海江田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年10月19日

(平成22年10月19日(火) 9:27~9:40  於:合同庁舎第4号館6階642会見室)

1.発言要旨

 先ほど閣議が終わりましたが、今日の閣議は、1つは北海道で選挙が行われておりまして、そこに予備費の支出を行うということでございます。それからもう一つは、ガンビア国及びギニアビザウ国駐箚特命全権大使に対する信任状、それから前の大使の解任状についてでございます。この2つでございました。
 それから、閣議後でございますが、玄葉国家戦略担当大臣から、国家戦略室を強化するという旨のお話がございました。御案内だろうと思いますが、これは審議官クラスの幹部職員2名を増員するということでございます。そして、いわゆる総合調整と、それから総理に対するアドバイス、この2つに機能を分けるということでありまして、総合調整のほうは玄葉大臣のほかに平野副大臣、この2人が当たるということで、それから総理に対するアドバイザリーの機能としては、阿久津政務官及び加藤総理補佐官が担当するということでございます。
 今日はその程度で終わりました。

2.質疑応答

(問)昨日閉幕した中国共産党の中央委員会で、習近平氏を次の国家主席に事実上選任するような形の人事が行われましたけれども、これに関するコメント、あるいは今後の日中関係の見方をお聞かせください。
(答)昨日、中央委員会総会ですか、これは中央委員会全体会議といいますけれども、これが開かれたということで、そこで習近平国家副主席、この方の中央軍事委員会副主席という立場が固まったということで、これは本当に事実上の胡錦濤さんの後継者と認定されたということでありまして、実は習近平さんといえば、去年の暮れに日本を訪問しまして、そのときの天皇陛下との会見の話でいろいろございましたけれども、あのとき例に出されましたのが、胡錦濤副主席も日本に来たときに天皇陛下にお目にかかったというお話がありましたけれども、実はあれは正確でありません。あの胡錦濤当時副首席が日本に来て天皇陛下にお目にかかったときは、既に中央軍事委員会の副主席でもあったわけであります。ですから、それからいうと、昨年の時点では習近平さんはまだ中央軍事委員会の副首席になっていなかったわけでありますから、その意味では初めてのケースだったわけであります。今回、中央軍事委員会の副主席と国家の副主席、この2つがそろって、これで胡錦濤さんの次の世代、次のポストに習近平さんが決まったということでありますので、私も習さんとは、そんな多い数ではありません、2度ぐらいお目にかかっておりますが、大変気さくな方でありますし、それから大変な苦労人であります。
 お父様が習仲勲さんといいまして、国の副総理をやっていた方でありまして、文化大革命で大変悲惨な目に遭って、その中で多感な時代を過ごした方、しかも、地方で仕事がなかった方ですから、その意味では庶民の気持ちもわかる方ではないだろうかというふうに思っていますが、ただ、やはりこれから中国全体としてどういう方向性でいくのかということを打ち出さなければいけないわけで、まだそれはもちろん今の段階でそういうことが出るはずもありませんけれども、やはり胡錦濤さんの場合は和諧社会という、調和のとれた、国民の間の格差だとかそういうものをなくそうという方向で努力したわけですが、もちろんそれが十全に果たせたとは思っておりませんが、今度、習近平さんがどういう方針を打ち出すのか。やはり今、中国の間でまた格差が広がっています。それから経済の、私はピークアウトという言葉を使っておりますが、かつてのような高度成長というわけにはいきませんので、そういう不満が学生の反日デモというような形でもあらわれていると思いますので、やはり経済をしっかり成長させて、そして同時に国民の間の格差というものの是正に努めてもらいたいと思っております。
