片山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年2月8日

(平成23年2月8日(火) 8:50~9:16  於:会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。今日は、閣議がありましたが、特段、私の方から御報告することはありません。

2.質疑応答

(問)おはようございます。共同通信の藤田です。二つお伺いします。一つは日曜日の愛知の三つの投票が、ああいう結果になりましたけれども、既成政党に対する否定なのか、あるいは橋下知事なんかとも連携して、河村市長らの運動というのは勢いも増していますけれども、この結果をどういうふうに、大臣、御覧になりますか。
(答)幾つか感想はありますが、一つは、名古屋市において、河村市長と、それから名古屋市議会が、先年来激しいバトルを繰り返して、それの集大成と言うと変ですけれども、市長選挙と、それから、それに先立つ議会の解散請求に基づく住民投票と、更には知事選挙というものが相まって、相乗効果というのか、そういう意味で非常に市民の間に大きな関心を呼んだと。その結果という、そういう面があると思いますね。それについて私は、いささか邪道めいた印象を持っています。選挙というのは、それぞれ、同一にやるというのは別に問題無いのですけれども、あえてやらずもがなの選挙、すなわち市長を自分で辞めてまた出るとかですね、そういうものを一緒にして、否が応でも関心を盛り立てるというのは、私は邪道だと思います。そういう感想を持っています。ただ、最終的にそれぞれの選挙とか、それから住民投票において、市民、県民の皆さんが結論を出されたわけですから、その信託を受けた皆さん方は、それぞれ自らの唱えてきたことを誠実に実行される、それを有権者の皆さんがまた評価をし、判定をするということだろうと思います。
(問)それから、住民基本台帳ネットワークの関係なのですけれども、先ごろ東京地裁の方でですね、接続をしていない国立市に対して、この状況は違法だという判決を出しました。福島県の矢祭も今そういう状況になっています。それで、これ、どういうふうに受け止められるかということなのですけれども、共通番号制度ということがまた検討されている中で、どういうふうに対応されるのか。
(答)共通番号制度は共通番号制度として、国の方でこれをどういうふうな構築をしていくのかということを検討しているわけで、それはそれで、今後の結果によって決まることだと思います。それとは別に、住民基本台帳ネットワークについては、住民基本台帳法に規定があって、接続を義務付けられているわけでありまして、その是非を問われたわけですけれども、法律には従えということでしょうから、それは法治国家においては、そういう判決がまず出るだろうと私も思っておりました。
(問)朝日新聞の稲垣ですが、昨日夕方に、地方六団体と、地方自治法の改正について、議論というか、協議がありましたけれども、地方側から、なんと言いますか、今、出ているものについて若干異論めいたものもありました。これについての大臣の御説明も伺っておりますけれども、地方側の意見を受けて、今、明らかになっているもので例えば見直すとか、修正をする必要があるものがあるのかどうか。あるいはそれとも、このままで行かれるのかどうか。または、地方自治体側の意見について、確かにそうだなとうなずかれるような異論もあったとお感じなのかどうか、その辺をお聞かせください。
(答)昨日の今日なので、まだ事務当局と意見のすり合わせをしておりません。できるだけこれを早く、今日にでもしたいと思っております。それで、いろいろな論点が向こうからも出されて、こちらからもそれに対して考え方を説明しました。昨日も申しましたように、すべてを六団体の皆さん方と意思統一をする、意思一致をするというのは、これは無理です。それは幾つかの理由があって、まず、地方側の言われることも、議会サイドの皆さんと、それから首長側の皆さんとの間では、必ずしも意見は一致しないということが一つありますよね。それから、昨日は必ずしもクリアでは無かったのですけれども、例えば、都道府県と市町村との間にも、必ずしも一致しない部分が潜在的にはあるはずであります。ということで、地方側自体が一枚岩ではない、これは当たり前のことなのですね。それが悪いというわけではないのです、当たり前のことなのですね。ですから、国、地方側が、みんなが一致するということは、そもそもあり得ないということの、一つの説明ですけれども、もう一つは、これも私、あえて、多分耳の痛い方もおられたと思うのですけれども、申し上げたのは、地方自治法の改正、地方自治制度の改正というのは、だれのために何の目的でやるのかと言いますと、これは決して今の首長さんとか議会の皆さん方のためにやるわけではないわけです。そういう面がもちろんあるということは否定しません。だけれども、究極は、住民の皆さんにとってどうかという視点で、この問題を論ずるべきだと思っています。