海江田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年1月7日

(平成23年1月7日(金) 10:35~10:58  於:合同庁舎第4号館6階642会見室)

1.発言要旨

 先ほど閣議を終えました。今日の閣議は、内閣官房組織令等の一部を改正する政令を決定をしたところであります。首相の秘書官を1人増やすということでございます。
 それから、閣議で交通事故の死亡者がだいぶ減りましたと。4,863人で、一昨年57年ぶりに5,000人を下回ったそうですけれども、そこからさらに減っているということでございます。
 それから、閣議の後は、医療イノベーションですか。この医療イノベーションの本部というのですか、これを立ち上げをするということであります。およそ、そんなところでございます。

2.質疑応答

(問)TPPに関してなのですけれども、総理が6月をめどに最終的な判断を出すと表明したことに関して、前原外相はこれを訪米先で賛同する意見を表明した一方、大畠経済大臣ですとか鹿野農水大臣は、やや慎重な姿勢を示しているといったように、閣内でまだやや温度差があるかなと感じられるのですが、大臣はその6月をめどに最終結論を出したほうがいいとお考えかということを含めて、もう一度改めてお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
(答)私は、かねてからTPPというのは、日本の経済を活性化する上で大変大切な要素だということをお話をしておりましたので、できるだけ早く正式に国内の環境を整えて、できるだけ早くこれを決めることが大事だと思いますので、その意味では、6月に決めるということであれば、それでよろしいかと思います。そこへ向けての環境整備をしなければいけないということです。
(問)大臣がよく、今年を新成長元年にしたいということをおっしゃっていらっしゃいますけれども、そのことについて3点質問させてください。
 1点目は、その解釈について。カンフル剤、政策効果に頼らないで新成長戦略の実行によって、緩やかだけれども確実な回復をしていくという解釈でよろしいのかどうかということと、2点目は、新成長元年にするために何が大切かと。新成長戦略の実行だと思うんですけれども、その中で特にポイントとなる部分は何かということと、3点目は、国民が新成長元年だと実感できるのはいつかと。もしくは例えば景気回復が実感できるのはいつぐらいになるのかと、この3点についてお聞かせください。
(答)私は、新成長戦略元年にしようということを言っておりましたけれども、先だってシンガポールへ行ってきまして、そこでゴー・チョク・トン上級大臣ともお目にかかってまいりましたけれども、御承知のように、シンガポールも実は成長戦略を2009年2月でしたか、これを策定をして、そして、そこにのっとって着実に成長を遂げているということでありまして、私どもの新成長戦略は6月でございましたけれども、ほぼ軌を一にしまして、そういう新成長戦略を発表したということで、シンガポールは非常に好調な経済の状況、おそらく今年も暦年で2けたに行くだろうということでありますが、我が方は、その意味ではGDPの成長もシンガポールよりはだいぶ低いわけでありますが、それでも今年度は、今年度はというか今のまだ年度ですね、これはかなり先進国の中では高い成長率が期待されるだろうということでありますので、来年度はやはりどうしてもゲタが高くなってしまいますから、そこから若干の鈍化というものはあるだろうと思いますけれども、やっぱり着実に成長していくことが大切だということ。
 それから、その意味では、私もこの任に当たりましてから、色々なところで新成長戦略の中身について説明をしているところでありまして、徐々に経済界あるいは一般の企業人と申しますか、中小企業の経営者なんかも含めて、新成長戦略というものについて理解が進んできたところでありますから、やっぱり今年こそといいますか、新しい年度というのは1人でも多くの方々に、この新成長戦略の中身を理解していただいて、そしてやっぱりこの方向が日本の進むべき方向だということを理解した上で、それぞれの方たちが経済活動をしてもらいたいというふうに思うわけであります。
 ちょっとやや長くなりますが、日銀がこの新成長戦略に合った融資を行うということを決めて、そして日銀自体の枠はありましたけれども、それだけでは応募者がたくさん来まして、ではそれならばということで、民間の金融機関も独自にそうしたこの成長戦略の枠を設けて、その新成長戦略に応じる基準に合った貸し出しはどんどん増やしていこうという形で、その意味ではこの日銀あるいは民間の金融機関なども、政府の決めました新成長戦略というものを理解していただいて、そこに向かって日本の経済全体を引っ張っていくというような方向になりましたので、私はこれは大いに大切だなと思っております。
 そして今、冒頭の質問の3つの第1問、まさに新成長戦略は日本の進んでいく方向でありますので、そこに従って、経済がカンフル剤でなしに、方向性を出したわけでありますから、後はそれぞれの企業は自律的に判断をして経済を回復させていく、景気を回復させていく動きをそれぞれがやるという年にしたいという思いでございます。
