海江田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年1月5日

(平成23年1月5日(水) 10:35~10:53  於:合同庁舎第4号館6階642会見室)

1.発言要旨

 皆さん、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
 先ほどまで閣議がございまして、総理から、皆さん、おめでとうございますと。そして、昨年はみんなで多くの課題に取り組んできたと。新しい年は懸案の課題が幾つかあると。一つはやはり社会保障と税の問題。もう一つは貿易の自由化と農業の発展と。こうした課題があるけれども一緒に頑張っていきたいと、そういうお話がありました。閣議はそこまででございます。
 あと、閣僚の懇談会がありまして、私から年末にシンガポールに出張しましたので、そのシンガポールの出張の報告をごく簡単に行いました。その後、控室に出まして、新春でもありますので、日本酒をほんの少し飲みまして、乾杯ということで、昨日の伊勢神宮の感想などもあって、お開きになって、いよいよ今日からぞれぞれの仕事を始めると、こういうことでございます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)2点お伺いします。1点目は、今ちらっとお話ありました、消費税、社会保障に関してなんですが、菅総理は昨日の記者会見で消費税上げを含む税制抜本改革を6月までに方向性を出すと、こう発言されました。これに関して、海江田大臣は6月までに具体的な個々の税率まで示すべきとお考えかどうか。また税制改革はいつまでに、またどんな条件が揃そろったら実施すべきと、この辺について考えをお願いします。
(答)昨日の総理の会見で、6月までに社会保障と一体化したこの税のあり方、とりわけ消費税のあり方について方向性を出したいということでありますが、その中に消費税の税率が含まれるのかどうなのかということは、私はまだ確認をしておりません。ですから、税率が含まれるのかどうかわかりませんが、なるべく早く議論をして、そして方向性を出そうということだろうと思いますので、その限りにおいては、私もその方向で努力をしたいというふうに思っております。
 それから、この消費税、いつまでにということでありますが、私は前の会見でも確かお話をしたと思いますが、片一方で、これは私がというよりも菅内閣、あるいは政府、デフレの克服ということがもう一つの大変大きな課題であります。新しい2011年度中にとにかく物価をプラスに持っていって、そしてそこからできるだけ早くそうした状況を安定的に継続をさせて、そしてデフレを克服していくというのが、これが政府の目標であり、私の主な仕事でもありますので、そのデフレの克服と消費税の税率のアップ、このタイミングをバランスをもって考えていかなければいけないと思っております。
(問)2点目ですが、政局に関してなんですけれども、昨日の記者会見に続く話なんですが、民主党の小沢元代表について菅総理は、強制起訴された場合については、出処進退を明らかにして裁判に専念するのであれば、そうすべきだと発言されました。これは大臣が以前からおっしゃっていた出処進退は自ら決めることという発言と違って、相当踏み込んで議員辞職を促したと受け止めるのが一般的かと思うんですが、大臣はその総理の考えに賛同されるかどうか、御所見をお伺いします。
(答)私はもとより民主党がやはり1つになって、それぞれの持てる力をそれぞれの分野で発揮するのが一番だと考えておりまして、その考えには今も変わりがありませんので、総理がどういうシチュエーションでそういう発言をされたのかよく私にはわかりませんので、総理の発言についてはコメントする立場ではございません。
(問)今日一部新聞に、「みちびき」なんですが、準天頂衛星、日本版GPS、7機体制を政府が固めたとあるんですが、固めたのでしょうか。
(答)いやいや、私も今日某紙を読みましてちょっとびっくりしまして、そんなことはないねということで確認をしましたら、もちろん固めたということはございません。
(問)年末にもそういうことがあったんですが、3機体制にするか、4機体制にするか、どういうシステムにするかということを含めて、夏までに検討するという方針に変わりはないと。
(答)その方針に変わりがありません。
(問)関連なんですが、PFIで資金を調達するというアイデアについてはどんな感想をお持ちでしょうか。
(答)それも含めて、それからもう一つは7機というような記事もございましたけれども、これも含めてまさに検討中ということでございますので。
(問)菅総理が昨日おっしゃった消費税についての議論なんですけれども、野党側はマニフェストについてリセットというか、見直さない限りは、話し合いに応じられないという声もあるようですけれども、マニフェストの見直しに関しては大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)私はマニフェストが金科玉条といいますか、あるいはマニフェストに書かれたことを一言一句変えてはいけないという立場ではありません。ただ、マニフェストの精神と、それからこの社会保障と消費税の問題というのは、必ずしもマニフェストに書いてあったことではありませんけれども、これはまたマニフェストとは私は別の問題だと思っております。ですから、その意味では、このマニフェストについてリセットですか、それをしなければ議論に入れないということではないと思います。
(問)先ほどの政局の話でお伺いしたいんですが、民主党が一つになってそれぞれ発揮することが大切だということですが、それは要するにおっしゃられている意味というのは、小沢元代表が議員を辞職したり離党するべきではないというようなお考えというふうに受け止めてよろしいでしょうか。
