馬淵内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年10月15日

(平成22年10月15日(金) 8:36~8:55  於:院内・内閣記者会3)

1.発言要旨

 私の方から1点御報告があります。利根川の治水計画の計算に使ったデータ等について、ということであります。一昨日の予算委員会でも取り上げられましたが、八ッ場ダムに関して、利根川の治水計画の計算に使ったデータ等について、会見でも御質問がございましたが、私の方でも調査をしておりまして、検討しておりました。本日、私の考え方をお話ししたいと思います。これまでも、雨量、流量のデータ、あるいはその計算に使った諸係数はすべて公開してきておりましたが、できる限りこうした情報というものは公開すべきというのが基本的な考え方です。ただ、これまで公開していないもの、例えば「流域分割図」、あるいは「流出モデル図」がございました。これは、私も実物を見て確認をいたしました。これを見ましたところ、構想段階の洪水調節施設の建設予定地点を推定できるという状況のものでありました。これは2枚なのですが、私が見たところ確認ができました。これにつきましては、反社会的な勢力によって土地の買い占め等不当に国民の間に混乱を生じさせるような状況が起きうる可能性があること、またこういった情報に限っては情報公開法の趣旨に基づいて不開示とすべきだということで、すべての開示ということについて、私はいささか問題があると申し上げてきた次第です。こうした状況の中、一方では、情報公開法の見直しというものが行政透明化検討チームで今年の8月に取りまとめがなされておりまして、「国等における審議・検討等に関する情報で、公にすることにより、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある情報を不開示情報とする旨の文言を削除する。」と、このようになっております。今後は、この法案の取りまとめも含めまして、こうした情報開示の整理がなされれば、しっかりと開示をしていきたいと思いますが、今日においては、今申し上げたように「流域分割図」「流出モデル図」については、開示は不適当だと考えた次第であります。いずれにしましても、利根川の治水計画計算に使ったデータ等に関しては、様々な御意見もあるということ、また報道等にも挙がっているようにそれぞれ熱心に検討していただいているといったものも表に出てきておりますので、今後、八ッ場ダムの検証を進める中で予断を持たずに、また情報公開を図りながらできる限り最新のデータ、あるいは科学的、技術的知見、こういったものを用いたものを徹底的に点検を行うということで開示をしてまいりたいと。加えて、流出計算のモデルの妥当性も含めて見直しを行うべきということで、私の方から河川局には指示を出しております。したがいまして、ダムの再検証というものがございますが、八ッ場ダムに関しては今日におけるモデルの妥当性、更にはそこで使われている係数の妥当性も含めてしっかりと検討するべきということで指示を出させていただきました。一昨日の予算委員会で河野委員の質問に対して私の方でお答えをしたものでありますが、利根川の八斗島地点における再現計算に用いた飽和雨量についてですが、4つの数字を申し上げました。昭和33年9月洪水では31.77ミリメートル、昭和34年8月洪水では65ミリメートル、昭和57年9月洪水では115ミリメートル、平成10年9月洪水では125ミリメートルと。この4つの数字のうち、昭和34年以降の3つ、65ミリメートル、115ミリメートル、125ミリメートルというのは、今まで非開示だったものでありますので、この国会で初めて、私の方から公表したということであります。いろいろな御意見がある中で、データ等が開示されていなかったことについては、私は情報公開に付すべきだと、このように最初から申し上げてまいりましたので、今後も必要であれば出していくと。ただし、先ほど申し上げたように、社会的な混乱が起きるおそれがあるものに限り、不開示とするものも中にはあるということを御理解いただきたいと思います。私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問) リニアについて伺います。交通政策審議会の方で、近々、想定される3ルートの中で、このルートが妥当であるという結論が出る見通しになっているかと思うのですが、今後国としての整備計画への位置付けなど、どういったスケジュール感で検討を進めていくお考えなのでしょうか。
(答)妥当であるということが報告されるというふうに私は承知しておりません。今回小委員会でいわゆる費用効果分析、B/C、更には環境調査、こういったものを様々な形で論点整理のために検討した結果が報告されるというふうに聞いておりますので、あくまで今後検討していく上での材料が提示されるというふうに思っています。まだ日程は調整中だということですが、近々委員会が開かれて論点整理が行われると。論点整理が行われた後に、中間取りまとめということだと思うのですが、ここは論点が出された段階で、委員の先生方がもっと更に深めようということであれば、スケジュール感というのはそこで決まっていくものですので、何か日程を区切っていつまでにということではなくて、むしろ真摯な議論をしていただきたいと思っています。その上でルートに関しても、一部報道でありましたけれども、あくまで方向性を示すものであるというふうに聞いておりますので、今後も様々な観点から御審議いただくと、こういうことだと思います。
(問)現在の計画で、大阪まで結ばれた場合、空のお客さんの大半がリニアに移るという試算を自治体等が出しているところもあるのですが、近々羽田が国際化として動き出しますけれども、リニアの計画が今後の航空政策に与える影響について、大臣としてどのようにお考えでしょうか。
