松本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年11月30日

(平成22年11月30日(火) 12:15~12:30  於:参議院別館3階・環境省控室)

1.発言要旨

 発言が2つございます。
 閣議前に地球温暖化に関する閣僚委員会が開催され、メキシコ・カンクンで開始された気候変動枠組条約第16回締約国会議、COP16に関する我が国の対処方針について議論をいたしました。閣僚委員会では、私から、COP16においては、京都議定書の延長ではなく、コペンハーゲン合意を踏まえ、米中を含む全ての主要排出国が参加する公平かつ実効的な国際的枠組を構築する新しい1つの包括的な法的文書の早急な採択を目指して、国際交渉を進めるという我が国の考えを示しまして、了承をされたところであります。COP16へは、私自身、国会のお許しがいただければ、閣僚級会合に出席をし、陣頭に立って、当該方針を踏まえ交渉の進展に努力してまいりたいというふうに思います。
 続きまして、12月は、大気汚染防止推進月間及び地球温暖化防止月間であります。この期間中、大気汚染防止活動の環境大臣表彰を行います。また、地球温暖化防止活動の環境大臣表彰を行うほか、地方公共団体や地球温暖化防止活動推進センターが、各地で地球温暖化防止のためのキャンペーン活動を展開をしています。大気汚染や地球温暖化の防止に向けて、皆様、一人一人の積極的な取組をお願いをしたいと思います。
 以上です。

