松本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年1月5日

(平成23年1月5日(水) 10:35~10:49  於:第5合同庁舎25階会見室)

1.発言要旨

  明けましておめでとうございます。第1回目の閣議後の記者会見ということで、今年還暦を迎えます私、一言御挨拶を申し上げます。
 まず、地球温暖化対策については、昨年のCOP16においてカンクン合意が採択をされましたが、南アフリカで開催されるCOP17に向けて、すべての主要国が参加する公平かつ実効性のある枠組みの構築に取り組んでいきたいというふうに思っています。また、すべての地球温暖化対策の基礎となる、地球温暖化対策基本法案の早期の成立、温暖化対策税の導入、排出量取引制度の検討に向けて、すべて全力を尽くすとともに、エコ投資への支援、削減努力をした者が報われる社会基盤の整備や検討を進めていきたいというふうに思います。
  また、生物多様性関係では、昨年のCOP10の愛知目標やABSに関する名古屋議定書の合意がありましたが、今後、愛知目標の達成のためのロードマップを示すべく、生物多様性国家戦略の見直しに着手するとともに、国立公園などの保護地域の拡充や絶滅危惧種の保護施策の推進など、生物多様性施策の充実を図りたいというふうに思っております。
  また他にも、レアメタルのリサイクルを始めとする静脈産業の育成等、経済対策の側面にも配慮して、循環型社会や安全・安心な生活を実現するための取組を積極的に進めていきたいと考えております。
 防災関係でありますけれども、昨年は、奄美大島における記録的な大雨、局地的に大きな被害をもたらす豪雨災害が何回か発生をいたしました。10月20日の大雨直後から担当部局に指示し対応してきました。3人の方が亡くなられましたけれども、こうした災害から得られた教訓を生かしながら、災害時の孤立集落の通信手段確保などに取り組んでいきたいというふうに思います。
  防災及び原子力安全を担当する大臣として、いつ起こるか分からない災害に備えた災害対策や原子力の安全確保に着実に取り組むとともに、平素から、常に緊張感を持って責務を全うする決意であります。折しも、昨年末から大雪が降っておりまして、年末年始には交通機関の麻痺や停電などの被害も発生をしております。私自身も、年末年始東京におりまして、防災関係の方々からも逐一情報を入れていただいておりますけれども、引き続き、大雪を始めとするあらゆる災害に対して、警戒を怠りなく備えていきたいというふうに思っています。
 いずれにしましても、環境問題も防災の対応も、人の命に関わることでありますから、全力を尽くして、これからも、いきたいというふうに思っております。
 2点目でありますけれども、高病原性鳥インフルエンザについては、これまでに、島根県、鳥取県、富山県、鹿児島県の4か所で発生しており、環境省としては野鳥の監視体制を強化をしております。現時点においては、島根県、鳥取県及び富山県における、野鳥での新たな発生は確認されていないところで、一方、鹿児島県における発生については、絶滅危惧種であるツル類が出水市に多数かつ高密度に生息していることから、年末年始も監視を強化。現時点においては、加速度的・爆発的な感染拡大は確認されておらず、小康状態を維持しているというふうに考えております。環境省として、関係府省等と連携をしつつ、有識者の指導・助言を踏まえながら、引き続き取り組んでまいる所存であります。
 以上でございます。

