片山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年12月7日

(平成22年12月7日(火) 11:02~11:35  於:会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。今日は、閣議後の閣僚懇談会で私の方から発言をしまして、それは、行政相談を行いましたけれども、その行政相談のうち、幾つかについては関係省にあっせんをしようという仕組みがありまして、この度、あっせんをした案件を少し閣僚の皆さんに御紹介をして、議論の対象にしました。それは、例えば、車いすの使用者の方のために、公共施設などで専用の駐車施設を設けておりますけれども、それが有っても実質的には対象でない人に占用されていて、なかなかそれが該当の方に使いにくい、また、ものも言いにくいという、こういう実態があるという相談が寄せられて、それについて、詳しいことはあとで御報告させますけれども、しかるべき改善をしてくださいということを関係省にお願いしたりしたのですけれども、事柄としては非常に細かいことなのですけれども、よく言われますように、「神は細部に宿る、真実は最後に宿る」とこう言いますけれども、こういう細かいところに配慮できる社会かどうか、行政の仕組みが、そういう配慮がなされるようになっているかどうかというのは、これは非常に重大な問題ですので、あえてこれを取り上げて、あっせんをしますし、公表もしますし、閣僚の皆さん方でもこれをテーマにして、いささか意見交換をしたというようなことがございました。皆さん、非常に、熱心に受け止めていただきまして、やはりこういうことに、ちゃんと徹底した配慮がなされるような社会にしなければいけないという申し合いをした、議論をした次第であります。
 あと、児童虐待の防止等に関する政策評価、これ政策評価の一環として、児童虐待の行政の最前線で携わっておられる方々に、対象に調査をしました。そこでいろいろなことが浮き彫りになりました。詳細な調査でありますので、細部はこれから更に分析をして、それをまた随時公表していこうと思っているのですけれども、とりあえずは、最前線の皆さん方がどういうふうに、今、この問題を受け止めているのか、悩み、課題があるのかということがある程度分かる結果が出ておりますので、これを公表しまして、早速に関係省と今後の政策について、自治体が一番の当事者でありますし、それから、厚生労働省が所管省でありますので、早速に相談をしたいと思っております。ということを、今日の閣議の後の閣僚懇談会では申し上げました。以上です。

2.質疑応答

(問)朝日新聞、稲垣ですが、幹事社からお尋ねいたします。鹿児島県阿久根市のリコール成立についてなのですが、失職されて、出直し市長選挙の流れになっていますけれども、名古屋市に続いて自治体の現場でこういった混乱がありますけれども、これについて大臣の方から、現場で所管というか、御見解、どう見ていらっしゃるかというところをお尋ねいたします。
(答)個別のことですのでね、細部まで事情を私も承知しているわけではありませんから、断定的なことは申し上げられませんが、一般論としてはあり得ることです。二元代表制の中で、必ずしも法律が期待した機能が、二元の双方で発揮されていない。これはあり得ることであります。それに対して住民の皆さんから、正にリコールというのは、住民の皆さんが作り上げた権力、それを欠陥があるとみて回収しようということですから、自動車や電気器具のリコールと似たようなところがあるのですけれども、権力を作り上げた皆さんが、それをもう一回、回収をして作り直そうということですから、あり得ることですね。行方を見たいと思います。
(問)その関連で1点だけ補足でお尋ねしたいのですが、例の市長の職務代理者にですね、専決処分で選任された副市長が就かれるということなのですが、これについては大臣御自身も、専決処分については違法であるという御見解を以前示されておりました。そういう形で選ばれた副市長が代理者となることについては議論も出ているようなのですけれども、これについてはいかがお考えでしょうか。
