。
(答)これは運営の中で、これからどういう人から意見を聞くかということになるだろうと思います。気が付いたことは私も申し上げますけれども、地方の方も積極的にですね、社会保障を現場で担っている主体の意見を聞かないで我が国の社会保障の制度を考えられるのかというような、当然、意見というのは出てくるだろうと思いますね。出てこなかったらおかしいと思いますね。単に声が掛かるのを待っているというだけでは、パスされる可能性が、無いとは思いますけれども、よくその辺は考えられたらいいと思いますね。何でも、もうお任せというのではいけないと思います。自らやはり、自分たちも考え方なり見解なりをきちっとまとめて、その上でぶつけるという。で、発言の場も自ら勝ち取っていくという、そういう主体性が必要なのではないでしょうか。
(問)北海道新聞の中村です。国家公務員の給与削減について伺います。先日の閣議で大臣は、近く組合側と正式な議論に入りたいということをおっしゃっていましたけれども、現在どういうふうな状況にあるのか。また、組合と言ってもですね、結構たくさんあるし、主立ったものでも2系統あると思うのですけれども、具体には、どういう系統の、どういう形でお話をされるというふうに考えているのでしょうか。また、組織率も6割程度ということなのですけれども、それから外れてしまうものについては、組合だけの議論で済むというふうにお考えなのか、知事時代の経験も踏まえて、ちょっとお考えを伺いたいのですけれども。
(答)総人件費2割削減ということで、その中の一つの重要な要素が、給与水準の変更ということが当然予想されるわけですね。それについては、給与法定主義ですから、法律でもって変えるときには変えるということになりますけれども、当事者である職員の大方の皆さんの、できるだけ多くの皆さんの理解と納得を得た上でやるということが、これが好ましいと思います。そこで、そういう職員一般の皆さんの理解を得る努力ももちろんしますし、それから、組織率の話はともかくとして、現に国家公務員の労働職員で構成される労働組合、職員組合が有りますから、その代表の皆さんと意見を交えて、それを通じて理解と納得を得るということが必要だろうと思っていまして、内々、もう具体的にそのことでどうしよう、こうしようということでお会いしたわけではありませんけれども、全般的な現在の財政状況とか、それから、政府の方針とか、担当大臣としての私の基本的な考え方とか、そんなことを内々お伝えしたりもしています。あとは、相手のある話ですからね。ですから、それは私の方で責任を持って淡々と進めていきたいと思っています。
(問)すみません、確認なのですけれども、それは、連合系、国公労連系、いずれもということなのでしょうか、対象は。
(答)いずれもお会いしました。
(問)自治日報社の内川と申します。大臣が昨年提案された地域主権改革税制についてお伺いします。省内で研究会を設けて検討を進められていることでしたが、その現状と、あと、昨年の税調でも、かなり各省の政務三役の方から、税の特例を自治体に委ねることについて懸念が強かったと思うのですが、大臣が考える実現に向けた最大の障壁と実現のポイントをお伺いできればと思います。
(答)年が明けて、今、国会で当面予算を通していただくこと、関連法案を通していただくこと、その他ありますので、そちらに私の方は、今、全力に近い形で力を投入しているのですけれども、担当局の方で、人選でありますとか、それから、具体的にどういう項目を取り上げるかなどということを、今、検討をしてもらっております。もう少し時間が掛かるかもしれません。それから、地域主権改革型税制、すなわち税制の企画についても、自治体がもっと自治体の意思で決定できるように、行えるようにという、そういうことです。今までは、税制については専ら国が考えて、法律でもって決めて、細かいことだけ及び賦課徴収だけ自治体がやるという、こういうおおざっぱに言えばそういう仕組みになっていますけれども、例えば、税率はもちろんですけれども、特例も含めて自治体の方で、財政運営とか、それから、その他の政策との兼ね合いで税制を企画できるようにしたいということです。これについては、さっき言及がありましたけれども、政府税調でも、各府省の政務三役の皆さんからは、必ずしも、これまでのところ賛意はあまり得られていないなと私も思いました。やはり従来型の思考方法、すなわち、地方税についても細かいところまで地方税法で決めるのだと。これ自民党時代は全くそのとおりでしたけれども、民主党政権になってもそういう頭でおられる方が存外多いなと、私も印象を受けましたので、政府内で、この地域主権改革というものを一丁目一番地と標榜した政権ですから、税制についてもやはり、地域主権の発想というものを持っていただかなければいけない。このことを政府内で私は普及宣伝に努めたいと思いますのが一つ。これは、障害を取り除くという表現がいいのかどうか分かりませんけれども、課題克服のための一つの作業だろうと思います。