 ただ、習近平さんが実際に国家主席になるのはあと2年後の話でありますから、やはり今、胡錦濤さんの体制が続いているわけですから、私は胡錦濤さんの時代に、もう一度やはり日中の関係をしっかりと打ち立てて、そしてやはりああいった過激な反日デモなんていうことは、これは中国のためにもならないことでありますから、そういうことをやはり一日も早く抑えてもらいたい。そして、本当に日本の企業が安心して、やはり中国に出ていけるような環境をつくってもらいたいというふうに思っています。
 今度、新しくそういう体制がはっきりしましたから、今まではやはり習近平さんが次の指導者だということがまだはっきり決まりませんでしたから、そういった意味での政治的な不安も全くなかったわけではありませんから、やはりそれが、新しい体制が決まるということによってこれからは安定を取り戻して、日中関係に対してしっかりと、中国側も日中の友好が大事だということをもう一回改めて認識してもらいたい、そのように思っております。
 ちょっと長くなりまして申し訳ありません。
(問)昨日、小沢さんの強制起訴議決の執行停止の申し立てを東京地裁が却下しましたけれども、これについての御所見をいただけますか。また、予算、法案審議があるので、国会招致を急ぐべきとの見方もあるのですが、それについての御意見をお願いします。
(答)私は、行政裁判があったわけでありますけれども、検察審の結果、これは裁判で争うというのが筋だと思っておりましたし、今でもそう思っておりましたから、やはり裁判の場ではっきりと無実を証明してもらいたいというのが、あの検察審の結論が出てからのずっと同じ思いで、今もその気持ちは変わっておりません。
(問)円の国際化の研究会を設置されるということですが、この問題は財務省が昔から随分やってきて、もうある程度、決着してきているように感じるのですけれども、ここに来て新たに大臣が設置するという問題意識の背景にあるものは何かということと、どういったことができるのか、可能な範囲で教えていただけますでしょうか。
(答)確かにおっしゃるとおり、財務省もこの円の国際化ということについて研究して、それなりに蓄積もございます。ですから、財務省のそういった蓄積も、私どもは改めて受け継いでいきたいと思っておりますが、ただ、やはり若干、この円高の構造と申しますか、これが違ってきたというふうに思っております。前にもお話ししましたけれども、やはり1つはもちろんアメリカの地位の総体的な低下というものもございます。それに対してもう一つ、やはりここ数年、新たに起こってまいりました事実というのは、やはり中国などを初めとした新興国の台頭ではないだろうかというふうに思いまして、今回のドル安の局面でも、まずシンガポールの通貨が大変買われたということがありまして、シンガポールだけではありませんけれども、そういう新興国の通貨が買われて、とりわけやはり新興国の中心はアジアでございますので、そうするとアジアの日本の円というのも、これは紛うことなくアジアの通貨でありますから、そういう面で買われたという意味もありますので、しかも、ちょっとこれもまたお答えが長くなるかもしれませんが、私は前から中国の元、人民元という言い方をしておりますが、あれはあまり正しい言い方ではないのではないかと。元という通貨の単位があるわけではありませんで、中国のお金を見ていただければわかりますけれども、くにがまえで員という、古い字の圓という字が書いてありまして、実は中国は人民円なのですね。ユアンといいまして、Yuanで、これは円でございます。だから、実は中国も人民円でありまして、そして実は韓国のウォンも、漢字で書きますとこれは円であります。ですから、その意味での円の国際化というのは、私どもがこれから考える、勉強する、それに際して私の思いというのは、まさに東アジアの共同体の考え方もございます。それから、今言ったような日本円、人民円、韓国円という、やはりこの円の問題も含めた国際化というようなことも、視野に入れて考えていきたいなと思っております。
(問)そうすると、中国、日本、韓国の円を何らかの形でリンクさせたり、そういう形で大きな枠組みを考えるという問題意識なのでしょうか。
(答)もちろん、これはすぐにというわけにはまいりませんが、東アジア共同体ということを提唱するのならば、当然その中で、やはりアジアの円というものの、まずアジアの中でそういう3つの円の協調というものも必要ではないかというふうに思っております。

(以上)