馬淵内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年12月10日

(平成22年12月10日(金) 11:13~11:39  於:国土交通省会見室)

1.発言要旨

 私の方から特に報告事項はございません。

2.質疑応答

(問)昨日、国土交通省側が民主党に示した高速料金の料金案ですが、民主党の部門会議では幹部に一任という形になったものの反対の意見も多く出ていたと思うのですが、例えば今後、党の提言を受けてから国土交通省がまたその料金案を見直すなど、今後どのような手順で料金を決定したいとお考えですか。
(答)プロセスについてということですけれども、私も昨日の部門会議での様々な御意見を一覧にしたものを見ました。今既に割引の恩恵を受けている方々、こうした方々の受けておられるサービスについては変更すべきではない、あるいはサービス低下につながるようなことはすべきではないといった御意見、多々あったと承知をしております。もちろん、全ての御要望を満足できるだけの財源があればいいのですが、なかなかそうはいかない中で、いかに御理解いただけるかということで、一旦は座長一任という形になったと聞いておりますので、今後政調の部門の担当の方々と我々が提示をしていった内容について詰めていくということですから、これも前から申し上げているように年内にはしっかりと固めてまいりたいと思っております。我々は来年3月末に切れるということをずっと申し上げてきたので、できる限り早くということを言ってきましたが、ここまでも一定程度詰めていく作業に時間が掛かりましたので、とにかくスピードを速めていくことが必要です。ですから、そこは密度を高めて議論をしていただくようにお願いをしているところです。
(問)関連で、昨日の池口副大臣のブリーフの中で、国土交通省の案では毎年7,000億程度を財源として使うと。自民党政権が景気対策で始めたときも、休日1,000円含んで5,000億円だったと思うのですが、元々10年分の財源を前倒しで使って、5,000億円を上回る財源をつぎ込むということにバラマキではないかとの見方もあると思うのですが、その点どういう判断で設計を考えられ決めたのかというのを教えてください。
(答)これもまだ正式に決定したわけではありませんから、党の御意見を踏まえて詳細な制度のところについてはいろいろな考え方、柔軟なところがあると思いますので、私はこれで全て財源の使い方が固定しているという発想ではないと思っていますので、ここは今後議論の中でと思います。ただ申し上げていたのは、すでに定着した現行のサービスについては、変更に対して国民の皆様方が負担感を感じることのないようにとの意見が多数を占めるようであれば、財源の限りがありますから、そうなれば期限のことも当然出てくるということについてよく議論しなければならないと思います。何かの新しい財源を引っ張ってくるということはそう簡単にはできませんから、いずれにせよ期間の問題なのか、あるいはサービスの程度の問題なのかということについては、いずれかの選択ということを国民の皆様方にも御理解いただくような形で判断していかなければならないということだと思います。
(問)八ッ場ダムの件で2つあるのですが、地元の住民の方が基本的に大臣と会うつもりはないと。状況が全く変わっていない中会ってもしょうがないということのようなのですが、その点について大臣はどうお考えでしょうか。それと来年度の予算に向けて、生活関連事業についてはどのように取り扱うおつもりでしょうか。
(答)住民の皆さんとの意見交換に関しては、是非直接お伺いしたいということでお願いをしてきたところですが、皆様方の御意向を尊重すべきだと私はそう思っておりますので、お会いできないというのは大変残念ですけれども、これは仕方がないなと。今後も適切な機会をまた求めてまいりたいと思います。その上で来年度予算ですけれども、生活再建支援も含めて今正に編成過程の中です。しっかりと住民の皆様方が要望されるものを踏まえながら決めてまいりたいと思っております。
(問)関連してですが、昨日の会見で津川政務官は面会がかなわない理由について、国との信頼関係がまだ醸成されていないのではないかという説明をされたのですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)もう十分に伝えたんだとお感じの方もいらっしゃるかもしれません。新たに伝えるべき事柄は今の段階ではないんだと、国が早く再検証というプロセスを提示してますけれども、そこで結論を出してほしいと、正にそういうことだと思いますので、私はそれでも重ねての御要望なり御意見を伺いたいということでお願いをしてきましたが、住民の皆様方が改めてお伝えするということの思いを持っていただけないということであるならば、私たちは引き続きお願いをしてまいりますけれども、1都5県の皆様方からも言われましたが、再検証のプロセスをできる限り早めることが大事だと思っておりますので、そこは再度、河川局にも、あるいは地方整備局にも同様の指示を出して、できる限り短期間にできるようにということを改めて伝えたいと思います。
