松本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年5月10日

(平成23年5月10日(火) 10:02~10:22  於:第5合同庁舎25階会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。二つ発言があります。
 昨年10月に我が国で開催された、生物多様性条約COP10での重要な成果の一つであるABS名古屋議定書への我が国の署名について、本日の閣議において決定をしました。これを踏まえて明日、5月11日、国連本部において開催されるABS名古屋議定書の署名式において署名することとなったのでお知らせをいたします。詳細については後ほど事務方から説明があると思います。
 もう1点、今年環境省に入省した新採用職員36人全員を東日本大震災の被災地に派遣をして、がれき撤去や国立公園の被害状況調査等の環境行政の現場体験をさせることとしました。全体を7班に分けて、1班1週間ずつ現地に派遣することとし、第一陣は5月11日、明日から出発をします。
 以上です。

2.質疑応答

(問)世界自然遺産への登録勧告が出ました小笠原諸島について、今後、正式に登録されれば、観光客が増えるということも予想されますが、自然環境への影響や、外来種持込といった課題について、今後、環境省としてどのような対策をとられますか。
(答)ツーリズムの問題は以前からずっと指摘をされて、外来種の問題はずっと言われてきたことでありますので、環境省としてもそのことをしっかり踏まえながら、外来種対策を行っていきたいし、また、地元の皆さんも良くやっていただいているということで、評価をいただいたわけでありますから、そういった方々と連携をしながら、これから正式の6月に向けて、またそれ以降に向けても努力をしていきたいというふうに思っております。
(問)がれき処理なんですが、仙谷副長官が、がれき処理を国の直轄事業とする考えを示しています。この問題について、副長官とはどのような話合いをされていますか。
(答)これは、ずっと一ヶ月ぐらい議論をしてきているわけですけれども、やはり、土曜日も新潟に行く前に、宮古の市長と電話で話をしたのですけれども、やはりがれきが一番困っているということもありまして、そういう経緯もあって、やれることは我々がやるということでありますし、いろいろな意味で地方自治体の意見を尊重していきたいと思いますし、例えば、宮城県知事からは、県内の災害廃棄物処理については、二次仮置場までの集積は県と市町村で行って、それ以後の焼却、破砕、埋立てなどの処理、処分は国で実施してほしいとの要望を受けておりますので、そういうふうに応じていきたいというふうに思っています。
(問)環境省として今後、国が直接やるための特例措置を設けるなど、制度の見直しは検討されますか。
(答)それも含めて、今、検討をしています。
(問)菅総理の要請に基づいて、中部電力が浜岡原発の停止を発表しましたが、環境エネルギー政策への影響も大きいと思われますが、この件についての受け止めをお願いします。
(答)当然大きいと思いますし、これから環境エネルギー政策をしっかり見据えていかなければならないと思いますし、かなり、経産大臣もかなり苦渋の決断だったと思いますし、中部電力も苦渋の決断だったと思いますけれども、30年で87%の確率で、東海地震がマグニチュード8.0級の地震が起こると予想されていますので、やはり、そういうことも含めてストップをしたのだろうというふうに思います。
(問)名古屋議定書の署名なんですけれども、国会の承認を受けて批准という手続きがあると思うのですが、批准をいつごろ考えていらっしゃるかということと、国内法の整備の問題もあるかと思うのですが、その検討状況、今後についてお聞かせください。
(答)国内措置の問題等については、急がせて急がせて、ずっとやっておりますし、これからも明日の署名を期に、何をやらなければならないのかということを、議長国ですから、特段、私は急がせていますので、なるべく早い時期にやっていくように指示はしています。
(問)批准の時期については。
(答)時期はまだ分かりません。
(問)各国が、効力を発するには基準があったと思うんですけれども、そのために議長国として各国への働きかけとか、どんなことをやっていきたいと思われますか。
