馬淵内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年11月5日

(平成22年11月5日(金) 10:05~10:30  於:国土交通省会見室)

1.発言要旨

 それでは閣議後の定例会見を始めます。まず、私の方から冒頭2点報告をさせていただきます。まず1点目でありますが、尖閣衝突ビデオ流出関連でございます。尖閣における中国漁船との衝突映像がインターネット上に流出したということのマスコミ報道がありましたことにつきましては、未明に、私自身、海上保安庁から報告を受けたところであります。海上保安庁に対しましては、即座に本件に係る事実関係の調査、確認を行うように指示をしたところであります。本日の閣議後の閣僚懇談会におきまして、総理から、本件を含めた情報管理の徹底及び本件の事実関係の確認をしっかり行うようにと指示を受けたところでございます。いずれにいたしましても、本件に関しましては、事実関係の調査結果を得ることが第一であると考えております。それから2点目でございます。これは先般よりお話をしておりました中で、利根川水系の基本高水の検証につきまして報告を申し上げます。10月22日の会見におきまして、昭和55年度に利根川水系工事実施基本計画を策定した際に、八斗島地点における基本高水のピーク流量毎秒22,000トンを定めるに当たって「観測史上最大流量」を計算した時の詳細な資料を徹底的に調査するよう指示したと、このように申し上げました。現時点でこの資料一括としての資料は確認できませんでした。また、11月2日の会見でお答えをしたとおり、平成17年度に現行の利根川水系河川整備基本方針を策定した際の、昭和55年度に定めた基本高水のピーク流量については、飽和雨量などの定数に関してその時点で適切なものかどうか十分な検証が行われていなかったと考えております。結果から見れば、「22,000トンありき」の検討を行ったということであります。私としては、これは大変問題であると思っておりました。過去の資料が無いということを私は問題にしているのではなく、利根川の治水計画の基本である基本高水の信頼性が揺らぎかねない問題であるということをかねがね申し上げてきたわけであります。この件につきましては、国土交通省、当時でありますが大変ずさんな報告をしたと、このように思っておりまして、率直に所管する大臣としてお詫びを申し上げます。このため、今後、過去の資料の調査というのはこれにて打ち切ります。私は改めて、従来の流出計算モデルにとらわれることなく、定数の設定、あるいはゼロベースにおけるモデルの検証を行って基本高水について検証するよう河川局に指示をいたしました。この基本高水の検証に当たりましては、「八ッ場ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場」におきまして、逐次情報公開などをするなど考えておりますが、学識経験者、あるいは科学的知見といったところからの評価を頂いて、透明性を確保しながら、私としてはできる限り早い段階で御提示をしてまいりたいと思っております。私の方からの報告は以上2件です。

2.質疑応答

(問)大臣は海上保安庁が実際撮影した映像を御覧になっていると聞いておりますが、今回流出した映像と同一のものかどうかというのは判断つかないものでしょうか。
(答)映像についてはしっかりとした調査が必要だと思っておりますので、今回流出した映像を含めまして事実関係の調査、これが私どもが保管しているものかどうかも含めてしっかりと調査をしなければならないと思っております。
(問)今回ネットにアップされた映像は大臣は御覧になりましたでしょうか。
(答)ネット上で見ました。
(問)御感想は。
(答)特に感想というものではありません。先ほど来申し上げているように、このビデオについてはどのような経緯でこのような形でアップロードされたのか、またこのビデオについてどういう状況のものが出されていったのかということも含めて事実関係の調査が必要だと思っておりますので、まずはそれを行って、これが我々としての最大の使命だと思っております。
(問)石垣に保管されている映像と今回の流出を同じ画面で比較すればすぐに同じものかどうかというのは分かるかと思うのですが、そういった調査は行っていないのでしょうか。
(答)これも繰り返し申し上げますが、しっかりとした調査が必要だと思っております。事実関係というのをあいまいにして、似たような映像だなということではいけないと思っておりますので、しっかりと調査、確認をしたいと思っております。
(問)もう少しどういった調査を行うのか具体的にお伺いしたいのですが。
(答)今日早速に調査を命じておりますので、具体的な手法等につきましては検討して、また明らかにさせていただきたいと思います。
(問)海上保安庁の対応について伺います。大臣御承知のとおり、8月に起きた第六管区でのヘリ墜落事故を受けて、広報の在り方の改善が検討されてきました。10月の報告書では、社会的な影響の大きな事案、または海上保安庁が当事者となる事案については速やかに組織のトップが対応するということが明記されておりましたけれども、今回海上保安庁長官がこの時点で対応されないという決定は、どのような経緯を踏まえて決定されたものであるのかということと、それについて大臣の受け止めはどのように思われていますか。海上保安庁長官が対応を現時点でしていないことについてです。
