岡崎内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年9月21日

(平成22年9月21日(火) 9:56~10:21  於:警察庁16階第1会議室)

1.発言要旨

 皆さん、こんにちは。お待たせいたしました。
 菅直人内閣総理大臣から指示書をいただきまして、私が担当いたします国家公安委員会委員長、内閣府担当特命大臣、消費者及び食品安全、そして少子化対策、男女共同参画、こちらの仕事を担当するようにということでございますが、その指示の内容が、国民の安全を確保するために、治安の確保に全力で取り組む、また、事業者中心の行政を転換し、消費者や地域の現場の視点を大胆に取り込んだ、新たな消費者行政を強力に推進する、消費者委員会の独立的地位と監視機能の十分な発揮に留意しつつ、消費者庁における消費者行政の一元的の推進に努める、国民の健康を守るため、関係閣僚と密接に連携し、生産から消費まで食の安全・安心を総合的に確保する、子ども手当と整合性のある「子ども・子育て新システム」の構築を主導し、子どもを安心して生み育てられる社会をつくる、男女共同参画社会やワークライフバランスを実現する、近年高い水準で推移している自殺者数を抑制するべく、自殺対策の総合的な推進に関する事務を担当させる、共生社会政策の見直しに関する事務を担当させる、こういう内容の御指示をいただきました。
 また、昨日の閣僚の勉強会におきまして、最後のところで、総理からまたさらに指示がございまして、関係閣僚はそれぞれのところで政務三役と相談をした上で、主要な政策については、短期は年内に、そして中期は1年間に、長期は3年間に政策実現スケジュール案を作成して、この臨時国会開会までに官邸に提出するということを言われまして、次回は各大臣がスケジュール案を参考にして、こうした集中討議を行っていくというようなことが昨日指示を受けたところでございました。
 私は、このたび警察、国家公安委員会、どんな役割があるのかということで、私自身は国家公安委員会の役割は、個人の権利ですとか自由を保護する、そして公共の安全、そして秩序というものをしっかり維持していく、これが基本的な仕事だと考えております。
 大臣のほうから示されました国民の安全安心のために治安をしっかりと確立していくということに全力を挙げてまいりたいと思っているところでございます。
 本日の閣議において私から発言をいたしましたので、そのことについても触れたいと思います。
 平成22年秋の全国交通安全運動の実施について、本日の閣議で私から発言いたしました。今回の運動では高齢者の交通事故を防止すること、このことを基本にして、夕暮れ時と夜間の歩行中、あるいは自転車に乗っているときの交通事故を防止すること、すべての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用を徹底すること、飲酒運転の根絶、この3点を重点に挙げております。国としては、自治体や関係機関、団体と連携をしながら、国民の意識啓発を初めとした交通安全対策を一層推進していくことについて、発言をいたしました。
 もう一つ、APECの女性リーダーズネットワーク会合が19日から行われておりまして、本日まで京王プラザホテルで行われておりますが、この会合には経済界、そして学会、行政、民間団体、さまざまな場面で活躍をしております国内外の女性リーダー、国内では350人、国外から250人、合わせて600人の皆さんが、女性による新たな経済活動の創造をテーマに議論をいたしまして、APECへの政策提言をまとめます。
 私も19日の開会式に出席をいたしましたし、総理も開会のごあいさつにいらしてくださいまして、女性の方はこれからの社会を活性化していくために必要な人材であるというようなことをごあいさつされまして、しっかりと女性の就業率を上げていく問題、M字カーブの詳しい説明などをされまして、女性たちが活躍できるようにするために、しっかりと自分自身も力を入れていくというお約束をされて、大きな拍手をいただきました。
 女性の活躍が経済や社会の活性化に重要であることは、改めて私自身も会合で申し上げましたけれども、日本国内、そしてAPECに広がる女性リーダーに、それぞれが大きなネットワークを構築してくださいますようにと、私のほうからも申し上げました。また、詳細は、男女共同参画局の方にお問い合せいただきたいというふうに思っております。
