馬淵内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年10月1日

(平成22年10月1日(金) 11:05~11:31  於:国土交通省会見室)

1.発言要旨

 私の方からまず冒頭二点報告がございます。まず一点目は、「第8回アジア太平洋地域インフラ担当大臣会合」の開催についてであります。アジア太平洋地域のインフラ担当大臣が一堂に会し、同地域の社会資本の在り方についてトップレベルで意見交換を行うため、10月9日(土)に「第8回アジア太平洋地域インフラ担当大臣会合」を我が国主催によって東京で開催いたします。資料につきましては、お手元に配布のとおりです。本会合は、このアジア太平洋地域の20か国・地域によって構成されておりまして、関係閣僚等が出席する予定であります。会合のテーマですが、「気候変動と水関連リスクへの対応」です。本会合におきまして、気候変動の影響により増大する洪水や渇水などの水関連リスクに対していかなる適応策を講じていくべきかについて大臣声明を取りまとめ、アジア太平洋地域から強力なメッセージを世界に発信したいと考えております。また、本会合におきまして、水インフラの整備、管理に関する日本企業の技術も紹介をして、いわゆるトップセールスの一環ということでありますが、官民連携での海外展開に取り組んでまいりたいというふうに考えております。それから二点目でございますが、沖縄及び北方の視察であります。本日の夜から明日にかけて、沖縄を訪問いたします。これは沖縄・北方担当大臣としての初視察ということでありますが、国立沖縄戦没者墓苑等を参拝するとともに、仲井眞知事を始め、首長代表の方々との意見交換などを予定しております。併せて、那覇にございます第十一管区海上保安本部を視察し、職員を激励することとしております。また、10月4日(月)には北海道の根室管内を訪問いたします。元島民の方々や地元関係者からお話を伺うとともに、根室市の納沙布岬から、更には洋上からも北方領土を視察する予定であります。日程等の詳細につきましては、内閣府及び海上保安庁の事務方へのお問い合わせを頂きたいと思います。私からの報告は以上二点でございます。

2.質疑応答

(問) 拘束されていたフジタの社員が3人釈放されたことに対しての受け止めをお願いします。
(答)フジタの社員4名のうち、3名が釈放されたということで、また帰国の途上にあるというふうに聞いております。3名の方々はやや疲れた様子は見られたものの元気な様子ということを報道で聞いており、大変一安心をしておりますが、ただなお1名、釈放されていない方がいらっしゃいますので、一刻も早い本事案の解決というものを望んでおります。私どもとしては引き続き建設業を所管する立場としての立ち位置から、情報あるいは、状況の推移といったものを見守ってまいりたいというふうに思っております。
(問)補正予算についてですけれども、国交省内での検討状況を教えてください。
(答)先日28日に総理から新成長戦略実現に向けた三段構えの経済対策、この三段構えのうちのステップ2として、22年度補正予算の編成と経済対策の検討、これを御指示いただいたところであります。これを早速政務三役でも議論をしております。これはまず与野党の提言を踏まえながら5本柱ということで、雇用・人材育成、新成長戦略の推進、子育て、医療・介護・福祉等、更には地域活性化、社会資本整備、中小企業対策、そして制度・規制改革、これらが五つの柱として示されておりまして、国土交通省として現在この柱に沿って、緊急性の高いもの、そして即効性、効果の高いもの、更には地域の活性化やまた大変厳しい状況に追い込まれていると言われています中小企業対策、こういった点にも留意しながら、もう既に概算要求で来年度予算の編成ということで提出をしておりますが、こういった予算の前倒しも含めて、効果的な対策というものを検討してまいりたいと、このように考えております。詳細については、まだお伝えできるレベルではございませんが、今申し上げた柱の中で、こうした観点から取組をしているということで御理解を頂きたいと思います。
(問)補正予算の関係で、民主党のプロジェクトチーム等にはそれぞれの省庁で取り組んでいるもの、どういうものが概算要求の前倒しでできるかなど報告をされていると思うのですが、もう少し具体的に、大臣はどんな施策を打っていくことが効果があるとお思いになられますか。