ですから、住民の皆さんのためにいい改善を加えようというときに、それがすなわち、議会の権能を強化するとか、首長が仕事をしやすくするという面が当然もちろんありますけれども、一方では、住民の皆さんのために改善を加えるといったときに、今の首長さんとか議会にとっては、煙ったいこともやはりあるわけですね。住民の政治参画機会を増やそうということになると、大きなお世話だと、昨日おっしゃっておられた方もおられましたけれども、今の、あえて権力側の皆さんにとっては嫌なこともあるわけですね。六団体の皆さんが嫌がることは一切手を付けないということになると、そういう住民の皆さんのための改善というのはもうさしょうされてしまうわけで、あえてそういうものが入る余地は当然あるわけで、結論において必ずしも一致をしないことがありますよということを、昨日申し上げたわけですね。そういう前提の下で昨日やり取りをして、こちらが説明をして、不承不承ながらも、そういうことだったのかと分かっていただけたのかなという印象を持ったものもありますし、なかなか分かってもらえないだろうなという印象を受けたものもありますし、逆に、先方のおっしゃられることで、なるほど、これはちょっと考えてみたいなと思ったこともあります。それらをできるだけ早急に整理をしたいと、今、思っております。
(問)なるほどと思われたのは、例えばどういう。
(答)それはちょっと事務当局と意見のすり合わせをして、それからどういう修正を施すのか、施さないのかということを、改めて、またお話を申し上げたいと思います。私の一存だけでね、この問題を決めてきたわけでもありませんので、私の考え方がかなり色濃く反映した改正内容もありますし、それから、そうではなくて、地方行財政検討会議の検討の過程において委員の皆さんなどから提言をされて、それが採用されたものもありますので、そういう経緯もありますから、私が昨日感じたので、それを一刀両断どうするこうするというのはちょっと避けたいと思いますので、そういう経緯をよく知っている者とも少し意見交換をしてから、自分の考え方を、最終的には私の方で、政務三役と相談しながら決めますので、最終的な、案づくりの最終的な判断は、そういうプロセスを経た上で出したいと思います。
(問)西日本新聞の山本です。今の質問に関連してなのですが、今度の地方自治法改正はですね、ちょうど議論されているときに阿久根の問題があって、議会と首長に対してどうするかというところで改正が行われた面もあったと思います。今度の名古屋とか大阪の方で、首長が自ら政党を作って議会に議員を送り込むという新しい動きが出ているのですけれども、これは、地方自治法改正が論議されていたころ、まだあまり表に出ていなかったというか、あったんですけれども、議論の対象になって無かったと思うのですね。今度、統一地方選であちこちに地域政党ができて、こういう新しい流れがでてきて、それに合わせて、今検討されている地方自治法改正の見直しをまた新たに加える必要があるのかどうなのか。その点はいかがでしょうか。
(答)これはあれですか。今、橋下さんとか、河村さんとか、今度、大村さんも加わって、なんて言うんでしょうかね、自分党というか、自らが政党を率いて、議会にもそれを送り込もうという、こういう現象を、何らかの規制を加えるべきではないかという、そういう観点ですか。
(問)規制を加えると言いますか、もともと阿久根の問題はですね、二元代表制の歪みというおっしゃり方をされて、それを修正するために、今度地方自治法改正が論議された部分もあったと思うのですけれども、この首長新党というのは、二元代表制の歪みと言いますか、新しく出てきた動きに対して地方自治法を、また何らか対応する必要があるとお考えなのかどうか。
(答)そういう意味ですか。私は、結論においては無いと思います。政治活動というのは基本的には、憲法との関係で言うと表現の自由の一環でありまして、できる限りこれは自由でなければいけないというのが基本だと思います。それで、明らかに社会的に何らかの害悪をもたらすとか、そういうものについては規制をしなければいけないとかですね、そういうことは必要最小限有るとは思いますけれども、今回のような政治活動の自由の一環ですから、どういう人を議会に送り込みたいかというのは、それは一般の有権者であっても、そういうことを願ってそういう活動をするということは、当然認められておりますし、それは、首長も一人の市民としても、また、一人の政治家としてもですね、そういう活動をすることは妨げられるものではないと私は思います。現に首長新党とは言わなくてもですね、今までも首長さんは、例えば、いわゆる与党という、本当は与党・野党なんて、二元代表制の下にはありませんけれども、現実の問題として与党会派的なものはありますから、そういう与党会派的な議員さんの応援に回るということは、選挙のときによくあることですね。ですから、それとそんなに私は変わらないと思うのです。あえて首長新党と言うか言わないかはともかく、今まで与党的なものを一生懸命選挙のときに応援していた。今度は、もっと自分が積極的に、党首となってパーティを作って、ローカルパーティを作ってやるというのは、本質的にはそんなに変わらないと思います。あえて何らかの規制を加えるとかですね、そういうことは必要ないと私は思います。