2.質疑応答

(問)鳥インフルエンザについてお伺いいたします。現在、出水などでは小康状態という話もありましたけれども、隣の国、韓国でも相当感染がされてますけれども、韓国の状況を受けて、国内の対策というのを強化する考えということはないのでしょうかということが一点と。渡り鳥については、今回の出水なんかの例もありまして、分散飼育の必要性ということを訴える有識者の方もおられますけれども、その分散飼育についてどう考えておられて、今後どういう手立てをとっていくのか、その辺のことをお伺いしたいと思います。
(答)韓国も大変な状況にあるし、アメリカでも原因不明で、5000羽近くが亡くなったという話です。渡り鳥のことに関しては、専門家といいますか、学識経験者の知見というのが、我々にとっては大きく参考になるだろうと思っています。分散のことについても、密集するから余所にいかないという見方もあるし、餌を与えるから、また密集して鳥インフルが広がりやすいという見方もありますから、いろいろな方々の知見を踏まえながら、適切対応していくということに尽きると思います。
(問)越冬地のツルの分散化について関連なのですが、環境省としても、たぶん02年か03年ぐらいから、分散化ということで検討されてきて、必要だというようなことで、今までもいろいろやられて、なかなか進んでなかったと思うのですが、今回の鹿児島でのことを受けて、本格的に、今回こそもう一度越冬地の分散化について、出水だけのことではなくて、西日本地域に何カ所か分散するということもあるかと思うのですが、そういうことに本格的に検討していくというような、お考えというのはありますでしょうか。
(答)02年、03年のことは。
(事務方)事務方から補足させていただきます。御指摘のとおりツルの分散化については、これまで環境省で取り組んでまいりましたけれども、顕著な成果はこれまで得られていないところでございます。鹿児島県の今回の事態につきましてですね、今後の分散化につきまして、有識者の意見を聞きながら、案件として考えていきたいです。
(問)防災関係で、年末年始に山陰で大雪の災害があったのですが、これについて、現地のほうでは国道の除雪が遅れたということに、国が動いている国道なので、地方が入れないであるとか、そういったようなことがあるのではないかということで、現地の知事も国に対応を求めていくということをおっしゃっていました。それについて、どのようにお考えなのかということと、漁船の被害などで激甚指定を求める考えも現地から出ています。これについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)先ほどもお話しましたように、内閣府としても災害対応に万全を期すように、24時間体制で情報収集をしてまいりました。例えば、1月1日未明の国道9号線渋滞や、1日の夜中の孤立集落発生等の情報を受けて、自治体や関係機関に対して被害状況及び対応状況の確認を行ってまいりました。我々もできる限り、交代でチームを作って、年末年始、警戒態勢をずっと行っているということを、私もつぶさにこの目で見てまいりましたけれども、今後とも高齢者の方々の住宅の雪下ろしや、ライフラインである道路の除雪等、引き続き大きな課題として認識しておりますので、適切に対応してまいりたいと思います。
 激甚の指定につきましては、今、調査中でありまして「共同利用小型漁船に係る激甚災害の判定」というのがありますけれども、指定基準が100隻以上、また、組合数が10分の1以上ということが、激甚指定の要件となっておりますので、ここも、今、鋭意調査中であります。船がどういう状況なのかというのも、少しまだわかりませんので、鋭意これから調べて取り組んでいきたいと思います。
(問)年末にもお話が出たかと思うのですけれども、中長期ロードマップ、排出量取引、とりあえず中間報告ということで、年末ありましたが、今後の取扱ですね、温暖化基本法の成立をなによりも目指していくということで、国会の運営のことで、スケジュール感も含めてお考えをお聞かせ願えませんでしょうか。
(答)昨日もそのことで1時間以上議論をいたしました。そういう意味では、これから税も含めて、どういう状況になるかということもシュミレーションもしていきながら、排出量取引の関係についても鋭意、これから環境省として、どういう取組をしていくかということを、年明け早々に議論をしているところであります。ロードマップの話等々ありますし、中環審の話もありますから、いろいろな意味で、ロードマップをしっかり読み込んでいきながら、我々も早急な対応をしていくという意思確認は昨日して、これから取り組んでいこうということにしております。
(問)ロードマップなんですけれども、小委員会、排出量取引も、引き続きあの形で、メンバーも一部変わるのかもしれませんが、続けて検討していくということでしょうか。
(答)小委員会では出たんですよね。
(事務方)小委員会の中間整理については、部会に報告したところです。
(答)地球環境部会に報告しましたので、そこのところも、こんな厚い本ですから、小委員会報告が。それもまだ、きれいに私も全部読んでませんし、読み込んで、そこはやはり、小委員会の報告が、大きなこれからの組み立ての基本となるというふうに思いますので、そこのところからスタートしていきたいというふうに思います。
(問)昨日議論されたというのは、省庁内で排出量取引について議論されたということでしょうか。
(答)今年、今申し上げましたとおり、正月を迎えて、昨日から初出ということで、とにかく、温暖化対策基本法が一番大きなマターですから、そこのところをもう一回みんなで、これからの対応等々も含めて、議論していこうやという、年頭の決意みたいなものを皆で確認し合ったということです。

(以上)