(答)誰がどうこうということではありませんので、前もご紹介をしましたけれども、今年も新年になりまして改めて広瀬淡窓の詩を読んでみましたけれども、「同袍友有り 自ら相親しむ 柴扉暁に出づれば 霜雪の如し 君は川流を汲め 我は薪を拾はん」と、この桂林荘精神でやるべきだというのが私の信念でございます。
(問)消費税の話に戻りますが、先ほど大臣はデフレ克服へのバランスということをおっしゃいましたが、デフレ克服が実現した後の消費税引き上げが望ましいと、そういうお考えということでよろしいでしょうか。
(答)このデフレ克服とのバランスというのは、私も言葉を選んだつもりでありますが、例えば足元の景気を見ましても、特に消費に対してやはり政策の与える影響というものは大変大きなものがあるということが、例えば自動車のエコカー補助金なんかでも非常によくわかったと思うわけです。そうしますと、消費税が、例えば何月何日から上がるということになると、その直前にやはり駆け込み需要というものは起きるでしょう。しかし、その起きた後の、いわゆる消費の先食いをした後の消費ということについて、やはりこれは大きな影響が出てくると思いますから、そういうことを考えますと、そこはやはりよく舵取りというものをしなければいけないなということでございまして、特に私のこの政府における責務が、そのデフレ克服ということも大きな責務でありますので、そのことについて十分見極めをして、その意味でいろいろな発言をしていきたいと思っておりますので、そういう形で御理解ください。
(問)大臣はかねてから予算案の早期成立の重要性を訴えていらっしゃいますが、予算案の成立と、仙谷官房長官の進退によってかなり大きな焦点になってきていますが、仙谷官房長官の進退についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)それは野党の方々が言っている話でありまして、私どもは予算案の早期成立と仙谷官房長官の問題は関係ないと、私はそう思っております。
(問)今の話に関連してなんですけれども、昨日総理の会見のほうで、予算の迅速な成立に向けて内閣改造については強力な体制を敷きたいんだという旨の話をされていましたけれども、予算の成立に当たって、前提として、改造であり、あるいは党人事の刷新についてはどういうふうなお考えをお持ちでしょうか。
(答)私は毎回、閣議あるいは閣議後の懇談に出ておりますけれども、そこで総理の口から人事の刷新とか、あるいは内閣の改造とか、そういう話は全く聞いておりません。ですから、これからいよいよ国会が始まるわけですから、その国会に向けて最強の布陣を敷くというのは、これはもう定石でありますので、その最強の布陣で臨むということは、これまでもそうだったと思いますし、これからもそうだろうと思います。
(問)先ほどから大臣は、デフレ脱却を今年のテーマにしていらっしゃるんですけれども、現在内閣府の試算では金額換算で年間15兆円程度の需要予測があって、デフレギャップはまだ大きいままなんですが、解消していくことがデフレ克服のまず第一歩だと思うんですけれども、それに向けて政府がやれることと、あるいは民間でやれること、どういうふうに今お考えでしょうか。
(答)正確に言いますと、今年度中にデフレ脱却ということではありません。これは国会でも答弁をしましたけれども、まずやっぱり今年度中にやることは、政府の今の時点での見通しは消費者物価プラマイゼロでありますけれども、やはりこれを何とかしてプラスに持っていくということがまずやるべきことである。それが安定的、継続的につながっていって、そこからデフレ脱却が展望できるわけでありますから、今年度中にデフレ脱却ということではありません。そのことがまず1点ございます。
 その上で、政府ができること、民間ができることということ。特に今指摘のありましたデフレギャップもまだ15兆円あると。しかもこれは7-9月のかなり成長が高かったときの話でありますから、今後どうなるのかということで、やっぱりこれは注意も必要でございますので、その意味では政府ができることというのは、やはり例えば今度の税制改正、そして予算で法人税の実効税率を5%下げたと。そのことによって民間がどのぐらい設備投資なり、雇用なりを増やしてくれるのかということ。もちろんこれは民間のことですから、全部すべてこうしろ、ああしろということは言えませんが、やはり日本経済を全体として、国と政府と民間が挙げて日本の経済をデフレ克服へ向けて引っ張っていこうということであれば、これは当然民間も設備投資をしてくれるものと、大きな期待を持っておりますから、そういうことによって初めてデフレも克服できるというふうに思っております。
(問)消費税の引き上げについてなんですけれども、大臣は以前は段階的に引き上げについて言及されていたんですけれども、その後もお考えに変わりはないのかということと、ほかに例えば大臣以外で賛同されている方がいらっしゃるかということについてお願いします。
(答)段階的な引き上げというのは、先ほどもお話をしましたけれども、まさに消費税の増税の前に駈け込み需要などもあるだろうということも予測されますので、そして駈け込み需要があれば、その後の、需要を先食いした後の消費の低迷というものがあろうかと思いますから、そういったことをどうやってソフトランディングさせていくかということの1つの方法として、そういうことも考えられるということを私はかねてから考えているところでありまして、まさにこれから物価の動向、あるいは消費の動向も見ながら、選択肢の1つとしてはあろうかと思っておりますが、ただそれでなければ駄目だということではないだろうと思います。
 私のほかにこれをということは、民間の方なんかは何人かそういうことを言っておる方がいらっしゃるようでありますが、政府の中でそういう方がおるかどうかというのはちょっとまだ聞いておりません。

(以上)