 何が大切かということは、これは7分野21プロジェクトあるわけでありまして、その中で若干まだ遅れているかなという部分もございます。例えば7番目の金融分野というのは、これはもう御承知だろうと思いますけれども、新成長戦略自体は、その前の年の、一昨年の12月30日でしたかね、かなり年の瀬に決めたものでありまして、そのときは金融のセクターというのは、もちろんセクターとしては入っていましたけれども、その第7番目の分野というような形では位置づけをされていなかったわけですが、去年の6月の閣議決定のところで位置づけが行われたということで、少しやっぱりその分の遅れなどもあります。
 ですから、そういう先に行っている部分も遅れている部分もありますが、やっぱり私はその中で大きな柱は、グリーンイノベーションと、それからライフイノベーション。今日はそのライフイノベーションの中から医療イノベーションという形で、さらにそこのところを突出してやっていこうということがありましたが、これは大切な2つの大きな柱だと思います。あと、遅れている金融の面での改革を進めていくということが差し当たって必要な点かなというふうに思っております。
 それから、実感できるのはいつかということであります。これは新成長戦略というものの認識というのは広まってきているというふうに考えておりますが、そして、一部の企業などでは、ここに自分たちの企業の生き延びていく方向性があるのだということで、先ほどもお話をしました金融機関の融資なども利用しているところもありますが、まだまだ全般ではありません。
 私は今、中小企業などもこれから間もなく、来週になるのですかね、見に行くつもりでありますが、やっぱり中小零細企業というのも、もちろんこれまでの業種をしっかりと頑張っていくという方向性もありますが、やっぱり新しいこの業界と申しますか、新しい業態に移っていくということも、これもまた必要でありまして、そのときに移っていく方向が今お話をしております7分野21プロジェクトの方向に移っていけば、色々な形で後押しがあるわけでありますから、ああそうなのだなと、新たな事業展開をやるときの一つの物差しとして、この新成長戦略が本当に多くの方に認識されるということは、今年1年ぐらいかけてやっていきたいなというふうに思っております。
 景気回復の実感がいつごろになるのかというのは、なかなか難しい問題でありますが、昨日あたりも株が大きく上げまして、それから今は新年会のシーズンですからずっと地元を回っておりますが、やっぱり今年の年初、東京地方は天気がよかったということもあります。ほかの北陸ですとか、中国、山陰のほうはなかなか厳しい天気もありましたけれども、東京のあたりは大変穏やかな天気が続いたということもあって、町に人が出ている、その出ている人が少しずつ買い物をしているというようなこともありますから、ぜひこの流れというものを広げていきたいと思っております。ちょっと長くなって、散漫になりましたけれども。
(問)前回の記者会見で、デフレ脱却が今年の政府の目標であるというふうにおっしゃっていただいたんですけれども、8月に総務省のほうで消費者物価の改定がありまして、市場では0.5%ぐらい下方修正になるのではないかというふうに見られています。そうすると、来年度も物価のプラスというのはなかなか難しいのではないかという見方が市場では多いんですけれども、この改定のインパクトというのをどのように見ていらっしゃるか、改めてお伺いできればということと、あと政府・日銀の政策対応と、これも改めて教えていただければと思います。
(答)この物価の改定というのは前から決められたことでありますから、これはもう従来も時期が来ればやっていたことでありまして、政府が今年は何としても物価をプラスに、水面上に上げたいという思いはありますけれども、だからといって、その改定のスケジュールを遅らせるとか、そういうことはとるべきではないと思っていますから、そこは予定どおり粛々とやらなければいけないというふうに思っております。
 そうしたことが、おそらく押し下げ要因になるだろうということも、市場でそういう見方が多いということも私どもは理解をしておりますので、その上で私どもは、新しい年度では、まず年度を通してはプラスマイナスゼロということですから、一時的に水面上に顔が出るということもあるでしょう。それを踏まえた上で、デフレ脱却が来年中ということでは正確に言いますとありませんけれども、まずやっぱり水面上に出なければいけませんから、そして、そういう水面上に出た状況が長続きをしてデフレ脱却と、こういう流れになっておりますので、その意味では繰り返しになりますが、改定は粛々としなければいけない。だけれども、その粛々とした上で、やはり目標とすれば、とにかく来年度は1年を通じてプラスマイナスゼロということであります。
 もちろん、8月の前に6月の年央の、もう一回の見直しというのもありますから、注意深くそういうところでも見ていくということであります。
(問)政権運営ということをお聞きしたいのですが、大臣が着任されて、この年末まで玄葉さんと仕事のすみ分けという意味では、色々試行錯誤をされてきたと思うのですけれども、経済財政政策の司令塔というのをどう考えているのかと。