(答)選任について専決処分で行ったということについてはですね、これは当時の状況を伺うと、地方自治法が定めた専決処分の要件を満たしていないと思います。専決処分というのは、例えば災害などがあって議会が開けない、そういうときに緊急に行わなければいけない予算の専決とか、これはあり得ますよね。それから、議会を開いて、議案として出しているのだけれども、全く議決してくれない、たなざらしにしてなしのつぶて、こういうときにも、地方自治法では専決処分は認めているのですね。議会を招集しても、全く集まってくれない、災害などの事情がないのに集まってくれない、そういうときもできる。こういう、ごく限られたレアケースのときに専決処分ができるということになっているのですけれども、議会をそもそも開かないで専決処分をするというのは、もうこれは根っこから違法なのですね。選任は違法だと、前も申し上げておりましたけれども、それはそれで、私の判断は違っていないところです。その後のことはよく承知していないのですが、その後、議会を開かれて、そこでどういうやり取りがあったのか。例えば、よく法律上の瑕疵の治癒とかってありますけれどもね。そういうことが事実上、実態としてあったのかどうかなどについては分かりませんので、そこについてですね、私の方で、今、職務代理の選任の問題について、断定的なことを申し上げることは差し控えたいと思います。いずれにしても、この混乱、混乱と言うと失礼かもしれませんけれどもね。一種の非常時でありますから、だれがどうのということではなくて、早く正規の、と言いますか、新しい体制ができるような、そういう努力を皆さんでしていただきたいと思います。
(問)北海道新聞の中村です。阿久根市の例なんかでもですね、やはり地方議会の在り方というのが、非常に注目が集まっていると思いますが、先週金曜日に、地方自治法の改正について地方行財政検討会議が考えをまとめました。住民投票や専決処分、また、リコール要件の緩和など、かなり踏み込んだ内容になっていたかと思いますけれども、それを踏まえて来年の通常国会に向けて、どのように法改正に臨んでいかれるのか。それと、以前、大臣は、長いタームで考えるものと、すぐやらなければいけないものと、その辺を整理した後だということをおっしゃっていました。今回の結果を踏まえて、どのようにお考えになっているのか、お願いします。
(答)地方行財政検討会議で、前の大臣のときからこれが発足をして、地方自治法の抜本改正に向けて、種々御尽力をいただいておりました。9月の半ばに私が原口大臣の後を引き継いで、従前の検討課題に加えて、新たに、いわゆる住民自治のテーマについても審議をしてもらいたいと、議論をして深めてもらいたいということをお願いしておりましたところ、本当に、精力的に、西尾先生はじめ、精力的に議論していただきまして、この間、一定の考え方の取りまとめが行われたわけです。まとめていただきましたので、あれを基本にしながら、地方自治法の必要な箇所の改正について取りまとめをしたいと思っております。まだ具体的にですね、あの中で、どことどことどこをどういうふうにするかという、そういう法案の段階までに至っておりませんけれども、あの中から必要なものを法案に盛り込んでいきたいと思います。これが一つですね。
 それから、前から申し上げておりましたのは、やはり、なかなか一朝一夕に解決案と言いますか、改正案が見いだせないものもあるのですね。もっともっと議論しなければいけないとか、他の仕組みとか、社会の在り方とも関連するものもあるものですから、そういうものは直ちに私が9月の半ばに大臣になって、直ちに来年の通常国会で全部まとめるというわけにはいかないものもあるのです。例えば、選挙の仕組みとかですね、選挙制度とかですね、そういうものはやはり慎重な議論が必要でしょうと。そういうものはもう少し時間を掛けて、と言っても、だらだらやるつもりはありませんけれども、もう少し議論しながら成案を得ていきたいと思っています。これが二つ。
  それから、三つ目はですね、この間も申し上げたのですけれども、実は制度の問題ではなくて、当事者の皆さん方の運用いかんによって、大きく改善できるというものもあるわけです。こういうものは制度改正にかかわらずですね、当事者の皆さんの努力で改良していただきたい、改善していただきたい。これはこの間率直に申し上げましたけれども、議会の様子を見ますとね、首長と議員の皆さんが、出来上がった原稿を読み合うだけという、そういう議会が多いですけれどもね。これは、本来の姿では到底ありませんので。議会というのはやはり、公開の場で議論をして、その中から、説得とか、納得とか、譲歩とか、妥協とか、その結果、合意。それでみんなが、まぁこれならしようがないかなとか、これぐらいでいいかなとか、これがいいなという、そういう域に達するというのが議会の役目なのですよね。単に出来上がったものを読み合うだけで整然と終わりましたというのは、それはそれでスムーズかもしれませんけれども、本来の政策形成過程の重要な部分、ディスカス・アンド・パーシヴ、議論をして納得・合意を得るという、そういう過程を欠いていると私は思うものですから、そういうのは今の制度でもできるのですね。だから、そういうのは当事者の皆さんがよく現状を踏まえて、課題解決に努力をしていただきたい。これはこの間も申し上げましたけれども、これからも、前からも、北海道なんかでも、ちょっと話をしたことが以前ありますけれどもね。これからも申し上げていきたいと思っています。