(答)各国への働きかけはやっていきたいと、当然思ってますし、条文ごとに国内措置を確定をする必要があったり、また産業界や、いろいろなところの利害関係がある人たちと意見交換をしていかなければなりません。専門的知見を持った方とか、学術関係とか、そういった方ともしっかり議論をしながら検討を進めていきたいというふうに思います。現時点で新たな国内法の制定や、既存の法律の改正など、法的措置の可能性については、まだ言明をできないというふうに思っていますし、早期の締結を目指して作業を進めるように指示はしております。
(問)先ほど、新採用の職員の一週間被災地に行くお話がありましたけれども、これは環境省独自の対応なのでしょうか。
(答)残念ながら36人と少ないのは環境省だけと思うから、他の省はできないと思うけど、とにかく、私はこの震災を見て、防災担当大臣としても、皆さん方もそうですけれども、1000年に一度という震災を、やはり、記憶にとどめなければならないなと。若い人たちがこれから結婚して子供が産まれて、お父さんあの時どこにいたの、お母さんあの時どこにいたのと言われて、私もがれきの処理に行ったのよとか、行ったんだというふうなことを言わせてあげたいという意味で、もう一ヶ月ぐらい前から、いろいろな若い人たちで東北に行きたいという人たちに、是非行かせてくれということはずっと指示をしてましたので、ようやくそれができたということです。
(問)大臣の御判断で決められたという理解でいいのでしょうか。
(答)いや、示唆はしました。判断はみなさんが。だから、私ももう20市町村ぐらい行きましたけれども、見るのと東京に居るのとは全然違いますから、そこのところで、やはり、行かせてあげたいと、そういう思いがありました。
(問)将来の環境行政を担う職員たちという側面からいうと、どんなことを見てきてほしいと思いますか。
(答)国立公園の被害状況とか、がれきというもの、損壊家屋というもの、しっかり見て、イメージするというか、そういうのが非常に大事だなと。私も16年前の阪神淡路の時に、ずっと震災対応をしてきましたけども、あの時は100分の97.5でしたけど、今度はもう100にしないとだめだなというふうなこともすぐ思いましたし、そういう現場を見るということがどれだけ大事かということは、若い人たちもこれから学んでくれると思うし。ある意味では、昨日指示したのは、市町村がいろいろな質問してきますよね、本当に国庫でやっていただけるんですかとか、冷凍庫はどうするんですかとか、そういうことも含めて、行くからには、ちゃんと環境省がやっていることをしっかり、PCBの問題とか、そういうものもちゃんと答えられるようにして行きなさいよという指示はしました。
(問)昨日、総理と夕食を共にされていると思うのですけど、この二ヶ月の震災対応なり、今後の復興に向けて、総理からどんな話があったのか、指示も含めて。
(答)私ずっと3月11日の午後3時前から危機管理センターに入って、ずっと居ましたので。私は時々表に出たりしたけれども、大臣、ずっと厳しいところに居ていただいてありがとうから始まって、この2ヵ月間の話、ある意味ではねぎらっていただいたというか、これからどうしようかなという話もありましたけれども、具体的な話はありません。元気をいただいてきましたし。
(問)がれき処理の国直轄でという話のイメージなのですけれども、例えば、二次仮置場まで運んで、それから焼却、破砕という話だと、二次仮置場の中に仮のプラントができるとは思うのですが、補助金ではなくて国直轄とはなにを意味するのでしょうか、どういうことを。
(事務方)県と、我々としてどういう役割分担ができるかというのを内部で詰めていますので、またお話できるタイミングがあると思いますので。
(答)私としては、とにかくスピード感を持ってやってくれということだけ、ずっと言い続けて、震災が起こって10日後に、全国の処理場とか、埋め立てられるところとか、ある意味では、どこでもいいけれども、とにかく全国で探せという指示はして、環境省樋高政務はじめやっていただいて、とにかく仮置場まで行ったら安心するんだよと、そこからできるところは、中間処理、最終処理ができるところは、どんどんどんどんスピードアップやってくれという話をずっとしてますので、そのことも含めて。自治体がやはり一番困っている、被災者が一番困っている、がれき処理が遅いということは、国として政府として我々もそれは責めを、いろいろな方から言われるから、責めを負いますけれども、一番きつい責めを負っているのは首長なんですよね。そこのところの、やはり、昨日、陸前高田の市長とも連絡を取りあったけど、そこが一番嘆いてましたね。彼が一ヶ月前に行ったときに、いろいろ言われるけど、なかなか出来ませんよねという話を、彼らも嘆いてましたから、そういうふうな意味で、私たちもそれをお手伝いをするということを、仙谷さんが日曜日に言ったのだと思います。