阿久根の問題というのは、これは、地方自治制度の根幹にかかわることが含まれていたわけです。しかも、今までだれも想定していなかったような事態が起こったわけです。何かと言うと、議会を開かないという。地方自治制度の一番の根幹は、私は議会であると思っています。首長も代表、住民の代表だし、議員も住民の代表なのですけれども、最終的には議会が物事を決めるというのが今の約束事です。その議会を開かない、議会の決を取らないということは、これは、有り得ないこと、有ってはならないことでありまして、そんなことは当然だれも想定していなかったことなのですけれども、ついにそれが阿久根で起きたわけで、これからもそういうことは起こらないとは思いますけれども、今回阿久根でそういう事態が生じて、いささか地域的ではありますけれども、混乱を生じましたので、そういうことが無いようにということです。ですからこれは、政治活動の自由とは関係無いことなのです。市長の政治活動の自由の範疇ではない。そもそも市長が守らなければいけない義務を果たさない人が出てきたということですので、あえてその義務を明確にするという、そういう意味があったわけです。
(問)NHKの石井ですが、子ども手当に関して、昨日の衆議院予算委員会で、枝野官房長官が全額国費でやることが望ましいという話で、大臣は常々、24年度以降の話に関して、できるだけ早く議論を始めたいと言っていましたが、その官房長官の発言を受けて、今後の議論はどういったお考えになっておられるか。
(答)もともとですね、子ども手当との併置と言いますか、子ども手当を包含したような二階建てというのは、最終の仕上がりでは無いということは確かだろうと思うのですね。一種の便法だろうと思います。ですから、それをすっきりさせるということは、一つの改革の方向としては、私は、昨日の枝野官房長官の発言を伺っていて、自らも賛同するところがありました。その際に、昨日も小泉議員に申し上げたのですけれども、その際に、財源の調整をしなければいけないということが一つの課題としてありますので、これはよく念頭に置いておかなければいけない。今、児童手当の一階建て部分のところに地方費が入っていますので、それを児童手当の部分を一切無くすということになりますと、その地方費の部分をどういうふうに国との間で調整をするかということ、これを、課題としてちゃんと受け止めなければいけないと思います。
(問)すみません、共同通信の林ですけれども、国家公務員の人件費削減に関してなのですが、そちらはそちらでマニフェストに書いてあるので、一生懸命やられると思うのですけれども、一方で、国会の改革も、やはり、その前提としてはですね、必要だという声も一部にあって、大臣として、公務員人件費の削減と国会改革、例えば、歳費だとか、定数削減の問題の関係に関してですね、御見解があればお願いします。
(答)法的に言うとですね、両者は必ずしも関係は無い事柄だと思います。ただ、やはり、物事にはバランスとかですね、常識というものがあると思いますので、仮に国家公務員だけ総人件費2割改革というものがかなり進んで、国会が定数も歳費も全く手付かずということでは、著しくバランスを欠くことになると、私は思います。ですから、両者のバランスというものは、お互いに、表現は正しいかどうか分かりませんけれども、両方とも為政者の部類に入りますからね、まず為政者の方が身を正すという、そういう文脈の中では、両者がやはりバランスを取って改革を進めるということが常識にかなうことだろうと思います。ただ、私の担当は国家公務員の総人件費2割の担当でありまして、総務大臣は。国会の歳費とか定数の問題まで担当しておりませんので、私は私の所掌範囲で誠実に淡々と仕事をしていきます。さっき申しましたバランスの問題については、政党中心に、国会議員の皆さん中心に、きちっと議論をして、国民の納得のいく結論を得ていただきたいと願っています。
(問)京都新聞の小川ですけれども、愛知のやつと関連するのですけれども、交付団体が、交付税をもらっている自治体がですね、市民税減税というのを掲げるということについて、まずどういうふうに思われていらっしゃいますでしょうか。
(答)制度的には可能なのですね、制度的には。地方税というのは、税率を決定する権能は議会にありますから。標準税率というのは、今、ありますけれども、住民税や固定資産税には。固定資産税1.4%が標準ということで。通常はこれによりなさいと、この税率によりなさいと。特段の事情がある場合には、それを上げたり下げたりして構いませんよという、そういう規定になっています。したがって、物入りであれば税率を上げてもいいし、それから、大幅に歳出カットなどをして、行政改革をやって、コストを減らすのであれば、税率を下げてもいいということになっています。その際に、交付税は、それによって交付額を左右されないということになっています。仮に標準税率よりも税率を上げたからといって、収入がたくさんありますね、だから、交付税を減らしますよということにはなりません。逆に、税率を下げましたね、では、お金が足らないでしょうから交付税をたくさんあげましょうねということにも一切なりません。