海江田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年11月5日

(平成22年11月5日(金) 9:32~9:53  於:合同庁舎第4号館6階642会見室)

1.発言要旨

 今日の閣議は院内で行われましたが、大使の信任の確認などで、あまり大きな議題はございませんでした。
 閣議終了後、馬淵国土交通大臣から、いわゆる漁船衝突のビデオの流出について、今どのルートから漏れたのかということを調査中であるという発言がございまして、その発言をみんなで聞いたということでございます。
 閣議の報告は以上でございます。

2.質疑応答

(問)今の流出の問題なんですけれども、関係閣僚や総理から何か発言のようなものはあったんでしょうか。
(答)これは本当に今、調査中というか実態を詳しく調べている最中だからという発言でございますので、みんなでそれを了承したということで、了承というのもおかしいですね、みんなで、そうですねということでございます。
(問)大臣御自身はどのような御所感を持っていらっしゃいますでしょうか。
(答)私も本当に、おそらく本物だろうと思いますから、それがどういうルートで流れたのかということについては、大いに興味関心がありますので、その報告を待ちたいと思います。
(問)あと、昨日TPPに関係して党のほうから提言がなされたと思うんですが、やや総理の所感というか所信表明から比べると後退したのではないかというような感もあるのですが、大臣はどのようにお考えになりますか。
(答)私も、その取りまとめの案を拝見しましたけれども、あまり何が言いたいのか、どういう方向なのかということがはっきりしませんでしたね。私はもう少し、このTPPについては日本の経済を活性化する上で大切なことですので、もちろん相手のあることですからよく協議はしなければいけませんが、もう少し前向きにというふうに考えております。
(問)ビデオ流出の件で、政権のガバナンスが問われることにもなるかと思うんですが、その辺についてどのようにお考えでしょうか。
(答)これは本当に今、国土交通省と、それから官邸で、どういうルートで流れたのかということを精査中ですので、やはりその精査の結果を待ってみないとわからないと思います。
(問)またビデオの関連なんですけれども、これが流出したことによる、例えば日中関係を含めて、影響というものは、大臣はどのようにごらんになられますでしょうか。
(答)これもわかりませんですね、本当に。私も今日朝ちょっと花粉症でございましたから、あまりテレビを見るいとまがなく、さっと出てまいりましたので、どういう場面が映っているのかも実はあんまり見ていないのですね。
(問)また別件で1問お願いしたいんですが、昨日、岡田幹事長が小沢元代表と会談されまして、国会招致の件で協議されたということなんですけれども、小沢さんのほうは国会招致には応じない考えを示されているということで、一方で、補正予算のこれからの審議にも影響が出てきかねない状況なんですけれども、大臣の御所見、今の状態をどのようにごらんになられているか、小沢さんの国会招致について大臣はどのようにお考えかお聞かせください。
(答)私は、小沢さんの問題と補正予算の問題を絡ませるのは、違うというふうに思っております。補正予算は補正予算で、本当に国民生活に大変大きな影響を与える事柄でありますので、これはもう粛々と議論していただきたいと思っています。
(問)国会招致の是非についてはいかがお考えでしょうか。
(答)それは今、やはり御本人の意思というのは大事ですから、それから本当にもうプロセスが法的なプロセスに入っておりますから、当然そこで防御権というものもあろうかと思いますから、御本人が出ないということであれば、それは出ないと言ったのかどうかもちょっと私はわかりませんけれども、御本人の考えに従っていけばいいと思っています。
(問)TPPなんですけれども、今大臣おっしゃっていたことで、党からの文書が何を言いたいのかはっきりしなかったということなんですけれども、党は党の考えと、あと政府が来週閣議決定するものというのは別ということもやっぱりあり得るんでしょうか。
(答)そこは別になるか同じになるかわかりませんが、閣議がございます。そこで、あるいは閣僚懇談会になるのか、そこで私は自分の考え方を言わせてもらうつもりでありますから。
(問)話は変わりますが、FRBが昨日朝、追加の緩和策で6,000億ドル国債と、住宅担保型債券の償還分の再投資を含めると8,000とか、かなり大きい感じがするんですが、まずどう評価されているのかというのと、日本円で50兆、60兆という資金供給に対して日銀の5兆というのはいかがなのかという、その2点お伺いしたいんですけれども。
