荒井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年6月18日

(平成22年6月18日(金) 16:13~16:21  於:合同庁舎4号館6階642号室)

1.発言要旨

 今日、月例経済報告に関する関係閣僚会議が開催されましたので、その概要を御報告いたします。景気の基調判断につきましては、「景気は、着実に持ち直してきており、自律的回復への基盤が整いつつあるが、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある」。上方に変更いたしております。しかし、基調判断は着実に持ち直してきているということであります。
 これは、現在の景気の持ち直しは依然として外需や経済対策の効果による面が大きいものの、雇用、所得環境が安定的に推移するもとで、個人消費の持ち直しが続いていることに加え、企業収益が改善する中で、設備投資の下げ止まりが確認されており、国内民間需要に底堅さが出てきていることから、所得面と支出面の好循環という意味での自律的な景気回復が視野に入ってきているとの認識を踏まえたものです。
 先行きにつきましては、当面、雇用情勢に厳しさが残るものの、海外経済の改善や緊急経済対策を始めとする政策の効果などを背景に、企業収益の改善が続く中で、景気が自律的な回復へ向かうことが期待されます。
 一方、欧州を中心とした海外景気の下振れ懸念、金融資本市場の変動やデフレの影響など、景気を下押しするリスクに留意する必要があります。また、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要でございます。
 政府といたしましては、新たな需要と雇用の創造により、日本が本来持つ成長力を実現するため、本日午前に閣議決定された新成長戦略を推進いたします。政府は、デフレからの脱却を喫緊の課題と位置づけ、日本銀行と一体となって、強力かつ総合的な政策努力を行うことといたします。
 以上でございます。

2.質疑応答

(問)今回の月例報告を踏まえて、大臣として改めて日本経済の現状についてどのように見ていらっしゃいますでしょうか。
 2点目が、就任会見で「緩やかに回復」というふうに述べておられましたが、その後、今回の月例に至るまでの間で、認識の差というのは出てきましたでしょうか。
 3点目なんですけれども、大臣として、あるいは菅政権において、月例経済報告というのはどのような位置づけ、どういった意味を持っていらっしゃいますでしょうか。その3点をお聞きしたいと思います。
(答)月例経済報告の意味づけですか。
(問)はい、意義づけ。何のためにやるのかということですね。
(答)今回の発表をさせていただいたんですけれども、日本経済は私が当初一番最初に就任会見で話をさせていただいたんですけれども、緩やかに回復をしているというその基調は、私は変わらないのではないかというふうに思っています。今回、景気判断が着実に持ち直してきているという、そういう言い方をさせてもらいましたけれども、希望を込めていることかもしれませんけれども、特に成長戦略の中で、デフレから脱却をする、それが我が国の経済政策の最大の眼目であるということを位置づけさせていただいたわけですけれども、そこについては変わりがありません。
 それから、菅政権について何でやるのか、月例経済報告の意義ですけれども、これは政府全体として、経済・景気が今どのあたりにあるのか、景気の状況が何なのか、それを押し上げる、あるいは安定的に強固にするために、どんな認識が必要なのかということを共通認識を持つための一番基本になるものだというふうに考えてございます。あるいは、日銀との間にも、この政権は日銀と随分関係を深めてまいりましたけれども、そのための共通基盤といいますか、そういうものにもなっているんだというふうに考えてございます。
(問)今、会見の中で「緩やかに回復」という基調は変わらないという御発言があったと思うんですけれども、そういった中で今回の月例が、前副総理はGDPが上がるかどうか、これ以降見ながら判断したいというお話があったと思うんですが、なぜ今回の月例がこのような表現になったのか、全体としては持ち直しというところは変わらないのかもしれないんですが、その点についてちょっとお話をお伺いしたいと思います。
(答)いろいろ客観的な指標を基準として判断をしていくわけですけれども、例えば消費者の需要の動向でありますとか、あるいは機械発注の動向でありますとか、外需ですとか、それらの多くのものが景気回復の実態をあらわすような数字であるならば、自信を持って景気回復とも言えたんですけれども、一部がプラスで一部がマイナスという、そういう状況だったものですから、これはやっぱり慎重な景気判断をすることが正しいだろうということで、府内の中で政務三役を含めまして議論した結果、そういう形になりました。
(問)今回の基調判断ですが、これは表現変更、あるいは据え置きとしないで、上方修正であるというふうに判断した理由というのはどこにあるのでしょうか。
(答)設備投資が下げ止まったんですね。設備投資の指標というのは、一番というか、大変大きな要素を持っておりますので、ここをもって上方修正であろうという判断をいたしました。
(問)確認ですけれども、今回のこの判断は景気の回復宣言ではないということでよろしいでしょうか。
(答)まだです。残念ながら。
(問)非常に微妙な表現なので、見方によっては、参院選の前に何とかして回復という言葉を入れようとされたようにも見えるんですが、そのあたり、そういう意図は全くない。
(答)全くないです。あくまでも景気判断というのは客観的なそういうものに基づくべきだという判断をしてございます。

(以上)