(問)八ッ場ダムの関係で、地元の町長などの説明ですと、岡田幹事長などの「方針の大転換ではない」という発言なども不信感につながっているという話があったのですが、この発言についてはどうお考えでしょうか。
(答)1都5県の皆様方にも、さらには先般私が訪ねたときにもお伝えをしたのですが、国土交通大臣である私がお伝えをしたことが政府の方針です。したがって、一切の予断なく再検証を行うということが政府方針として住民の皆様方へのお伝えでありお約束であると、このように思っております。
(問)2点あります。今日パッケージインフラの閣僚会議があったかと思うのですが、そこでの議論の中身についてと決まったことに対する評価を1点、それからもう1点が昨日羽田にLCCのエアアジアが初めて就航しまして、全日空のLCC設立も来月ということで、LCCをめぐる状況がいよいよ本格化してきているのですが、これに対する所見、感想があればお願いします。
(答)パッケージインフラ会合の中身についてですが、仙谷官房長官から一元的に発表ということで、もう既に会見で発言されていると思います。私の方で改めてお伝えしますと、一番大きなところは民間資金の補完機能としての政府関係機関、これのリスクテイク機能を拡大するということで、JBICについての機能強化、またそれとともに機動性、専門性、対外交渉力強化の視点を踏まえて、日本政策金融公庫からJBICを分離すると、こうした中で次期通常国会の提出を目指した法案の作成準備ということ、当大臣会合で決める基本方針を踏まえた積極的取組が必要であるということの確認を行ったということでありました。また、JICAの海外投融資については、具体的案件の実施を通じて、新実施体制の検証・改善、案件選択ルールの詰めを行うパイロットアプローチを年内に開始し、年度内に再開、実現する。NEXIによる貿易保険の強化、現地通貨為替リスク対応強化、付保率の引上げなどを年度内をめどに行うということが、中身としては今日、担当大臣会合で確認、決定されました。これにつきましては、我々も政府機関の対応としては、取り分け金融に対して最も期待が大きいということを再三申し上げてきました。特に、制度面だけではなく運用の問題もあるということを申し上げてまいりましたので、今回の判断というものは、パッケージ型インフラ促進の中で、我々国土交通省は既に様々な形で、水関係、あるいは高速鉄道の推進をしてまいりましたが、大きな後押しになると、このように思っておりますので、有り難い決定であり、今後、政府の新成長戦略が更に促進されると期待をしております。それから、LCCの本格化に関してのお尋ねですけれども、これも従前からお話ししてましたように、このLCCはあらゆる意味で顧客のニーズに応える形での選択肢が広がるということですから、大変歓迎をしておりますし、我々としてもそれに則した規制緩和や規制改革、あるいはインフラ整備といったものも併せてしっかりと検討していかなければならないと思っています。ただ重ねて申し上げれば、LCCというのはローコストを実現するためのものですから、新たな過大な投資を行ってしまうと、逆にLCCというものが成立しなくなるわけですから、できる限りお金を掛けずにLCCを態勢強化していくということも官民挙げて取り組まねばならないというふうに思っております。
(問)沖縄訪問について伺いたいのですが、昨日総理が改めて月内に行きたいということを発言されて、官房副長官が来週にも行かれるようなのですが、大臣としては引き続き沖縄訪問を検討されているのか、それとも総理がもし行かれる場合は、大臣の訪問というのは無くなるのか、それとも別途大臣も行かれるのか。
(答)まず、訪問に関しては、私は必ず参りたいと思っております。時期に関しては、これは政府全体の中で判断をしていかなければならないと思いますので、官房副長官が訪問されると、また総理も訪問されるということであれば、日程に関しては調整をしながら決めていきたいというふうに思います。私としては、仲井眞知事にも御約束をしてきたとおり、私は振興という部分がメインの担務ですから、一度は必ず訪問したいというふうには思っています。
(問)航空機燃料税の関係でお尋ねしたいのですが、本日、政府税調全体会合で主要事項の取りまとめ案、あるいは要望関係の最終整理案というのが出るというふうに承知をしておりますが、現時点で、航空機燃料税の関係はある程度決着が図られる方向であるという理解でよろしいのでしょうか。
(答)現時点で決着の方向があるかということですね。方向をしっかりと持って、決着を図っていかなればならないと思っています。航空機燃料税の問題は新成長戦略にも掲げておりますし、国土交通省としての税制改正要望の中では極めて優先度の高いものだとの位置付けで、これは与党の皆さんともお話をしてきました。さらには改革集中期間3年間、これを実施するためには必須の制度でありますから、これはしっかりと要望していくという姿勢を私はずっと貫いてきましたので、現時点でと問われれば、決着の方向に向けて取り組まねばならない課題であるという認識は変わりません。ただ今のこの時点において、決着かどうかということについてはまだ申し上げられません。正に今も含めて、当局としっかりと交渉をしながらということですから、私自身は変わらずしっかりと要望していくという姿勢を堅持しておりますので、それにどのようにお応えいただけるかということだと思います。