(答)だからこそ、鉄道、航空、あるいはフェリー等の海事、さらには車も含めて様々な交通モードのトータルでの将来的な需要推計はどうなるのかということを、かつては旧建設、旧運輸でばらばらにやっていったわけです、かつては、と言っても私が就任する前までそうでしたけれども。これを統合して、将来需要推計をきちんと国土交通省として、政府としての見解を一つにまとめていこうと。そのための事業評価の仕組みを変えていこうということで、1年間取り組んできました。今、御指摘の部分は、正に将来リニアが通ったときに航空の需要がどう変化するのかということは、今申し上げたモデル統合がされた中での需要推計というものをしっかりと将来予測して算出しながら判断すべきものだと思いますので、これができたらこっちに移るのではないか、あるいはまたこっちが増えればお客様がこっちに誘導されるのではないかという、ある意味、非常に主観的な感覚の判断で物を言うべきではないと思っております。国土交通省としては今申し上げたように、現在我々が持ちうる最大の知見を用いて将来需要予測をしっかりと提示すべきだと。これが過去においては実績と著しく乖離していたわけでありますから、そこは今徹底的に見直しております。国土交通省の中でもこれは大変な作業ですけれども1年間やってまいりましたので、今回私は大臣を拝命いたしましたから、これは必ず実現すると。これによって国土交通省として明確な意思表示をできる、あるいは将来予測に向けて国民の皆様方にしっかりと御提示できると思っております。
(問)提示というのはいつ頃ですか。
(答)今はモデルの統合を含め、将来需要予測を統合モデルとして計算していくということについては、来年の夏の概算要求までには一定の結論を持って検証ができるようにしたいと思っております。
(問)補正予算についてですが、メニュー作りが進んでいるかと思いますが、先日の会見で北方領土関連事業を前倒して補正に入れているとおっしゃっていましたけれども、現状がどうなっているかお聞かせください。
(答)北方領土に関しては様々な御要望がある中で、対応できるものを考えたいということだったのですが、具体的な中身に関して見ますと、人材育成等、緊急経済対策の中にストレートに当てはまらないものというものもありましたので、むしろ北方領土の施策の中では、年末までの予算編成の中で、概算要求の編成の過程の中でしっかりと確保することに取り組みたいと思います。例えば、新たに傭船のお金に関しても、ということも申し上げたのですが、これも実態はリース、民間の船の建造に対するリース料ということでありますので、これを前倒ししても意味がないということでありますから、これも平成23年度要求の中でしっかり確保と、こちらに注力をするということで整理をしました。
(問)これは勘違いだったとかということではないということですか。
(答)考え方を整理した上で、緊急経済対策の中で何とかできないかと整理した中で、結果的にはむしろ本予算、当初予算でしっかり要求していく、こちらが意味があるということで整理をいたしました。
(問)先ほどお話になった飽和雨量の数値の関係ですが、現時点で今回開示された飽和雨量を見て、ピーク雨量の設定の関係とか、また山の保水力、改めてダム建設の必要性について、現時点で大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)ダムの検証に関しては予断を持たずに再検証、これがスタートするところでありますから、それをもって判断ということになるかと思いますし、この飽和雨量で山の保水量に関しては、先ほど数字を申し上げたように、昭和57年、平成10年と数字が増えております。これは森林がある程度肥沃な山の状態を構成しつつ、115ミリメートル、125ミリメートルと飽和雨量が高まっているということで、ある意味、モデルの中では妥当な数字として取り入れたのではないかと私は受け止めました。ただ先ほど申し上げたように、モデルの妥当性そのものの検証というものは今日行われておりませんで、それも含めて、先ほど河川局にはしっかりとこれもやるようにということで、今後の再検証の中でも八ッ場ダムに関してはしっかりと議論していただくようにとお願いをしたところでありますので、検証結果をしっかりと受け止めたいと思っております。
(問) 円高がかなり進んでいるのですが、これに関しての御見解と、国土交通省もしくは政府でどうやって取り組んでいくのでしょうか。
(答)これは国土交通省というよりも政府全体の取組の課題だと思います。閣僚の中での議論というのは、私の方からあまり中身を申し上げるべきではないと思いますが、当然そういった議論が本日もございました。これは政府一致、結束しての取組ということが確認されておりますので、関係閣僚それぞれ知恵を絞って対応してまいるという決意と覚悟を今日確認をさせていただいたということです。
(問)関係の業界に対する影響というのは、どういうふうに受け止めてますか。
(答)急速な円高が進行しておりますので、大変懸念はしております。ただ一方で、私どもとしては今般、この経済対策、二段構え、三段構えの第2ステップがありますので、まずはこれを実施をすること、それで雇用の確保、あるいは社会資本整備、地域活性化ということが項目で挙がっておりますから、前倒しも含めて内需への部分については一定程度効果を期待したいと思ってます。
(問)先ほどの八ッ場ダムの流量計算のモデルと計算を見直すという話ですが、それは基本高水を見直すということにつながるという前提でよろしいでしょうか。