(問)フリーランスの小川裕夫と申します。よろしくお願いします。先ごろなんですけれども、財務省が1.5兆円分の地方交付税特別枠を廃止する方針だというふうに、新聞報道でもこれ伝えられているのですけれども、これについて大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
(答)これは、これから年末の予算編成にかけてですね、お互いに議論をして、詰めていくことだと思います。一つ一つの要素について、今、途中経過をお話しするのは適当ではないと思いますので、粗方めどがついたときに、考え方も含めてお話を申し上げたいと思います。
(問)テレビ朝日の山根と申します。阿久根市の問題に戻るのですが、もともと阿久根市の状況を見ますと、私もちょっとこの間行ってきたのですけれども、やはり市職の方、職員の方、市議の方の年収と、一般の年収の格差があまりにも大きいというところにやはり根っこがある。阿久根市の現状を見ると、新幹線が通らない、電車もほとんど通らないような状態になって、どんどん、こう過疎化が進んでいる。こういう自治体は全国に山ほどあると思うのですが、大臣、以前から、例えば一括交付金にしても、自治体の創意工夫で、というふうなことをおっしゃっていますけれども、その全国の、吹けば飛ぶような小さい自治体、財政的にも苦しい自治体が、とても創意工夫ということはあり得ない、そういうものの中から出てきた今回のこんな、強引にでもやってしまわなければいけないような、市長の専決処分を連発するような、そういう一つの在り方ではないかなとも感じたのですけれども、それは本当に財政的に危機的状況にあるような小さい自治体が、今後どのように、それから、創意工夫がどこまでできるのかという大臣のお考えというのを、改めてもう一度伺いたいのですが。
(答)せっかくですからあえて申しますとね、今回の阿久根市の問題の根底に公務員の給与の問題があったとすればですね、それは多くの皆さん、市民の皆さんが、市民感覚とはずれているとか、市民の実態とはかけ離れているということが背景にあったのだと思いますけれども、その給与というのはだれが決めているのですかというと、議会が決めているわけです。これは、給与法定主義、国の場合は国会の法律で決めていますし、自治体の場合は給与条例主義で、自治体の職員給与条例で決めるわけですよね。それを決めるのは議会なのですよ。発案は、発意は長がするにしても、最終的に決定するのは議会なのですね。その議会を選んだのはだれですか、議員を選んだのはだれですかというと、住民の皆さんなのですよ。住民の皆さんが自分たちで議員を選んで、その議員の人たちが決めたり、あるいは承認している。その給与レベルが高すぎる、けしからんと言って議会を非難をするのは、天につばきをするような面があるのですよね。だから、本当に給与の実態がけしからんというのであれば、議員の選挙は四年に一回あるわけですから、そのときに議員の主張を聞いて、今の給与水準を是とするのか、それとも、高いと思っているのか、そういうのを一つの大きな投票のときの判断材料にされたらいいと思うのですね。私は非常に疑問に思うのは、議員さんは議員さんで、今の議員さんを選んでおいて、その人たちが決定したこととか、容認したことは、けしからんと言っている一方でね、議会なんかいらないという、そういう人たち、そういう首長にある種の共感を覚えるというのは、一種の自己矛盾があると思いますよね。今回、首長に対するリコール選挙を今度やると。それから、議会に対するリコールの運動も、今、起こっているのでしょう。いい機会だから、本当に住民の皆さんが、その市政というものをどうあるべきと考えるか、その中で大きなテーマとして、公務員の給与をどうあるべきと考えるか、それを明確に、それぞれの選挙を通じて、投票行動を通じて、ちゃんと明らかにされるということが必要だと思いますね。これは、私も自分で知事をやっていて、やはり思いました。有権者の皆さんの、言葉は悪いですけれども、ダブルスタンダードみたいなのは、首長には非常に、改革志向とか、そういうものを望む。