 諮問会議がなくなってから、経済財政相の役割というのがかなり変化していると思うんですけれども、そういう玄葉さんとの役割分担をどう考えるかという点と、それから諮問会議なき経済財政相というのは、やってみてどういういう感想を持たれているのか。
 それから、年末に重要な事項がどんどん昨年も決まったわけですけれども、諮問会議があれば、常にそういうものは年を通して順番に処理していくというようなやり方ができると思うのですが、今を見ていると、年末にすべての重要な事項がばたばた決まっていくと、慌ただしく決まって、すごく政権運営という意味では非常に稚拙なんじゃないかという批判が成り立つかと思うのですが、その辺についてどう考えられていらっしゃいますか。すごく難しいんですけれども。
(答)本当に難しい質問をありがとうございます。
 司令塔ということで私と玄葉さんがいるじゃないかというような意見もありますが、実は私もちょっと調べてみたのですけれども、司令塔というのは、もちろん船のブリッジで、そこに艦長以下、色々な昔の海軍の用語で砲術長だとか砲雷長とかそういうのがいて、そこで大体その方向を決めるというのが、これで司令塔なのですね。
 ところが、最近の船は、もちろん司令塔、ブリッジがあって艦長がいて司令官がいるのですが、実際には、CICという、たしかCIC、コンバット何とかですから、戦闘指揮所というのがあるのですよ。イージス艦でも全部そうですけれども。実は司令塔でやる部分と戦闘指揮所でやる部分が、どんどん司令塔から戦闘指揮所に移ってきているんですね。だから、その意味ではあまり司令塔ということにこだわらなくてもいいのではないかなというふうに思っております。
 ちょっと煙幕をはりましたけれども。
 それから、年末の話は、なかなか貴重な御指摘なので、よく私もこの年末何があって、自分自身がどう関与してというようなことを考えたいと思っておりますので、もう少し、今の質問に対するお答えをきちっとした形でやるのには、もう少し時間をいただきたいなというふうに思っております。まだ正月の、今日は7日ですか。今日やっと門松がとれるときでありますけれども、もう少し待っていただきたいというふうに思います。
(問)政治主導法案が成立する見通しがない中で、諮問会議は法律上残っているわけですね。これを使うとか、もしくは活用するというお考えはないんでしょうか。
(答)片一方で国家戦略室があり、ただ、これもまだ室のままですし、それからどういう人が国家戦略担当の大臣になるのかということによっても、これはそれぞれ仕事の分担とかが違ってくると思いますので、もう少し、そこも時間をいただいて、それで考えさせていただきたいなというふうに思っています。私も宿題で、よく考えます私も。
(問)一昨日、テレビ朝日の番組で菅総理が御出演なさりまして、党の人事と内閣改造について、もうはっきりと断行するということをおっしゃっているわけなのですけれども、今後、国会を前にして、どう、その人事を、それから内閣改造はあるべきかと、その辺についてのお考えをお聞かせください。
(答)この人事というのは、トップの人の専権事項でありますから、それはもうやっぱりとやかく言うべきことではありませんね。
(問)今、3つぐらい前の質問で、消費者物価指数の下方改定が加味された上で物価をプラスマイナスゼロにということをおっしゃったと思うのですけれども、政府の経済見通しの発表の際は、その改定が加味されていなかったと思うのですけれども、そういうふうな形の発表があったと思うのですけれども。
(答)改定を加味したということは言っておりませんので、そういうこともあるということは当然理解をした上で。だから、加味をしたということになると、それを考慮して、そして例えばプラスマイナスゼロというときに、それを入っているということではないですから、そういうのは違いますから。だけれども、今年の8月にそういうものがあるということはもう分かっていることですから。ただ、それがどのくらい影響を与えるかとかいうことをきちっと計算をしてというのが、加味してという意味だろうと思いますけれども、そうではなくて、あるということはもう分かっていることですよと、当然のことながら。しかし、そこで出したのは今年度はプラスマイナスゼロということですからということで、実際には本当に、どういう項目の入れかえをやってということによって決まってくる話ですから。あるけれども、だけれどもその中でも、やっぱりプラスマイナスゼロは目標として掲げましょうということですから、そういうふうに御理解をしてください。
 だから僕は、加味という言葉を使っていなかったと思うのですけれども。後で見ればわかりますよ。
(問)いわゆる下押し要因になるわけで、物価見通しですけれども、改定があると下振れするという。そうすると0.0なので、最終的にその改定作業があると、0.0の達成は難しいんじゃないかというふうに思われるんですけれども、それはどういうふうに考えられていますか。
(答)これからおそらく国会でもそういう議論にもなろうかと思いますが、ただ私どもは、来年度の予算、それからこれまでの既にステップ1、ステップ2ということはやってきたわけでありますから、やっぱりこういうことを、その成果を見ていかなければいけないわけでありまして、そういう中で総合的に判断をして、0.0を目標ということで、見通しですね、ということで出していくわけであります。

(以上)