2.質疑応答

(問)温暖化対策の閣僚委員会ですけれども、COP16の対処方針ですが、京都議定書の単純延長、いわゆる単純延長に反対ということなのですけれども、ただ、そういう話が出てきている背景には、このままでは空白期間が生まれかねないとか、それから、なかなか交渉が進まないというような、現実論というのもあるかと思うのですけれども、そうした中で日本の方針というのはですね、理解を得られるでしょうか。または、どのようにして理解を得ていく、その努力をされていくつもりでしょうか。
(答)理解を得られるように努力を、まずいたします。そして、COP10でもそうですけれども、やはりEUが、条件としてとか、いろいろ言う言葉がありますけれども、その真意というのは、まだまだ話をしていきながら、ある意味では、実の心を聞くというか、そういうところをしっかりやっていかなければならないと思います。交渉にかかわる方針ですから、あまり詳しく述べられませんけれども、COP16では、次期枠組の構築に向けたバランスの取れた合意というのを目指していきたいと思います。地球規模でCO2を削減し、その濃度を安定化させるためには、すべての主要国が参加する公平かつ実効性のある枠組が不可欠であります。この枠組を目指して、COP16においては京都議定書の延長ではなく、先進国と途上国がともに協力をして、排出削減を進めていくためのバランスの取れた合意を目指していきたいというふうに思っております。
(問)日本の主張が成就できなかった場合の対応というのは、仮定の話ですけれども、どんな具合に考えておられますか。
(答)いや、それはもう、とにかく成就するように努力を重ねるということですね。
(問)日本が、最小数グループになっても、主張を、方針を貫くということですか。そうするとやはり日本がね、京都議定書を自ら放棄したというか、そういう、国際的なものが出てくると思うのですけれども。
(答)京都議定書は、まだ生きていますから、そういう意味にはならないと思うし、今の状況の中では、京都議定書は排出量でいえば27%ですから。前は42%だったのが27%ぐらいになっている。ですから、そういう意味では、一部の国が高い削減というのを負う枠組ではなくて、あくまでも、全ての諸国が参加する実効的な枠組を作っていかなければならないというふうに思っております。こうしたことに向けて、粘り強く交渉し続けていくという以外にないですね。
(問)大臣のお気持ちは分かるんですけども、かなり短期的な視点という感じがするんですけど、中長期的な観点というのはどうですか。
(答)今言ったとおりです。
(問)大臣。コペンハーゲン合意に25%削減条件付きと書いてますが、一方で、それを明記している地球温暖化対策基本法案がCOP16現時点ではまだ成立してないという状況で、交渉に向かわれるにあたって、基本法案がまだ成立していない段階で向こうに行かなきゃいけないうのは交渉になにか影響がありますでしょうか。
(答)それは丁寧に説明していきたいというふうに思います。国会の状況等を説明していくと。臨時国会で仕上げていけば良かったと思いますけれども、そういう状況に無いということも、やはり、丁寧に説明していかなければならないと思います。
(問)今回のCOP16では、次期枠組の合意自体は、少し難しいというような現状があると思うのですけども。大臣として、どういったことが今回のCOP16で達成されれば、今回のCOP16は成功だったというふうに、大臣として言えるかどうか。
(答)先ほどからずっと言っているとおりに、一部の国々が削減の義務を負うということではない、コペンハーゲン合意が膨らんだ形というか、そこに削減目標とか、いろいろなものが、一番大きな80%の国々がそれぞれ、大半の国々がそれぞれ義務を負うという形であればね、それは大きな合意だろうけども、そこに至るかどうかというのは、かなり厳しい状況だということは言わざるを得ないというふうに思います。
(問)島根県の鳥インフルエンザに関してですが、明後日ですね、佐渡からトキが移送されて、分散飼育が始まる予定なのですが、分散飼育計画に影響といいますか、そういったものは、現在検討を含めてあるのでしょうか。
(答)出雲市へのトキの移送は、12月2日に佐渡を出発し、3日に到着する予定で計画をしていましたけれども、しかし、今回の鳥インフルエンザの疑い事例を受けて、出雲市へのトキへの移送については日程を延期いたします。移送日については、今後の状況により、改めて検討いたします。
(問)やはり、安全面とか、トキへの感染とかを懸念してということなのでしょうか。
(答)そうです。
(問)鳥インフルエンザに関してですね、今後の対応について、お考えをお聞かせいただきたいのですが。
(答)新しい情報も含めて読み上げさせていただきます。
 安来市の養鶏場における鳥インフルエンザの疑い事例については、政府に対策本部が設置されました。環境省としても、地方環境事務所等に対応を指示しております。
 環境省としては、農林水産省と関係府省及び島根県と連携を図るとともに、専門家の意見を聞きながら、適切に対応をしてまいる所存です。
 これまでのところ、昨日のうちに、中国四国地方環境事務所に対し、周辺の鳥獣保護区等において、死亡野鳥がいないかどうかの調査に早急に着手するよう昨日のうちからしております。
 今日は、全国の環境省出先機関に対しても、野鳥の監視体制の強化の徹底を指示するとともに、各都道府県に対しても要請を実施をしているところであります。
 鳥インフルエンザは、通常の生活では鳥から人に感染するものではないので、周辺の住民の方々におかれては、過剰に心配することのないよう、冷静な行動をお願いをしたいと思います。
(問)先ほど、COP16の関連なんですけれども、EUの実の心を聞きたいというふうに。
(答)前提条件とか言葉では分かるけれども、やはり、フェイストゥフェイスじゃないと分からない部分も、結構、COP10もそうでしたけれども、対面で話せば理解できることもあるだろうし、理解できないこともあるだろうし、そこのところは、前もって近藤副大臣にも行ってもらいましたし、地球環境審議官にも話を聞きますけれども、本当の思いというのを、この目と耳で確かめるということから始まるだろうと。
 ここで行かれる方々おられる。みなさん行かれる。情報仕入れてくださいね。そして教えてくださいね。
(問)EUが京都議定書延長論に傾いてるというその点についておっしゃったのですか。
(答)いやいや、というふうにマスコミの皆さん方書いているじゃないですか。だから、どの程度の前提条件なのかとか、どの程度そこまでいってるのかというのが、まだ少し理解できませんから、そこのところも行って、お話をするということです。
(問)それによって日本もEUに同調する余地、可能性もあるということですか。
(答)それは、世間で言われているような状況ではないですよ。
(問)鳥インフルエンザの対応でですね、今年、口蹄疫が発生したりしたんですけれども、口蹄疫の教訓などで、特に留意される部分というのはありますか。
(答)私どもは経路を調べたりですね、野鳥の関係ですから。農水省が所管ということで、我々はバックアップしていくということで、経路とか、この間の様々な経験はやっていきたいし。専門家の意見というのが大事だろうということで、やはり、いろいろな方々が、いろいろな知見を持っておられる方々もおられますので、農水省あたりが、もう連絡をとりあってやられているというふうに思います。いろいろな意見が閣僚委員会で出ましたので、それはもう皆さん御存知だと思いますから、ここでは言いません。
(問)地球温暖化対策税についてお伺いしたいのですが、民主党のほうも、だいたいの希望感が出てきて、石油石炭税を2400億円に想定するということなのですけれども、この額に対しては、環境NGOからは削減効果が不十分だと、もっと高く上げろというような声もあるのですが、大臣としてはどのように評価されていらっしゃいますか。
(答)党と政府でやっておられますから。不十分だということ、それはコメントがしにくいから、ここでは差し控えます。党と政府のほうで、これからしっかり議論されると。
(問)馬淵国交相と、仙谷官房長官への問責決議の可決についての受け止めと、野党が、お二人が出席する国会審議への出席を拒否されているような姿勢が報道されていますけれども、そちらについての御所見があればお願いします。
(答)仙谷さんはノーコメントと言ったから、私もコメントする立場に無いし、どちらも、仙谷さんも20年以上の付き合いだし、馬淵さんも良くやっておられるし、結果的に問責は参議院で決議されたけれども、まだ、しっかり、大切な、無くてはならない人達ですから、しっかりやっていただけると思います。

(以上)