しがらみのない存在であってもらいたいといって投票する。自分で言うのも何ですけれども、私なんかもそういう期待を随分いただきました。ところが、もっと身近な議員の選挙のときには、別の基準で動く。地縁とか、血縁とか、世話になったとか。こういうやはり、一種のダブルスタンダードがあるなと、私も自分で政治をやっていて、肌身で感じましたね。それが凝縮されているケースが、最近、あちこちで出ているのかなと思いました。だから、有権者の皆さんが、本当に身近な自治体の行政に何を望むのかということを明確にされるということが必要だと思います。そういう意味では、阿久根市のケースは、いい事例になると思います。これ、昨日、私、ニュースを見ていましたら、阿久根市の竹原さんもそう言ってましたね。これで市民の考えが問われると言われていましたけれども、その部分については全く同感でしたね。その部分については。
(問)もう一つそこで、私、先ほど申し上げた、要は、吹けば飛ぶような自治体がたくさんあって、その市の行政、今回、阿久根市はそれほどでもないのですけれども、市の行政に何かを住民が期待したところで、その市自体がもう何もできないぐらいまで落ち込んでしまっている。では、今後市がどうやって在り方を考えていけばいいのかという、要は、県か何かに自分たちの自治権みたいなものを渡して、出先機関みたいになってしまうようなところまで追い詰められているところもあるかと思うのですけれども、行財政の在り方を考える上でも、そういう市、町というのは、どういうふうに今後やっていったらいいのだというお考えはありますでしょうか。
(答)そんなに悲観することはないと思いますよ。財政的にもね、まがりなりにも地方交付税制度があって、シビルミニマムがちゃんとできる仕組みになっているわけです。それをどう使うかというのは市の判断ですけれども、自治体の判断ですけれどもね。一応必要な行政はちゃんとできることになっていますから、あとは選択の問題。もちろんそれは大いに節約をしたり、行政改革をしなければいけませんけれどもね。何もできないような、もう展望も何もありませんということではないと思いますよ。ただ、本当に小さな村で、もう高齢化をして、だんだん住民も先細りになってくるというところは、やはりありますよね。そういうところをどうするかというのは、それは、深刻に、真剣に考えなければいけない。それは例えば、近隣との合併とか、これは政府が鐘や太鼓で、合併しろ、合併しろ、合併したらこんないいことがあるよというような、ああいうやり方ではなくて、本当に自発に基づいた合併というのは有力な選択肢だと思いますよ。合併に至らなくとも、近隣との共同をするという。これは、共同の仕組みというのがありますから、一部事務組合とか、広域連合とかありますからね。事務委託とか。そういうことをやるというのも選択肢だし、あとは、私が鳥取県の知事のとき考えましたのは、県がある程度そういうところについては行政をカバーしてあげる必要があるのではないか。逆の事務権限移譲とかね、そういうこともあっていいのではないか。というのは、都道府県は市町村を包括する広域な団体で、市町村ができないことを都道府県が担うとか、補完するとか、これが都道府県の任務ですからね。そういうことからすれば、そういう本当に力が無くなって、もう住民もどんどんどんどん先細っていくというところがもしあるとすれば、それは、例えば県がある程度事務を引き受けてあげましょうかというのは、あっていいと思います。そういうことを地域ごとに考えるべきだと思います。
(問)西日本新聞です。阿久根市のことの続きなのですが、先ほど副市長の専決処分のことをおっしゃって、今後、その職務代理者になった場合、阿久根市が発行する公文書は市長の名前で発行されるわけですが、公文書はそもそも有効だとお考えなのか。それと、先ほど、その後の経緯は知らないから断定的なことは申し上げられないとおっしゃったのですが、最終的には司法が判断するにしても、それはちょっと、最初に大臣が専決処分は違法だというふうにおっしゃっておきながら、今の段階では断定的なことを申し上げられないというのは、地方自治法を所管する総務省として、ちょっと無責任なのではないでしょうか。
