海江田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年12月17日

(平成22年12月17日(金) 10:42~10:56  於:合同庁舎第4号館6階642会見室)

1.発言要旨

 先ほど閣議が終わりましたので、まずそのご報告を申し上げます。
 今日は防衛計画の大綱を決定をしたということと、それから、来年度から始まります5カ年の中期防衛力整備計画、これにつきましても決定を行いました。
 それから、男女共同参画基本計画の変更について決定を行い、バイオマス活用推進基本計画についても決定を行いました。
 閣議の報告は以上でございます。

2.質疑応答

(問)昨日政府の税制大綱のほうが決定いたしましたが、いろいろと、ぺイ・アズ・ユー・ゴーの原則が守れなかったりとか、あるいは財源の問題でやや混乱するなど、今までの動きというものを大臣から総括していただけますか。
(答)ぺイ・アズ・ユー・ゴーの原則については、いろいろ議論があったところでありますが、そもそもぺイ・アズ・ユー・ゴーの原則というのは、もともとは新たな歳出を考える場合、しかもこれが恒久的な歳出を考える場合、それに見合う恒久的な財源を探さなければいけないというのが一番の基本でありまして、それを税制の世界にも当てはめて、ぺイ・アズ・ユー・ゴーの原則で、減税をやるときにはそれに見合いの財源と申しますか、税の世界で言えば増税ということなのですが、ただそれはあくまでも今財政が大変厳しいという情勢の中においてのことでありまして、従来1兆円減税でありますとか、2兆円減税ですとか、そういう減税が行われて、それに対する税の世界での増税ということがなかったこともあるわけでございますから、私は特に今回のように法人税を減税をするということになりますと、ではマイナスになります税収がどのくらいなのかということもかなり幅がございます。これは景気のよしあしによって随分幅がございますから、私はその意味では、このぺイ・アズ・ユー・ゴーの原則を非常に厳格にというのですか、例えば何十億までこれを帳尻合わせをしなければいけないとか、そういうことにはならないのではないだろうかというふうに、かねてより思っておりましたので、その意味では、ただ先ほど申し上げましたけれども、財政の事情が大変厳しい折ですから、そのぺイ・アズ・ユー・ゴーの原則というものを税制の世界にも取り入れをして、そしてそれをしっかりと腹の中に入れて、そして減税を行わなければいけないと、こういうものだというふうに私は理解をしております。
 その点でいきますと、いろいろな評価がございますが、私はできるだけのことはやったというふうに思っております。特に消費税に手がつけられないという状況のもとで、今度の税制改正の大きな目的でありますデフレ克服のための経済の成長と雇用の拡大、そしてもう一つの柱であります格差是正ということのこの大きな税制改正の目的があったわけでございますから、それに対してきちっとした手当てができた税制改正ではなかったかと思っております。
(問)税の関係なのですけれども、今ちょっとお話が出ました消費税の関係なのですが、来年度以降に持ち越しとか再来年度になりますが、大臣は今後どう議論を進めるべきとお考えでしょうか。
(答)ですから、社会保障の改革と一体化をして税の議論をする、とりわけ消費税の議論をするということは、私もそのとおりだと思っております。そして、同時に私は経済の政策を預かる立場から、やはり一日も早くデフレを克服をするということは、大切な仕事でございまして、やはりデフレを克服する中から消費税の増税というものを展望していきたいと、こういうふうに思っております。
(問)今のお話の中でデフレを克服する中から消費税の増税をということですけれども、それはつまりデフレを克服しない間は消費税の増税の実現は難しいということでしょうか。
(答)ですから、片方でやはり社会保障の改革、これも実は待ったなしの課題でありまして、この社会保障の改革を行えば、当然これは大きな財源というものを考えなければいけないわけでありますから、そのための消費税ということ、そして片一方では今の経済がデフレの状況にあるということでありますので、その2つの流れを見極めながら判断をしていくということになろうかと思います。
(問)今回の予算の税制の決定プロセスなのですけれども、政府税調という形で以前の自民党政権下でやっていたような形とは全く違うやり方をやっていますよね。そういうプロセスについてどうお考えでしょうか。今回の税制の決め方が国民の納得感を得られるような透明性の高いやり方だったのかどうかについてどうお考えですか。
(答)今回は、私は主に政府税調の会合のほうに出ておりましたが、これとは別途、党の税制調査会が大変活発に議論を行いました。都合56回ぐらいでしたかね、これは。政府税調以上の回数開催をしまして、大変熱心な議論が行われたということでございますので、その意味では党税調が出しました答申、これも十分踏まえながら、政府税調のほうも最終的な取りまとめをしたということですから、それから政府税調の会合というのは、あれはインターネットですべて同時中継がございましたし、党税調のほうもいろいろな方がその中に入られて、傍聴することができたと思いますので、その意味では公開性というのは確保されていたのではないだろうか、そういうふうに思ってます。