(答)今の基本高水の考え方を皆様方にもしっかりと御理解いただきたいのですが、これはモデルでの計算結果、もしくは観測史上最大流量のいずれかの大きい数字を選ぶということになっております。現時点においては、利根川に関しては八斗島の22,000トンというのは観測史上最大流量ですから、今申し上げたモデルの妥当性や、こうした係数等の妥当性の検討ということが、即イコール基本高水の見直しにつながるということではないと私は承知をしております。いずれにしても、こうしたモデルについてもしっかりと検証していくということが今回必要だということを私は判断いたしましたので指示を出したということです。ですから、ここは誤解なきように申し上げますが、イコールではないということです。基本高水が結果的に変わる場面も出てくるでしょう。それは必ずしもこの八ッ場ダムの問題ではないと、こういうことを申し上げたいと思います。
(問)中国を巡る話なのですが、海上保安庁と10年前から中国、韓国、インドネシアなどの海上警察が参加する海上犯罪取締研修というのが行われてきたかと思うのですけれども、これは8年前から中国も参加していたと思うのですが、今週になって業務の都合ということで参加しないと伝えてきたという事実があるのですが、これについてどうお考えになりますでしょうか。
(答)すいません。私の方で、その事実の確認が取れておりませんので、事実として確認次第、状況等についてはまた御連絡するようにします。
(問)コメントも頂けますでしょうか。
(答)わかりました。少なくとも私の方で今事実を確認しておりませんので、確認次第ということで。
(問)円高影響で、インフラの輸出であるとか、観光のインバウンドといった国交省が成長戦略に掲げる分野において影響が懸念されると思うのですけれども、この辺についてお聞かせいただけますか。
(答)これは御指摘のように、急速な円高が影響を及ぼすことは事実として起こりうると思っております。とりわけ海外展開に関しては大変厳しい状況が起きるかもしれませんが、一方で大きなプロジェクトですから、ある程度年限の長いものもありますので、現時点における円高、要は通貨の問題で即プロジェクトが大きく方向を変えるというものではないと、むしろ我々はそれを超えて技術力、あるいはパッケージとしての優位性というものをしっかりと提示していくことに注力をすべきだと思っておりますので、通貨の問題は我々国土交通省側が何か施策を打てるものではありませんので、我々としてやれることをしっかりと取り組むことが重要だというふうに思っております。
(問)リニアなのですが、費用対効果が直線ルートが優位だという見方で報告されそうだということについてのもう一度受け止めと、それをもって直線ルートで決着しそうだという見方についてのお考えをお願いします。
(答)まず、費用対効果に関しては、様々な計算の中で出てきたものですから、真摯に結果として受け止めるべきだと思いますが、ただそれとルートに関しては、この費用対効果だけでなく、それこそ経済社会の中での効果というものを、単純な費用対効果のみでなく判断が必要だとされることがまた御意見の中で挙がってくれば、さらにはパブリックコメントという今後の手続もありますので、その中で判断すべきものだと思います。いずれにせよ、B/Cが出たのですぐにルート決定だということではないと。手続的には、論点整理のための費用対効果の検証を行ったということだと思っています。
(問)他の観点とすると、どこら辺が重要だとお考えですか。
(答)これは私が何かこういうもので判断すべきだということは問題があると思います。むしろこうやって審議会なり小委員会で幅広く第三者の御意見を聴取しているわけですから、そこは所管する国土交通相が何か判断の方向性を示すべきではないと思っています。ただ具体的に一つ、費用対効果というのは我々が公共事業を判断する際にも用いてきた経済上、最も合理的な判断すべき指標でもありますから、重要な要素であることは間違いないと思います。
(問)ただ、それには新しいモデルというのは使われていないのですか。
(答)これは現行の新幹線を含めた事業評価の手法を用いたものですから、今私が取り組んでいる新たな需要推計、新たな事業評価の仕組みによって行ったものではないのです。これは早くても来年の8月、来年24年度概算要求に間に合うようにということで、今取り組んでいますので、残念ながらそれは反映されていません。したがいまして、これは一定程度、旧来の数値を用いた方向性を示すものと、このレベルであると私は思っています。
(問)鉄道・運輸機構の利益剰余金について、野田財務大臣が一昨日国庫に返納すべきだとおっしゃられましたけれども、これについて国交省の大臣としてはどのように考えているか、また今後の対応方針はどのようにすべきかお願いします。
(答)事業仕分けで指摘をされ、会計検査院から指摘があることも承知しておりますが、財務大臣の御発言というのは、今後関係省庁と協議していくという前提になっておりますので、一方的な御発言は私は非常に問題であると、このようにお伝えをしました。今後、当然協議の中で議論していくべきであり、我々としても課題を抱えています。今後の年金の支払問題、あるいは国鉄改革の残余の問題、あるいはJR三島の問題等、様々な課題を抱えております。当然ながら、調整を踏まえての最終的な決着だと思っておりますので、そこは財務大臣にも、密に連携を取って議論をさせていただきたいということはお伝えしました。ただ、意思として会計検査院でも指摘されていますし、行政刷新会議でもしっかりとそれは明示されておりますので、その範囲でおっしゃったんだというふうに私は受け止めております。

(以上)

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