(問)関連なのですけれども、がれき処理をめぐっては、福島県の放射線を帯びたがれきの処理というのが、かなり課題になっていると思うのですが、これの処理を国が直接やるということについてはどのようなお考えでしょうか。
(答)これは、指針はもう福島出したでしょう、だから、それに基づいて動いているというふうに思います。
(問)今、当面の間保管してくださいという指針が出ていると思うのですけども、具体的な処理方針が決まった後、その処理の実務を国がやる可能性についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)今調整中でしょう。
(事務方)特に今のところ要望を聞いておりませんので、市町村中心に処理が進むのだろうと、今、そう考えております。
(問)浜岡原発の続きなのですけれども、仮に再稼働をするにしても2,3年かかるということが論じられてますけれども、そうなりますと、京都議定書の約束期間内には、恐らく再稼働が無理な状況かと思うのですけれども、改めて6%目標達成に向けて、どのような、今後、対策が追加で必要なのか、大臣のお考えをお願いいたします。
(答)それは、福島も含めて、浜岡も含めて、こういう状況になったということは、私たちもしっかり見ていきたいし、それに向けて再生可能エネルギーはどうしていくか、今日もIPCCの発表も載ってましたし、2050年までに77%というシナリオもあると。やはり福島のことを受けて、私はずっと再生可能エネルギーの最先端を環境省はいくべきだということで、昨日も実は菅総理はそういう話は一緒に、少ししました。しっかり環境省やってくださいという話で。
 昨日は新聞見たら環境省オンパレードだったですね。
(問)原発について防災担当大臣として伺いたいのですが、浜岡は総理が要請という形をしたのですが、その他、様々な機関がリスクの評価などしている中で、活断層の危険がある原発とかあると思うのですが、そういったような原発に関しては、防災担当大臣としてどのようにお考えですか。
(答)それは見ていく必要があると当然思っています。浜岡はそういう状況で、東海地震、東南海、南海と三連動ということで、中央防災会議をやっていただくことで、今、進めておりますので、それは専門家の意見等々を聞きながら、これからの判断だろうと思います。
(問)先ほどおっしゃった再生可能エネルギーのことなのですけれども、具体的に例えば東北の被災地のところで、こういったことをやろうという考えは出てきているのですか。
(答)アイディアはいろいろありますよね、三陸は太陽光も風力もポテンシャルが高い。びっくりしたのですが、本当にあまり雪が降らないというか、日本海側と違って、全然様相が違って。宮古に行ったときは避難所は風が強かったし、結構雪も降らないから、ポテンシャル高いなと。だから、復興住宅なんかにね、併せて導入ができればという環境省的な希望というか、そういう思いはありますよね。
(問)昨日の夕食会で、菅総理が再生可能エネルギーについてお話をされたということですけれども、なにかアイディア出されたりだとか、どんなお話をされてらっしゃいましたでしょうか。
(答)ちょっと、教えません。
(問)小笠原の世界遺産登録についてお伺いしたいのですけれども、先ほど勧告で外来種対策なども挙げられてましたが、今後登録に向けて、変えていく、強化していくというお考えはあるのでしょうか。
(答)変えていくというか、勧告の中でいろいろありましたよね。やはり東洋のガラパゴスですから、そういう意味では、外来種問題が一番大きいだろうと、そしてやはり、なによりも地域のみなさんとか、あそこで今まで頑張ってきた人たちと環境省も連携をとっていきながら、持続可能な生態系を保存していくということは、やはり、持続していきながら、我々も地域の人たちと連携をして、外来種対策に取り組むということですよね。大きいものもできるなら環境アセスもしっかりいるだろうし、そういうものも含めて、常に努力をしていきます。
(問)改めてお伺いしますが、今回登録されれば国内で4カ所目の世界自然遺産になりますが、小笠原が登録されることの意義ですとか、意味合いはどのように。
(答)素晴らしいと思いますよ。屋久島と白神が最初、それから知床でしょう。嬉しいですね、最近無かったから、もの凄く嬉しいし、しかも平泉もいろいろプレゼンテーションの仕方を変えてきたということは、これからの文化遺産もいろいろな意味で学ぶべきことも多いと思いますよ、絞り込み作業があったりと。

(以上)