(答)長官には、私は先ほど申し上げたように、調査を指示しましたので、長官は対応しております。
(問) 広報対応という意味では、広報の対応をされていないと思うのですが。
(答)これも、あいまいなことをお話しするわけにはいかないと思っておりますので、まず調査を私は指示しました。それについてしっかりと今対応していただいていると思っております。このことを私の方から、今日、このように閣議後の会見で申し上げているということですので、輻輳する広報というよりも、まず、今般、私の方から調査を指示したということ、そして閣僚懇におきましても、総理からの指示を頂いたということで御理解を頂きたいというふうに思っております。
(問)このような事態になるのであれば、当初、すぐに出しておけば良かったと思いますが、大臣はどのように思われますか。
(答)まず、このような事態ということも含めて、事実関係の調査が必要だと、繰り返し申し上げたいと思います。
(問)先ほどの質問に対して、これが本物かどうかということについては、しっかりと調査しないといけないというふうに大臣はおっしゃったのですが、では、まだこれは海保のビデオと違うビデオ、流出したビデオではないとまだ大臣は考えていらっしゃるということですか。可能性としては。
(答)映像というものは、様々な加工を含め、どのような形で、映像というものが作られるかということについては、しっかりとした調査が必要だと思っております。ですから、私どもとしては事実を確定させて、まず、皆様方にそのことをお伝えすることが第一義だと思いますので、繰り返しになりますけれども、調査を指示したということであります。
(問)総理から指示がある前に、閣僚懇談会で大臣からこのことについて、どういった報告をされたのでしょうか。
(答)今申し上げた中身であります。未明に報告がありましたということで、当然、その場で私の方から指示を出しております、そして今朝方、私は国土交通省で状況について報告を受けました。その対処の状況を、これも閣僚懇におきまして報告をいたしました。それを受けて、総理から、先ほど申し上げたような御指示を頂いたと。官房長官からも、これについては、まず事実関係の調査が必要だという発言がありましたが、それ以外の閣僚の方々の発言はありませんでした。
(問)大臣は、この調査をどれくらいまでに終わらせたいとお考えですか。
(答)できるだけ速やかにと思っております。
(問)だいたいのめどはありますか。
(答)私が今推測でお話しすることではないと思っております。
(問)調査中ということを理由に、すべてのコメントを避けているのだと思うのですけれども、であるならば、事案の重大性からして、いつ頃までに一定の結論を出して、責任あるコメントをされるのか明らかにすべきだと思いますが、いかがですか。
(答)未明に明らかになった時点で、調査を開始したということですから、私がそこで具体的なことを何か求められて答えることの方が、私はかえって無責任なのではないかと思っております。今、朝から調査を開始しているわけですから、それをもってまずは皆様方に調査を開始したということをお伝えすることが第一であり、そして調査の中で結論が得られれば、それをまた皆様方にお伝えしていくことが私の使命だと思います。
(問)今回のビデオというのは、国会に提出されている部分ではない部分も映っていたようですけれども、海保の内部から流出したという可能性も含めて調査をしているということですか。
(答)いずれにしましても、どういったものがどういった経路で流出をしたものなのかということを含めて調査を行っております。
(問)誰に対して、誰がどのように調査をするのですか。
(答)まずは、一義的に海上保安庁ですから、海上保安庁が調査を行っております。
(問)政府内から、こういう情報が流出するということについて、情報管理の面からいかが考えていらっしゃいますか。
(答)これは、総理から先ほど申し上げたように指示がありました。総理は、情報流出ということについて、この問題のみならず、情報流出ということについての懸念を総理からは指摘されましたので、今後、関係閣僚含めて、情報の機密管理ということについては徹底しなければならないということを、これは御指示というよりも、全閣僚に対しての注意喚起ということで頂いたと思っております。
(問)現場で撮影された映像は、何分あって何本あるのでしょうか。
(答)これも、私ども再々申し上げたように、この中身に関して、どういったものがどのようにあるかということについてはお答えは差し控えさせていただくと。これは、国会でもそのように答弁をさせていただいております。
(問)現在、ビデオはどこに何本あるのでしょうか。
(答)これも国会でお尋ねがありましたが、差し控えさせていただいております。
(問)海上保安庁が検察庁等に対して、調査をするということはあるのでしょうか。
(答)これから調査ということについて、中身を今後決めていくということですから、まず早朝から始動しているということです。