(答)いや、選任行為はやはり無効ですよ。ただ、一回議会をやっているでしょう。議会をやって、どういうやり取りがあったのか、そこは法律が規定していない分野だから超法規的と言うかもしれないけれども、議会で大方、例えば、納得みたいなことがあったのか、嫌でもしようがないなと、緊急避難的に受け入れざるを得ないかなというような実態があったのか、そういうことですよ。だから、瑕疵の治癒とさっき言いましたけれどもね、そういうことがあったのかどうか。それは議会を一回開いているわけですから、そこで自律的に皆さん方が判定を下して、そこで解決をされておくべき課題だったと思いますね。
(問)公文書が有効かどうかというのは。
(答)それはだから、住民の皆さんの代表である議会が、職務執行者、職務代理者として、一応ポジションを認めたということであれば有効になるでしょうし、そうでなければ、一連の、引き続いての無効ということになるでしょうね。だけど、こういう緊急事態になったのだから、どういうふうに判断されるかは、よく地元で考えられたらいいと思いますね。最後は、それが、効力がどうだというのは、それは総務省が決めることではなくて、司法が決めることですから。
(問)中国新聞の荒木と申します。先ほどの議会の話なのですけれども、大臣の話を聞いていて、一定程度は分かるのですけれども、住民の側からすると、やはり今の議会の皆さんを見ていると、何か非常に、選ぶに選べないというか、非常に固定した層のですね、支持基盤を持っていて、それはもう固定票になるわけですね。そういう議員は通っていくし、かたや一般的な方々はですね、なかなか仕事があったりして出られないというようにですね、選択の幅が無いような選挙になっているような感じがするのですけれども、地方行財政検討会議の議論にも関連しますけれども、その辺りのですね、議会の選挙制度、これをどういうふうに考えておられるか。また、法改正、どういうスケジュールで考えておられるのか、お願いします。
(答)これはさっき言った当面の課題と、それから、少し時間のかかる課題と、二つ踏まえていると思うのですね。当面の課題は、そうは言ってもやはり選択の機会があるわけですから、自分で一番いいと思う人を選んでいくという賢明な姿勢が必要ですね。いや、そんなベストはいないとよく言われるのですけれども、ベストがいなければベターだし。政治学では、これレッサー・イーブルと言うのですよ。あえて翻訳しませんけれども、政治の選択というのはレッサー・イーブルの選択なんて言うのですよね。有り体に言うと、最悪の人を落としていくということ。そうすると、自ずから平均点は何回かで上がりますからね。こういう考え方ですけれども、やはりそれなりに選択の機会があるわけですから、それをきちっと賢明に行使するということが必要だと思います。声を掛けられたからとか、何かつながりが、引っかかりがあるからとか、よくそういうことを言われますけれども、そうでなくて、本当に何をしたいのか、どういう考えでいるのかということを見極めて、その中で、自分が一番、選択肢の中で一番いい人を選んでいくということが必要だと思いますね。いなければ、最後はしようがないから自分で出るという態度もあっていいと思いますよ。自分がやってやるという。そうは言っても、みんながみんな出られるわけではないから、どうしますかという議論になるとね、例えば、北欧なんかでいくと、基礎的自治体は、日本なんかと違って、兼職の禁止というのがそんなに厳格ではないのですよね。だから、民間の企業のサラリーマンの皆さんは、ちゃんと居住地で議員になれるし、それから、小学校の教員なんかでも、居住地で議員になっているというケースは多いのですよね。フィンランドなんかはそうなのですけれども。だから、そういうことも一つの、日本のこれからの基礎的自治体の議会の在り方としては、一つの選択肢としてはあるのではないか。ただ、これ一朝一夕にはできませんから、社会の実態と関連することですからね。社会がそれを受け入れるかどうかという問題もありますから。例えば、皆さん方の企業でそれを受け入れますかということもありますからね。一朝一夕には解決できないので、これについて少し議論を深めていただいたらなと思っています。
(問)京都新聞の小川と申しますけれども、昨日の民主党の税制関係の提言でですね、環境税について提言があったのですが、地方の六団体の方も、地方の方も要望している、地方と国との配分割合について、何も記述が無かったのですが、その辺について大臣お考えをお願いします。