(答)これも玄葉政調会長の下で、直嶋PTで取りまとめを行い、玄葉政調会長、更に海江田経済財政担当大臣、野田財務大臣、官房長官、関係閣僚が集まってまた協議を進めるということでありますが、当然私どもとしても、先程の五つの柱に沿った中でしっかりと提示をしてまいりたいと思うのですが、私自身今回の柱を見て、昨年も補正がありましたが、この四つ目の柱に、地域活性化、社会資本整備、中小企業対策ということで、改めて公共事業というものが示されました。ここについては、我々所管する立場である、建設、非公共でありますが、運輸、観光といった産業もございますが、様々な形で私どもがかかわる部分、非常に大きな部分がこの柱の中にも盛り込まれておりますので、もちろんこの5本の柱の中で取り得る施策すべてを考えていきたいと思っておりますが、少なくとも昨年度の補正の編成とまた違った観点で取り組めるのではないかというふうに思っております。
(問)今日から八ッ場ダムの建設に関する地方公共団体の検討が始まります。それに関連してなのですが、予断無きダムの検証については、各種の情報の開示が必要になろうかと思うのですが、大臣はどう思われますか。特に、9月14日の前原前大臣の記者会見では、基本高水について、このような基本的な基本高水という中核をなす数値がどのような条件でまとめられたかということは当然ながら開示していくべき話だと思っております、というふうに前原前大臣はおっしゃいました。情報公開について、特にこの基本高水のデータの公開について、馬淵大臣はどのようにお考えですか。
(答)個別具体の一つ一つのデータをここでどれを開示すべき、開示すべきではないということをお答えすることは差し控えたいと思いますが、基本的に情報公開、これは私ども民主党を中心とした政権の中でも、まず枢軸に据えられた理念であり方針だというふうにと思っております。ただ一方でその情報によって、やたらに不安をあおる、あるいはリスクを想起させてしまうなど、あるいは様々な経済活動に影響を及ぼすようなことについては、慎重を期さねばならないと思っております。基本的なスタンスとして、情報公開を行いながら、適切、適宜に開示をしていく必要があると思います。前原前大臣がお話しされたのは、一つは象徴的に、そういったデータの開示というものを検討しながら、一つ一つ丁寧に進めていこうということだと私は理解をしておりますので、例えばどの段階で、どのようなデータを、どのような形でということは、この場では今お伝えできないと思っておりますが、少なくとも情報開示という姿勢をもってしっかりと国民の皆様方の御理解を頂けるような形で提示をしていくというスタンスは変わらないと、このようにお伝えしておきます。
(問)関連ですが、前原前大臣の御発言を受けて原告団が求めている情報を開示できるかどうか問い合わせてみたのですが、担当の方は今までどおり非開示のお答えでした。その決定については、大臣も聞いているはずだとおっしゃっていますが、馬淵大臣は基本高水のデータを非開示にしたことについて、報告を受けていらっしゃいますでしょうか。
(答)何を公開するかということは必要ではなくて、データの公開によって、より理解を高めていただけるものであれば出していくべきであり、また逆にその公開によって様々な憶測や不安を招く、あるいはこの地域にこういうものができるといったときに土地の買い占め等含めて本来守られるべき適切な経済活動が妨げられたりしてはならないという観点から判断すべきものだと思っておりまして、少なくとも今御指摘の部分については私も報告を受けて了としたものです。今後も、一つ一つにその名称を言ってこのデータを出せと言われても、それをどの時点のどのものかという詳細な確認が必要なわけですから、会見や様々な場所で私以外の発言があったとしても、これについてはきちんと検討して正確なものを、正確な方針に基づいて提示をしていくということが必要だと思っています。
(問)先日、三井副大臣の会見で公共事業について、国交省と農水省で合わせて1.3兆円削減したことについて、地方は疲弊しており地域によって思いや必要なものが違うので、必要なものは是非造っていくと話されたり、概算要求の一律10%削減については、あまり賛成できないと話される等、印象として大臣のお考えと若干違いが聞かれたのですが、これについてどうお考えでしょうか。
(答)農林水産省と合わせて1.3兆円の削減でありましたが、これは昨年民主党政権になって、鳩山政権の下、コンクリートから人へということで大幅な削減を行った、それによって地方が大変疲弊し、また将来に対する不安、また現状における不満があるということも十分承知をして、私どもは平成23年度概算要求においてはメリハリをつけて選択と集中という観点の中で、公共事業において新規も今回予定をしております。こうした予算編成を進めておりますので、三井副大臣がお話しされた内容というのは、こういった経緯の中での、地方の声というものを代弁されたというふうに理解をいたしますので、決して方針と食い違うことではないと思います。また、10%削減というものについては、様々な御批判があるということも承知をしておりますので、そういった中でそういった声に耳を傾け、理解を示しているのだということで私自身は受け止めております。