(答)アメリカの決定に対しては、やっぱり背景にはデフレ懸念があるなというふうに私は見ております。デフレに対する強い懸念があって、ああいう形での金融緩和、そして国債の買い入れということにつながったのではないだろうかというふうに思います。
 それに関連して昨日と今日、日銀が金融政策決定会合をやっているところでありますが、やはり今御指摘のありましたように、金額の問題でアメリカと比べると随分小さいなというふうに思いますので、これはこれからおそらく議論になろうかと思います。
 昨日、今日とやったことの意味は、やはりその限られた金額の枠内でありますけれども、早目にこれが実際に買い入れができるようにしなければいけないということで昨日と今日の会合でございますので、スピーディーに行うということは評価できると思います。あと問題は金額でございます。
(問)昨日、政府税調がございまして、大臣も会長代行として出席されましたけれども、昨日の法人税の議論を聞かれての御感想と、もう1点、特に単年度のペイ・アズ・ユー・ゴーについての議論も結構あったんですけれども、それについての大臣の御所見をお願いします。
(答)昨日は税調で法人税の議論をしましたけれども、やはりまだ、かなり議論に時間がかかるなという印象でございました。
 私は、法人税の5%、減税と申しますか、税率を5%下げるということは、あらかた理解はできているのかなというふうに思いましたけれども、まだその段階ではなくて、まず法人税の実効税率を下げるということがいいのか悪いのかというような議論がまだ行われていましたので、私はむしろ、5%下げるなら5%下げる、その場合のやはり一番大事なのは財源をどこから持ってくるかという議論に、もう入っているタイミングなのかなと思っておりましたから、この1カ月間、それぞれの党内の部門会議あるいはPTなどで議論があったのでしょうが、まだ詰まっていないなという印象が昨日の意見を聞いておりましてございました。
 それから、ペイ・アズ・ユー・ゴーの原則でございますが、やはりどこからスタートするのかということが、ひとつ問題ではないだろうかというふうに思っておりまして、例えば新規に、今の子ども手当なら子ども手当で1万3,000円がありますが、この1万3,000円を、これもまだ議論しているところですけれども、例えば2万円にしますよということで言えば、これはやはりかなりな金額が必要になるわけですから、そのときにペイ・アズ・ユー・ゴーの原則で、例えば仮にそこがどのくらいでしょうかね、7,000億必要だということであれば、ではその7,000億円はどこから持ってくるのという話になるのではないかなというふうに思っています。ただ、これも今の段階でちょっと議論が何か錯綜しているように思いました。
(問)FRBの決定の関係なんですけれども、日本の経済への影響というのはどのようにごらんになっていますでしょうか。
(答)これは一つは為替でありまして、ただこれが本当にどっちの方向に動くのかということで、ちょっとまだ私も判断しかねているところでありますが、ただ、これまでがやはりこのFRBの決定を見守るというようなところで市場が動いていましたから、それがポストFRB決定というところで、どういうふうに動くのかということは、もう少し見てみないとわからないと思います。
 それから、昨日、今日と株が比較的反騰しておりますので、その意味では私はFRBが先ほどもお話ありましたけれども、かなり規模の大きな手当をいたしましたので、日銀に対して、もう少し買い入れ幅を大きくするとか、そういう一つのシグナルにつながっているのかなというふうに見ております。
(問)先ほどのTPPの関連で、取りまとめ案を見たけれども、何が言いたいのか、どういう方向なのかはっきりわからないと。それについてちょっと具体的に教えていただきたいのと、あと当初、大臣はAPECで参加表明するべきというようなお話をされていたんですが、今もそのお気持ちに変わりはないかどうかということを。
(答)まず後ろのほうから。私は今もその気持ちに変わりはありませんので。
 それで昨日の取りまとめ、これはまだ外に向かって発表していいということではないのだと思いますので、少しちょっと回りくどい言い方になるかもしれませんけれども、参加条件を詰める本格交渉に入るべきだというのと、それからその間に情報収集のための協議で参加、不参加は、これは白紙ですよというところの間ぐらいだというのが、昨日の話のまとめではないだろうかというふうに私は思っているのですね。これでは本当に何が言いたいのかわからないのではないですか。私は何だろうというのがよくわからなかったのでね。