交付税は、そういう意味で中立であります。その前提で、税率をどうするかは、自治体の財政運営いかんだと思います。これが制度です。一つ、敷えんしますと、そういうときに借金をするときにはちょっと厳しく見ますよと。通常の団体よりはチェックが厳しいですよというのはもちろんありますけれども、交付税との関係では、それはありません。これが一つです。ただ、現実の問題として、借金をして交付税をもらっているのは変じゃないかという、納税者の素朴な感情って有りますよね。やはり、これも全く無視するわけにはいかないと、私は思います、政治的な文脈の中では。では、どうすればいいのですかということですけれどもね。私が首長でしたら、行革を一生懸命やって、今、名古屋市もそうですけれども、多くの団体が巨額の債務を抱えていますよね。長期債務を抱えていますから、それを減らす方に振り向けるということをするだろうと思うのですね。それですとね、納税者の皆さんの常識にもかなうのではないか。よく交付税をもらっていながら税率を下げるのはけしからんという議論があって、それはさっき言ったように素朴な感情からしてそういうことが出てくるのも、むべなるかなとは思いますけれども、むしろ私は、論点の設定の仕方としては、巨額の債務を抱えているのにそんなに減税するというのは、長期的な財政運営の観点から見ていかがなものかという、そういう論点も出てくると思うのですね。そっちの方が、より重要な視点だと私は思います。ですから、行革をやって、コストを減らして、その、当面、単年度で浮いたお金は減税に回すという考え方も無いわけでは無いけれども、長期債務の縮減の方に振り当てて身軽になるということ。こういう選択が有るのではないか。でも、それだけだったら、当面、行革をやることについて納税者の方で、モチベーションが出ないとかですね、精が出ないということであれば、では、半分ずつ割り当てましょうかとかね、長期債務の返済の方に半分振り向けて、若干減税しましょうとか、いろいろそれは工夫はあると思いますけれども、私でしたら長期債務の返済の方に意を注ぐだろうと思います。
(問)あと1点、すみません。また話は変わるのですけれども、大都市制度についてですね、なるべく議論をされたいということだったのですけれども、その前提としてですね、基礎的自治体ということを大臣はよくおっしゃられますけれども、人口規模で言うとですね、どれぐらいのものを想定されているのでしょうか。京都府だと、146万人の京都市とですね、19万人の宇治市とか、同じような基礎自治体というふうに見てもいいのでしょうか。どういうふうにお考えか教えてください。
(答)一概に言えませんけれどもね、私が長い間、地方自治に携わってきた経験から言いますとね、都市部で言いますと、15万人から20万人ぐらいのところが、都市のかなり高度な機能、都市の行政機能を有して、かつ、住民自治から遠ざからない、住民自治の発現が期待できるという、その二つの兼ね合いから言うとですね、都市部で言うと15万人から20万人ぐらいが適当なのではないかなという気が、私は長年の経験でしております。地方自治というのは、究極は、自分たちの地域のことは自分たちで決めるということは、これは原点で最大の意義です。という理念からいきますと、小さい方がいいということになります。だけれども、人口が集住した都市地域で、かなり高度な行政を担わなければいけない。そうしますと、専門的なスタッフだとか、組織機構を整えなければいけない。そうすると、あまり小さいとそれがかないませんので、ある程度のやはり規模が無ければいけないという、こういう要素も一方であるわけですね。そういう面から言うと大きい方がいいわけですけれども、そうなると、前者の方の住民自治というのが非常に遠ざかりますから、両方のバランスをどこで取りますかというのが一番のポイントだと思うのです。それをどこで案配するかというのが。それは、それぞれの地域で決めていいということになっていますから、それぞれの地域で決めたらいいのですけれども、私の個人的な考え方を言えば、15万人とか20万人ぐらいのところが、それがいいのではないかなと思います。地方に行きますとね、都市部でないところに行きますと、また違った判断があると思います。そのときには、当然人口はそんなに集住していない、むしろ過疎化しているとかですね、そういう面がありますから、人口15万人、20万人を揃えようと思ったら広大な面積になってしまって、今度は、距離の問題として、空間の問題として、スペースの問題として、民主主義というか、住民自治から遠ざかるということが想定されますから、やはり、その場合には、地方部の方は人口だけではなくて、面積の方もやはり勘案する必要があるのではないかというのが、私の経験上の考え方です。そうしますと、もっと少ない規模で一般的には自治体を形成するのがいいのではないか。その場合には、より高度な事務というのは多少犠牲にしなければいけませんので、それは、広域的な自治体である都道府県がそれを補完するというのが、今の地方自治の仕組みだろうと思います。
(問)よろしいでしょうか。ありがとうございました。
(答)はい、どうも。

(以上)