 以上が大体今日の中身でございます。
 皆さんから御質問を受けたいと思います。

2.質疑応答

(問) 取り調べ可視化というのは警察庁の中で大きな検討課題だと思うんですが、それに対するお考えをお願いします。
(答)この問題、大変に国民の皆さんも関心がございます。被疑者の取り調べを録音等の方法によって可視化するということにつきましては、その実現に向けて既に国家公安委員会委員長主催の研究会を設けるなどして、幅広い視点から多角的な検討がなされていると承知をいたしております。
 この研究会につきましては、治安水準を落とすことなく可視化を実現するためには、既に可視化を実現している諸外国が持つような新たな捜査手法、これを導入することによっていくというのも必要だという判断で前大臣の発案によって設置されて、これを検討していると伺っております。引き続きこの研究会について十分に議論、検討をしてもらいたいと、私もこの研究会の継続について、引き継いでいきたいと思っております。
(問)大臣御自身のお考えは、取り調べ可視化はしたほうがいいのか、しないほうがいいのか、研究会に任せるのか。
(答)可視化の実現に向けてというのは党の方針であり、一体化でいろいろやっていかなければなりませんけれども、法務省が所管でございますので、大臣とも相談をいたしまして、どういう方向がいいのかということで、可視化実現に向けての研究会ということでございますので、どういう方向性が出るのか、側面からきちんと連携をしていきたいと法務大臣にも申し上げてあります。
(問)まず一点、副大臣や政務官が徐々に内定されていると思いますが、岡崎大臣に絡む副大臣と政務官の仕分けというのはどういう形になっているのか、お教え願えないでしょうか。
(答)私もそのことが心配で、何しろ副大臣、政務官の数が少ないですから、大変多岐にわたっている私の仕事をどのように一緒に政治家とともに政治主導をやっていくのかということが大切なところだと思っています。
(問)政治主導に関連してもう一つなんですが、消費者庁の場合、8月に福嶋浩彦長官が就任されまして、福嶋長官は御存じのように市議や市長も経た、選挙も何度も経験された、ある意味政治家でもあります。従来の霞ヶ関でいう大臣と事務次官の関係とは幾分違うのかなと受け止めていますが、福嶋長官との役割分担というのは、基本的にどのようにしていこうとお考えですか。
(答)福嶋長官にはお目にかかりまして、長官が、この消費者庁発足1年の間に、小さく産んで大きく育てようということで、国民の大きな期待がありました。しかし、なかなかその期待に十分こたえることができないという状況があります。それは何と言っても大体200人ぐらいの規模で仕事をしていて、ほかの省庁で言えば1つの局ぐらいの人数になるわけなのですけれども、これでは十分な体制ができていないということでございました。定員を増員しながら体制を強化していただいて、そしてきちんとした、何か事故が起きた場合には、そういうものが現場からしっかり上がってくる、ということをしっかりととらえ、長官が私との連携を密にしまして、そして各省庁とも連携をしながら、しっかりと消費者の皆さんたちが被害者のままで放置されることがないように迅速に対応していくと、的確に対応していくということでこれからも連携し合う、そういうことを決めていきたいと思っております。
(問)官僚出身の長官、あるいは福嶋さんの場合は政治家出身の長官ですけれども、その役割分担はそう特に意識せず、変わらずやっていこうというお考えですか。
(答)私は福嶋長官とあまり詳しくお話をすることはできておりませんので、これからのことになってまいりますが、とにかく風通しのよい、しかも情報公開を国民に向けてしっかりできるような、そういう情報伝達が長官にもあり、そして私のところにもすぐあり、問題の所在のところにもすぐ連絡をし合ってできるという、そういう体制づくりは、私は福嶋長官は大変優秀な方だと思っておりますので、そこの連携をとにかく密にしてやっていきたい、報告をすぐに上げていただくような関係を、風通しのいい関係をつくっていきたいと思っております。
(問)先ほど大臣がおっしゃった自殺者の抑制についてでございますけれども、ここずっと3万人を超える状態であると聞いております。なかなか自殺数を抑制するのは難しい問題だなと思いますが、大臣は現状と今後の課題についてどういうふうに見ておられるのか、お願いします。