(答)これは、これから税制調査会で議論していくことです。私の考えを申し上げますとね、環境対策という仕事というのは、国もやっているし、自治体もやっているわけです。もっと自治体もこれから地域レベルでこの問題に力を入れていかなければいけないことだと思います。よく言われますけれども、シンク・グローバリー、アクト・ローカリーというのがこの問題の一つの主要なポイントだと思うのですね。そういう意味から言いますと、環境目的税の税収というのは何らかの形で自治体に所属すると。そういうことはあってしかるべきだと思います。例えば私の経験で言いますと、私も大いに力を尽くしたのですけれども、例えば、森林の育成、整備だとかですね、これは二酸化炭素を吸収するという意味で、非常に重要ですよね。ただ、これは、今、経済的になかなか成り立ちません。ちゃんと消費の方に回らなければいけない、木材というのが。そうすると、単に山の整備、植林整備だけでは駄目なので、これがちゃんと使われるように循環しなければいけないので、そうすると、木材をどうやって使いますかということになって、例えば、私なんかがやりましたのは、木質バイオマスの促進ということで、木質バイオマス、ペレットストーブですね。木をペレットにして、間伐材をペレットにして、それを燃料にするストーブなんかの普及をやったのですよ。鳥取県の知事室には、そのストーブで暖をとったり、住民の皆さんがそれを導入するときには、幾ばくかの補助金を出したりしたのですよね。そんなこともやりました。もっと大々的にやりたいなと思いましたけれども、お金も、手元がそんなに裕福ではなかったので、ある程度のことしかできませんでしたけれども、私は、もっと、そういう環境目的税なんかが何らかの収入として自治体に入れば、もっと大胆にやれると思うのですよね。あとは、例えば、木でガードレールを作るとかですね。メタルのガードレールではなくて、木でガードレールを作るなんてこともやったのです。そうなりますとね、従来のメタルで作るということは、それを設置すると、細かい話ですけれども、ゆくゆくは、最終的には、ブラジルとかオーストラリアの鉱山労働者のところに所得が帰属するわけですよね、最終的には。ところが、木でやると、それが県内の中山間地の林業労働者の皆さんの所得、こういうことになるのですね。わずかなものですけれどもね。そういうことをもっと社会的に広めていったらいいと思いますけれども、そういうのをやれるのは自治体ですから、そういう自治体の積極的な寄与、貢献というものに着目すれば、当然、環境目的税の配分、税収の配分があってしかるべきだと思っていますから、そういう主張をしていきたいと思っています。
(問)最低でも5対5ぐらいから議論はスタートと、そういうのはあるのでしょうか。
(答)それは、どうするかは議論の行方です。まだ大臣同士で、会長代行は四人いますけれども、大臣同士でそういう議論をしていませんので、これから詰めていきたいと思っています。
(問)朝日新聞の大蔦と言います。まず、統一地方選を前に投票所が減っているという取材をしていまして、過疎地を中心に、やはり自治体の財政難とかで、四年前の統一地方選に比べて大体1,800箇所ぐらいが減りそうだという取材をしていまして、そうすると、高齢者の過疎地にいる方の一票が遠くなってしまうという問題が起きてきているのですが、それに関して、どのようにお考えになるのかということと、今後、何か総務省として、そういう過疎地域の高齢者の一票に対する何か支援というか、検討会議みたいなものとかを、今、考えておられるのかどうかということをお伺いしたいと思います。
(答)これは、自治体の、と言いますか、自治体の選挙管理委員会が説明責任をそれぞれ果たされるべき問題だと思いますね。基本は有権者の投票の権利というものが確実に確保されるということ。これは重要ですよね。では、これを地域的にどういうふうに投票所を設置して、満足させるかという問題。これのバランスだと思うのですね。それを判断されるのは自治体だし、最終的には自治体の議会ですから、そこで本当によく慎重に検討されるべきことだと思います。これが原理原則ですよね。私の印象は、ちょっと、やはり市町村合併以後、人口の希薄な地域、被合併町村と言ったらいいのでしょうか、吸収されたようなところについて、投票所が少なくなっている傾向がある。だから、これを一方では、合併による効率化効果だと言う人もいますけれどもね。合併による行政水準が希薄になっている危惧がありはしないか、懸念がありはしないかという問題意識を持っていますが、いずれにしても、そういう問題を自治体がちゃんと慎重に検討して決めるべきだと思います。特に高齢者の皆さんが多くなっていますから、過疎地では。そういう方々の投票の権利というものを、事実上奪うことが決して無いようにしていただきたいと、こう思います。
(問)ほか、よろしいですか。
(答)よろしいですか。
(問)どうもありがとうございました。

(以上)