これは、メリハリという中で10%削られるもの、あるいは更に深掘りされていくもの、更には元気な日本特別復活枠の中でさらに嵩上げされるものは事業によって様々ございますので、最終的にはこの年末までに編成される予算の総体の姿をもって御評価頂くべきものだと私は思っております。付け加えて申し上げるならば、私自身も地方に対しての思いというのは大変強いです。疲弊した経済社会の中でいかに地域、地方の担っていただいている産業を守り、育成していくかということについては、地域主権ということを掲げる民主党を中心とする政権においては、正に1丁目1番地1号の部分であると私自身思っておりますので、こういった取組は今後政務三役でしっかり議論をしながら新たにお示しをしていきたい、この補正予算のみならず、平成23年度の予算編成過程の中でメッセージとしてお出しをしていきたいと、このように考えております。
(問) 八ッ場ダムの件について、今日から地方整備局と地元自治体の方との検討の場が始まりますが、大臣としてはいつ頃に一定の結論と言いますか、再検証の結果を得たいと考えていますか。
(答)ダムによらない治水のあり方は、新たな検証の評価軸を定めた検討会の結果を御提示いただきました。これを受けて、これから検証が始まっていくわけですから、いつまでに、どのようにというようなタイミングを切るものではないと思っております。当然、八ッ場ダムを始め、川辺川ダム始め流域の皆様の御苦労というものは、私も副大臣を1年間しておりましたので、その状況も十分承知をしておりますので、こういった思いを受け止めながら、一刻も早くしっかりと検証を進めて結論を出すべきだと思っております。いずれにしても、着々とこうした方向によって検証を進めて、一刻も早い住民の皆様方の不安を取り除くような解決の道筋というものをつけてまいりたいと。今は、このようにしか申し上げられない、また逆に、こうした姿勢、思いをお伝えすることに尽きると、こう思っております。
(問)閣議の後に、官房長官のところで外務大臣、法務大臣が入られて例の尖閣の海保のビデオの件で議論されていたかと思うのですが、昨日、国会の中で政府提出の議論もありましたが、どういったやりとりというか、結論に達したのでしょうか。
(答)官房長官もお話をされていると聞いておりますが、昨日の委員会でのやりとりについての意見交換を行ったと、私の方からはこれ以上申し上げることはできないと、こういうふうに御理解を頂きたいと思います。
(問)FNNの世論調査の中で、内閣支持率が前回の調査から15.7ポイント減って48.5%という結果になったのですが、このことについてどう思われるかということが1点と、尖閣諸島の件で政府の対応が適切ではなかったのではないかという回答が70%を越えているのですが、このことについてお聞かせください。
(答)支持率については、国民の皆様方の御評価ということで、私どもとしてはそれを真摯に受け止めていくべきものだというふうに思っております。これは、高ければ高いなりに御評価を頂いている、しかしそれに浮かれてはならないと、自らを律するべきものであり、また時に支持率が下がっているという状況においては、我々として何が足りなかったのか、あるいはどのような形で国民の皆様方に資する形の施策、判断をすべきかということの反省材料にしていかなければならないと思います、ただ一方で、それに一喜一憂して施策を実行していく、あるいは行政執行していくということではないと思いますので、私自身としては今申し上げたような受け止め方をして、真摯に反省すべき点は反省してまいりたいと思っています。尖閣の対応についてですが、前からも申し上げているとおり、海上保安庁におきましては国内領海内における事案については国内法にのっとって適切に対応してきたということで、様々な御意見があるかもしれませんが、1年間副大臣をしてまいりましたし、現在、国土交通省を所管する責任者として極めて厳正な適切な対応をしたと、このように思っております。しかし、その後の外交というものにつきましては、私どもの所管を離れて外交ルート並びに国際間の中での様々な協議、議論の中で判断されるべきものと思っておりますので、これはいわゆるハイレベルでの判断も含めて、政府全体として懸命に努力をしていると私自身は思っております。
(問)北方領土への視察についてですが、根室にいらっしゃるということですが、ロシアの大統領が北方領土に入って視察することとの関連性はいかがかということと、視察にいらっしゃる目的は何かということを教えてください。