(問)海保と地検以外にこのビデオが存在している可能性はあるのですか。
(答)仮に、流出ということであれば、第三者が入手をしてということも可能性としてはあるかもしれませんが、いずれにせよ、そこも我々としては的確な調査が必要だと思っております。
(問)調査をされるというお話ですが、これは海保のどこの部署が担当されるのかということと、それからインターネット上の捜査になると思いますが、この場合警察等の捜査協力と言いますか、そういったことを要請する予定がありますか。
(答)現時点においては、まずは調査ということしか申し上げられないです。今のお話は捜査ということでお話をされましたが、調査と捜査は別でありますから、これはまた今後のことになると思いますが、私どもとしては一義的にまず調査を開始したと、これ以上でもない、これ以下でもないということであります。
(問)報告を受けた未明というのは、具体的に何時ですか。それから、このビデオがネット上に流れたことがAPECに与える影響についてどのようにお考えですか。
(答)まず、未明というのは日付が変わっておりました。日付が変わった段階で秘書官からの連絡がありました。それを受けて、私の方から先ほど申し上げた指示を出したということです。このことによる影響というものについては、現段階では私どもとして何とも申し上げられないと。まずは徹底して事実関係の確認をするべきだと思っております。推測で物を言うべきではないということで、徹底した事実関係の確認、これに徹底したいと思います。
(問)その時間を今秘書官に確認していただけませんか。
(答)確認をいたしますが、日付は変わっておりました。
(問)衝突時の映像かどうかは別として、映像の中で白い船の方には海上保安庁という文字があったりとか、向こう側には漁船の名前が出ていたりとか、そういうシーンがありますけれども、そのことについて大臣は海上保安庁の船だとか、そういう認識はしているということでしょうか。
(答)ネット上で見ましたので、どういう映像かということは分かっています。ただ、繰り返し申し上げているように、何らかの、例えば手が加えられているものであるか、あるいは全く違った形の物が挿入されていないかとか、様々な検証が必要だと思っておりますので、その意味で事実関係の調査ということが必要だと思います。
 報告を受けたのは、午前2時頃です。
(問)先ほどのおっしゃり方だと少なくてもネットで確認した映像というのは、以前大臣が大臣として御覧になったビデオと一部については同じであるということをお認めになったということでよろしいでしょうか。
(答)私が見たという意味においては、主観的に見て私が見たものと、という比較においては私なりに所感、感想はありますけれども、繰り返しになりますが、このビデオが流出した物、そしてそれが何らかの手も加えられていないということの確認も含めて事実をしっかりと押さえなければならないと思っています。私が同じ物だという感想を仮に持ったとして、それをそのように申し上げたら、それは同じ物だということで誤った情報が流れます。ですから、私はそれについては私の感想は申し上げるつもりはありません。繰り返しになりますけれども、事実をしっかりと確認をして、そして皆様方にお伝えすべきだと思っています。
(問)違う映像なのであれば、流出という表現は当てはまらない気がしますが。
(答)流出という報道がなされたということを私は申し上げました。
(問)基本高水を検証するよう指示したというのは、基本高水を再計算するように指示したという受け止めでよろしいでしょうか。
(答)再計算も当然一つに入りますが、定数の設定、モデルも含めてですから。単に今までの計算をやっていなかったからやれという指示だけではありません。昭和55年当時に行ったままで平成17年の報告書が済まされていますので、現時点において最新の知見でも検証すべきだというふうに考えております。
(問)関連して、今、関東地整の方で再検証していますが、前提となる基本高水が変わることでその検証に与える影響というのは何かあるのでしょうか。
(答)結果によっては、与える影響があるかもしれません。現時点においては、我々としては予断を持っているわけではないということです。ただ、今まで踏み込むことのなかったことに対して、検証を行っていなかったことという事実を私自身は確認できましたので、改めて検証をするということの指示を出したということです。
(問)基本高水の再検証の時期については、できる限り早くということがありましたが、めどとして例えば年内とか、年度内とかというのはお持ちでしょうか。
(答)できるだけ早くということで思っております。逆に言うと、再検証に影響を与えるような形になってはならないと思っておりますので、もちろん再検証という作業をしっかり進めていただく。一方で、基本高水の検証も行うと。こういった並行の作業が必要ではないかと思います。
(問)政策コンテストのパブリックコメントで高速道路の無料化に対して、否定的な意見が随分挙がっていたようですが、これに対する受け止めをお願いします。