(問)国土交通省の政策と離れて恐縮ですが、今日、清水寺で漢字1文字というのが発表されます。ちょっと気が早いのですが、大臣は今年1年を振り返って、漢字1字で表すと何かありますか。
(答)1年間振り返ってですと、私は「慈しむ」、慈悲の「慈」という字が1文字として浮かびます。慈しむ、慈愛、慈悲の慈ですけれども、本当に国民の皆様方が将来に対しての不安をお持ちになられたり、あるいは政権交代2年目によって、今後の政治の動向というものに対して様々な御意見をいただく中で、私は今、こういうときこそ全ての人々がお互いを尊重し合い、慈しみ合う心というものが求められるのではないかというふうに思います。実は、そういったところからしっかりと議論をして重ねていくことによって理解し合える道筋が見えてくるのではないかと思います。十分ではなかったという御指摘もありますが、総理を筆頭に熟議の民主主義ということで、私も閣僚としても取り組んでまいりましたが、常に人に対する慈しみの心、あるいは外交問題を始め様々な課題について、こういった尊厳を決して忘れ去らない思いで取り組むことによって解決への道筋が生まれるのではないかというふうに思います。批判することは簡単ですし、あるいは切って捨てるような、コミュニケ-ションを断ち切るようなことも、ある局面では生まれてしまうかもしれませんが、我々政治家が本当に国民のことを考えて行動するためには慈しみという心を失ってはならないと。この1年間、様々な場面でそういったものを失いかけていたということを私自身が感じていますので、1年間振り返れば必要な言葉であると思います。
(問)民主党の岡田幹事長が小沢元代表の国会招致に向けて動き出しているようですが、大臣の国会招致に対するお考えと、民主党の動きについてお願いします。
(答)正にそれぞれお互いにしっかりと理解し合うということが必要だという思いの中で、党内の関係者から様々な発言が出ているということも報道で承知しています。ある意味、党内ががたついているとか、あるいはごたごただと称されるようなことが望まれているのではないと私自身は思っていまして、国民の多くの皆様方が政権、あるいは与党に期待しておられるのは、改革の推進であり、最も課題である経済の立て直しだと思いますので、私自身は、それぞれが立場、立場で、司、司で自らの職責を全うしていくことが大事だと思います。今の私の立場で言えば、予算編成と先ほど御指摘があった税制改正要望といったものを国土交通省の先頭に立ってしっかりと取り組んでいくということが私自身の取り組むべき姿勢、課題だと思いますので、全力で応えたいと思います。国民の皆様方には、とにかく今申し上げたような姿勢を示すことが最も重要ではないかと思います。
(問)新幹線の件ですが、剰余金の話が財務省と交渉中だと思いますが、現段階でどういう御認識かということと、これまで新幹線の新規着工ということも焦点なのですが、議論の過程があまり見えていないようなのですけれども、これから年末にかけて、例えば前の大臣が言っていたような検討会議のようなものを設けて決められるようなお考えなのか、その辺りをお願いします。
(答)剰余金の今の検討状況いかんということですが、今正に財政当局と議論をさせていただいている交渉の最中です。これに関しましては、担務の副大臣並びに大臣政務官に交渉に当たっていただいておりまして、なかなか国庫納付ということでは財務省の御要望と我々が伝えている意向とは乖離がある中で、今後も粘り強く国土交通省としては交渉を進めたいと思います。そして、過程があまり見えにくいという御指摘でありますが、夏の段階で新たな5条件によって未着工区間に関しての議論を、ということであります。整備新幹線についての検討会というものを立ち上げておりましたが、より具体的な議論の方向性というものを作っていかなければならないと思っておりますので、また皆様方に改めてお話をさせていただきたいと思います。
(問)前原前大臣のときから形が変わるということですか。
(答)形うんぬんというよりも、具体的な議論というものをきちんと進めていくということで、見えにくいという御指摘もいただきますし、あるいは先般も御要望の方々からは議論が進んでいるということの具体性を示してほしいということでありましたから、我々は検討しながら、関係の皆様方の御要望を一つ一つ伺い、どのように詰めていくかということをやっていますが、それを再度御提示していくということを行っていきたいということです。
(問)小沢さんの政治倫理審査会への出席の件で、執行部は出席を求めることが来年の通常国会の正常化に大きく1歩踏み出す、それを解決するための良いツールだと考えてその方向で進めているのですが、正常化のために必要だという考え方について、大臣はどのようにお考えになるのでしょうか。