(答)今、御指摘のロシアの大統領が視察というお話でありますが、内閣府の沖縄北方担当大臣として、現時点で、このことについて具体的な計画があるということについての承知はまだしておりません。したがいまして報道ベースで様々ございますが、私としてはそのことは承知をしていないということで、ただ現在我が国の立場については、前原外務大臣がお述べになられておりますが、外務大臣以下、様々なレベルでロシア側に我が国の立場については伝えていると私も承知をしております。こうした状況の中で北方領土を視察するわけでありますが、元島民の方々、そのお気持ち、御意見というものをしっかりと受け止めたい、更にはこうした北方領土についての国民世論の啓発というものも、私がまず北方担当大臣に就任をして訪れることによって、それをより一層後押ししたいと考えておりまして、今回の視察というものは、北方担当大臣に就任して一刻も早く実現したいと願っておりましたので、国会が始まるという中でぎりぎりの調整をしながら日程的に可能だということで、大変私としては楽しみに一安心しているところであります。
(問)観光についてですが、今日から中国は国慶節が始まりまして大型連休なのですが、中国からの観光客の来日状況について、先日観光庁長官から来客のキャンセルが相次いで大幅減になっているとのお話がありましたが、具体的にどのくらいの減少になっているのか、今後、回復に向けてどのように取組みをされていくのか、その点について伺えますでしょうか。
(答)観光庁長官の指摘というのはどの数字をもってお話されたかというのは、私、承知をしていないのですが、少なくとも国慶節休暇中の旅行のキャンセルというのはそれ程多くはないと聞いております。しかし、国慶節明けの新規予約については大幅減少ということも現実にはあるということですので、おそらくそこを取り上げてということかもしれませんが、いずれにしましても状況注視ということは必要だと思っておりまして、繰り返しになりますが、観光立国という私どもが掲げたこの政策テーマについては、大変重要な市場として中国というものを1つターゲットとして見ておりますので、引き続き、日本における外国人観光客の皆様方へのおもてなし、私どもの日本の良さというものをしっかりとアピールしていくということが私どもにできる最大限のことだと思っておりますので、引き続き、その努力はしてまいりたいと思っております。
(問)来週のインフラ担当大臣会合の件ですが、担当大臣会合ということで中国から閣僚級の出席取りやめなど、いわゆるAPECのような何らかの影響というのは今出てるのでしょうか。
(答)今回、20か国の中の十数か国の参加が見込まれておりますが、本会合について、中国側からは9月26日付けで、元々、住宅都市農村建設部の総経済師、これは副部長級ということだそうですが、他3名の方々が参加する予定でありましたが、上海万博対応のためということで欠席の連絡を受けたということであります。
(問)中国は代理も含めて出席しないということでしょうか。
(答)はい。そのように承知をしております。
(問)沖縄訪問の関係ですが、沖縄関係の件はいろいろありますけれども、知事との会談の中では主にどんなテーマについて意見交換をされたいとお考えでしょうか。
(答)今回、沖縄大臣としては初の訪問ということになりますので、まずは沖縄大臣として沖縄振興ということをしっかりと掲げて、沖縄県民の皆様の思いを受け止めるというのが私のまず最初の仕事であると、使命であると思っておりますので、知事始め首長の方々、関係者の方々のお話をしっかりとお聞きをしてまいりたいと、短い時間ですので限りがあるかと思いますが、まずは県民を代表する首長の方々、知事始め皆様の御意見を承ってまいりたいと、このように考えております。
(問)尖閣諸島の問題で、ビデオ公開についてなのですが、どのように公開するかというのをもう少し詳しくお聞かせください。
(答)昨日の委員会でやり取りがありました。これについては理事会で協議をするということで委員長が引き取られまして、私どもとしては、この理事会で政府に提出を求めるということが決議されたと聞いております。今後、この理事会の決議を受けて国会として政府側への提出要望というものを事務的なことで調整が行われると承知しておりますので、私どもとしては、繰り返し申し上げてまいりましたが、検察当局、並びに海上保安庁それぞれがしっかりと連携をしながら協議して、そのことについて対応してまいりたいと申し上げてまいりましたので、今後、理事会の決議があったということでありますので、こうした状況の中で対応させていただきたいと思っております。
(問)その公開の具体的な見通し、どのような形で公開すべきか、大臣として御所見があればお願いします。
(答)これは理事会、国会でお決めいただいて、そして政府との調整がこれからということでありますので、それに従うということだと承知しております。
(問)公開することによる日中関係の影響についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)国権の最高機関である国会の御判断を受けて、政府側と調整だということでありますので、私はそれ以上それ以下でもないと。まずは理事会での決議がありましたので、それを受けた調整の最中にあるという理解であります。

(以上)