(答)世論の調査と言いますか、今まで新聞報道で挙がってきた調査でも反対の意見がたくさんあったということは承知しております。我々としても、それをいかに国民の皆様方に分かりやすくお伝えするかということにしっかり取り組まなければならないと思っております。いずれにしても、予算編成過程の中で必要なものだということをしっかりとお伝えをしていく、そういった丁寧な取組が求められていると思っております。
(問)政策コンテストでは、どういうふう主張していくおつもりですか。
(答)我々自身が常々申し上げてきた現時点であるインフラの有効活用なのです。利活用です。今ある高速道路を有効に使っていく、それによって物流、あるいは経済的な効果を高めていくということですから、そのことの効果あるいは現在社会実験で検証を行っていますので、その成果も踏まえたお伝えをしっかりとしていかなくてはならないと思っております。
(問)北方領土についてなのですが、ロシア大統領が国後島以外の北方領土に訪問する計画があるということについての受け止めと、その対応策をどのように考えておられるかお聞かせください。
(答)北方四島は国後のみならず歯舞、色丹、択捉含めて我が国の立場は揺るぎないものですから、これにつきましては今後も揺るぎない立場でしっかりと主張していくということです。
(問)ビデオの件に戻りますが、午前2時に報告を受けたそのときの率直な感想、まず何を思われましたか。報告を受けたとき何を思われましたか。
(答)まずそのものがどういうものであるかということ、それを真っ先に私自身が起きて、ビデオをユーチューブ上で視聴いたしました。
(問)御自宅でですか。
(答)そうです。宿舎です。
(問)そのときは何を考えられましたか。
(答)まずは事実かどうかということですね。御案内のようにインターネット上の動画というものはいろんなものがあります。加工されたものもあれば、CGを使ったものも含めて様々なものが流れていますので、どういうものなのかということでその真偽も含めて私自身はインターネット上で視聴しました。
(問)一報を受けたときは驚かれたというような心情はあったのでしょうか。
(答)深夜でもありますから、何事かということは普通思います。ただ、国会対応等ありますので、常に、24時間、役所との連絡は取り合っていますので、午前2時あるいは午前3時に電話が掛かってくることは日常茶飯事ですから、そのこと自体には特段の驚きはありませんでした。
(問)確認なのですが、昨夜報告を受けたあと総理や官房長官への報告はどのようにされたのですか。
(答)これは、未明でしたけれども、早朝に長官の方へ御連絡いたしました。また、官邸という意味では副長官へも御連絡いたしました。
(問)長官への連絡は何時頃ですか。
(答)6時台くらいだったと思います。正確な時間は覚えていませんが。
(問)何らかの指示はありましたか。
(答)まずは報告です。
(問)たこフェリーの休止のことなのですけれども、原付など125CC以下のオートバイは足を奪われてしまって、年間2万台を輸送できなくなったというのが高速道路の無料化の影響によるものだという話がありますけれども、これについての御所見をいただきたいのですけれども。
(答)公共交通機関への影響というものは一部の路線のみならず全体の評価というものをしなければならないと思っております。これは繰り返しになりますけれども、社会実験を行って一定の期間、一部の曜日や特定の日にちをいうのではなくて、季節波動も大きいですし、それよりむしろリーマンショック以降の景気の低迷というものが大きなインパクトになっているということもデータとしては十分に考えられることだと思っておりますので、これは最終的には社会実験の結果の検証の中で明らかにすべきものだと思っております。
 私からの報告という意味で先ほど6時台ということで申し上げましたが、先ほど申し上げたように官邸には私が未明に報告を受けた直後に、これは関係者への連絡ということを指示しておりますので、事務方を通じて連絡を行っているということであります。
(問)所管外かもしれませんが、TPPの関係で、民主党の方が情報収集のための協議を始めるという提言をまとめましたけれども、これに対する所感と、それを受けて閣僚委員会が予定されていたのが流れたのですけれども、これについてどのようにお考えでしょうか。
(答)これは、政府全体でしっかりと議論して方向性を決めていくべきものだと思います。また、与党の中からも様々な意見があるということも私自身承知してます。ただ、国土交通省という立場で言えば、国を開くというコンセプトの下、国土交通省成長戦略会議の中で議論してきた施策というものが、このTPPと直接関連しませんが、方向性として打ち出してきたものですので、今後も経済連携というものについては強化をしていくべきものという位置付けであるということは御理解いただきたいと思います。今後TPPを含め、こういった経済連携が行われていく中で、国土交通省の所管する分野でどのような影響や効果があるかということについては、現時点では明らかではありません。したがいまして、私どもとしては積極的に何か交渉について発言する場というものはありませんが、経済連携というものは推進していくべきという立場で、今後も国土交通省所管の施策については進めてまいりたいと思っています。

(以上)