 もう一つは、自治体自身にあると思います。自治体自身がどこまでそういうことを本気で考えておられるのか。全部国で決めてもらって、もう後は、賦課徴収などの実務だけやればいいのだというふうに考えているとしたら、自治体の方もやはり覚醒してもらわなければいけないと思います。というのは、税制の企画という話になりますと、当然、大きく言えば税目の話も出てきますよね。税目を起こすかどうか、これ法定外税で税目を起こすかどうかとか、それから、超過課税を含めた税率の変動もありますよね。今、減税が専ら、名古屋とかいろいろなところで問題になっていますけれども、税制を企画して、税制を自ら運用するということになると、当然お金が足らないときは、地方税の税率を上げるということが政策課題になってくるわけで、それは、納税者の理解と納得を自ら得なければいけないわけですね。消費税を国で上げて、地方消費税だけよこせよこせと言っているのとは、いささか文脈が違ってくるわけで、かなりきつい作業なのです。ただ、地域主権改革型税制というのは、非常に自治体に自由度が高まって、地域経営を税とリンクさせて、かなり思い切ったことができるという面があるのですけれども、納税者との関係で言えば、嫌がられる面もあるわけですよね。そこを自らやる、チャレンジする、勇気と気力を持てるかどうかという。私は、最大のポイントはそこだろうと思っています。多くの自治体が、今のままでいいと思っているかもしれません。でも、それでは本当の地方自治、地域主権というのは実現できないと、私は前から思っているものですから、是非自治体の皆さんにも、政府内でもさっき覚醒をお願いすると言いましたけれども、自治体の皆さんにも、やはり、覚醒と言ったらちょっと失礼になりますから、認識を新たにしていただきたいと、そう思っています。
(問)最後に1点、新潟州とか、大阪都とか、そういう構想が各地で出ていますが、大臣、以前の会見で、巨大な自治体が合併して、大きすぎる自治体になって、住民自治の観点から、少し問題の解決から遠ざかるというような所見を述べられていましたけれども、大阪都とか新潟州に関しましては、現在の政令市を解体して、そこで、行政区ではなく特別区、市を解体して幾つかの特別区を置くということで、特に大阪なんかは中核市並みの権限を与えるということで、住民自治の観点から言うと、大阪市という巨大な団体から比べると強化されるのかなという気もするのですが、改めて大臣のお考えをお伺いできればと思います。
(答)これはですね、必ずしも明確な大阪都構想、中京都構想、新潟州構想が、こうやりたいというふうな明確なスキームを携えて言われているかどうか、私がちょっと知らないだけかもしれませんけれども、あまり判然としないところもあります。大阪都は比較的、従来からどういうことをやりたいかというのは、私もイメージとしては受け取っておりますけれども、中京都とか新潟州というのは何となく、流行病とは言いませんけれども、とは言ってませんよ。影響を受けて提唱されている面が、ひょっとしたらあるかもしれない。これは私の認識違いかもしれませんけれどもね。そういう前提で申しますけれども、大阪都構想ってどういうことですかというとですね、ポイントは幾つかあると思うのですけれども、一つはやはり大阪市の解体ですよね。府と市が合併するということが基本的だと言われていまして、確かにそうなのですけれども、府は残るわけです、厳として。市が無くなるのです。で、市の中を幾つかの、必ずしも完全でない自治体、基礎的自治体的自治体に細分するということでしょう。だから、結局大阪都構想というのは、大阪府が大阪市を吸収して、大阪市を無くして、必ずしも完全でない自治体をそこに配置するという、こういう構想なのですね。だから、それが今の自治体が抱えている問題解決の方向と合致するかどうかという点検が必要だと思いますね。一つ言われていたのは、府と市の二重行政を解消したいということ。これはやはり問題はあると思います。これは昔の五大市構想というときには、五大市、名古屋、横浜、京都、大阪、神戸ですけれども、老舗の大都市ですね。これが特別市構想が出たときには、府県からもう独立させるという構想だったわけです。だから、二重行政が起こりえない構想だったのですけれども、これを当時、府県が反対をしまして、今のような政令指定都市になったわけです。だから、最初からこの二重行政の問題というのはやはり残っているわけですよね。これをどうするのですかという問題があるわけです。これが一つの着眼としては、的を射た着眼なのですね。その際に、府と市を合体させて二重行政を解消しましょうというのも一つの在り方です。もう一つは、五大市の特別市構想に戻って、原点に戻って、分離しましょうというのもあるわけです。だから、二重行政の解消は、都構想に一つだけ選択肢を求めるということではないはずなのですね。分離というのもあるわけです。いずれも、法律制度を改正しなければいけません。自らの、自分たちの意思決定だけではできません。これは国法を変えなければできない作業です。それから、もう一つは、これは名古屋市なんかで提起されていたのですけれども、今の名古屋市をはじめとした大都市は大きすぎて、基礎的自治体としての体を成してないじゃないかと。300何十万とか、250万とかっていうのは、基礎的自治体にはなじまないでしょうというのは、やはりそれも的を射た指摘だと私は思います。それで、基礎的自治体というのがどれぐらいであるべきかというのは、いろいろな議論があるでしょうけれども、今の大都市というものを、何らかの改変を加えて、基礎的自治体を置くべきではないかというのは、これは論点としてはあるだろうと思いますね。それをどうするかというのは、またいろいろあります。あまり強い権限を持った基礎的自治体ができてしまうと、大都市としての一体性が無くなるのではないかと。やはり大都市というのは、地域というのは、都市的形態も、それから経済活動も、市民の生活形態も一体化していますから、だからやはり一体化というものが重要ではないかと。これをどう考えるのですかということで、そうすると、基礎的自治体にするのか、それとも準基礎的自治体にするのかとかですね、それとも、現行でいいのかという議論があると思います。だから、大いにこれは議論したらいいと思うのですね。
(問)よろしいですか。
(答)よろしいでしょうか。
(問)どうもありがとうございました。
(答)はい、どうも。

(以上)