(答)鳩山内閣で新しく政権交代をいたしましてから、少しずつ人数が減ったとはいえ、3万人という大変な数ですから、私の行政はまず一人一人の命を基本にして取り組んでいく、そういう仕事だと考えております。3万人もの自殺者を10年以上にわたって出しているということについては、多くの皆さんが憂いている日本の現状だと思っております。
 私は、今の社会の中において、菅総理が所信表明演説のときに言った、支え合いのネットワークから誰一人排除されない、除外されない、そういう社会をつくっていきたいと思っています。一人一人を包摂する社会ということは、一人一人本当に大切に抱え込んでいく社会いうことで、地域の中で本当に孤立化しない、そういう体制をきちんとつくっていきたいと思っています。
 私は、2年続けて、派遣村ができたあの年から、宮城県でもホームレスの皆さんたちの少しお手伝いというようなことで、年末年始、少しお餅を皆さんに食べていただいたり、年末にはおそばを食べていただいたりというようなことで、いろいろとお話を伺いましたけれども、やっぱり仕事が重要なんですね。仕事の現場から本当にリストラされてしまった人の生きていく希望がなくなってしまっているという現状から、私は、仕事をするということがきちんと一人一人の人たちの希望どおりとなることが可能になるような社会をつくっていかなければいけないなと思っております。
 それから、相談ということが、ワンストップでなされましたけれども、一時的なことだったと思っておりますが、それがもう少し体制をつくることができたらいいのかなと思っています。相談に行ったら、きちんといろいろな面で、精神的な面のケアも含めて相談できるような、そういう体制もつくっていかなければいけなと思っております。
(問) 今の件に関しまして、警察行政は自殺抑制の第一義的な責任のある部署とは言えないかもしれませんけれども、何よりも自殺者の発見とか処理、動機の一次的な解明では第一線にある部署で、今年の春から統計を非常に細かく出すことで対策に寄与するというので関与を深めていますけれども、警察の持っている機能を使っての自殺対策で、今後何らかのさらに関与を深めていきたいといったようなお考えはありますか。
(答)今、現場で御苦労されてきた皆さんたちと連携をしながら、その問題点と、もしこういうことが足りないというようなことがあれば、そういうことをお聞きして、まずは現場の声をしっかり聞いて、そして対処してまいりたいと思っております。
(問)大臣の日本警察に対する御印象と評価をお聞かせください。
(答)本当に日本の場合には治安が安定しているということが日本人の誇りであった。もちろん、現場で働いておられる警察の皆さんたち、全国の警察の職員の皆さんたちはそのことを誇りにして、安全で安心な国民の生活を守っていくということを第一に考えて仕事をされているというふうに思っております。そのことはしっかりとなされておりますけれども、いかんせん新しい犯罪が起きている、新しい犯罪グループもできている、そしてそれは全部緊急に対処していかなければならない問題ばかりであるということですので、その緊急に着手しなければならない問題を持っているので、さらにこれまで以上に連携を密にして、現場の声をしっかり吸い上げて、活躍できるような、そういうことを私としてはやっていかなければいけないんだなと思っております。
(問)子ども手当の見通しなど、大臣のお考えをお願いします。
(答)子ども手当の問題に関しましては、私どものほうで子ども・子育て新システムの中で取り組んでいますが、この子ども手当そのものについては現金給付という形でありますけれども、今1万3、000円まで支給されて、その後の2万6,000円というマニフェストでお約束したところまできちんと守れるのかどうなのかということを、国民の皆さんもいろいろな御意見がございました。特に子育て真っ最中の人たちからは、現物給付も大切だということについて言われておりまして、保育サービスの問題では私たちは待機児童の問題の解消のために、あるいは学童保育の指導員というものも充実をさせて、そうした意味での保育サービス、教育上のサービスということの充実も求められておりますので、現金給付と現物給付のバランスのとれた形で、お母さんたち、あるいはお父さんも含めて、子どもを産み育てやすい、そういう社会をつくっていかなければいけないと思っております。
 まだまだ調整が必要ですけれども、この問題については国家戦略室とも、厚生労働省とも連携をして、子ども手当の問題について、きちんと前向きの方向で取り組んでいきたいと思っております。