(答)一つ一つの事象について、私が執行部に対して何か物を言うというのではなくて、あくまで閣僚として申し上げれば、先ほど申し上げたように、まさに党内のごたごたよりも国民の皆様方が望んでおられるのは改革の推進です。あるいは、この民主党政権が掲げた課題の一つ一つの解決であると、そして喫緊の課題は経済の立て直しであると。そこに邁進していく姿を我々閣僚一人一人が示していくことだと思います。国会運営に関してはいろいろな考え方があると思いますが、それぞれの持ち場持ち場で、司、司で判断をし行動をしていくことが重要であると。もちろん御意見を持って言われる方もおられますし、あるいは口に出さないで思っておられる方もいるかもしれません。それは個々の政治家の方の判断だと思います。私は国土交通大臣という職責の中で、今申し上げたことを全うし、そして国民の皆様に発信していくことが最大の使命だと思っています。
(問)関連ですが、単純な話ですが、小沢さんが政倫審に出る、出ないという判断が出せないようですが、大臣は閣僚として、民主党国会議員として、この問題について、小沢さんが一度国会の場に出て説明すべきだと思うのか、それとも必要ないと思うのかどちらなのでしょうか。
(答)これも先ほど申し上げたとおりです。私が閣僚としての立場で申し上げれば、それぞれ御意見のある方、発言をされている方がいらっしゃるのも承知してますけれども、今求められているのは改革の推進であると、私たちが経済の立て直しに全力で取り組むという姿だと思っておりますので、私はそのことをしっかりと発信をしていく、私はそのこと以外にないと思っております。
(問)沖縄県が要望している沖縄振興一括交付金について、菅総理が関係閣僚に対して実現できないかと検討を指示したという報道が一部にあるのですけれども、実際に関係閣僚である大臣に対して検討の指示があったかどうかということをお聞かせください。
(答)私も今朝、新聞でその報道ぶりを見ました。具体的な事実で申し上げれば、そのような指示は一切ございません。したがいまして、どういったことを意味しているかは分からないのですが、このような報道に挙がっているような事実はありませんので、引き続き、沖縄の振興に関しては所管する立場で取り組んでまいりたいと思います。
(問)振興一括交付金自体について、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。可能性についてはいかがでしょうか。
(答)要望と言いますか、知事の御意見の中に様々な沖縄に対する取組としての御要望があるやに聞いておりますが、我々としても沖縄は政府が責任を持って取り組むべき地域であり、また振興についても一貫してその姿勢は貫いてまいりましたので、それに基づく新たな提示というのは、これは予算に基づいて行っていかなくてはならないと思っています。ただ、こうした振興交付金ですか、具体の創設ということでの御指示は頂いておりませんし、今までの経緯の流れの中でできる限り御要望に応える動きで、予算編成並びに税制改正も併せて検討をしているところです。
(問)公共交通の防犯ビデオ映像の取扱いについてお尋ねします。公共交通で防犯ビデオの設置が今後広がってくると思うのですけれども、その取扱いに整理が必要ではないかと思うのですが、鉄道事業者の中に捜査関係者から返却されたビデオ映像について、事件に関係した乗客が開示を求めてもプライバシーを理由に応じてもらえないとか、消去したという回答が返ってくるようです。JR新宿駅で痴漢冤罪だと言われている乗客がそのようなことを求めてまして、今後の整理が必要であるかどうかということでお尋ねしたいのですが。
(答)公共交通ということで所管でお尋ねがあったと思うのですが、今のお話のような個人情報に関わるようなものについて、いわゆる公開の場で撮られたものであったり、あるいは様々な機関によって収録されたものについての開示の在り方については、これはむしろ公共交通機関のみならず、全体の個人情報の取扱いというものを議論すべきだと思います。私は、今政府の中でどのような議論があるかということを承知しておりませんので、そこは確認をさせていただきたいと思いますけれども、今のお話は国土交通省所管の公共交通機関について方針を示すということではなくて、国全体、政府全体として議論して判断すべきものだと思います。
(問)先ほどの沖縄訪問ですが、必ずまいりたいとおっしゃるのですが、仮に総理が来週末行かれるということになれば、大臣は再来週は予算の関係で年内は厳しいのかなと思いますが、いかがでしょうか。
(答)総理の日程がまだ正式ではないと聞いてますし、報道では17日となっておりましたが、いずれにせよ、副長官の日程が決まり、総理の日程が決まり、その上で、相手のあることですから、先方の調整と合わせてということです。私は繰り返しになりますが、できる限り早くに伺いたいと伝えていきますので、これは調整に尽きると思います。
(問)まだ年内の可能性も残っているということですか。
(答)前にも申し上げましたが、沖縄の沖縄政策協議会の開会も知事から求められておりました。これは官邸での調整になると思いますが、そうなりますと日程はかなり限られるなと思いますが、引き続き調整をしていきたいと思います。

(以上)