(問)今回の税制改正、特に法人減税中心にマクロ経済にどういう影響を与えるのか、もし数字的な試算を持っていたらいただきたいのと、法人税のパラドックスというか、減税しても実際は税収は減らないのだという考えがありますけれども、それについてどうお考えでしょうか。
(答)この数字というのは、今まさに計算をしているところでありまして、私もまだ手持ちの数字はございません。
 それから、今おっしゃった法人税の減税をやっても税収が減らないのだということの2つ意味があると思います。
 1つは法人税で減税をやります。1兆5,000億減税をやります。ところが、それが雇用であります、あるいは今既に働いている人たちの給料のアップでありますとか、あるいはボーナスのアップでありますとか、あるいは設備投資でありますとか、そういうところに当然このお金は使われるわけでありますから、そうするとそこから所得税でありますとか、あるいは消費税でありますとか、あるいは法人税でありますとか、こういう税収にはね返ってくるわけですから、1兆 5,000億円減税したということは、それはそのまま1兆5,000億のマイナスにはならないということ、これはもう自明の理であります。
 それから、さらに法人税の世界で言いますと、1年だけで見たときは確かにかなりの赤になるということでございますが、それを少し多年度で見ていったときどうなるのかということで、これはもちろん景気全般の回復の基調にも関係をしてくることでありますが、多年度で見たときどうなるのかという視点も私は大切だろうと思っております。
(問)経済の話ではないのですが、今日岡田幹事長と小沢さんがお会いになるならないという報道があるのですけれども、小沢さんはやっぱり岡田さんの要請を受けるべきだとお考えになりますでしょうか。大臣のご所見をお願いします。
(答)毎回この種の質問が出ますので、今日は質問する方が変わりましたので、私は今日はひとつ皆様方に私の好きな漢詩をご披露しようと思っております。  幕末の教育者、日田というところを皆さんご存じですね。あそこに広瀬淡窓という方がいまして、今でも日田に行きますと咸宜園という、みなよろしき園と、園というのがありますが、そこは本当は昔は桂林荘と言ったのですね。桂はこの桂林ですね、キンモクセイの桂林ですね、キンモクセイの木がたくさんあった。そこで「桂林荘雑詠」という詩がありまして、「諸生に示す」という副タイトルがついているところもありますが、恐らく皆さん後でネットで調べていただければよろしゅうございますが、「道ふを休めよ 他郷苦辛多しと 同袍友有り 自ら相親しむ 柴扉暁に出づれば 霜雪の如し 君は川流を汲め 我は薪を拾はん」と、こういう漢詩がありますので、この意味をよく私は毎日かみしめているところでございます。意味は後で調べてください。
(問)解説していただけないでしょうか。
(答)いやもう、時間がかかりますから。
(問)一言で言うとどういうことなのでしょうか。
(答)少し解説をしますと、そこの日田のところに幕末で、ここが結構いろいろな維新の志士なんかも育ったわけですけれども、全国各地からそこへ来るわけですよ。集まるわけですよ。だから、ふるさとはいい、ここへ来ると厳しい毎日ばかりだと、苦しい生活ばかりたど、そんなことを言うのはやめろと。「同袍友有り」というのは、「同袍」というのは、よく「袍」というのは、ころもへんに包むという字で、これは昔は綿入れの、今はどうかわかりませんけれども、私は子供のころ、夜寝るときに綿入れの着物みたいなのを着て寝ましたね。ああいうのを一つ綿入れをみんなで分け与えて寝た、そういう友達がいるじゃないか、「同袍友有り」。だからおのずからそういう生活をやって仲良くなるんだ、「同袍友有り 自ら相親しむ」。「柴扉暁に出づれば」、柴の粗末な扉を押し開けて外に出てみるとあたり一面銀世界、これは霜がずっと降っておってあたり一面銀世界、「柴扉暁に出づれば 霜雪の如し」。「君は川流を汲め」、あなたは川へ行って水をくんでこい。おれは山に行って薪を拾ってくる。さあ、朝飯の準備だ、元気よくやろうと、こういう詩でございます。
(問)年金の話なのですけれども、物価スライドを適用すべきか否かという議論があるかと思いますが、大臣はどのようにお考えですか。
(答)もう決まったのあれは。まだ決まってないのではないの。
(問)決まっていないのでどうお考えでしょうか。
(答)ですから、これは総理がお決めになるということで、もう少しちょっと考えようということですので、それを待ちたいと思います。
(問)大臣としてのご意見というのは。
(答)それは総理が決めるということだろうと思いますので、総理が決めていただくのが、最近たくさんお決めになっていますが、そこをまた一つプラスをしていただくのがいいかなと思っております。
(問)先ほども出た法人税のマクロ経済に与える影響なのですけれども、大臣ご本人は、GDPの押し上げ効果なんていう数字もいろいろ報道では出ているのですけれども、どのくらいとお考えですか。
(答)これは私は実際にコンピューターの前に座って計算をしているわけではありませんので、ちょっと今の段階では申し上げることができません。

(以上)