(問)今の子ども手当の関係なんですが、今2つのお考え、現金給付を2万6,000円、あるいは現物給付、両方述べられましたが、大臣としてはどちらが望ましいとお考えですか。
(答)基本的に、私も4年間のマニフェストのお約束期間に、最善の努力をしていくべきだという考えはございますけれども、やはり政権を担当してみて、大変に厳しい財政であるということを踏まえて、しかもまず現場のお母さんたちから、保育所をきちんと整備してもらいたいという声もあります。もし自分が就業ということで、これはお子様を持つかどうかわかりませんけれども、希望している人たちの数が345万人と言われています。そのうち、もし子どもを産み育てたい、もし保育所があれば自分はきちんと仕事を持ちたいという人たちの数も、およそ潜在的なところで100万人とも言われておりますので、そうした意味では現物給付、保育サービス、その充実は、これも大変急務です。待機児童の問題も含めて急務だと思っておりますので、両方バランスのとれた形でやっていかなければいけないと私自身は思っております。
(問)消費者行政についてもう少しお伺いしたいんですが、消費者庁発足1年を迎えましたが、この1年間の仕事ぶりについて、大臣はどのように見てこられたのかというのが1点と、あと大臣御自身の認識で、今取り組むべき消費者問題というのはどのような問題があると分析されていますでしょうか。
(答)私はこの1年という中で、もう1年なのか、まだ1年なのかという、いろいろな人たちの思いなどもお聞きしまして、生活者あるいは消費者が主役の社会づくりのためには、全く新しい省庁ができたと思っております。その点、国民の皆さんたちの期待が大変大きい消費者庁だなと思っております。
 それで何かが起きた場合に、きっちりと対処していける体制というのは、主に地方の中に、地方の消費者センター、そういうところにもあるのではないかと思っておりまして、これはまた財政の問題も含めまして厳しい状況にあります。けれども、この問題については、新しくスタートした消費者庁の願いといたしましては、地方の首長ともきちんと連携をしながら、何とかして地方の消費生活センターの充実を図っていってほしいなと思っております。そして、そのための司令塔、エンジン役としてこの消費者庁はあるべきだと考えておりますが、十分ではないのではないかというその声は、そのことに応え切れていないんだなと思っておりますので、私は先ほど申し上げましたけれども、まず長官のところにきっちりとした情報が上がっていく、それが即私のところにも来て、問題がある省庁があれば、そことの連携を、信頼関係のもとできちんとできていく、迅速に対処できるようにしていきたいと思っております。先ほど申し上げましたが、200人ぐらいの体制で行っているということですから、今回は年末に81人の定員増を要求しております。まず、そこにしっかり力を入れて、人数を増やしていきたいと思っております。
(問)消費者庁では先月から新しい事故調査機関のあり方について検討が始まっているんですけれども、大臣御自身の考え、どういう形の事故調査をすべきだというお考えがあればお願いします。
(答)それについて、それぞれのところでやっていらっしゃる皆さんの現場の声というのを直接、積極的に聞いていきたいと思っております。きちんと収集されて、そして公表されて、そして分析されて、解決をしていくという筋道をしっかりしませんといけません。原因究明ということはすごく大事なことだと思っておりますので、今後、また現場の声をしっかり聞いていきたいと思っております。
(問)原因究明の組織としては、どのような組織がよろしいでしょうか。
(答)原因究明の組織は、またどのようなことになっているのかについて、これから検討してまいりたいと思います。
 またよろしくお願いいたします。マスコミの皆さんたちの声は、私たちが不十分であるとかという消費者の皆さんの声ですとか、生活者の声ですとか、そういうことが反映されていると思います。そしてよりいい私たちの行政になっていくためには、また皆さんのお力もいただきたいと思っております。いつも厳しいのかもしれませんけれども、そういう点についてしっかり受け止めて頑張っていきたいと思っておりますので、またよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

(以上)