(問)日銀の政策に関連してなんですけれども、先ほどからアメリカの金融追加緩和を受けて、日銀の買い入れ資産規模が小さいということを何度かおっしゃっていますが、こうした認識は今日の会合で政府代表としてお話になるのか、今日にも日銀は規模を大きくすべきだというふうにお考えなんでしょうか。
(答)いや、今日の会合では、これは前から、昨日から引き続いての会合でございますから、当然買い入れの承認を、もうこれは出したわけでありますから、財務省に対して出しているわけでありますから、それを確認をして、そしていよいよこれから買い入れに入るということであって、その意味では今私がお話をした規模の問題は、当然これから出てくる話であろうということで、これからの話であります。今日の話ではありません。
(問)今日の閣議前に、総理と何かを書かれたかどうかということをお話しされていたようなんですけれども、それは何を書かれていたんですか。
(答)あれは、ちょうど閣議が始まるのが遅かったものですから、御案内のように閣議のところには筆とすずりがありましたから、私はその筆とすずりをとって習字の練習をしていたので、書いた文字が、「環太平洋経済連携協定」と書いていたわけですから、それを見て菅さんが笑ったと、こういうことでございます。
 今持っているかな……。こういうふうに書いておったわけね。その字を書いていたということであります。習字の練習をしていたのでね。
(問)もう一つ、ビデオの関連なんですけれども、形はどうであれ国民がこのビデオの映像の内容を見たということ自体は大臣としてはいいことだと思いますか。
 あともう一つ、APEC前にこのビデオが流出したわけなんですけれども、このタイミングについて、やはりAPEC前に国民は知っておくべきだったと思いますか。
(答)これは、本当にまだ精査中のことでありまして、おそらくたくさんビデオを長時間にわたって撮ったわけだろうと思いますが、おそらく国会で見たのもそのうちの一部だろうと思いますから、どういうふうに言えばいいのですかね、全体なら全体、全部をとにかく、本当は見せればいい話でありまして、ただそれをどの範囲に限るかということは、それは政府としての判断もあるわけですから、政府の判断で見せればいい話だと思います。
 刑事裁判の資料でもあるので、そこのところをどういうふうに判断するのかということで、まずそれが本当に本物でどういうルートで流れたのかということをまず明らかにして、そこから今度は、もし本物であれば、それが流れたという事実の前で政府がどうするのかということを次のステップとして考えればいいのではないですか、これは。
(問)その関連なんですけれども、大臣は冒頭で、おそらく本物だろうと思うとおっしゃられていましたが、なぜそれは……。
(答)これは私はテレビで見て、巡視船と中国の船があって、ああいうセットの映画ができたとはまだ聞いておりませんのでね。
(問)どういうルートで流れたのか、今後精査しなければいけないとおっしゃっていたんですけれども、ちょっと時間がかかっちゃうのかなと思うんですが、その間にも見ている人はいて、実際にそういったものが流出してしまったことに対する大臣の受けとめというのはどのように。
(答)だから私は本当に、本当にちらっとしか見ていませんので、ただやはり、流れたことを容認するわけではありませんが、やはりそういうものはなかなか、こういうこの情報社会の中で、ああいう形で流れるということもあるだろうなという気はしておりますね。ただ、やはり政府がそれを流してはいかんと、流してはいかんと言うのは、これは当然……、それは国のものでありますから、それをしかるべきルートを通じて流布したということでなければ、いわば刑法で言えば窃盗罪に当たるわけですから、やはりそういう調査、そういう捜査と申しますか調査と申しますか、そういうことも片方でやられなければいけないわけだと思います。
(問)あともう1点なんですけれども、先ほどのちょっと書いた紙を、カメラのほうに、私どもに見せていただきたいんですけれども。
(答)今出てきた、今出てきた、これ。「環太平洋経済連携協」で、まだ「定」を書く前にあれが呼びに来たんで、そっちへ行きましたけれども。
(問)じゃあ、「定」が入っていないわけですね。
(答)「定」がまだ入っていない。ここまでね。
(問)その思いと、総理からの何か発言は、それについてあったんでしょうか。
(答)菅さんは、字が上手だねと誉めてくれましたけどね。
(問)それだけでしたか。
(答)まあ……。
(問)画竜点睛、最後の一字が。
(答)「定」がね。これを書こうと思っていたら、もうこっちの次室で写真撮影があるからと呼びに来られたのでね。ちょっと、画竜点睛を欠くじゃないけれども、本当にちょっと残念だな。「協」までで「定」が入っていなかったね。
(問)本番でそういうことにならなければいいなという思いは。
(答)そうですね。

(以上)